指標名 | 対象 | 作成機関 | 目的 |
---|---|---|---|
企業向けサービス価格指数 (SPPI) | 企業間取引におけるサービス価格 | 日本銀行 | 企業間取引におけるサービス価格の動向把握、インフレーションやデフレーションの兆候判断 |
消費者物価指数 (CPI) | 一般消費者が購入する商品・サービスの価格 | 総務省統計局 | 物価上昇率の測定、経済政策の判断材料 |
企業物価指数 (CGPI) | 企業間で取引される商品の価格 | 日本銀行 | 原材料価格や中間財価格の動向把握 |
GDPデフレーター | 経済全体の物価水準 | 内閣府 | 経済全体の物価水準の測定、インフレーションやデフレーションの動向把握 |
1. 企業向けサービス価格指数とは
企業向けサービス価格指数とは何か
企業向けサービス価格指数とは、企業が他の企業に提供するサービスの価格動向を示す指標です。これは、製品の物価指数とは異なり、サービス提供を中心とした取引の価格変動を捉えるものです。この指数は、経済全体のサービス価格の動向を理解するための重要な手段となっています。
例えば、物流、広告、情報処理サービスなど、様々な業種のサービス価格の変動がこの指数に反映されます。企業向けサービス価格指数の動きは、経済のインフレーションやデフレーションの動向を判断する上での参考となり、中央銀行の金融政策や企業の経営判断に影響を及ぼすことがあります。
企業向けサービス価格指数は、日本銀行が毎月発表しており、広告、運輸、情報通信、金融などのさまざまなサービス業種の価格データを収集し、それを基に指数を算出しています。これにより、企業が支払うサービスのコストがどのように変動しているかを把握することができます。
企業向けサービス価格指数の歴史
企業向けサービス価格指数は、1985年(昭和60)基準の指数を1991年(平成3)1月から公表し始めました。当初は74品目で算出され、四半期ごとの公表でした。その後、1990年基準から月次での算出となり、対象品目数も拡大し、2010年基準では147品目となりました。企業向けサービス総取引額のうち、採用品目の取引額は約5割を占めています。
2005年基準までは、国内取引と輸入取引をあわせた基本分類指数を算出・公表していましたが、2010年基準からは基本分類指数の対象を国内取引に限定し、参考指数として輸入サービス価格指数を新設しました。同時に、英語名称も従来のCorporate Services Price Index(CSPI)から現在のServices Producer Price Index(SPPI)に変更となりました。
基準年 | 公表開始時期 | 対象品目数 |
---|---|---|
1985年 | 1991年1月 | 74品目 |
1990年 | 1990年基準から月次 | 拡大 |
2010年 | 2010年基準 | 147品目 |
企業向けサービス価格指数の構成
企業向けサービス価格指数は、基本分類指数と参考指数から構成されます。基本分類指数は、国内のサービス提供者(生産者)と国内企業との間で取引されるサービス(国内取引サービス)を対象とする指数です。2020年基準は、総平均、7大類別、26類別、59小類別、146品目から構成されます。
指数は、消費税を含むベースで作成しており、契約通貨が外貨建ての調査価格は円換算して集計しています。また、参考系列として、「総平均(除く国際運輸)」に加え、「人件費投入比率に基づく分類指数」を作成しています。このほか、外貨建て価格を円換算せずに集計した「契約通貨ベース」を作成しています。
参考指数には、卸売サービス価格指数、研究開発価格指数、輸出・輸入サービス価格指数、知的財産ライセンス価格指数、消費税を除く企業向けサービス価格指数などがあります。
まとめ
企業向けサービス価格指数は、企業間取引におけるサービス価格の変動を測定する重要な指標です。この指数は、経済全体のサービス価格の動向を把握し、インフレーションやデフレーションの兆候を判断するために使用されます。
また、企業経営者にとっては、業界の価格動向を把握するための重要な情報源となります。
2. 企業向けサービス価格指数の重要性
経済政策への貢献
企業向けサービス価格指数は、政府や日本銀行が経済政策を決定する上で重要な役割を果たしています。特に、インフレーションの動向を把握し、適切な金融政策を策定するために利用されます。
例えば、企業向けサービス価格指数が上昇傾向にある場合、政府はインフレーション抑制のための政策を検討する必要があり、日本銀行は金利を引き上げるなどの金融政策を検討する可能性があります。
企業経営への貢献
企業経営者にとって、企業向けサービス価格指数は、自社のサービス価格設定やコスト管理を行う上で重要な情報源となります。
例えば、企業向けサービス価格指数が上昇している業界では、自社のサービス価格も引き上げる必要があるかもしれません。逆に、指数が下落している業界では、価格競争が激化する可能性があり、コスト削減や効率化を図る必要が出てくるかもしれません。
消費者への貢献
消費者にとっても、企業向けサービス価格指数は、生活費の動向を把握する上で役立ちます。
例えば、企業向けサービス価格指数が上昇している場合、物流費や電気料金などのサービス価格が上昇し、生活費の負担が増加する可能性があります。
まとめ
企業向けサービス価格指数は、経済政策、企業経営、消費者生活のそれぞれにとって重要な指標です。
この指数を参考に、政府や企業は適切な政策や経営戦略を策定し、消費者は生活費の動向を把握することができます。
3. 企業向けサービス価格指数の計算方法
指数品目の選定
企業向けサービス価格指数の算出には、各業種の代表的なサービス項目が選ばれます。サービス項目は、業種に特徴的なサービスを選定し、多様な企業間取引(BtoB)の価格動向を反映するようにしています。
例えば、物流業界であれば、トラック輸送、倉庫保管、配送などのサービス項目が選ばれます。金融業界であれば、銀行業務、証券取引、保険などのサービス項目が選ばれます。
調査対象企業の選定
次に、サービス価格を提供する企業が選ばれます。選定基準は、企業規模、地域、市場シェアなど、多角的に考慮されます。
選ばれた企業は、価格情報を提供します。
価格情報の収集
各企業から提供される価格は、基本的に毎月調査されます。これにより、時系列的な価格の変動を詳細に捉えることができます。
調査された価格には、各サービス項目の重みが設定されます。重みは、各サービス項目の企業間取引(BtoB)に占める比率を反映し、全体の価格動向を評価するための基準となります。
まとめ
企業向けサービス価格指数は、各業種の代表的なサービス項目を選び、調査対象企業から毎月価格情報を収集し、各サービス項目の重みを設定して計算されます。
この指数は、基準期と比較して価格がどの程度変動したかを示すもので、経済の健全性やインフレ率などを評価するのに使用されます。
4. 企業向けサービス価格指数の影響
経済全体への影響
企業向けサービス価格指数の上昇は、経済全体に様々な影響を与えます。
まず、企業の収益構造に影響を与えます。サービス価格が上昇すると、企業はコスト増加に対応するために、価格転嫁を進めるか、コスト削減に取り組む必要が出てきます。
また、消費者物価指数(CPI)の上昇にもつながり、消費者の購買意欲が低下する可能性があります。
企業経営への影響
企業経営者にとって、企業向けサービス価格指数は、自社のサービス価格設定やコスト管理を行う上で重要な情報源となります。
例えば、企業向けサービス価格指数が上昇している業界では、自社のサービス価格も引き上げる必要があるかもしれません。逆に、指数が下落している業界では、価格競争が激化する可能性があり、コスト削減や効率化を図る必要が出てくるかもしれません。
消費者への影響
消費者にとっても、企業向けサービス価格指数は、生活費の動向を把握する上で役立ちます。
例えば、企業向けサービス価格指数が上昇している場合、物流費や電気料金などのサービス価格が上昇し、生活費の負担が増加する可能性があります。
まとめ
企業向けサービス価格指数は、経済全体、企業経営、消費者生活のそれぞれに影響を与えます。
企業は、この指数を参考に、適切な価格設定やコスト管理を行い、消費者も生活費の動向を把握することで、経済状況の変化に対応することができます。
5. 企業向けサービス価格指数の今後の展望
デジタル化の影響
近年、デジタル化が急速に進展しており、企業間取引におけるサービスの形態も変化しています。
従来のサービスに加えて、クラウドサービス、データ分析サービス、AIサービスなど、新たなサービスが登場しており、これらのサービスの価格動向をどのように捉えるかが課題となっています。
グローバル化の影響
グローバル化が進展するにつれて、企業間取引は国境を越えて行われることが多くなっています。
そのため、企業向けサービス価格指数は、海外のサービス価格動向も考慮する必要があるでしょう。
持続可能性への関心
近年、環境問題や社会問題への関心が高まっており、企業は持続可能なサービスを提供することが求められています。
企業向けサービス価格指数は、環境負荷の低いサービスや社会貢献性の高いサービスの価格動向を反映する必要があるでしょう。
まとめ
企業向けサービス価格指数は、デジタル化、グローバル化、持続可能性といった現代社会の大きな変化に対応していく必要があります。
今後、これらの変化を反映した新たな指標や分析方法が開発される可能性があります。
6. 企業向けサービス価格指数と同様の経済指標
消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数(CPI)は、一般消費者が購入する商品やサービスの価格動向を示す指標です。
企業向けサービス価格指数は、企業間取引におけるサービス価格の動向を示す指標であるのに対し、消費者物価指数は、一般消費者が購入する商品やサービスの価格動向を示す指標です。
CPIは、物価上昇率を測る上で重要な指標であり、政府や日本銀行の経済政策の判断材料として利用されます。
企業物価指数(CGPI)
企業物価指数(CGPI)は、企業間で取引される商品の価格動向を示す指標です。
企業向けサービス価格指数は、サービス価格の動向を示す指標であるのに対し、企業物価指数は、商品の価格動向を示す指標です。
CGPIは、原材料価格や中間財価格の動向を把握するために使用されます。
GDPデフレーター
GDPデフレーターは、名目GDPを一定の基準年の実質GDPで割って算出される指数です。
これは、経済全体の物価水準を示す指標であり、インフレーションやデフレーションの動向を把握するために使用されます。
企業向けサービス価格指数は、サービス価格の動向を示す指標であるのに対し、GDPデフレーターは、経済全体の物価水準を示す指標です。
まとめ
企業向けサービス価格指数は、経済全体のサービス価格の動向を把握する上で重要な指標ですが、消費者物価指数、企業物価指数、GDPデフレーターなど、他の経済指標と合わせて分析することで、より深い理解を得ることができます。
これらの指標を総合的に分析することで、経済状況をより正確に把握し、適切な政策や経営戦略を策定することができます。
参考文献
・企業向けサービス価格指数(2020年基準)の概要 : 日本銀行 …
・企業向けサービス価格指数とは|経済指標用語集|iFinance
・企業向けサービス価格指数(きぎょうむけさーびすかかくしすう …
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