ザンクト・ガレンの修道院とは?世界遺産についての解説

ザンクトガレン修道院の概要
項目 内容
創建 613年、アイルランド出身の聖ガルスによって隠遁所として創設
現在の建物 18世紀に後期バロック様式で改装
登録基準 登録基準(ii):修道院平面図の影響、登録基準(iv):ベネディクト会修道院の典型
主な見どころ バロック様式の大聖堂、ロココ様式の図書館、貴重な蔵書、9世紀の建築設計図
アクセス チューリッヒから特急列車で約1時間10分、ザンクトガレン駅から徒歩10分

1. ザンクトガレンの修道院とは

要約

ザンクトガレン修道院の概要

ザンクトガレン修道院は、スイスのザンクト・ガレンにある、中世以来の歴史を誇る修道院です。現在の建物は18世紀に建造されたもので、中世修道院の面影はありませんが、バロック建築の傑作として評価されています。また、かつて何世紀にもわたりベネディクト会の中心的修道院のひとつであったこの修道院の付属図書館には、数多くの写本や稀観書が収蔵されています。この修道院と図書館は、1983年にユネスコの世界遺産に登録されました。

この修道院は、アイルランドから来た聖ガルスが613年頃に設けた隠遁所がその母体となっています。修道院となったのはそれ以後のことですが、その名称も、修道院のもとに発達した町の名前も、聖ガルスにちなんでいます。聖ガルスは聖コルンバヌスの弟子にして友人であり、この地で646年に亡くなりました。

修道院に併設された現在の図書館は1767年に建造されたものです。ここは世界最大級の中世期文献の蔵書数を誇り、欧州ドイツ語圏内では、中世初期の文献に関する包括的なコレクションを抱えている図書館のひとつとなっています。その蔵書数は2005年段階で16万冊を超え、そのうち2200冊が写本であり、500冊は1000年以上前のものである。

ザンクトガレン修道院の概要
項目 内容
創建 613年、アイルランド出身の聖ガルスによって隠遁所として創設
現在の建物 18世紀に後期バロック様式で改装
主な見どころ バロック様式の大聖堂、ロココ様式の図書館、貴重な蔵書、9世紀の建築設計図

ザンクトガレン修道院の登録基準

ザンクトガレン修道院は、ユネスコの世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。

登録基準(ii):図書館で保管している9世紀に作成された修道院平面図は、実現されなかったものではありますが、修道院建築の発展に大きく影響を与えていたという点。

登録基準(iv):ここは図書館などを設けたベネディクト会の修道院の典型的な例で、再建を繰り返すことによってさまざまな建築様式が見られるということ。

ザンクトガレン修道院の登録基準
基準 内容
登録基準(ii) 図書館で保管している9世紀に作成された修道院平面図は、実現されなかったものではありますが、修道院建築の発展に大きく影響を与えていたという点。
登録基準(iv) ここは図書館などを設けたベネディクト会の修道院の典型的な例で、再建を繰り返すことによってさまざまな建築様式が見られるということ。

ザンクトガレン修道院へのアクセス

ザンクトガレン(St.Gallen)へは、スイスのチューリッヒから特急列車で約1時間10分です。

ザンクトガレン修道院のある、ザンクト・ガレンの旧市街までは、ザンクトガレン駅から徒歩10分ほどで行くことができます。

ザンクトガレン修道院へのアクセス
交通手段 所要時間
チューリッヒから特急列車 約1時間10分
ザンクトガレン駅から徒歩 約10分

まとめ

ザンクトガレン修道院は、中世ヨーロッパの学問の中心地として栄え、現在もその歴史と文化を伝える重要な場所として、世界中から観光客が訪れています。

特に、世界最大級の中世期文献の蔵書数を誇る付属図書館は、その美しさだけでなく、歴史的価値も高く評価されています。

ザンクトガレン修道院を訪れる際は、歴史的な建造物だけでなく、周辺の街並みや文化も楽しんでみてください。

2. 建築様式と特徴

要約

ザンクトガレン修道院の建築様式

ザンクトガレン修道院は、18世紀に改装された後期バロック様式になっています。

現在の建物は、1755年から1768年にかけて改装され、後期バロック様式になっています。

カテドラルの内装はスイスに現存するバロック様式をとどめるものの中でも重要なもののひとつと見なされています。

ザンクトガレン修道院の建築様式
場所 様式
大聖堂 後期バロック様式
図書館 ロココ様式

ザンクトガレン修道院図書館の建築様式

ザンクトガレン修道院図書館は、1767年に建造されたロココ様式です。

ロココ様式の特徴である、華やかで装飾的な要素が、図書館の内部にふんだんに用いられています。

特に、天井画や書棚の装飾は、その美しさで訪れる人を魅了します。

ザンクトガレン修道院の外観

ザンクトガレン修道院は、緑がはえる広い庭に面しています。

外観は、二本の塔が特徴的です。

ザンクトガレン修道院の外観
特徴 説明
緑がはえる広い庭に面している
二本の塔が特徴的

まとめ

ザンクトガレン修道院は、バロック様式とロココ様式が見事に調和した建築物です。

特に、図書館は、その華やかさと荘厳さで、訪れる人を圧倒します。

外観も美しく、周辺の街並みに溶け込むように建っています。

3. 文化財としての価値

要約

ザンクトガレン修道院図書館の蔵書

ザンクトガレン修道院図書館は、世界最大級の中世期文献の蔵書数を誇り、欧州ドイツ語圏内では、中世初期の文献に関する包括的なコレクションを抱えている図書館のひとつとなっています。

その蔵書数は2005年段階で16万冊を超え、そのうち2200冊が写本であり、500冊は1000年以上前のものである。

特に、ドイツ中世文学の双璧『ニーベルンゲンの歌』(B写本)とヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの『パルチヴァール』(D写本)はCod.857として収蔵されています。

ザンクトガレン修道院図書館の蔵書
種類 冊数
蔵書 16万冊以上
写本 2200冊
1000年以上前の書物 500冊

ザンクトガレン修道院平面図

ザンクト・ガレンの修道院平面図として知られる9世紀のユニークな史料も保有しています。

これは西ローマ帝国滅亡から13世紀までのおよそ700年間に書かれたものとしては、現存する唯一の巨大建築物の設計図です。

この図面に描かれたものは当時建造されることがなく、むしろ修道院の理想形が描かれたものと言えるが、この設計図の作成をライヒェナウ修道院長に依頼し、今日まで伝存してきた修道院の名にちなんでそう呼ばれています。

ザンクトガレン修道院の文化的影響

ザンクトガレン修道院は、中世ヨーロッパの学問の中心地として、文化の発展に大きく貢献しました。

特に、図書館は、学問研究の拠点として、多くの学者や僧侶を育成しました。

また、修道院の建築様式は、ヨーロッパ各地に影響を与え、多くの修道院建築のモデルとなりました。

まとめ

ザンクトガレン修道院は、その貴重な蔵書や建築設計図、そして文化的影響から、世界遺産に登録されました。

現在も、その歴史と文化を伝える重要な場所として、世界中から観光客が訪れています。

ザンクトガレン修道院は、ヨーロッパの歴史と文化を理解する上で、欠かせない場所です。

4. 修道院の歴史

要約

修道院の創設

ザンクトガレン修道院は、アイルランドから来た聖ガルスが613年頃に設けた隠遁所がその母体となっています。

聖ガルスは聖コルンバヌスの弟子にして友人であり、この地で646年に亡くなりました。

聖ガルスが亡くなった後は、聖オトマールが彼の意思を継ぎ、学校を開校しました。

修道院の創設
時期 内容
613年 アイルランド出身の聖ガルスによって隠遁所として創設
646年 聖ガルスが亡くなる
その後 聖オトマールが学校を開校

修道院の隆盛

8世紀にベネディクト会の修道院になると、9〜10世紀ころから学問の中心地に。

ここでは自給自足生活が続けられ、13世紀になると神聖ローマ帝国のフュルスト(諸侯)として認められると、周囲一帯も「ザンクト・ガレン」と呼ばれるようになりました。

その後、火災や騒乱によって破壊されると、18世紀になると後期バロック様式のものに再建され、その時期にロココ様式の付属図書館も完成。

修道院の隆盛
時期 内容
8世紀 ベネディクト会の修道院となる
9〜10世紀 学問の中心地となる
13世紀 神聖ローマ帝国のフュルスト(諸侯)として認められる
18世紀 後期バロック様式に再建、ロココ様式の付属図書館が完成

修道院の衰退

10世紀には近隣の修道院であるボーデン湖のライヒェナウ修道院と争った。

だが、924年から933年にはマジャール人に脅かされ、蔵書は安全のためライヒェナウに移された(ほとんどが後に返却された)。

13世紀にザンクト・ガレンの修道院と町は独立した領邦となり、修道院長は神聖ローマ帝国のフュルスト(諸侯、侯爵)と同格の領主としてこの地を治めた。

修道院の衰退
時期 内容
10世紀 ライヒェナウ修道院と争う
924年から933年 マジャール人に脅かされ、蔵書をライヒェナウに移す
13世紀 修道院と町が独立した領邦となる
16世紀 プロテスタントの勢力下に入る
1806年 修道院が閉鎖される

まとめ

ザンクトガレン修道院は、長い歴史の中で、多くの変遷を経験してきました。

しかし、その間も、学問の中心地としての役割を果たし、貴重な蔵書を蓄積してきました。

現在も、その歴史と文化を伝える重要な場所として、世界中から観光客が訪れています。

5. 修道院の修道士たち

要約

聖ガルス

ザンクトガレン修道院の創設者である聖ガルスは、アイルランド出身の修道士です。

612年にこの地を訪れ、小さな小屋を建て、弟子たちと共にミサなどの活動を行っていました。

聖ガルスは、この地で646年に亡くなりました。

聖ガルス
項目 内容
出身地 アイルランド
活動 隠遁所を創設、弟子たちと共にミサなどの活動
没年 646年

聖オトマール

聖ガルスが亡くなった後は、聖オトマールが彼の意思を継ぎ、学校を開校しました。

聖オトマールは、芸術や文学などをヨーロッパ中に広めていきました。

聖オトマール
項目 内容
活動 聖ガルスの意思を継ぎ、学校を開校
貢献 芸術や文学などをヨーロッパ中に広めた

その他の修道士たち

ザンクトガレン修道院には、聖ガルスや聖オトマール以外にも、多くの修道士たちがいました。

彼らは、学問研究や写本の制作に励み、修道院の隆盛に貢献しました。

特に、9世紀に大修道院長ゴツベルトのもとで制作された羊皮紙の修道院平面図は、各種工房、製粉所、学堂、病舎などを含み、中世修道院建築の典型を示すと同時に、他の古記録とともに、中世修道院の経営実態を物語る重要な資料となっています。

まとめ

ザンクトガレン修道院は、聖ガルスをはじめとする多くの修道士たちの努力によって、中世ヨーロッパの学問の中心地として発展しました。

彼らの功績は、現在も、修道院の建築や蔵書を通して、受け継がれています。

6. 修道院の観光スポット

要約

ザンクトガレン修道院大聖堂

ザンクトガレン修道院大聖堂は、1755年から1767年に建てられたバロック様式の大聖堂です。

ペーター・トゥンプさんとヨハン・ミヒャエル・べアさんの2人によって建てられました。

もともとは修道院として建造されましたが、1847年から大聖堂として使われるようになったそうです。

ザンクトガレン修道院大聖堂
項目 内容
建築様式 後期バロック様式
建設時期 1755年から1767年
用途 1847年から大聖堂として使用

ザンクトガレン修道院図書館

ザンクトガレン修道院図書館は、1767年に建造されたロココ様式の図書館です。

8世紀から15世紀の間の写本が2

中でも蔵書の中の500冊は、1000年以上も前の書物という、世界的にも大変貴重なものです。

ザンクトガレン修道院図書館
項目 内容
建築様式 ロココ様式
建設時期 1767年
蔵書 16万冊以上
写本 2200冊
1000年以上前の書物 500冊

その他の観光スポット

ザンクトガレン修道院の周辺には、古き良き趣が残る旧市街が広がっています。

ザンクト・ガレンは古くから繊維産業が発展してきた街としても有名です。

旧市街を歩けば、豪華な装飾が施された出窓をもつ家が多いことに気付くでしょう。

まとめ

ザンクトガレン修道院は、その歴史的な建造物と貴重な蔵書で、世界中から観光客が訪れる人気の観光スポットです。

大聖堂、図書館、旧市街など、見どころが満載なので、ぜひ訪れてみてください。

参考文献

【スイス】ザンクトガレン修道院の見どころ・アクセス方法

ザンクト・ガレン修道院 – Wikipedia

ザンクト・ガレン修道院(世界文化遺産) | スイス政府観光局

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