半減期とは?暗号通貨用語について説明

1. 半減期とは何か

1-1. ビットコインのマイニング報酬が半分になるイベント

ビットコイン(BTC)の半減期とは、ビットコインのマイニング報酬(ブロック報酬)が半分になるイベントのことです。ビットコインには特定の発行者や管理者が存在しないため、通貨の新規発行や取引承認にユーザーがかかわることで合意が形成されます。ユーザーは暗号資産の取引データが格納されているブロックに、正しく取引が記録されているかを検証する行為(マイニング)をおこない、その報酬として、新規発行されたビットコインが得られます。

マイニング報酬として得られるビットコインの枚数は、約4年に1度だけ半減するように設計されています。この「マイニング報酬(ブロック報酬)が半分になるイベント」のことを、ビットコイン(BTC)の半減期といいます。

1-2. ビットコインの価値を守る仕組み

ビットコイン(BTC)に半減期がある理由は「市場に流通するコインの総量を抑えて、通貨価値の安定化を図るため」です。日本円や米ドルなどの法定通貨は、中央銀行が市場に流通する通貨の量を調整して通貨価値の安定化を図っています。一方でビットコインには中央銀行などの管理団体がないため、そのままでは流通量を調整することができません。そこで設けられたのが、半減期という仕組みです。

ビットコインには、当初から2,100万枚という発行上限数が決められています。もし半減期がなければ、どんどんマイニングが進み、すぐに発行上限数を迎えてしまう可能性があります。また、マイニングが進みすぎてしまい世の中に需要を上回る量が流通してしまうと、通貨価値が下落してしまうかもしれません。

半減期は新規発行のペースを緩やかにするとともに、急激なインフレを防ぐ役割を担っているのです。

1-3. ビットコイン半減期の過去の事例

2024年4月20日 午前9時に発生した4回目のビットコイン(BTC)半減期は、過去の半減期と比較して、注目度が高いと言えるでしょう。

ビットコインが初めて半減期を迎えたのは2012年11月28日です。

当時はまだビットコインを保有している人が少なかったため、半減期前後に価格が高騰するなどの目立った動きはありませんでした。

2回目の半減期は2016年7月9日です。1回目と比べてビットコインの認知度が上がっていたこと、半減期を前にして市場が盛り上がっていたことから、価格は大幅に上昇しました。

価格でいうと、5月には4万円台だった価格が、半減期を迎えた日には7万円台になり、その後は安定して推移しました。注目すべきは、半減期当日よりも前に価格のピークが訪れている点です。半減期を迎えたのは7月9日ですが、価格のピークはその前の6月17〜19日頃で、価格は8万円以上に高騰していました。その後、利益確定のためか、一度価格は急落しています。

3回目の半減期は2020年5月11日です。ビットコイン半減期前の2020年4月30日時点で、ビットコイン価格が前日より約21.5%も上昇しました。

それと並行して「日本」「米国」「グローバル」共にGoogleトレンドによる人気度の動向も4月30日に上昇していることが分かります。

4回目のビットコイン(BTC)半減期は、2024年4月20日 午前10時〜11時ごろと予測されています。2024年4月13日時点で、ビットコイン(BTC)の価格は1000万円以上で推移するなど、非常に高い水準で推移していると分かります。

また、Google Trendsを確認すると、3回目のビットコイン半減期が起こった2020年5月よりも、4回目のビットコイン半減期が起こる予定の2024年4月の方が「ビットコイン 半減期」で検索している人が多いことが分かります。このことから、4回目の半減期は前回の半減期よりも注目度が高いといえるのではないでしょうか。

過去の半減期では、半減期を前に価格が高騰するケースがみられました。これは、供給量の減少と投資家の期待感によるものと考えられます。

1-4. まとめ

ビットコイン半減期は、ビットコインの価値を維持するための重要な仕組みであり、市場に大きな影響を与えるイベントです。過去の事例から、半減期前後には価格が大きく変動する可能性があることが分かります。半減期が近づくと、投資家の期待感から価格が上昇する傾向が見られますが、同時に、価格の急落が起こる可能性も否定できません。

ビットコイン半減期は、暗号通貨市場全体に影響を与える重要なイベントであると言えるでしょう。今後の動向を注視し、投資判断を行う上で重要な要素の一つとして理解しておく必要があります。

参考文献

ビットコイン半減期とは?どんなことが期待される?【暗号 …

ビットコイン(Btc)半減期とは?2024年のいつ起きるか、仕組み …

【2024年】ビットコインの半減期はいつ?一覧や過去の価格動向 …

2. 半減期の歴史

2-1. ビットコインの半減期:希少性と価値の上昇

ビットコインは、2009年の誕生から現在までに、4回の半減期を経験しています。最初の半減期は2012年11月28日に発生し、マイニング報酬は50BTCから25BTCに減額されました。この半減期は、ビットコインの歴史において大きな転換点となりました。半減期後、ビットコインの価格は徐々に上昇し始め、2013年には1BTCが1,238ドルに達するなど、約100倍の価格上昇を記録しました。この価格上昇は、半減期によってビットコインの希少性が高まったこと、そして、2013年に起きたキプロス危機でユーロに対する信用が低下し、ビットコインへの関心が高まったことが要因と考えられます。

2回目の半減期は2016年7月9日に発生し、マイニング報酬は25BTCから12.5BTCに減額されました。この半減期後も、ビットコインの価格は上昇傾向を続け、2017年には1BTCが2,960ドルに達するなど、約5.5倍の価格上昇を記録しました。この価格上昇は、半減期による希少性の高まりに加え、2017年にビットコインの知名度が日本でも広がり、多くの投資家が市場に参入し始めたことが要因と考えられます。この期間は「ビットコインバブル」と呼ばれ、暗号通貨市場全体が活況を呈していました。

3回目の半減期は2020年5月11日に発生し、マイニング報酬は12.5BTCから6.25BTCに減額されました。この半減期後も、ビットコインの価格は上昇傾向を続け、2021年には1BTCが63,590ドルに達するなど、約7.4倍の価格上昇を記録しました。この価格上昇は、半減期による希少性の高まりに加え、2020年に発生したコロナショックによる金融緩和、そしてDeFiやNFTといった新たな暗号通貨関連技術への関心の高まりが要因と考えられます。

2-2. 半減期と価格変動の関係:予測と現実

ビットコインの過去の半減期では、半減期後に価格が上昇する傾向が見られました。しかし、半減期直後にピークを迎えたわけではなく、1回目では約1年後、2回目では約11か月後、3回目も約11か月後にピークを迎えています。

このことから、半減期はビットコインの価格上昇に影響を与えるものの、必ずしも直後に価格が上昇するとは限らないことがわかります。半減期は価格変動のきっかけとなり、その後、市場の状況や投資家の心理によって価格が大きく変動する可能性があると言えるでしょう。

2-3. 半減期とマイナーの動向:報酬の減少とマイニングの採算性

半減期は、マイナーにとってマイニング報酬が減額されるという側面も持ち合わせています。報酬が減額されると、マイニングの採算性が悪化し、マイナーがマイニングから撤退してしまう可能性も懸念されます。

しかし、過去には半減期後もマイナー数は減少しませんでした。これは、マイニングの競争が激化し、マイニングにかかるコストが低下したためと考えられます。また、マイナーはより効率的なマイニング機器やマイニングプールを利用することで、報酬の減少を補っているとも考えられています。

2-4. まとめ

ビットコインの半減期は、過去4回の経験を通して、希少性が高まり、価格上昇を促す要因となることが明らかになりました。しかし、半減期直後に価格が急騰するとは限りません。半減期は価格変動のきっかけとなり、その後は市場の状況や投資家の心理によって価格が大きく変動する可能性があります。

また、半減期はマイナーにとって報酬が減額されるというデメリットも存在しますが、必ずしもマイナーが撤退してしまうわけではないことを過去のデータは示しています。マイナーはより効率的なマイニング方法や機器を採用することで、採算性を維持していると考えられます。

半減期はビットコインの価格やマイナーの行動に影響を与える重要なイベントですが、半減期が必ずしも価格上昇やマイナーの撤退を意味するわけではないことを理解しておく必要があります。今後のビットコインの価格動向やマイナーの行動を予測するには、半減期だけでなく、市場の状況や投資家の心理、技術革新などの様々な要因を考慮する必要があるでしょう。

参考文献

【2024年最新】仮想通貨の半減期一覧表を紹介!ビットコインの …

ビットコインの「半減期」とは何か?仮装通貨保有者に与える …

ビットコインの半減期はいつ?一覧や過去のチャートから今後 …

3. 半減期の影響

3-1. 価格への影響

半減期は暗号通貨の価格に大きな影響を与える可能性を秘めています。これは、半減期によってマイナーが受け取る報酬が半減するため、マイニングの収益性が低下し、マイナーが採掘活動を続けるためのコストが上昇するからです。マイナーの採掘活動が減れば、新規に発行される通貨の供給量が減少し、需要と供給のバランスが崩れます。需要が供給を上回れば、通貨の希少価値が高まり、価格が上昇する可能性が高くなります。

ビットコインの場合、過去3回の半減期では、いずれも半減期の前後から価格が上昇する傾向が見られました。2016年7月の2回目の半減期では、半減期から約2ヶ月ほど前から価格が上昇し始め、半減期後に一時的に急落したものの、その後は上昇を続け、2017年12月に最高値を更新しました。2020年5月の3回目の半減期でも、半減期前から上昇トレンドに乗り、2021年11月に最高値を更新しました。

しかし、すべての暗号通貨が半減期によって価格が上昇するわけではありません。例えば、モナコインは、2017年7月の半減期後には価格が大きく上昇しましたが、2回目の2020年9月の半減期後には大きな価格上昇は見られませんでした。これは、半減期が価格上昇の唯一の要因ではなく、市場全体の動向や通貨の需要、開発状況など、様々な要因が複合的に作用しているためです。

半減期は、価格上昇の潜在的な要因ではありますが、必ずしも価格が上昇するとは限りません。投資判断を行う際には、半減期のタイミングだけでなく、市場全体の動向や通貨の特性などを総合的に考慮することが重要です。

3-2. マイニングへの影響

半減期は、マイニングの収益性に直接的な影響を与えます。マイナーは、ブロックを生成することで新たに発行される暗号通貨を報酬として受け取りますが、半減期によって報酬が半分になるため、従来と同じ計算能力を維持するためには、より多くの電気代や設備費が必要となります。

マイニングは、世界中で計算処理能力競争が繰り広げられており、報酬が半減することでマイナーの生き残り競争がますます苛烈となり、弱小マイナーが淘汰されていく可能性があります。マイナーが減少すると、ネットワークのセキュリティが低下するリスクも懸念されます。

一方で、半減期はマイナーにとって新たな挑戦と機会でもあります。半減期によって採掘報酬が減少したとしても、マイニングの技術革新や効率化を進めることで、収益性を維持したり、向上させたりすることが可能です。また、マイニングプールに参加することで、単独でマイニングを行うよりも効率的に報酬を得ることができます。

半減期は、マイニングの収益性やネットワークのセキュリティに影響を与える一方で、マイナーにとっても新たな技術革新や効率化を促す機会となります。

3-3. ネットワークセキュリティへの影響

半減期は、暗号通貨のネットワークセキュリティに影響を与える可能性があります。半減期によってマイナーの報酬が減少し、採掘活動のコストが上昇すると、マイナーの減少やマイニングプールの集中化につながる可能性があります。

マイナーの減少は、ネットワークのハッシュレートの低下につながり、ネットワークのセキュリティが低下するリスクがあります。ハッシュレートとは、ネットワーク全体で計算処理能力を示す指標であり、ハッシュレートが高いほど、ネットワークのセキュリティは高くなります。

マイニングプールの集中化も、ネットワークセキュリティに影響を与える可能性があります。マイニングプールとは、複数のマイナーが協力してマイニングを行う組織であり、マイニングプールが集中化すると、特定のマイナーグループがネットワークの支配力を強める可能性があります。

半減期は、マイナーの報酬を減らすことで、ネットワークセキュリティの低下につながる可能性がありますが、同時に、マイニング技術の進歩や新たなマイニングプールの出現を促し、ネットワークセキュリティを強化する可能性も秘めています。

3-4. まとめ

半減期は、暗号通貨の価格、マイニング、ネットワークセキュリティに様々な影響を与えます。価格面では、半減期によって通貨の希少価値が高まり、価格上昇の可能性が高まる一方、必ずしも価格上昇に繋がるわけではありません。マイニング面では、収益性が低下することでマイナーの減少や集中化の可能性がある一方で、技術革新や効率化の促進につながる可能性もあります。ネットワークセキュリティ面では、ハッシュレートの低下やマイニングプールの集中化によってセキュリティが低下する可能性がありますが、同時に、技術革新によってセキュリティを強化する可能性も秘めています。

半減期は、暗号通貨の将来性に大きな影響を与える可能性を秘めていますが、その影響は必ずしも一面的ではなく、様々な要因が複合的に作用すると考えられます。投資判断を行う際には、半減期の影響だけでなく、市場全体の動向や通貨の特性などを総合的に考慮することが重要です。

参考文献

仮想通貨の半減期とは? 用語説明 – 【BITPoint】暗号資産 …

仮想通貨の「半減期」とは?初心者向けにやさしく解説 …

暗号資産(仮想通貨)の半減期とは? – Dmmビットコイン

コメント

タイトルとURLをコピーしました