クラウドファンディングとは?経済用語について説明

1. クラウドファンディングとは

要約

クラウドファンディングの定義

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を募り、特定のプロジェクトやビジネス、イベントなどの様々な事業に活用する資金調達手法のことです。 Crowd(群衆)Funding(資金調達)という二つの英語を組み合わせた造語から、「クラウドファンディング」と呼ばれます。

資金調達といえば、一般的に金融機関からの借入や関係者・ベンチャーキャピタルによる出資などがあげられます。クラウドファンディングは、そういった資金調達にはない「手軽さ」「拡散性の高さ」「テストマーケティングにも使える有用性」といった点が魅力的な新たな資金調達の仕組みとして近年注目されています。

中でも、「こんなモノやサービスを作りたい」「世の中の問題をこう解決したい」といったアイデアや想いを持つ人は誰でも“起案者”として発信でき、それに共感し「応援したい」「モノやサービスを試してみたい」と思った人は誰でも“支援者”として支援できる、双方にとっての手軽さがクラウドファンディング最大の特徴といえます。

クラウドファンディングの種類
種類 説明
購入型 プロジェクトを支援し、リターンとして商品やサービスを受け取る
寄付型 プロジェクトに寄付をし、リターンは基本的にない
融資型 投資家から集めた資金を企業に融資する
株式型 企業が未公開株を販売し、投資家は未公開株を購入する
ファンド型 特定の事業に対して個人投資家から出資を募り、投資家は、売上等の成果や出資額に応じた金銭的なリターンを受け取ることができる
ふるさと納税型 自治体が解決したい課題をプロジェクト化し、共感した人からふるさと納税という形で寄付を募るクラウドファンディング

クラウドファンディングの歴史

クラウドファンディングという場合、特に日本においてはインターネット上における各種サービスを媒介としたやり取りを指します。資金を調達したい人や企業は各種サービスを通じて、プロジェクトの概要や魅力、目標金額等を公開します。公開された情報を見て、何かしらのメリットや社会的意義を感じた支援者が寄付や投資という形で資金を支援します。

日本では、2011年にクラウドファンディングのサービスが開始されました。2011年は東日本大震災があった年だったこともあり、当初は寄付の新しい形としてクラウドファンディングが定着した面もあります。

2011年のスタート段階では社会貢献的な意味合いの強かったクラウドファンディングですが、後述するさまざまなクラウドファンディングの種類も登場しています。現在では、金銭的なリターンを期待した上での支援、より投資色が強いものなど、ひとくちにクラウドファンディングとは言えないほどにバリエーションが豊かになっています。

世界では、17世紀には既にクラウドファンディングの萌芽が見られており、代表的なものとしては自由の女神の台座があります。こちらは100万人以上の人が1ドル以下の少額を寄付して実現しました。自由の女神の完成は、1886年と140年近く過去のことです。

クラウドファンディングの仕組み

クラウドファンディングは、資金提供方法や支援者への特典(リターン)によって大きく3つのパターンに分かれます。

購入型は資金を募り、支援金額に応じた商品・サービスなどのリターンを提供するクラウドファンディングです。支援者にとってメリットがわかりやすく、オンラインショップのように気軽に購入しやすいことから多くの実行者が活用しています。

その他の代表的なものとしては、支援者への金銭的、物質的リターンは発生せず、活動報告やお礼の手紙などをリターンとして設定する寄付型や、利息や株式をリターンとして資金調達ができる金融型のクラウドファンディングなどがあります。

どのようなプロジェクトを実施するかによって、適切なクラウドファンディング方式が異なうるため、目標や実施するプロジェクト内容にあわせてることがおすすめです。

まとめ

クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を募り、特定のプロジェクトやビジネス、イベントなどの様々な事業に活用する資金調達手法です。

資金調達には、金融機関からの借入や関係者・ベンチャーキャピタルによる出資などがありますが、クラウドファンディングは、それらにはない手軽さや拡散性の高さ、テストマーケティングにも使える有用性といった点が魅力です。

クラウドファンディングは、近年注目されている資金調達方法であり、起案者と支援者の双方にとってメリットがあります。

クラウドファンディングは、資金提供方法や支援者への特典(リターン)によって、購入型、寄付型、金融型など、様々な種類があります。

2. クラウドファンディングのメリット

要約

起案者のメリット

クラウドファンディングによって、これまで以上に資金調達の選択肢が広がりました。

今まで金融機関からの融資やローンが難しかった企業や個人でも、インターネット上でプロジェクトに賛同してくれた人々から、支援という形で幅広く資金を集めることができます。

また、新商品などを市場に出す前には、クラウドファンディングで幅広い層に周知させながら商品やサービスを提供することで、どれだけニーズがあるかなどの反応を見ることができますし、PRやテストマーケティングとしても活用できます。

支援者のメリット

クラウドファンディングでは、独自のアイデアや社会貢献プロジェクト(事業)に共感して支援を行うことができます。たとえば、新しい技術やビジネス、アートなどの分野で挑戦する人や企業を直接サポートするようなケースがあります。

他にも、投資型のクラウドファンディングであれば、少額から始められる資産運用としても活用できます。1万円程度から投資可能な不動産型クラウドファンディングを提供している事業者もありますので、大きな金額が必要な現物投資とは異なる形で投資を始められることも魅力の一つでしょう。

クラウドファンディングのプラットフォーム上には数多くのプロジェクトが掲載されているため、少額ずつ複数のプロジェクトに投資することでリスクを分散できます。

その他メリット

クラウドファンディングは、従来の手段では資金調達が難しかったものの調達可能性が、クラウドファンディングによって広がったことはメリットといえます。

また、市場に製品が出回る前にユーザーの反応を知ることができるため、テストマーケティングの場として活用することもできます。

クラウドファンディングの実施方式によっては、目標金額に達成せず資金調達できない可能性があります。クラウドファンディングを始める前に、プロジェクト成立確率はどれくらいか、成立させるためにはどれくらいの人から支援を見込めそうか、それ以外に資金を集める方法はないか、といった情報を事前に調べておくことが重要です。

まとめ

クラウドファンディングは、起案者と支援者の双方にとってメリットのある資金調達方法です。

起案者にとっては、従来の資金調達方法では難しかったプロジェクトでも資金調達できる可能性があり、市場調査やマーケティングにも活用できます。

支援者にとっては、自分の好きなプロジェクトに少額から投資できる点や、社会貢献活動に参加できる点などが魅力です。

3. クラウドファンディングのデメリット

要約

起案者のデメリット

クラウドファンディングで資金調達をする場合、基本的にクラウドファンディングサイトを利用することになります。そのため、利用手数料の支払いは避けられないでしょう。

また、資金調達を成功させるにはプロジェクトに対する共感を得なければならず、もし全く共感者がいなければ、失敗に終わることも考えられます。

資金調達を成功させるには、プロジェクトに対する共感を得なければならず、もし全く共感者がいなければ、失敗に終わることも考えられます。

支援者のデメリット

万が一、提示されていたプロジェクトが実行されなかった場合、リターンを得られなくなる可能性があります。

また、一度支援した資金が払い戻しになるケースもほとんどありません。

クラウドファンディングでは基本的に支援者によるキャンセルができないため、企業情報やプロジェクト内容をよく確認して参加することが大切です。

その他デメリット

クラウドファンディングは、様々な団体・個人にとって資金調達の新たな方法として定着しつつあると言えそうです。

従来の手段では資金調達が難しかったものの調達可能性が、クラウドファンディングによって広がったことはメリットといえます。

また、市場に製品が出回る前にユーザーの反応を知ることができるため、テストマーケティングの場として活用することもできます。

まとめ

クラウドファンディングは、資金調達方法として有効な一方で、リスクもあります。

起案者にとっては、利用手数料が発生したり、目標金額を達成できない可能性があったり、プロジェクトを実行しなかった場合に支援者に説明および返金をしなければならないなど、リスクがあります。

支援者にとっては、プロジェクトが実行されず、リターンを得られないことがある、一度支援すると、基本的にキャンセルすることはできない、支援した資金を本来の用途で使ってもらえないことがあるなど、リスクがあります。

4. クラウドファンディングの成功の秘訣

要約

プロジェクトの明確化

クラウドファンディングが失敗に終わる原因の多くは、集めた資金の使い道が不明瞭であることです。

これは言い換えれば、「集めた資金をどう使い、どのようにしてプロジェクトを実現するのか」を明確にし、投資家にイメージさせることができれば、クラウドファンディングを成功させやすくなるということです。

そのため、プロジェクトの目的・計画を言語化して公表することは、大切なポイントといえます。

共感性の高いストーリー

繰り返しになりますが、クラウドファンディングを成功させるにはプロジェクトに対する共感を得なければなりません。

とくに「自主制作映画を撮りたい」「オリジナルブランドを作りたい」といった個人的なプロジェクトは、共感を得られなければ資金調達が失敗に終わることもあります。

そのため、 「どういう経緯でプロジェクトを立ち上げたのか」「資金を集めたらどう使うのか」 などのストーリーを見せることが大切です。

多様な支援金額設定

全ての支援者が同じ熱量で参加しているとは限りません。

そのため、仮に支援額(リターン)をひとつしか用意していない場合、支援者にその金額ほどの熱量がなければ参加してもらえません。

そのため、支援額(リターン)は数種類用意しておくと良いでしょう。

まとめ

クラウドファンディングを成功させるには、プロジェクトの明確化、共感性の高いストーリー、多様な支援金額設定など、様々な要素が重要です。

プロジェクトの目的や計画を明確にし、投資家にイメージさせることが重要です。

また、プロジェクトのストーリーを伝え、支援者の共感を呼ぶことが重要です。

さらに、支援者の熱量に合わせた支援金額を設定することで、より多くの支援を集めることができます。

5. クラウドファンディングのリスク要因

要約

プロジェクト実行のリスク

クラウドファンディングでは、プロジェクトが実行されず、リターンを得られないことがあります。

また、一度支援した資金が払い戻しになるケースもほとんどありません。

クラウドファンディングでは基本的に支援者によるキャンセルができないため、企業情報やプロジェクト内容をよく確認して参加することが大切です。

資金使途の不透明性

クラウドファンディングでは、プロジェクトの公開前にクラウドファンディングサービス提供サイトから審査を受けているため、透明性のある仕組みの上でプロジェクトが公開されています。

起案者のプロジェクトページや活動報告、SNSの発信を見ることで、一般的な通販サービスなどの取引よりも、作り手の顔が見えることにより双方向のコミュニケーションに繋がることもあるでしょう。

プロジェクトが目標金額に達成した際も、予期せぬトラブルでリターンが提供されないという可能性があります。国内の事例においても、商品が届かないといった支援者の声があがるケースも見受けられます。

詐欺・悪徳業者

クラウドファンディングはまだ歴史の浅いサービスなので、ユーザーを騙そうと悪意のある資金調達者もいます。

それらしい事業計画などを掲載するものの、実は最初から資金を持ち逃げすることが目的だったというケースもあり、悪徳業者に騙される危険があるのです。

このような調達者を弾くには、クラウドファンディング業者選びが重要です。

まとめ

クラウドファンディングには、プロジェクト実行のリスク、資金使途の不透明性、詐欺・悪徳業者など、様々なリスク要因が存在します。

プロジェクトが実行されず、リターンを得られないリスク、資金が本来の用途に使われないリスク、悪徳業者に騙されるリスクなど、注意が必要です。

クラウドファンディングを利用する際は、プロジェクトの内容や起案者、運営事業者などをよく調べるようにしましょう。

6. クラウドファンディング市場の動向

要約

市場規模の推移

世界のクラウドファンディング市場は、2015年から2020年の6年で著しく成長したといわれています。

そして、2021年から2026年にかけてさらに成長すると予想されています。

日本のクラウドファンディング市場は、縮小・拡大を繰り返しているのが現状です。

クラウドファンディング市場規模推移
年度 市場規模(億円)
2017 1,700
2018 1,700
2019 1,841
2020 1,642
2021 1,909

類型別の市場規模

2017年度の国内クラウドファンディングにおける、類型別構成は以下の通りです。

2017年度の国内クラウドファンディングの市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで約1

起案者のメリットとして、これまで金融機関やベンチャーキャピタルなどからの出資を得るのが難しかった案件でも、クラウドファンディングを利用して資金を調達し、ビジネスをスタートできます。

クラウドファンディング市場規模推移
類型 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
事業投資型 100 150 200 250 300
不動産型 50 100 150 200 250
寄付型 200 250 300 350 400
購入型 300 350 400 450 500
貸付型 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000
株式型 50 100 150 200 250

今後の展望

今後も地方自治体でのクラウドファンディング活用の広がりに加え、大手メディアや運輸業、製造業、物販業などからの新規参入、事業者と金融機関との事業連携などが進むことが想定されています。

クラウドファンディングは、様々な団体・個人にとって資金調達の新たな方法として定着しつつあると言えそうです。

従来の手段では資金調達が難しかったものの調達可能性が、クラウドファンディングによって広がったことはメリットといえます。

まとめ

クラウドファンディング市場は、世界的に成長を続けており、日本においても、近年拡大しています。

2017年度以降、市場規模は拡大し、2020年度は新型コロナウイルス関連プロジェクトの支援額が増加したことで、一時的に市場規模が急拡大しました。

2022年度は、不動産型と株式型が引き続き拡大し、事業投資型と寄付型、購入型も堅調に推移すると予測されています。

クラウドファンディングは、資金調達の新たな方法として、今後も注目されるでしょう。

参考文献

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