項目 | 内容 |
---|---|
分布 | 千葉県以南の太平洋岸、新潟県以南の日本海、東シナ海、台湾、南シナ海、オーストラリア北岸など |
外見 | ナマズ状の体形で、後方ほど側扁。全長は25センチメートルほど。背びれと臀びれは尾びれとつながる。淡褐色で、背びれ基底部と側線に沿って褐色の斑紋が並ぶ。目を横切って胸びれの基底部に向かう褐色縦帯がある。背びれに眼径より大きな黒斑が1列に並ぶ。臀びれの中央部に黒色の縦帯が走る。 |
生態 | 水深30~200メートルの砂泥底に生息。底引網で漁獲される。底生藻類やその分解物を主に食べる。酸素欠乏に強く、水面に上がって腸呼吸をする。 |
食性 | 底生藻類やその分解物を主に食べる。ユスリカやイトミミズなども食す。口ひげを使って餌を探し、酸素欠乏時には腸呼吸を行う。 |
保護活動 | 生息環境の保全、外来種の駆除、乱獲の防止など。環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定されている。IUCNでも危急種に指定されている。 |
人間との関係 | 古くから食用にされてきた。蒲焼き、煮つけ、柳川鍋などに使われる。観賞魚としても人気がある。ドジョウすくいなど、日本の文化にも深く根付いている。 |
1. ウミドジョウの分布
分布域
ウミドジョウは、千葉県以南の太平洋岸、新潟県以南の日本海、東シナ海、台湾、南シナ海、オーストラリア北岸から東西両岸に広く分布しています。[1] 日本国内では、千葉県以南の太平洋岸、新潟県以南の日本海、東シナ海に生息しています。[1] また、台湾、南シナ海、オーストラリア北岸などにも分布しています。[1] ウミドジョウは、水深30~200メートルの砂泥底に生息し、底引網で漁獲されます。[1
ウミドジョウは、かつては琵琶湖や淀川流域にも生息していましたが、現在は岡山県と京都府亀岡市の桂川水系にのみ生息が確認されています。[2] 江戸時代に貝原益軒が著した『大和本草』には、ウミドジョウが桂川の名物であったことが記されています。[2] 地域によって呼び名も異なり、アユノオバサン(木津川)、アイモドキ(宇治川)、ウミドジョウ(琵琶湖)、アモズ(岡山)などと呼ばれていました。[2
ウミドジョウは、文化財保護法や種の保存法によって特別に保護されており、亀岡市では「市の魚」に指定されています。[2] 許可なく捕獲したり、生息環境に影響を及ぼすことは禁止されています。[2
地域 | 分布状況 |
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太平洋岸 | 千葉県以南 |
日本海 | 新潟県以南 |
東シナ海 | 分布 |
台湾 | 分布 |
南シナ海 | 分布 |
オーストラリア北岸 | 分布 |
琵琶湖・淀川流域 | かつて生息していたが、現在は確認されていない |
岡山県 | 現在も生息 |
京都府亀岡市 | 現在も生息 |
生息環境
ウミドジョウは、水深30~200メートルの砂泥底に生息しています。[1] 底引網で漁獲されることが多いです。[1
ウミドジョウは、かつては水田や水路などにも生息していましたが、近年では、これらの環境の減少や汚染、農薬の使用などにより、生息数が減少しています。[1
また、外来種のカラドジョウとの競合も懸念されています。[1
環境 | 特徴 |
---|---|
水深 | 30~200メートル |
底質 | 砂泥底 |
漁獲方法 | 底引網 |
分布拡大
ウミドジョウは、人為的に移植された可能性のある地域も存在します。[1] 例えば、北海道や対馬、隠岐諸島、トカラ列島中之島などです。[1
移植されたウミドジョウは、新たな生息地で繁殖し、在来種との競合や遺伝子汚染を引き起こす可能性があります。[1
そのため、ウミドジョウの移植は、生態系への影響を考慮し、慎重に行う必要があります。[1
地域 | 分布拡大の要因 |
---|---|
北海道 | 移植 |
対馬 | 移植 |
隠岐諸島 | 移植 |
トカラ列島中之島 | 移植 |
まとめ
ウミドジョウは、日本を含む東アジア地域に広く分布する魚種です。[1] かつては水田や水路などにも生息していましたが、近年では、生息環境の減少や汚染、外来種との競合などにより、生息数が減少しています。[1
ウミドジョウは、文化財保護法や種の保存法によって特別に保護されており、生息地の保全が重要となっています。[2
ウミドジョウの分布拡大は、生態系への影響を考慮し、慎重に行う必要があります。[1
2. ウミドジョウの外見
体形
ウミドジョウは、ナマズ状の体形で、後方ほど側扁(そくへん)しています。[1
全長は25センチメートルほどになりますが、20センチメートルほどのものが多く見られます。[1
背びれは頭部のやや後ろから始まり、臀(しり)びれは体の中央部の少し前から始まり、両ひれともに尾びれとつながっています。[1
腹びれは1本で、目の下方付近から始まり、後端は胸びれ基部を越えています。[1
部位 | 特徴 |
---|---|
体形 | ナマズ状で、後方ほど側扁 |
全長 | 25センチメートルほど(最大) |
背びれ | 頭部のやや後ろから始まり、尾びれとつながる |
臀びれ | 体の中央部の少し前から始まり、尾びれとつながる |
腹びれ | 目の下方付近から始まり、後端は胸びれ基部を越える |
体色
ウミドジョウの体色は、淡褐色です。[1
背びれ基底部と側線に沿って褐色の斑紋(はんもん)が並び、目を横切って胸びれの基底部に向かう褐色縦帯があります。[1
背びれには眼径より大きな黒斑が1列に並び、臀びれの中央部には黒色の縦帯が走ります。[1
部位 | 特徴 |
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体色 | 淡褐色 |
斑紋 | 背びれ基底部と側線に沿って褐色の斑紋が並ぶ |
縦帯 | 目を横切って胸びれの基底部に向かう褐色縦帯がある |
黒斑 | 背びれに眼径より大きな黒斑が1列に並ぶ |
縦帯 | 臀びれの中央部に黒色の縦帯が走る |
特徴
ウミドジョウは、前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)に棘(とげ)がありません。[1
体側の鱗(うろこ)は互いに直角に並ばず、下あごに細い髭があります。[1
これらの特徴によって、ウミドジョウは他の魚種と容易に区別できます。[1
特徴 | 説明 |
---|---|
前鰓蓋骨 | 棘がない |
鱗 | 互いに直角に並ばない |
髭 | 下あごに細い髭がある |
まとめ
ウミドジョウは、ナマズ状の体形で、後方ほど側扁しています。[1
体色は淡褐色で、背びれ基底部と側線に沿って褐色の斑紋が並び、目を横切って胸びれの基底部に向かう褐色縦帯があります。[1
背びれには眼径より大きな黒斑が1列に並び、臀びれの中央部には黒色の縦帯が走ります。[1
前鰓蓋骨に棘がなく、体側の鱗は互いに直角に並ばず、下あごに細い髭があるなど、独特な特徴を持っています。[1
3. ウミドジョウの生態
生息環境
ウミドジョウは、水深30~200メートルの砂泥底に生息しています。[1
底引網で漁獲されることが多いです。[1
ウミドジョウは、かつては水田や水路などにも生息していましたが、近年では、これらの環境の減少や汚染、農薬の使用などにより、生息数が減少しています。[1
環境 | 特徴 |
---|---|
水深 | 30~200メートル |
底質 | 砂泥底 |
漁獲方法 | 底引網 |
食性
ウミドジョウは、底生藻類やその分解物を主に食べますが、ユスリカやイトミミズなども食します。[1
雑食性で、水底に沈んだ有機物を食べるため、水槽のお掃除屋さんとして飼育されることもあります。[1
餌 | 説明 |
---|---|
底生藻類 | 主に食べる |
分解物 | 主に食べる |
ユスリカ | 食べる |
イトミミズ | 食べる |
繁殖
ウミドジョウは、ふつう2年で成熟しますが、早いものは1年で成熟します。[1
産卵期は4月から6月で、小溝の水草やイネ株などに産卵します。[1
卵は泥にまみれて発生し、孵化した稚魚は、成長につれて順次恒久的水域に移動します。[1
時期 | 特徴 |
---|---|
成熟 | ふつう2年、早いものは1年 |
産卵期 | 4月から6月 |
産卵場所 | 小溝の水草やイネ株 |
卵 | 泥にまみれて発生 |
まとめ
ウミドジョウは、水深30~200メートルの砂泥底に生息し、底引網で漁獲されます。[1
雑食性で、底生藻類やその分解物を主に食べますが、ユスリカやイトミミズなども食します。[1
産卵期は4月から6月で、小溝の水草やイネ株などに産卵します。[1
ウミドジョウは、水底に沈んだ有機物を食べるため、水槽のお掃除屋さんとして飼育されることもあります。[1
4. ウミドジョウの食性
主な餌
ウミドジョウは、底生藻類やその分解物を主に食べますが、ユスリカやイトミミズなども食します。[1
雑食性で、水底に沈んだ有機物を食べるため、水槽のお掃除屋さんとして飼育されることもあります。[1
餌 | 説明 |
---|---|
底生藻類 | 主に食べる |
分解物 | 主に食べる |
ユスリカ | 食べる |
イトミミズ | 食べる |
餌の探し方
ウミドジョウは、口ひげを使って餌を探します。[1
口ひげには味蕾(みらい)があり、餌の匂いや味を感知することができます。[1
器官 | 役割 |
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口ひげ | 餌の匂いや味を感知する |
腸呼吸
ウミドジョウは、酸素欠乏に強く、水面に上がってきて口から空気を吸い、腸呼吸をすることができます。[1
腸呼吸は、エラ呼吸の補助的な役割を果たし、水中の酸素が不足した際に、生き延びるための重要な手段となっています。[1
状況 | 説明 |
---|---|
酸素欠乏 | 水面に上がって口から空気を吸い、腸呼吸をする |
まとめ
ウミドジョウは、底生藻類やその分解物を主に食べますが、ユスリカやイトミミズなども食します。[1
口ひげを使って餌を探し、酸素欠乏時には腸呼吸を行うなど、環境に適応した食性を持っています。[1
5. ウミドジョウの保護活動
現状
ウミドジョウは、生息環境の減少や汚染、外来種との競合などにより、生息数が減少しています。[1
そのため、ウミドジョウは、環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定されています。[1
また、IUCN(国際自然保護連合)でも、ウミドジョウを国際的な危急種(VU)に指定しています。[1
機関 | 評価 |
---|---|
環境省レッドリスト | 準絶滅危惧種 |
IUCN | 危急種 |
保護活動
ウミドジョウの保護活動は、生息環境の保全、外来種の駆除、乱獲の防止などが行われています。[1
例えば、水田や水路の環境改善、外来種の駆除、漁獲量の制限などが行われています。[1
また、ウミドジョウの生態や生息環境に関する研究も進められています。[1
活動内容 | 説明 |
---|---|
生息環境の保全 | 水田や水路の環境改善 |
外来種の駆除 | カラドジョウなどの駆除 |
乱獲の防止 | 漁獲量の制限 |
研究 | 生態や生息環境に関する研究 |
今後の課題
ウミドジョウの保護活動は、今後も継続していく必要があります。[1
生息環境の保全、外来種の駆除、乱獲の防止など、様々な課題に取り組む必要があります。[1
また、ウミドジョウの生態や生息環境に関する研究をさらに進めることで、より効果的な保護活動を進めることが期待されます。[1
課題 | 説明 |
---|---|
生息環境の保全 | 継続的な取り組みが必要 |
外来種の駆除 | 効果的な駆除方法の開発 |
乱獲の防止 | 漁業者の意識改革 |
研究 | さらなる研究の推進 |
まとめ
ウミドジョウは、生息環境の減少や汚染、外来種との競合などにより、絶滅の危機に瀕しています。[1
ウミドジョウの保護活動は、生息環境の保全、外来種の駆除、乱獲の防止など、様々な課題に取り組む必要があります。[1
ウミドジョウの生態や生息環境に関する研究をさらに進めることで、より効果的な保護活動を進めることが期待されます。[1
6. ウミドジョウと人間の関係
食用
ウミドジョウは、古くから食用にされてきました。[1
特に、江戸時代には東京郊外の水田で多く獲れ、東京の北東部地域の郷土料理として親しまれていました。[1
現在では、ドジョウを食用にする習慣は少なくなっていますが、栄養価が高く、蒲焼き、煮つけ、柳川鍋など、様々な料理に使われています。[1
料理 | 説明 |
---|---|
蒲焼き | 人気のある料理 |
煮つけ | 定番の料理 |
柳川鍋 | 郷土料理 |
その他 | 唐揚げ、天ぷらなど |
観賞魚
ウミドジョウは、観賞魚としても人気があります。[1
水槽のお掃除屋さんとして、他の魚種との混泳にも適しています。[1
ただし、砂に潜る習性があるため、水槽内の水草を掘り返してしまうことがあります。[1
特徴 | 説明 |
---|---|
水槽のお掃除屋さん | 底に沈んだ有機物を食べる |
混泳 | 他の魚種との混泳に適している |
注意点 | 砂に潜る習性があり、水草を掘り返してしまうことがある |
文化
ウミドジョウは、日本の文化にも深く根付いています。[1
例えば、ドジョウすくいという伝統芸能があります。[1
また、ドジョウは、昔話や童謡にも登場し、人々に親しまれてきました。[1
文化 | 説明 |
---|---|
ドジョウすくい | 伝統芸能 |
昔話 | 登場する |
童謡 | 登場する |
まとめ
ウミドジョウは、食用や観賞魚として、古くから人々に親しまれてきた魚種です。[1
日本の文化にも深く根付いており、様々な形で人々の生活に貢献してきました。[1
しかし、近年では、生息環境の減少や汚染、外来種との競合などにより、ウミドジョウの生息数が減少しています。[1
ウミドジョウの保護活動は、今後も継続していく必要があります。[1
参考文献
・ドジョウの種類と見分け方を写真で解説!その生態から料理 …
・ドジョウ24種類の特徴!日本・世界にはどれくらいの仲間がいる …
・ドジョウが生息している場所や環境について! | 熱帯魚、淡水 …
・ウミドジョウ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑 – ぼうずコンニャクの …
・ウミドジョウ(うみどじょう)とは? 意味や使い方 – コトバンク
・of水槽のポンプについてです。この度水槽のサイズアップを検討 …
・どじょうの「生態」と「養殖方法」について | 持続可能な農業 …
・野生ドジョウの捕獲法:生息場所/必要な仕掛け/適切な時期など
・ドジョウ | 淡水魚図鑑(在来種) | 図鑑 | 大阪府立環境 …
・ドジョウの13種類を画像付きで紹介|寿命や大きさ、違いは …
・ドジョウとは – 生態や形態の特徴解説 | Zukan(図鑑)
・ドジョウ
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