独立企業間価格とは?経済用語について説明

独立企業間価格の算定方法
算定方法 説明 適用例
独立価格比準法(CUP法) 関連者間取引で用いられている価格が、非関連者間の類似の取引と同等の価格かどうかで、判断する方法です。 類似の商品やサービスが市場で取引されている場合に有用です。
再販売価格基準法(RP法) 国外関連者から仕入れた商品を、第三者に販売(再販売)する場合に、適切な粗利益をとっているかで判断する方法です。 再販売価格から一定の利益率を差し引いた価格を設定することが一般的です。
原価基準法(CP法) 国外関連者に商品の販売やサービス提供をする時に、売上原価に適正な粗利益を加えているかどうかで判断する方法です。この方法は製造業やサービス業に適しています。 原価に適正な粗利益を加えた金額が独立企業間価格とされます。
取引単位営業利益法(TNMM) 関連会社の売上高や利益率を基に、取引単位での営業利益を算定します。他の独立企業との比較により、適切な価格を導き出します。 製造業やサービス業に適しています。
利益分割法(PS法) 関連会社が共同で創出した利益を分割する方法です。各企業の寄与度に基づいて、利益を適切に分配します。その分配された利益に基づいて独立企業間価格を算定する方法をいいます。 複数の関連会社が共同で事業を行っている場合に適しています。
ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法) 将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて、企業間の価格を算定します。将来のキャッシュフローの予測に基づいて、適切な価格を評価します。 無形資産の取引や将来の収益が見込める取引に適しています。

1. 独立企業間価格とは

要約

独立企業間価格の定義

独立企業間価格とは、国外関連者との取引について、同様の状況のもとで、独立した第三者間において同種の取引が行われた場合に成立するであろうと認められる価格をいいます。

簡単に言うと、企業グループ以外の独立した企業同士が、同じような条件で取引した場合に成立するであろう価格のことです。

例えば、日本にある親会社が、海外にある子会社に商品を販売する場合、その販売価格が、親会社と子会社以外の独立した企業同士が同じ商品を販売した場合と同じ価格になっているかどうかが、独立企業間価格で判断されます。

移転価格税制では、企業が国外関連者との取引で、独立企業間価格とは異なる価格を設定し、利益を海外に移転させていると判断された場合、その取引について独立企業間価格で取引されたものとみなされ、税金が課せられます。

独立企業間価格の定義
定義 説明
独立企業間価格 国外関連者との取引について、同様の状況のもとで、独立した第三者間において同種の取引が行われた場合に成立するであろうと認められる価格をいいます。

独立企業間価格の目的

独立企業間価格の目的は、企業が国際的な取引を通じて、税金を逃れることを防ぐことです。

企業は、海外の子会社に商品を安く販売することで、海外の子会社に利益を移転させ、自社の税金を減らすことができます。

しかし、独立企業間価格を用いることで、企業は海外の子会社に商品を適正な価格で販売することが求められます。

これにより、企業が税金を逃れることを防ぎ、各国の税収を安定させることができます。

独立企業間価格の目的
目的 説明
税金逃れ防止 企業が国際的な取引を通じて、税金を逃れることを防ぐことです。

独立企業間価格の重要性

独立企業間価格は、国際的な取引を行う企業にとって非常に重要な概念です。

企業は、独立企業間価格を理解し、適切に算定することで、税務上のトラブルを回避することができます。

また、独立企業間価格を適切に算定することで、企業は海外事業の収益性を向上させることもできます。

そのため、企業は、独立企業間価格の算定方法を理解し、適切な価格設定を行う必要があります。

まとめ

独立企業間価格とは、企業グループ以外の独立した企業同士が、同じような条件で取引した場合に成立するであろう価格のことです。

独立企業間価格の目的は、企業が国際的な取引を通じて、税金を逃れることを防ぐことです。

独立企業間価格は、国際的な取引を行う企業にとって非常に重要な概念であり、企業は、独立企業間価格を理解し、適切に算定することで、税務上のトラブルを回避することができます。

企業は、独立企業間価格の算定方法を理解し、適切な価格設定を行う必要があります。

2. 独立企業間価格の仕組みとは

要約

独立企業間価格の算定方法

独立企業間価格の算定方法は、OECD移転価格ガイドラインに基づいて、以下の算定方法が規定されています。

独立価格比準法(CUP法):関連者間取引で用いられている価格が、非関連者間の類似の取引と同等の価格かどうかで、判断する方法です。

再販売価格基準法(RP法):国外関連者から仕入れた商品を、第三者に販売(再販売)する場合に、適切な粗利益をとっているかで判断する方法です。

原価基準法(CP法):国外関連者に商品の販売やサービス提供をする時に、売上原価に適正な粗利益を加えているかどうかで判断する方法です。原価に適正な粗利益を加えた金額が独立企業間価格とされます。

独立企業間価格の算定方法
算定方法 説明
独立価格比準法(CUP法) 関連者間取引で用いられている価格が、非関連者間の類似の取引と同等の価格かどうかで、判断する方法です。
再販売価格基準法(RP法) 国外関連者から仕入れた商品を、第三者に販売(再販売)する場合に、適切な粗利益をとっているかで判断する方法です。
原価基準法(CP法) 国外関連者に商品の販売やサービス提供をする時に、売上原価に適正な粗利益を加えているかどうかで判断する方法です。原価に適正な粗利益を加えた金額が独立企業間価格とされます。

その他の算定方法

利益分割法(PS法):複数の関連者間取引から生じた利益を合算し、それを各関連者間取引に振り分ける方法で、以下の3つの方法があります。\n・比較利益分割法\n・寄与度利益分割法\n・残余利益分割法

取引単位営業利益法(TNMM):関連者間取引から得られる営業利益の水準を比較して、独立企業間価格を求める方法です。数々の算定方法の中でも多く採用されている方法です。

ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法):ディスカウント・キャッシュ・フロー法は、OECD移転価格ガイドラインにおいて比較対象取引が特定できない無形資産取引等に対する価格算定方法として有用性が認められている方法です。

独立企業間価格の選定にあたっては、算定方法それぞれの長所と短所を吟味し、国外関連取引の内容や国外関連取引の当事者の果たす機能への適合性等を十分に検討します。

その他の算定方法
算定方法 説明
利益分割法(PS法) 複数の関連者間取引から生じた利益を合算し、それを各関連者間取引に振り分ける方法で、以下の3つの方法があります。
・比較利益分割法
・寄与度利益分割法
・残余利益分割法
取引単位営業利益法(TNMM) 関連者間取引から得られる営業利益の水準を比較して、独立企業間価格を求める方法です。数々の算定方法の中でも多く採用されている方法です。
ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法) ディスカウント・キャッシュ・フロー法は、OECD移転価格ガイドラインにおいて比較対象取引が特定できない無形資産取引等に対する価格算定方法として有用性が認められている方法です。

算定方法の選択

上記の方法のうち、価格を直接比較するCUP法及び価格に近接する売上総利益の水準を比較するRP法・CP法は、営業利益の水準に着目するPS法及びTNMMに比べ、より独立企業間価格を直接的に算定できるという長所があります。

しかしながら、企業取引の複雑性や類似取引の探索が困難なことも多く、近年は、利益法として包括されるPS法やTNMMが選定されるケースが多く見受けられるようになりました。

令和元年の税制改正では、OECD移転価格ガイドラインの改定内容を踏まえ、独立企業間価格の算定方法の整備等がなされました。特に、大きな利益を生み出す独自性の高い無形資産への対応を考慮した改正がなされました。

独立企業間価格の算定方法として、DCF法が追加されました。

まとめ

独立企業間価格の算定方法は、取引の状況や企業の機能によって適切な方法が異なります。

企業は、それぞれの取引に適した算定方法を選択し、適切な独立企業間価格を算定する必要があります。

近年では、利益法として包括されるPS法やTNMMが選定されるケースが多く見受けられます。

また、近年では、無形資産取引に適したDCF法も注目されています。

3. 独立企業間価格の重要性

要約

税務上のリスク回避

独立企業間価格を適切に算定することで、企業は税務上のリスクを回避することができます。

もし、企業が独立企業間価格とは異なる価格で取引を行っている場合、税務当局から指摘を受け、追徴課税される可能性があります。

また、独立企業間価格を適切に算定することで、企業は税務調査の際に、税務当局に対して適切な説明を行うことができます。

これにより、税務調査がスムーズに進み、企業の負担を軽減することができます。

税務上のリスク回避
リスク 説明
税務上のリスク回避 独立企業間価格を適切に算定することで、企業は税務上のリスクを回避することができます。

事業の収益性向上

独立企業間価格を適切に算定することで、企業は海外事業の収益性を向上させることができます。

例えば、企業が海外の子会社に商品を安く販売することで、海外の子会社に利益を移転させ、自社の税金を減らすことができます。

しかし、独立企業間価格を用いることで、企業は海外の子会社に商品を適正な価格で販売することが求められます。

これにより、企業は海外事業の収益性を向上させることができます。

事業の収益性向上
メリット 説明
事業の収益性向上 独立企業間価格を適切に算定することで、企業は海外事業の収益性を向上させることができます。

国際的な税務調整

独立企業間価格は、国際的な税務調整においても重要な役割を果たします。

OECDは、独立企業間価格の算定方法に関するガイドラインを発行しており、多くの国がこれを参考にしています。

企業は、OECDガイドラインを参考に、独立企業間価格を適切に算定することで、国際的な税務上のトラブルを回避することができます。

また、独立企業間価格を適切に算定することで、企業は国際的な税務調整をスムーズに行うことができます。

国際的な税務調整
役割 説明
国際的な税務調整 独立企業間価格は、国際的な税務調整においても重要な役割を果たします。

まとめ

独立企業間価格は、税務上のリスク回避、事業の収益性向上、国際的な税務調整など、企業にとって非常に重要な役割を果たします。

企業は、独立企業間価格を理解し、適切に算定することで、税務上のトラブルを回避し、海外事業の収益性を向上させることができます。

また、OECDガイドラインを参考に、独立企業間価格を適切に算定することで、国際的な税務上のトラブルを回避することができます。

企業は、独立企業間価格の算定方法を理解し、適切な価格設定を行う必要があります。

4. 独立企業間価格の影響要因

要約

取引内容

独立企業間価格の算定方法の選定は、取引内容によって大きく影響されます。

例えば、棚卸資産の売買取引であれば、独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法などが適用されます。

一方、無形資産の取引であれば、利益分割法やDCF法などが適用される場合があります。

取引内容によって、適切な算定方法が異なるため、企業は取引内容をしっかりと把握しておく必要があります。

取引内容の影響
取引内容 説明
棚卸資産の売買取引 独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法などが適用されます。
無形資産の取引 利益分割法やDCF法などが適用される場合があります。

企業の機能

企業の機能も、独立企業間価格の算定方法の選定に影響を与えます。

例えば、製造業であれば、原価基準法が適用されることが多いです。

一方、販売業であれば、再販売価格基準法が適用されることが多いです。

企業は、自社の機能をしっかりと把握し、適切な算定方法を選択する必要があります。

企業機能の影響
企業機能 説明
製造業 原価基準法が適用されることが多いです。
販売業 再販売価格基準法が適用されることが多いです。

市場の状況

市場の状況も、独立企業間価格の算定方法の選定に影響を与えます。

例えば、競争が激しい市場であれば、独立価格比準法が適用されることが多いです。

一方、競争が緩やかな市場であれば、利益分割法などが適用される場合があります。

企業は、市場の状況をしっかりと把握し、適切な算定方法を選択する必要があります。

市場状況の影響
市場状況 説明
競争が激しい市場 独立価格比準法が適用されることが多いです。
競争が緩やかな市場 利益分割法などが適用される場合があります。

まとめ

独立企業間価格の算定方法の選定は、取引内容、企業の機能、市場の状況など、様々な要因によって影響されます。

企業は、これらの要因をしっかりと把握し、適切な算定方法を選択する必要があります。

また、企業は、独立企業間価格の算定方法を理解し、適切な価格設定を行うことで、税務上のトラブルを回避し、海外事業の収益性を向上させることができます。

企業は、独立企業間価格の算定方法を理解し、適切な価格設定を行う必要があります。

5. 独立企業間価格と市場の特徴

要約

完全競争市場

完全競争市場とは、多くの企業が参入し、自由な競争が行われている市場です。

完全競争市場では、企業は価格決定権を持たず、市場価格で商品を販売するしかありません。

そのため、企業は、価格競争ではなく、効率性を追求することで利益を追求します。

完全競争市場では、独立企業間価格は、市場価格とほぼ一致すると考えられます。

完全競争市場
特徴 説明
多くの企業が参入 多くの企業が参入し、自由な競争が行われている市場です。
価格決定権なし 企業は価格決定権を持たず、市場価格で商品を販売するしかありません。

寡占市場

寡占市場とは、少数の企業が市場を支配している市場です。

寡占市場では、企業は価格決定権を持ち、価格競争を避ける傾向があります。

そのため、寡占市場では、独立企業間価格は、市場価格よりも高くなる傾向があります。

寡占市場では、企業は、価格競争ではなく、商品やサービスの差別化によって競争を行います。

寡占市場
特徴 説明
少数の企業が市場を支配 少数の企業が市場を支配している市場です。
価格決定権を持つ 企業は価格決定権を持ち、価格競争を避ける傾向があります。

独占市場

独占市場とは、1つの企業が市場を独占している市場です。

独占市場では、企業は価格決定権を完全に持ち、価格競争を行う必要がありません。

そのため、独占市場では、独立企業間価格は、市場価格よりも高くなる傾向があります。

独占市場では、企業は、価格競争ではなく、商品やサービスの差別化によって競争を行います。

独占市場
特徴 説明
1つの企業が市場を独占 1つの企業が市場を独占している市場です。
価格決定権を完全に持つ 企業は価格決定権を完全に持ち、価格競争を行う必要がありません。

まとめ

独立企業間価格は、市場の構造によって大きく影響されます。

完全競争市場では、独立企業間価格は、市場価格とほぼ一致すると考えられます。

一方、寡占市場や独占市場では、独立企業間価格は、市場価格よりも高くなる傾向があります。

企業は、市場の構造を理解し、適切な独立企業間価格を算定する必要があります。

6. 独立企業間価格の実際の例

要約

製造業における独立企業間価格

製造業では、原価基準法が適用されることが多いです。

原価基準法では、製造原価に適正な利益率を加算することで、独立企業間価格を算定します。

例えば、日本にある親会社が、海外にある子会社に自動車部品を販売する場合、自動車部品の製造原価に適正な利益率を加算することで、独立企業間価格を算定することができます。

この場合、適正な利益率は、自動車部品の市場価格や競合他社の利益率などを参考に決定されます。

製造業における独立企業間価格
説明
自動車部品の販売 日本にある親会社が、海外にある子会社に自動車部品を販売する場合、自動車部品の製造原価に適正な利益率を加算することで、独立企業間価格を算定することができます。

販売業における独立企業間価格

販売業では、再販売価格基準法が適用されることが多いです。

再販売価格基準法では、海外の子会社が商品を販売する際の再販売価格から、適切な利益率を差し引くことで、独立企業間価格を算定します。

例えば、日本にある親会社が、海外にある子会社に家電製品を販売する場合、海外の子会社が家電製品を販売する際の再販売価格から、適切な利益率を差し引くことで、独立企業間価格を算定することができます。

この場合、適正な利益率は、家電製品の市場価格や競合他社の利益率などを参考に決定されます。

販売業における独立企業間価格
説明
家電製品の販売 日本にある親会社が、海外にある子会社に家電製品を販売する場合、海外の子会社が家電製品を販売する際の再販売価格から、適切な利益率を差し引くことで、独立企業間価格を算定することができます。

サービス業における独立企業間価格

サービス業では、取引単位営業利益法が適用されることが多いです。

取引単位営業利益法では、海外の子会社が提供するサービスの売上高や利益率を基に、取引単位での営業利益を算定します。

例えば、日本にある親会社が、海外にある子会社にコンサルティングサービスを提供する場合、海外の子会社がコンサルティングサービスを提供する際の売上高や利益率を基に、取引単位での営業利益を算定することができます。

この場合、適正な利益率は、コンサルティングサービスの市場価格や競合他社の利益率などを参考に決定されます。

サービス業における独立企業間価格
説明
コンサルティングサービスの提供 日本にある親会社が、海外にある子会社にコンサルティングサービスを提供する場合、海外の子会社がコンサルティングサービスを提供する際の売上高や利益率を基に、取引単位での営業利益を算定することができます。

まとめ

独立企業間価格は、様々な業種で適用されています。

企業は、それぞれの業種に適した算定方法を選択し、適切な独立企業間価格を算定する必要があります。

また、企業は、独立企業間価格の算定方法を理解し、適切な価格設定を行うことで、税務上のトラブルを回避し、海外事業の収益性を向上させることができます。

企業は、独立企業間価格の算定方法を理解し、適切な価格設定を行う必要があります。

参考文献

移転価格税制の基礎8 ~独立企業間価格 – 辻・本郷 税理士法人

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