項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 償還日までの株価変動によって、満期日に現金ではなく、発行会社とは異なる会社の株式が交付される可能性がある債券 |
別名 | EB債、EB、個別株リンク債、他社株転換社債 |
仕組み | 通常の債券に株式オプション(プットオプションの売り)を組み込んだ仕組債 |
償還方法 | 償還時における対象株式の価格が設定水準より高い場合は「元本+金利」が償還され、設定水準より低い場合は「株式+金利」が償還される |
メリット | 高利回り、株価上昇による利益 |
リスク | 株価下落リスク、発行体の信用リスク、流動性リスク |
税制 | 利子は特定公社債か一般公社債かによって税金の取扱いが異なる。株式で償還された場合は償還差損益が発生し、税率20.315%の申告分離課税の対象となる |
株主還元との関係 | 企業にとって低コストで資金調達、新たな株主を獲得できるメリットがある。投資家にとっては高利回り、株価上昇による利益が期待できるメリットがある |
将来展望 | 発行額が増加しており、今後も成長が期待されている。ただし、ハイリスク・ハイリターンの金融商品であるため、投資家は、EB債の仕組みやリスクを十分に理解した上で、投資判断を行う必要がある |
1. 他社株転換可能債とは
他社株転換可能債とは何か?
他社株転換可能債(Exchangeable Bond、EB債)とは、債券の一種でありながら、償還日までの株価変動によって、満期日に現金ではなく、発行会社とは異なる会社の株式(他社株)が交付される可能性がある金融商品です。通常の債券に株式オプション(プットオプションの売り)を組み込んだ仕組債の一種であり、特定銘柄の株価が設定水準より高い場合は「元本+金利」が償還され、設定水準より低い場合は「株式+金利」が償還されます。
EB債は、1998年の証券取引法(現在は金融商品取引法)改正で販売が可能になりました。高クーポンが特徴で、株式市場に注目する投資家にとって魅力的な商品となっています。
EB債は、発行会社が資金調達を行うための手段として利用されます。投資家にとっては、将来的な株式取得の可能性に注目し、優れた投資機会として評価されます。
一方で、投資家にとっては将来の株価上昇によって利益を享受できる可能性があります。また、株式市場への参加の機会を提供してくれることから、魅力的な投資商品となっています。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 償還日までの株価変動によって、満期日に現金ではなく、発行会社とは異なる会社の株式が交付される可能性がある債券 |
特徴 | 通常の債券に株式オプション(プットオプションの売り)を組み込んだ仕組債 |
目的 | 発行会社が資金調達を行うための手段 |
投資家にとってのメリット | 将来的な株式取得の可能性、株価上昇による利益、株式市場への参加の機会 |
投資家にとってのデメリット | 株価下落リスク、発行体の信用リスク、流動性リスク |
他社株転換可能債の別名
他社株転換可能債は、様々な呼び方があります。最も一般的な呼び方は、EB債またはEBです。これは、英語のExchangeable Bondの略称です。
他に、個別株リンク債と呼ばれることもあります。これは、EB債が特定の個別銘柄の株価に連動していることから、このように呼ばれています。
また、他社株転換社債と呼ばれることもあります。これは、EB債が発行会社とは異なる会社の株式に転換される可能性があることから、このように呼ばれています。
このように、EB債は様々な呼び方がありますが、いずれも同一の金融商品を指しています。
別名 | 説明 |
---|---|
EB債 | Exchangeable Bondの略称 |
EB | Exchangeable Bondの略称 |
個別株リンク債 | 特定の個別銘柄の株価に連動していることから、このように呼ばれる |
他社株転換社債 | 発行会社とは異なる会社の株式に転換される可能性があることから、このように呼ばれる |
他社株転換可能債の仕組み
EB債は、通常の債券に株式オプション(プットオプションの売り)を組み込んだ仕組債の一種です。そのため、EB債の仕組みを理解するためには、プットオプションの仕組みを理解する必要があります。
プットオプションとは、将来のある特定の価格で株式を売却する権利のことです。EB債では、発行会社が投資家に対して、将来のある特定の価格で株式を売却する権利を売却しています。
このプットオプションの売却によって、発行会社は投資家からオプション料を受け取ることができます。このオプション料は、EB債のクーポンとして投資家に支払われます。
償還時には、対象株式の株価が設定水準より高い場合は、投資家は「元本+金利」を受け取ることができます。しかし、対象株式の株価が設定水準より低い場合は、投資家は「株式+金利」を受け取ることになります。
まとめ
他社株転換可能債(EB債)は、債券の一種でありながら、償還日までの株価変動によって、満期日に現金ではなく、発行会社とは異なる会社の株式(他社株)が交付される可能性がある金融商品です。
EB債は、通常の債券に株式オプション(プットオプションの売り)を組み込んだ仕組債の一種であり、特定銘柄の株価が設定水準より高い場合は「元本+金利」が償還され、設定水準より低い場合は「株式+金利」が償還されます。
EB債は、発行会社が資金調達を行うための手段として利用されます。投資家にとっては、将来的な株式取得の可能性に注目し、優れた投資機会として評価されます。
一方で、投資家にとっては将来の株価上昇によって利益を享受できる可能性があります。また、株式市場への参加の機会を提供してくれることから、魅力的な投資商品となっています。
2. 他社株転換可能債の仕組み
EB債の償還方法
EB債の償還方法は、償還時における対象株式の価格によって決まります。
償還時における対象株式の価格が、発行時に設定された転換価格(行使価格)を上回っていれば、投資家は現金で償還されます。
逆に、償還時における対象株式の価格が転換価格を下回っていれば、投資家は株式で償還されます。
いずれの場合も、投資家はクーポンを受け取ることができます。
償還時における対象株式の価格 | 償還方法 |
---|---|
転換価格を上回っている | 現金で償還 |
転換価格を下回っている | 株式で償還 |
EB債の仕組み
EB債は、投資家が対象株式のプットオプションを売り建てている状態とみなすことができます。
投資家は、EB債を購入することで、発行会社からプットオプションのプレミアム(クーポン)を受け取ります。
償還時に対象株式の価格が転換価格を下回った場合、投資家はプットオプションを行使され、株式で償還されます。
逆に、償還時に対象株式の価格が転換価格を上回った場合、投資家はプットオプションを行使されず、現金で償還されます。
主体 | 役割 |
---|---|
投資家 | 対象株式のプットオプションを売り建て |
発行体 | プットオプションの買い建て |
アレンジャー | 発行体からプットオプションを買い取り、投資家にプットオプションを売却 |
EB債の発行と取引
EB債は、主にユーロ市場で発行されます。発行体は、海外の高格付けの金融機関であることが多いです。
投資家と発行体の間には、アレンジャーが介在します。アレンジャーは、発行体と同系列の金融機関であることが多いです。
アレンジャーは、発行体からプットオプションを買い取り、投資家にプットオプションを売却します。
このように、EB債の発行には、発行体、投資家、アレンジャーの3者が関与しています。
まとめ
EB債は、償還時における対象株式の価格によって、現金で償還されるか、株式で償還されるかが決まります。
EB債の仕組みは、投資家が対象株式のプットオプションを売り建てている状態とみなすことができます。
EB債の発行には、発行体、投資家、アレンジャーの3者が関与しています。
EB債は、投資家にとってハイリスク・ハイリターンの金融商品です。
3. 他社株転換可能債のメリットとリスク
EB債のメリット
EB債の最大のメリットは、高利回りが期待できることです。
EB債は、通常の債券よりも高いクーポンが設定されることが多く、年利10%以上の高利回りも期待できます。
これは、投資家がプットオプションを売却することで、そのプレミアムをクーポンとして受け取ることができるためです。
また、EB債は、株価上昇による利益も期待できます。償還時に対象株式の価格が転換価格を上回っていれば、投資家は現金で償還され、株価上昇による利益を得ることができます。
メリット | 説明 |
---|---|
高利回り | 通常の債券よりも高いクーポンが設定されることが多く、年利10%以上の高利回りも期待できる |
株価上昇による利益 | 償還時に対象株式の価格が転換価格を上回っていれば、投資家は現金で償還され、株価上昇による利益を得ることができる |
EB債のリスク
EB債は、株価下落リスクがあります。償還時に対象株式の価格が転換価格を下回った場合、投資家は株式で償還されます。
この場合、投資家は、株式の価格が下落しているため、損失を被る可能性があります。
また、EB債は、発行体の信用リスクもあります。発行体が倒産した場合、投資家は元本や利息を受け取ることができなくなります。
さらに、EB債は、流動性リスクもあります。EB債は、通常の債券と比べて流動性が低いため、売却したい時にすぐに売却できない可能性があります。
リスク | 説明 |
---|---|
株価下落リスク | 償還時に対象株式の価格が転換価格を下回った場合、投資家は株式で償還される。この場合、投資家は、株式の価格が下落しているため、損失を被る可能性がある |
発行体の信用リスク | 発行体が倒産した場合、投資家は元本や利息を受け取ることができなくなる |
流動性リスク | 通常の債券と比べて流動性が低いため、売却したい時にすぐに売却できない可能性がある |
EB債の注意点
EB債は、ハイリスク・ハイリターンの金融商品です。そのため、投資家は、EB債の仕組みやリスクを十分に理解した上で、投資判断を行う必要があります。
特に、投資経験が浅い方やリスク許容度が低い方は、EB債への投資は控えるべきです。
EB債への投資を検討する際には、専門家のアドバイスを受けることも重要です。
EB債は、投資家のニーズに合致する商品ではありません。
まとめ
EB債は、高利回りが期待できる一方で、株価下落リスク、発行体の信用リスク、流動性リスクなど、様々なリスクも伴います。
EB債への投資は、ハイリスク・ハイリターンの投資であり、投資家は、EB債の仕組みやリスクを十分に理解した上で、投資判断を行う必要があります。
特に、投資経験が浅い方やリスク許容度が低い方は、EB債への投資は控えるべきです。
EB債への投資を検討する際には、専門家のアドバイスを受けることも重要です。
4. 他社株転換可能債の税制面の注意点
EB債の利子の税金
EB債の利子は、特定公社債か一般公社債かによって税金の取扱いが異なります。
特定公社債の利子は、支払時に20.315%の税率で源泉徴収され、申告不要です。
一般公社債の利子は、支払時に20.315%の税率で源泉徴収され、確定申告の対象外となります。
いずれの場合も、利子は申告分離課税の対象となり、上場株式等グループの売却損や償還差損と損益通算できます。
種類 | 税金 |
---|---|
特定公社債 | 支払時に20.315%の税率で源泉徴収され、申告不要 |
一般公社債 | 支払時に20.315%の税率で源泉徴収され、確定申告の対象外 |
EB債の償還による株式取得の税金
EB債が株式で償還された場合、償還日における対象株式の終値が償還を受けた株式の取得価額とされます。
そのため、EB債の取得価額と償還された株式の取得価額の差額は償還差損益となり、税率20.315%の申告分離課税の対象となります。
また、償還された株式を将来譲渡した際の譲渡損益は、税率20.315%の申告分離課税の対象となります。
その場合の譲渡損益は、譲渡価額と償還日の対象株式の株価との差額となります。
項目 | 内容 |
---|---|
取得価額 | 償還日における対象株式の終値 |
償還差損益 | EB債の取得価額と償還された株式の取得価額の差額 |
譲渡損益 | 譲渡価額と償還日の対象株式の株価との差額 |
EB債の税務上の処理
法人税法上、EB債は、デリバティブ取引が組み合わされた「複合有価証券等」に区分されるものと考えられます。
EB債の期末時の処理については、税務上はデリバティブを区分しないで一体として処理することが原則となっています。
ただし、継続適用を条件に、債券と組込デリバティブの区分処理の適用も認められています。
中小企業がEB債を保有している場合、債券と組込デリバティブを区分せず、一体として処理することが一般的となっています。
まとめ
EB債の利子は、特定公社債か一般公社債かによって税金の取扱いが異なります。
EB債が株式で償還された場合、償還差損益が発生し、税率20.315%の申告分離課税の対象となります。
EB債の税務上の処理は、デリバティブを区分しないで一体として処理することが原則となっています。
中小企業がEB債を保有している場合、債券と組込デリバティブを区分せず、一体として処理することが一般的となっています。
5. 他社株転換可能債と株主還元の関係性
株主還元とEB債
株主還元とは、企業が株主に対して利益を還元することです。株主還元には、配当、自社株買い、株式分割などがあります。
EB債は、株主還元の一環として発行されることがあります。
EB債を発行することで、企業は投資家から資金を調達することができます。
また、EB債の償還時に株式で償還される場合、投資家は発行会社の株主になることができます。
EB債と株主還元のメリット
EB債は、企業にとって、低コストで資金調達を行うことができるメリットがあります。
また、EB債の償還時に株式で償還される場合、企業は新たな株主を獲得することができます。
投資家にとっては、高利回りが期待できるメリットがあります。
また、EB債は、株価上昇による利益も期待できます。
主体 | メリット |
---|---|
企業 | 低コストで資金調達、新たな株主を獲得 |
投資家 | 高利回り、株価上昇による利益 |
EB債と株主還元のデメリット
EB債は、企業にとって、株価下落リスクがあります。償還時に対象株式の価格が転換価格を下回った場合、企業は株式で償還することになります。
この場合、企業は、株式の価格が下落しているため、損失を被る可能性があります。
また、EB債は、流動性リスクもあります。EB債は、通常の債券と比べて流動性が低いため、売却したい時にすぐに売却できない可能性があります。
投資家にとっては、株価下落リスクがあります。償還時に対象株式の価格が転換価格を下回った場合、投資家は株式で償還されます。
主体 | デメリット |
---|---|
企業 | 株価下落リスク、流動性リスク |
投資家 | 株価下落リスク |
まとめ
EB債は、企業にとって、低コストで資金調達を行うことができるメリットがあります。また、EB債の償還時に株式で償還される場合、企業は新たな株主を獲得することができます。
投資家にとっては、高利回り、株価上昇による利益が期待できるメリットがあります。
一方で、EB債は、企業にとって、株価下落リスク、流動性リスクがあります。投資家にとっては、株価下落リスクがあります。
EB債は、企業と投資家の双方にとってメリットとリスクがある金融商品です。
6. 他社株転換可能債の将来展望
EB債の将来展望
EB債は、近年、発行額が増加しており、今後も成長が期待されています。
特に、低金利環境が続く中、高利回りが期待できるEB債は、投資家にとって魅力的な商品となっています。
また、株式市場の活性化に伴い、EB債の発行も増加すると予想されます。
ただし、EB債は、ハイリスク・ハイリターンの金融商品であるため、投資家は、EB債の仕組みやリスクを十分に理解した上で、投資判断を行う必要があります。
EB債の課題
EB債は、複雑な仕組みを持つ金融商品であり、投資家にとって理解しにくいという課題があります。
また、EB債は、流動性が低いという課題もあります。
そのため、EB債の市場が活性化するためには、投資家への情報提供や流動性の向上など、様々な課題を克服する必要があります。
EB債は、投資家のニーズに合致する商品ではありません。
EB債の今後の展開
EB債は、今後、より複雑な仕組みを持つ商品が登場する可能性があります。
また、EB債は、他の金融商品との組み合わせによって、より魅力的な商品となる可能性があります。
EB債は、今後、より多くの投資家に利用される可能性があります。
ただし、EB債は、ハイリスク・ハイリターンの金融商品であるため、投資家は、EB債の仕組みやリスクを十分に理解した上で、投資判断を行う必要があります。
まとめ
EB債は、今後、より複雑な仕組みを持つ商品が登場する可能性があります。
また、EB債は、他の金融商品との組み合わせによって、より魅力的な商品となる可能性があります。
EB債は、今後、より多くの投資家に利用される可能性があります。
ただし、EB債は、ハイリスク・ハイリターンの金融商品であるため、投資家は、EB債の仕組みやリスクを十分に理解した上で、投資判断を行う必要があります。
参考文献
・Eb債(他社株転換可能債)とは?リスクや発行体のメリット …
・Eb債をイチからわかりやすく解説。銘柄によってリスクは変わる …
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