ジャイプールにあるジャンタール・マンタールとは?世界遺産についての解説

ジャンタール・マンタール概要
項目 内容
建設場所 インド北部の5か所(ジャイプル、デリー、ウジャイン、バラナシ、マトゥラー)
建設時期 18世紀前半
建設者 ジャイ・シング2世(ジャイプル藩王国)
目的 天体の位置や動きを観測し、時間や暦を正確に測定する
世界遺産登録 2010年(文化遺産)
登録基準 基準(iii):文化的伝統の物証、基準(iv):建築技術の優れた見本
主な観測機器 サムラート・ヤントラ(日時計)、ラーシ・ヴァラヤ・ヤントラ(星座観測)、ダクシノー・ヴリッティ・ヤントラ(太陽高度観測)など
アクセス ジャイプール駅より約4km、オートリキシャやタクシーでアクセス可能
見どころ 巨大な石造りの観測機器、サムラート・ヤントラ、ラーシ・ヴァラヤ・ヤントラなど

1. ジャンタールマンタールの歴史と意義

要約

ジャンタール・マンタールの建設

ジャンタール・マンタールは、インド・ムガル帝国時代の18世紀前半にジャイプル藩王国のジャイ・シング2世がインド北部の5か所に建設した大型の日時計および天体観測施設です。その内、ジャイプルにあるジャンタール・マンタールが一番大型で、世界遺産になっています。ジャイ・シング2世は、優れた政治家であるだけでなく、科学者、改革者としても知られており、1727年に王国の首都をアンベールからジャイプルへ遷都し、そこに巨大な日時計を含む天体観測施設を建設しました。

ジャンタール・マンタールという名称は、サンスクリット語のヤントラ(yantra)で「機器、機械」の意味と、同じくマントラナ(mantrana)で「参考にする、計測する」を組み合わせたもので、「計測する機器」という意味になります。

ジャイ・シング2世は、ヨーロッパやペルシャから書物を集めるとともに、他の天文台も参考にしながら、当時の天文学の粋を結集してジャンタール・マンタールを建設しました。

ジャンタール・マンタールの建設
場所 建設時期
ジャイプル 1728年~1734年
デリー 1724年~
ウジャイン 1725年~
バラナシ 1737年~
マトゥラー 破壊され現存せず

ジャンタール・マンタールの目的

ジャンタール・マンタールは、天体の位置や動きを観測し、時間や暦を正確に測定するために建設されました。当時の天文学では、天体望遠鏡は一般的ではなく、肉眼での観測が主流でした。ジャンタール・マンタールは、巨大な石造りの観測機器を用いることで、肉眼でも正確な観測を可能にしたのです。

ジャイ・シング2世は、天文学に強い関心を持っていただけでなく、占星術にも精通していたと言われています。ジャンタール・マンタールは、天体観測を通じて占星術の研究にも役立てられていた可能性があります。

ジャンタール・マンタールの目的
目的 内容
天体観測 天体の位置や動きを観測
時間測定 時間や暦を正確に測定
占星術研究 占星術の研究にも役立てられていた可能性

ジャンタール・マンタールの重要性

ジャンタール・マンタールは、インドの歴史的天文台の中で最も重要かつ総合的な施設であり、保存状態も非常に良好です。現在でも、当時の天文学的技術の粋を結集した施設として、世界中から多くの観光客が訪れています。

ジャンタール・マンタールは、当時のインドにおける科学技術の進歩を示す重要な遺産であり、世界遺産に登録されることで、その価値が広く認められました。

まとめ

ジャンタール・マンタールは、18世紀前半にジャイ・シング2世によって建設された、インドを代表する天体観測施設です。当時の天文学の粋を結集した施設であり、現在でもその正確な観測機器は人々を魅了しています。

ジャンタール・マンタールは、インドの歴史、文化、科学技術の進歩を物語る重要な遺産であり、世界遺産に登録されることで、その価値が世界的に認められました。

2. ジャイプールの文化と建築

要約

ジャイプールの歴史

ジャイプルは、インド北西部にあるラージャスターン州の州都です。18世紀にラージプート族のマハラジャであるジャイ・シング2世によって建設され、その際に居城であったシティ・パレスの一角に建造されたのがジャンタール・マンタールという天文観測施設です。

ジャイ・シング2世は、アンベールからジャイプルへ遷都し、新しい都市を建設しました。ジャイプルは、城壁で囲まれた旧市街と、その周りに広がる新市街に分かれており、街の建物がピンク色に塗られていることから「ピンク・シティ」と呼ばれています。

ジャイプルは、かつてはラージプート族の王国であり、その後、ムガル帝国の支配下に入りました。ジャイ・シング2世は、ムガル帝国の文化の影響を受けながらも、独自の文化を育みました。

ジャイプールの歴史
時代 出来事
18世紀 ジャイ・シング2世によるジャイプルの建設
1876年 イギリス王子訪問による街のピンク色への塗装
現在 ピンク・シティとして観光地として人気

ジャイプールの建築

ジャイプールの建築は、ラージプート族の伝統的な建築様式と、ムガル帝国の影響を受けた建築様式が融合したものです。

シティ・パレスは、ジャイ・シング2世が建設した宮殿で、赤と白で彩られた壮麗な建物です。風の宮殿(ハワー・マハル)は、1799年に宮廷の女性のために建てられた宮殿で、953の小窓から街の様子を眺めることができたそうです。

ジャイプールの建築は、華麗な装飾や鮮やかな色彩が特徴です。また、ジャンタール・マンタールのような、科学技術と芸術性を融合させた建築物も存在します。

ジャイプールの建築
建築物 特徴
シティ・パレス 赤と白で彩られた壮麗な建物
風の宮殿 953の小窓から街を眺めることができる
ジャンタール・マンタール 科学技術と芸術性を融合させた建築物

ジャイプールの文化

ジャイプルは、ラージプート族の文化が色濃く残る街です。ラージプート族は、勇敢な戦士として知られており、その文化は、華麗な衣装、音楽、ダンス、そして、宗教的な儀式などに反映されています。

ジャイプルは、宝石の街としても有名です。ラージャスターン州は、宝石の産地として知られており、ジャイプルでは、伝統的な宝石加工技術を受け継いだ職人たちが、美しいジュエリーを制作しています。

ジャイプルは、インドの伝統文化と現代文化が融合した街です。伝統的な文化を守りながら、新しい文化を取り入れ、発展を続けています。

まとめ

ジャイプルは、ラージプート族の文化とムガル帝国の影響を受けた文化が融合した、歴史と文化が豊かな街です。

シティ・パレスや風の宮殿など、壮麗な建築物が多く存在し、街全体がピンク色に彩られていることから「ピンク・シティ」と呼ばれています。

ジャイプルは、伝統的な文化を守りながら、新しい文化を取り入れ、発展を続けている、魅力的な街です。

3. 太陽時計の仕組みと機能

要約

ジャンタール・マンタールの観測機器

ジャンタール・マンタールには、様々な種類の観測機器が設置されています。これらの機器は、石造りで、巨大なモニュメントのような形をしています。

最も有名な観測機器は、サムラート・ヤントラと呼ばれる高さ27mの日時計です。この日時計は、2秒単位で時間を計測することができ、天頂距離や子午線も測定できます。

ラグ・サムラート・ヤントラは、サムラート・ヤントラを小さくしたような日時計で、20秒単位の計測ができます。

ラーシ・ヴァラヤ・ヤントラは、12個並んだ観測儀で、星座を観測するために使用されました。

ジャンタール・マンタールの観測機器
機器名 機能
サムラート・ヤントラ 高さ27mの日時計、2秒単位で時間を計測
ラグ・サムラート・ヤントラ サムラート・ヤントラを小さくした日時計、20秒単位で計測
ラーシ・ヴァラヤ・ヤントラ 星座を観測
ダクシノー・ヴリッティ・ヤントラ 太陽高度や赤緯を観測
ナディヴァラヤ 天頂距離や時間を観測
ジャヤ・プラカシュ・ヤントラ 天体の位置を測定

太陽時計の仕組み

太陽時計は、太陽の影を利用して時間を測る装置です。ジャンタール・マンタールの太陽時計は、巨大な石造りの三角形や円形の形をしています。

太陽の光が、これらの石造りの観測機器に当たると、影が映し出されます。影の長さや位置の変化によって、時間や天体の位置を測定することができます。

ジャンタール・マンタールの太陽時計は、非常に精密に設計されており、現在でも正確に時間を計測することができます。

その他の観測機器

ジャンタール・マンタールには、太陽時計以外にも、様々な種類の観測機器が設置されています。

ダクシノー・ヴリッティ・ヤントラは、太陽高度や赤緯を観測する機器です。

ナディヴァラヤは、天頂距離や時間を観測する機器です。

ジャヤ・プラカシュ・ヤントラは、天体の位置を測定する機器です。

まとめ

ジャンタール・マンタールは、太陽時計をはじめとする様々な観測機器が設置された、巨大な天文台です。

これらの観測機器は、石造りで、巨大なモニュメントのような形をしています。

ジャンタール・マンタールの観測機器は、非常に精密に設計されており、現在でも正確に時間を計測することができます。

4. ジャンタールマンタール世界遺産への指定経緯

要約

世界遺産登録の基準

ジャイプールにあるジャンタール・マンタールは、2010年にユネスコの世界遺産に登録されました。

世界遺産登録の基準は、以下の2つです。

基準(iii):現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。

基準(iv):歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。

世界遺産登録基準
基準 内容
基準(iii) 文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証
基準(iv) 歴史上の重要な段階を物語る建築物、科学技術の集合体

ユネスコの評価コメント

ユネスコは、ジャンタール・マンタールを世界遺産に登録するにあたり、以下の評価コメントを発表しました。

基準(iii):ジャイプールのジャンタール・マンタールは、宇宙、社会、信念の観察が集まった優れた見本。中世の世界で考案された天文台の科学的および技術的概念の究極の集大成の優れた証拠。

基準(iv):ジャイプールのジャンタール・マンタールは、インドのムガル帝国時代末期の王都の中心部にある、非常に包括的な一連の天文機器の顕著な見本。

ユネスコの評価コメント
基準 評価コメント
基準(iii) 中世の世界で考案された天文台の科学的および技術的概念の究極の集大成
基準(iv) インドのムガル帝国時代末期の王都の中心部にある、非常に包括的な一連の天文機器

世界遺産としての意義

ジャンタール・マンタールは、世界遺産に登録されることで、その価値が世界的に認められました。

ジャンタール・マンタールは、当時のインドにおける科学技術の進歩を示す重要な遺産であり、世界遺産として保護されることで、後世に伝えられていくことになります。

まとめ

ジャンタール・マンタールは、世界遺産登録基準(iii)と(iv)に基づいて、2010年に世界遺産に登録されました。

ユネスコは、ジャンタール・マンタールを、中世の天文台の科学的および技術的概念の究極の集大成であり、非常に包括的な一連の天文機器の顕著な見本であると評価しました。

ジャンタール・マンタールは、世界遺産として保護されることで、その価値が世界的に認められ、後世に伝えられていくことになります。

5. ルネサンス期との関連性

要約

ルネサンス期の科学技術

ルネサンス期は、ヨーロッパにおいて、中世の伝統的な思想や文化から脱却し、古代ギリシャ・ローマの文化や思想を復興し、新しい文化や思想が生まれた時代です。

ルネサンス期には、科学技術も大きく発展しました。天文学、数学、物理学などの分野で、新しい発見や理論が生まれました。

ニコラウス・コペルニクスは、地動説を提唱し、天文学に革命をもたらしました。ガリレオ・ガリレイは、望遠鏡を発明し、天体観測に大きな進歩をもたらしました。

ルネサンス期の科学技術
分野 人物 業績
天文学 ニコラウス・コペルニクス 地動説の提唱
天文学 ガリレオ・ガリレイ 望遠鏡の発明
数学 レオナルド・ダ・ヴィンチ 幾何学、解剖学などの研究
物理学 アイザック・ニュートン 万有引力の法則の発見

ジャンタール・マンタールとルネサンス

ジャンタール・マンタールは、ルネサンス期よりも後の時代に建設されましたが、ルネサンス期の科学技術の影響を受けていると考えられます。

ジャイ・シング2世は、ヨーロッパの天文学書を収集し、他の天文台も参考にしながら、ジャンタール・マンタールを建設しました。

ジャンタール・マンタールは、ルネサンス期の科学技術を基盤に、インド独自の技術を取り入れた、革新的な天文台と言えるでしょう。

ルネサンスと東洋の科学技術

ルネサンス期は、ヨーロッパにおいて、科学技術が大きく発展した時代ですが、東洋においても、独自の科学技術が発展していました。

中国では、印刷術や火薬、羅針盤などが発明されました。イスラム世界では、数学や天文学、医学などが発展しました。

ルネサンス期は、ヨーロッパ中心の視点から、世界全体の科学技術の発展を捉えることが重要です。

東洋の科学技術
地域 分野 発明
中国 印刷術 活版印刷
中国 火薬 火薬の発明
中国 羅針盤 羅針盤の発明
イスラム世界 数学 アラビア数字の発明
イスラム世界 天文学 天体観測の進歩
イスラム世界 医学 医学の発展

まとめ

ジャンタール・マンタールは、ルネサンス期よりも後の時代に建設されましたが、ルネサンス期の科学技術の影響を受けていると考えられます。

ジャイ・シング2世は、ヨーロッパの天文学書を収集し、他の天文台も参考にしながら、ジャンタール・マンタールを建設しました。

ジャンタール・マンタールは、ルネサンス期の科学技術を基盤に、インド独自の技術を取り入れた、革新的な天文台と言えるでしょう。

6. ジャンタールマンタールの観光スポットと見どころ

要約

ジャンタール・マンタールの見どころ

ジャンタール・マンタールは、巨大な石造りの観測機器が立ち並ぶ、壮大な天文台です。

サムラート・ヤントラは、高さ27mの日時計で、ジャンタール・マンタールの象徴的な存在です。

ラーシ・ヴァラヤ・ヤントラは、12個並んだ観測儀で、星座を観測するために使用されました。

ダクシノー・ヴリッティ・ヤントラは、太陽高度や赤緯を観測する機器です。

ジャンタール・マンタールの見どころ
観測機器 特徴
サムラート・ヤントラ 高さ27mの日時計
ラーシ・ヴァラヤ・ヤントラ 12個並んだ星座観測儀
ダクシノー・ヴリッティ・ヤントラ 太陽高度や赤緯を観測する機器

ジャンタール・マンタールの楽しみ方

ジャンタール・マンタールでは、巨大な観測機器を間近に見ることができ、当時の天文学の技術力を感じることができます。

自分の星座の観測儀を探したり、観測機器の前で記念写真を撮ったりするのもおすすめです。

ジャンタール・マンタールは、シティ・パレスの近くにあるので、一緒に観光するのも良いでしょう。

ジャンタール・マンタールへのアクセス

ジャンタール・マンタールは、ジャイプールの市街地にあります。

ジャイプール駅からは、オートリキシャやタクシーで約4kmです。

ジャイプール駅からは、地下鉄で2駅(?)のチャンドポール(Chandpole)駅まで行くとジャンタール・マンタールまでは2kmぐらいです。

ジャンタール・マンタールへのアクセス
交通手段 所要時間
オートリキシャ ジャイプール駅より約4km
タクシー ジャイプール駅より約4km
地下鉄 ジャイプール駅より2駅(?)のチャンドポール駅まで、そこから徒歩2km

まとめ

ジャンタール・マンタールは、巨大な石造りの観測機器が立ち並ぶ、壮大な天文台です。

ジャンタール・マンタールは、ジャイプールの市街地にあるので、アクセスしやすいです。

ジャンタール・マンタールは、シティ・パレスの近くにあるので、一緒に観光するのも良いでしょう。

参考文献

ジャンタル・マンタル – Wikipedia

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