上場取引所とは?経済用語について説明

上場取引所の概要
項目 内容
役割 公正な取引の場の提供、取引の円滑化、市場の透明性確保、企業の健全な成長支援
種類 東京証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所
市場区分 本則市場(一部、二部)、新興市場(JASDAQ、マザーズ)
審査基準 株主数、流通株式数、時価総額、純資産額、利益の額など
株価変動要因 会社の業績、政治、経済の出来事など
今後の展望 グローバル化、テクノロジーの活用、新興市場の活性化

1. 上場取引所とは

要約

1-1. 上場取引所の役割

証券取引所とは、その名の通り証券、つまり株を取引する場所です。金融商品取引法に基づいて運営され、投資家たちは証券会社を通じて、証券取引所で証券の取引を行います。

証券取引所は投資家が安心して取引でき、また企業が安定した資金調達ができるように、公正な取引の場を提供すること取引の円滑化を図ること市場の透明性を確保すること企業の健全な成長を支援することなどを目的としています。

2020年、日本には株式会社が218万社程度あります。しかし、株式会社の株式すべてが証券取引所で売買されているわけではありません。証券取引所で株式を取引できるのは、そのうち市場に株式を上場している企業だけです。

株式を上場するには、それぞれの証券取引所で決められた審査基準をクリアする必要があります。現在、東京証券取引所に株式を上場しているのは、約3

証券取引所の役割
役割 内容
公正な取引の場を提供 投資家が安心して取引できる環境を提供する
取引の円滑化 売買注文を効率的に処理し、スムーズな取引を促進する
市場の透明性確保 取引に関する情報を公開し、市場参加者に透明性のある情報提供を行う
企業の健全な成長支援 上場審査を通じて企業の健全性を評価し、成長を支援する

1-2. 日本の証券取引所

日本の経済ニュースで一番よく聞くのは東京証券取引所(東証)ではないでしょうか。その他にJASDAQ(ジャスダック)やマザーズという名前も聞くことが多いと思いますが、実はこれらも東京証券取引所が運営する株式市場です。

証券取引所には他にも、名古屋証券取引所(名証)、福岡証券取引所(福証)、札幌証券取引所(札証)の計4つの証券取引所があります。大阪はないのかな?と思いそうですが、大阪証券取引所は2011年に東京証券取引所と経営統合し、株式会社日本取引所グループとなりました。

またニュースで聞く世界の主な証券取引所としては、ニューヨーク証券取引所、ナスダック(ニューヨーク)、ロンドン証券取引所、フランクフルト証券取引所、ユーロネクストなどがあります。

各証券取引所にあるメインの市場です。東京証券取引所と名古屋証券取引所は、市場が一部、二部の2つに分かれており、主に一部には大企業、二部にはそれより規模の小さい中小企業が上場しています。一般的に企業は最初に二部に上場して、その後一部への上場を目指すケースが多いです。

日本の証券取引所
取引所 特徴
東京証券取引所 日本最大の証券取引所、本則市場(一部、二部)と新興市場(JASDAQ、マザーズ)を運営
名古屋証券取引所 中京圏の企業を中心に上場している
福岡証券取引所 九州地方の企業を中心に上場している
札幌証券取引所 北海道の企業を中心に上場している

1-3. 新興市場

本則市場に対して、新興市場は上場の審査基準が緩和されている市場です。そのため、起業してから間もなく歴史は浅いが急成長している企業なども上場が可能です。

新興市場では株価の変動が本則市場より大きくなりやすく、株価が10倍以上に上がる「テンバガー」と呼ばれる株式も誕生しています。このように短期間で急激な株価の高騰も期待できますが、反面、安定性には欠けます。

主にベンチャー企業や新興企業が上場しており、東証のジャスダックやマザーズが有名です。

取引所で取引できる時間は限られますが、それ以外の時間に株式を取引できる私設取引所もあります。証券会社が開いている取引所であり、夜間など、証券取引所が閉まってしまう時間帯にも取引が可能です。

新興市場の特徴
項目 本則市場 新興市場
上場審査基準 厳格 緩和
株価変動 安定 変動しやすい
企業規模 大企業 ベンチャー企業、新興企業
代表的な市場 東証一部、東証二部 東証JASDAQ、東証マザーズ

1-4. まとめ

証券取引所は、投資家にとって安全な取引の場所を提供し、企業にとっては直接資金調達の方法を提供しています。

また証券取引所で行われる取引によって、株価が上下すると、日本や世界の景気にも大きな影響を与えます。

証券取引所の役割を理解することは、経済や株価の動きなどについて理解を深めることにつながります。

ビジネスパーソンとして、経済ニュースで報じられる内容にも意識を向けていきましょう。

2. 上場取引所のメリット

要約

2-1. 資金調達

上場企業は、株式を発行して市場から直接資金を調達することができます。

これは、銀行からの借入金と比べて、返済の義務がなく、金利も発生しないため、企業にとって非常に有利な資金調達方法です。

また、上場企業は、株式を発行することで、企業の価値を市場に評価してもらうことができます。

この評価に基づいて、さらに資金調達を行うことも可能です。

資金調達のメリット
メリット 内容
直接資金調達 銀行からの借入金と比べて、返済の義務がなく、金利も発生しない
企業価値の評価 株式を発行することで、企業の価値を市場に評価してもらうことができる
追加資金調達 市場評価に基づいて、さらに資金調達を行うことが可能

2-2. 知名度向上

上場企業は、証券取引所に上場することで、広く世間に知られるようになります。

これは、企業のブランド力向上に繋がり、顧客や取引先からの信頼を得やすくなります。

また、上場企業は、優秀な人材を獲得しやすくなります。

これは、上場企業は安定した経営基盤を持つと見なされるため、優秀な人材にとって魅力的な職場となるからです。

知名度向上によるメリット
メリット 内容
ブランド力向上 広く世間に知られるようになり、顧客や取引先からの信頼を得やすくなる
人材獲得 安定した経営基盤を持つと見なされるため、優秀な人材にとって魅力的な職場となる
取引先との関係強化 知名度向上により、取引先との関係強化が期待できる

2-3. 経営体制の強化

上場企業は、上場審査基準をクリアするために、経営体制や社内環境の改善を行う必要があります。

これは、内部統制やコーポレートガバナンスの整備など、不正や不祥事を防ぐ仕組みを整えることに繋がります。

また、上場企業は、投資家に対して定期的に情報開示を行う必要があります。

これは、企業の透明性を高め、投資家の信頼を得るために不可欠です。

経営体制強化によるメリット
メリット 内容
内部統制の整備 不正や不祥事を防ぐ仕組みを整えることができる
コーポレートガバナンスの強化 企業の透明性を高め、投資家の信頼を得ることができる
経営の効率化 経営体制の強化により、経営の効率化が期待できる

2-4. まとめ

上場取引所は、企業にとって資金調達、知名度向上、経営体制の強化など、多くのメリットをもたらします。

これらのメリットを活かすことで、企業は成長を加速させ、持続可能な発展が目指せるでしょう。

ただし、上場には、コストや経営の自由度が低下するなどのデメリットも存在します。

企業は、上場するメリットとデメリットを比較検討し、自社の状況に合わせて判断する必要があります。

3. 上場取引所のデメリット

要約

3-1. コスト

上場には、上場審査費用、上場維持費用、情報開示費用など、多額のコストがかかります。

上場審査費用は、数千万円から数億円に達することもあります。

上場維持費用は、年間上場料、監査報酬、株式事務代行手数料など、毎年発生します。

情報開示費用は、決算短信や有価証券報告書などの作成費用、印刷費用、郵送費用など、多岐にわたります。

上場にかかるコスト
費用 内容
上場審査費用 数千万円から数億円
上場維持費用 年間上場料、監査報酬、株式事務代行手数料など
情報開示費用 決算短信や有価証券報告書などの作成費用、印刷費用、郵送費用など

3-2. 経営の自由度

上場企業は、株主の意見を尊重する必要があります。

そのため、経営者は、株主の意向を考慮した経営を行う必要があり、経営の自由度が低下する可能性があります。

また、上場企業は、投資家に対して定期的に情報開示を行う必要があります。

これは、企業の経営戦略や内部情報などを公開することになり、競合他社に情報が漏れるリスクも考えられます。

経営の自由度低下
デメリット 内容
株主の意向 経営者は、株主の意向を考慮した経営を行う必要があり、経営の自由度が低下する可能性がある
情報開示 企業の経営戦略や内部情報などを公開することになり、競合他社に情報が漏れるリスクも考えられる
短期的な利益重視 株主は短期的な利益を重視するため、長期的な成長戦略を描きにくくなる可能性がある

3-3. 買収リスク

上場企業は、株式が市場で自由に取引されるため、買収されるリスクがあります。

特に、企業は、経営権を奪う目的で仕掛けられる「敵対的買収」を防がなければなりません。

そのためには、買収防衛策を講じる必要があり、その対策には多くのコストが発生します。

このように、上場企業は、買収リスクを常に意識した経営を行う必要があります。

買収リスク
リスク 内容
敵対的買収 経営権を奪う目的で仕掛けられる買収
買収防衛策 買収を防ぐために、買収防衛策を講じる必要があり、その対策には多くのコストが発生する
経営への影響 買収されると、経営方針や事業戦略が大きく変わる可能性がある

3-4. まとめ

上場取引所は、企業にとって多くのメリットをもたらしますが、同時にデメリットも存在します。

企業は、上場するメリットとデメリットを比較検討し、自社の状況に合わせて判断する必要があります。

特に、コスト、経営の自由度、買収リスクは、上場を検討する際に注意すべき重要なポイントです。

企業は、これらのリスクを理解した上で、上場するかどうかの判断を下す必要があります。

4. 日本の主要な上場取引所

要約

4-1. 東京証券取引所

日本の経済ニュースで一番よく聞くのは東京証券取引所(東証)ではないでしょうか。

東証は、日本最大の証券取引所であり、国内株式市場全体の動きを表す東証株価指数(TOPIX)なども公表しています。

東証には現在、約3

東証は、2022年4月4日に市場区分を見直し、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場に再編されました。

東京証券取引所
項目 内容
特徴 日本最大の証券取引所、本則市場(一部、二部)と新興市場(JASDAQ、マザーズ)を運営
市場区分 プライム市場、スタンダード市場、グロース市場
上場企業数 約3,800社

4-2. その他の証券取引所

日本の証券取引所には、東証以外にも、名古屋証券取引所(名証)、福岡証券取引所(福証)、札幌証券取引所(札証)の計4つの証券取引所があります。

大阪証券取引所は2011年に東京証券取引所と経営統合し、株式会社日本取引所グループとなりました。

各証券取引所は、それぞれ異なる特徴を持っています。

例えば、名古屋証券取引所は、中京圏の企業を中心に上場しています。

その他の証券取引所
取引所 特徴
名古屋証券取引所 中京圏の企業を中心に上場している
福岡証券取引所 九州地方の企業を中心に上場している
札幌証券取引所 北海道の企業を中心に上場している

4-3. 上場審査基準

証券取引所は、上場企業を審査し、上場基準を満たしているかどうかを判断します。

上場基準は、市場によって異なります。

例えば、東京証券取引所のプライム市場では、株主数、流通株式数、時価総額、純資産額、利益の額などの基準を満たす必要があります。

上場審査基準は、企業の健全性や成長性を評価するために設けられています。

上場審査基準
項目 内容
株主数 一定数以上の株主が必要
流通株式数 一定数以上の株式が市場で流通している必要がある
時価総額 企業の価値を示す指標で、一定額以上が必要
純資産額 企業の財務状況を示す指標で、一定額以上が必要
利益の額 企業の収益力を示す指標で、一定額以上が必要

4-4. まとめ

日本の主要な証券取引所には、東京証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所の4つがあります。

各証券取引所は、それぞれ異なる特徴を持っています。

上場企業は、それぞれの証券取引所の審査基準をクリアする必要があります。

上場基準は、企業の健全性や成長性を評価するために設けられています。

5. 上場取引所と株価の関係

要約

5-1. 株価の需給関係

株価は、証券取引所で売買される株式の需要と供給の関係で決まります。

株式の需要が供給を上回る場合、株価は上昇します。

逆に株式の需要が供給を下回る場合、株価は下落します。

株価の需給関係は、会社の業績、政治、経済の出来事など、さまざまな要因に左右されます。

株価の需給関係
需要と供給 株価
需要 > 供給 上昇
需要 < 供給 下落

5-2. 取引所の役割

証券取引所は、投資家が安心して取引でき、また企業が安定した資金調達ができるように、公正な取引の場を提供すること取引の円滑化を図ること市場の透明性を確保すること企業の健全な成長を支援することなどを目的としています。

取引所は、上場企業に対して適正な情報開示を求めています。

提出した決算短信などはインターネットのホームページで見られます。

担当者は日々の売買も監視しています。重要な情報の公表前に売買するインサイダー取引や意図的に株価を操作するような不公正取引に目を光らせています。

取引所の役割
役割 内容
公正な取引の場を提供 投資家が安心して取引できる環境を提供する
取引の円滑化 売買注文を効率的に処理し、スムーズな取引を促進する
市場の透明性確保 取引に関する情報を公開し、市場参加者に透明性のある情報提供を行う
企業の健全な成長支援 上場審査を通じて企業の健全性を評価し、成長を支援する

5-3. 株価の変動要因

株価は、会社の業績、政治、経済の出来事など、さまざまな要因によって変動します。

例えば、好調な業績を維持する企業の株式需要が高まることで株価も上昇する傾向にあります。

逆に、業績不振が続く企業の株式需要は減少しやすく、株価も下落する傾向にあります。

また、政治や経済の出来事によって、マクロ環境が大きく変わると外部的な要因が重視されることで株価が上下に変動することがあります。

株価変動要因
要因 内容
会社の業績 好調な業績は株価上昇、業績不振は株価下落に繋がる
政治 政治情勢の変化は市場心理に影響を与える
経済 経済指標の発表や景気動向は株価に影響を与える
その他 自然災害、テロなど

5-4. まとめ

株価は、証券取引所における株式の需要と供給の関係によって決まります。

株価は、会社の業績、政治、経済の出来事など、さまざまな要因によって変動します。

証券取引所は、投資家が安心して取引でき、また企業が安定した資金調達ができるように、公正な取引の場を提供すること取引の円滑化を図ること市場の透明性を確保すること企業の健全な成長を支援することなどを目的としています。

証券取引所は、株価の安定と市場の健全な発展に重要な役割を果たしています。

6. 上場取引所の今後の展望

要約

6-1. グローバル化

世界の証券市場は、グローバル化が進んでいます。

そのため、日本の証券取引所も、海外の投資家にとって魅力的な市場となるように、さまざまな取り組みを進めています。

例えば、東証は、英語による情報開示を強化したり、海外の投資家向けのセミナーを開催したりしています。

また、東証は、海外の証券取引所との連携を強化し、クロスボーダー取引を促進しています。

グローバル化
取り組み 内容
英語による情報開示 海外の投資家にとって理解しやすい情報提供
海外投資家向けセミナー 海外投資家への理解促進
海外証券取引所との連携 クロスボーダー取引の促進

6-2. テクノロジーの活用

証券取引所は、テクノロジーの活用によって、取引の効率化や透明性の向上を図っています。

例えば、東証は、高速取引システムを導入したり、ブロックチェーン技術の活用を検討したりしています。

テクノロジーの活用によって、証券取引所は、より効率的で安全な取引環境を提供できるようになると期待されています。

また、テクノロジーの活用によって、新たな金融商品やサービスが開発される可能性もあります。

テクノロジーの活用
取り組み 内容
高速取引システム 取引の効率化と透明性の向上
ブロックチェーン技術 新たな金融商品やサービスの開発
AI技術 取引の自動化や分析の高度化

6-3. 新興市場の活性化

近年、新興市場は、成長性の高い企業が多く上場していることから、注目を集めています。

東証は、新興市場の活性化を図るために、上場審査基準の緩和や、新興企業向けの支援制度の充実などを進めています。

新興市場の活性化は、日本の経済成長に大きく貢献すると期待されています。

また、新興市場の活性化は、イノベーションを促進し、新たな産業の創出に繋がる可能性もあります。

新興市場の活性化
取り組み 内容
上場審査基準の緩和 成長性の高い企業の上場を促進
新興企業向けの支援制度 資金調達や経営支援など
海外投資家の誘致 新興市場への投資を促進

6-4. まとめ

上場取引所は、グローバル化、テクノロジーの活用、新興市場の活性化など、さまざまな課題と可能性に直面しています。

これらの課題と可能性に対応することで、上場取引所は、より発展し、投資家や企業にとってより魅力的な市場となることが期待されます。

上場取引所は、日本の経済成長に重要な役割を果たしています。

今後も、上場取引所の動向に注目していく必要があります。

参考文献

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