DESとは?経済用語について説明

DESの概要
項目 内容
定義 債務を株式に交換する手法
目的 過剰債務の解消、経営者のモラルハザードの抑制
種類 現物出資型、金銭出資型
メリット 債務超過の解消、財務体質の改善、資金繰りの改善、経営者のモラルハザードの抑制、債権者の経営への参画、利益の獲得
デメリット 経営への干渉、税負担の増加、株式の処分が難しい、問題の先送りになる可能性、利息収入の減少、回収の優先順位が劣後する
税務 適格現物出資、非適格現物出資、債務消滅益、欠損金との相殺
経済への影響 雇用維持、経済活性化、金融機関の貸出姿勢の改善
今後の展望 企業再生や事業承継において重要な役割を果たすことが期待される
関連用語 DDS(デット・デット・スワップ)

1. DESとは?経済用語の基本知識

要約

DESとは何か?

DESとは、Debt Equity Swapの略称で、日本語では債務の株式化と呼ばれます。これは、経営不振や過剰債務に陥っている企業の債務を、債権者が株式と交換することで財務改善を図る手法です。債務が減少し、弁済義務のない資本が増えるため、企業は経営を立て直すことができます。

具体的には、債権者が債務者に対して持つ債権(貸付金など)を、現物出資の形で株式に交換することで、債務者側の負債が減少し、債権者側は株主となります。

DESは、企業が抱える過剰な債務を解消し、財務体質を改善するための有効な手段として、近年注目されています。

DESの定義
項目 内容
略称 Debt Equity Swap
日本語訳 債務の株式化
目的 企業の財務改善
内容 債権者が債務を株式に交換

DESの目的

DESの目的は、主に以下の2つに分けられます。

1つ目は、過剰債務の解消です。債務超過に陥っている企業は、金融機関からの融資を受けにくくなり、事業の拡大や改善が困難になります。DESによって債務を株式に交換することで、債務超過を解消し、新たな融資を受けやすくなる可能性があります。

2つ目は、経営者のモラルハザードの抑制です。経営不振の企業では、経営者が自分の利益を優先し、会社全体の利益を損なう行動をとる可能性があります。DESによって債権者が株主となり、経営に参画することで、経営者のモラルハザードを抑制し、企業の健全な成長を促す効果が期待できます。

DESの目的
目的 内容
過剰債務の解消 債務超過の解消、新たな融資の獲得
経営者のモラルハザードの抑制 経営者の不正行為の抑制、企業の健全な成長

DESとDDSの違い

DESと似たような目的で用いられる手法に、DDS(Debt Debt Swap)があります。DDSは、既存の債務を劣後ローンと呼ばれる別の債務に交換する手法です。

DESとDDSの大きな違いは、DESでは債務が株式に交換されるのに対し、DDSでは債務が別の債務に交換される点です。

劣後ローンとは、債務者が倒産した場合に、他の債権者よりも返済順位が低いローンです。そのため、DDSはDESと比べて、債務者側の財務状況は改善しますが、債務が完全に消滅するわけではありません。

DESとDDSの違い
項目 DES DDS
債務の交換 株式 別の債務
債務の消滅 消滅 消滅しない
返済義務 なし あり
手続き 複雑 比較的簡単
財務体質 改善 改善
会計上の扱い 資本 負債

まとめ

DESは、企業が抱える過剰な債務を解消し、財務体質を改善するための有効な手段です。

DESは、債務を株式に交換することで、債務超過の解消や資金繰りの改善、経営者のモラルハザードの抑制などの効果が期待できます。

DESとDDSは、どちらも企業の財務改善を目的とした手法ですが、債務の形態や債権者の立場、手続きなどが異なります。

DESは、企業の経営状況や債権者の意向などを考慮して、適切に活用する必要があります。

2. DESの歴史と起源

要約

DESの誕生背景

DESは、バブル崩壊後の日本において、多くの企業が抱える不良債権問題を解決するために生まれた手法です。

バブル崩壊後、多くの企業が過剰な債務を抱え、経営不振に陥りました。金融機関は、不良債権を抱える企業に対して、債権放棄や債務のリスケジュールなどの支援策を講じていましたが、これらの対策だけでは、企業の再生が難しいケースも少なくありませんでした。

そこで、債権を株式に交換することで、企業の財務体質を改善し、経営再建を支援するDESが考案されました。

DESの誕生背景
時期 背景
バブル崩壊後 不良債権問題の解決

DESの活用事例

DESは、バブル崩壊後の日本において、多くの企業の再生に役立ちました。

代表的な事例としては、三菱自動車や長谷工コーポレーションなどが挙げられます。

これらの企業は、DESによって債務超過を解消し、経営再建を果たしました。

DESの活用事例
企業 内容
三菱自動車 債務超過の解消、経営再建
長谷工コーポレーション 債務超過の解消、経営再建

DESの普及

DESは、当初は金融機関が経営不振の企業を支援するために用いられる手法でしたが、近年では、企業再生ファンドや投資ファンドなどがDESを活用するケースも増えています。

また、事業承継の際に、相続税対策としてDESが活用されるケースも増えています。

DESは、企業再生や事業承継など、様々な場面で活用されるようになってきています。

DESの普及
時期 内容
近年 企業再生ファンドや投資ファンドによる活用
近年 事業承継における相続税対策としての活用

まとめ

DESは、バブル崩壊後の日本の企業再生を支援するために生まれた手法です。

DESは、金融機関による企業支援、企業再生ファンドや投資ファンドによる投資、事業承継など、様々な場面で活用されています。

DESは、企業再生や事業承継において重要な役割を果たす手法として、今後も発展していくことが期待されます。

3. DESの主な特徴と特性

要約

DESの特徴

DESは、債務を株式に交換することで、企業の財務体質を改善する手法です。

DESの特徴は、以下のとおりです。

* 債務超過の解消:DESによって、債務超過の企業は債務超過を解消することができます。

* 財務体質の改善:DESによって、企業の自己資本比率が向上し、財務体質が改善されます。

DESの特徴
特徴 内容
債務超過の解消 債務超過の企業は債務超過を解消できる
財務体質の改善 自己資本比率が向上し、財務体質が改善される
資金繰りの改善 有利子負債が減少し、資金繰りが改善される
経営者のモラルハザードの抑制 経営者の不正行為を抑制できる可能性がある
債権者の経営への参画 債権者は株主となり、経営に参画できる
利益の獲得 債権者は株式の配当や売却益を得る可能性がある

DESの種類

DESには、現物出資型金銭出資型の2種類があります。

現物出資型は、債権者が債務者に対して持つ債権を、そのまま株式に交換する方法です。

金銭出資型は、債権者が債務者に対して現金を出資し、その現金で債務者が債権を返済する方法です。

DESの種類
種類 内容
現物出資型 債権者が債務者に対して持つ債権を、そのまま株式に交換する方法
金銭出資型 債権者が債務者に対して現金を出資し、その現金で債務者が債権を返済する方法

DESの手続き

DESの手続きは、以下のとおりです。

1. 債権者と債務者間の協議:DESの内容について、債権者と債務者間で協議を行います。

2. 株主総会での決議:債務者側の株主総会で、DESの実施について特別決議を行います。

3. 株式の発行:債務者側は、債権者に対して株式を発行します。

DESの手続き
段階 内容
債権者と債務者間の協議 DESの内容について、債権者と債務者間で協議を行う
株主総会での決議 債務者側の株主総会で、DESの実施について特別決議を行う
株式の発行 債務者側は、債権者に対して株式を発行する

まとめ

DESは、債務を株式に交換することで、企業の財務体質を改善する手法です。

DESには、現物出資型と金銭出資型の2種類があります。

DESの手続きは、債権者と債務者間の協議、株主総会での決議、株式の発行など、いくつかの段階を踏みます。

4. DESの利点と欠点について

要約

DESのメリット

DESには、債務者と債権者それぞれにメリットがあります。

債務者側のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

* 債務超過の解消:DESによって、債務超過の企業は債務超過を解消することができます。

* 財務体質の改善:DESによって、企業の自己資本比率が向上し、財務体質が改善されます。

DESのメリット
対象 メリット
債務者 債務超過の解消、財務体質の改善、資金繰りの改善、経営者のモラルハザードの抑制
債権者 経営への参画、利益の獲得

DESのデメリット

DESには、債務者と債権者それぞれにデメリットもあります。

債務者側のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

* 経営への干渉:DESによって、債権者が株主となり、経営に干渉される可能性があります。

* 税負担の増加:DESによって、債務消滅益が発生し、税負担が増加する可能性があります。

DESのデメリット
対象 デメリット
債務者 経営への干渉、税負担の増加
債権者 株式の処分が難しい、問題の先送りになる可能性、利息収入の減少、回収の優先順位が劣後する

債権者側のメリットとデメリット

債権者側のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

* 経営への参画:DESによって、債権者は株主となり、経営に参画することができます。

* 利益の獲得:DESによって、債権者は株式の配当や売却益を得る可能性があります。

債権者側のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

まとめ

DESは、企業の財務改善に有効な手段ですが、メリットとデメリットを理解した上で、慎重に検討する必要があります。

DESは、債務者と債権者双方にとって、必ずしもメリットがあるとは限りません。

DESの実施を検討する際には、経営状況、債権者の意向、税務上の影響などを総合的に判断する必要があります。

5. DESが経済に与える影響

要約

DESの経済効果

DESは、企業の財務改善に貢献するだけでなく、経済全体にも影響を与えます。

DESによって、経営不振の企業が再生し、事業活動を継続できるようになれば、雇用維持や経済活性化に貢献します。

また、DESによって金融機関の不良債権が減少すれば、金融機関の貸出姿勢が改善され、他の企業への融資が促進される可能性があります。

DESの経済効果
効果 内容
雇用維持 経営不振の企業が再生し、事業活動を継続できるようになれば、雇用維持に貢献する
経済活性化 経営不振の企業が再生し、事業活動を継続できるようになれば、経済活性化に貢献する
金融機関の貸出姿勢の改善 金融機関の不良債権が減少すれば、金融機関の貸出姿勢が改善され、他の企業への融資が促進される可能性がある

DESの課題

DESは、企業再生に有効な手段ですが、いくつかの課題も存在します。

1つ目の課題は、モラルハザードです。DESによって、債権者が株主となり、経営に参画することで、経営者のモラルハザードが抑制される可能性があります。しかし、債権者が経営に過度に干渉することで、企業の自主性を阻害する可能性もあります。

2つ目の課題は、税務上の問題です。DESによって、債務消滅益が発生し、税負担が増加する可能性があります。

DESの課題
課題 内容
モラルハザード 債権者が経営に過度に干渉することで、企業の自主性を阻害する可能性がある
税務上の問題 債務消滅益が発生し、税負担が増加する可能性がある

DESの今後の展望

DESは、今後も企業再生や事業承継において重要な役割を果たすことが期待されています。

特に、近年では、企業再生ファンドや投資ファンドなどがDESを活用するケースが増えています。

また、事業承継の際に、相続税対策としてDESが活用されるケースも増えています。

DESの今後の展望
展望 内容
企業再生 企業再生において重要な役割を果たすことが期待される
事業承継 事業承継において重要な役割を果たすことが期待される
資金調達 スタートアップ企業の資金調達において活用されるケースも出てきている

まとめ

DESは、企業の財務改善に貢献するだけでなく、経済全体にも影響を与えます。

DESは、モラルハザードや税務上の問題など、いくつかの課題も存在します。

DESは、今後も企業再生や事業承継において重要な役割を果たすことが期待されています。

6. DESの未来展望と今後の展望

要約

DESの進化

DESは、企業再生や事業承継において重要な役割を果たす手法として、今後も発展していくことが期待されます。

近年では、DESの手法も進化しており、より複雑なケースに対応できるようになっています。

例えば、複数の債権者が共同でDESを行うケースや、債権の一部を株式に交換し、残りの債権はそのまま残すケースなどがあります。

DESの進化
進化 内容
複数の債権者によるDES 複数の債権者が共同でDESを行うケース
債権の一部を株式に交換 債権の一部を株式に交換し、残りの債権はそのまま残すケース

DESの活用拡大

DESは、今後、より多くの企業で活用されることが予想されます。

特に、中小企業の事業承継において、相続税対策としてDESが活用されるケースが増加すると予想されます。

また、近年では、スタートアップ企業の資金調達において、DESが活用されるケースも出てきています。

DESの活用拡大
分野 内容
中小企業の事業承継 相続税対策として活用されるケースが増加すると予想される
スタートアップ企業の資金調達 活用されるケースも出てきている

DESの課題

DESは、有効な手法ですが、いくつかの課題も存在します。

* モラルハザード:DESによって、債権者が経営に過度に干渉することで、企業の自主性を阻害する可能性があります。

* 税務上の問題:DESによって、債務消滅益が発生し、税負担が増加する可能性があります。

* 株式の評価:非上場企業の株式の評価は、困難なケースがあります。

DESの課題
課題 内容
モラルハザード 債権者が経営に過度に干渉することで、企業の自主性を阻害する可能性がある
税務上の問題 債務消滅益が発生し、税負担が増加する可能性がある
株式の評価 非上場企業の株式の評価は、困難なケースがある

まとめ

DESは、企業再生や事業承継において重要な役割を果たす手法として、今後も発展していくことが期待されます。

しかし、DESには、モラルハザードや税務上の問題など、いくつかの課題も存在します。

DESは、企業の経営状況や債権者の意向などを考慮して、適切に活用する必要があります。

参考文献

Des(デット・エクイティ・スワップ)とは?わかりやすく解説します! | Hupro Magazine | 士業・管理部門でスピード内定|ヒュープロ

デット・エクイティ・スワップ(DES)とは|金融業務用語集|iFinance

Des(デッドエクイティスワップ)って何?仕組みとメリット、デメリットまでを徹底解説 | 識学総研

DES(デットエクイティスワップ)とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説|M&Aキャピタルパートナーズ

Des(デット・エクイティ・スワップ)とは?意味や手続き、メリット、注意点を解説 | M&A・事業承継の理解を深める

DES(デット・エクイティ・スワップ)とは何か|freee税理士検索

Desとは?手続きやメリット・デメリット、手続きの流れについて解説 | レバレジーズm&Aアドバイザリー

DES(デットエクイティスワップ)とは?活用メリット・デメリットを説明!│経営者コネクト

DESとは何か?経営者が知っておくべきメリットとデメリットを解説

債務の株式化とは何か?わかりやすく解説 | ZAi探

わかりやすい用語集 解説:Des(でぃーいーえす) | 三井住友dsアセットマネジメント

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