ルート砂漠とは?世界遺産についての解説

ルート砂漠の概要
項目 内容
位置 イラン東部、ケルマーン州
面積 17万5000km²
最高気温 70.7℃
特徴 ヤルダン地形、砂丘、ネブカ
生物 高温のためほとんど生息していない
歴史 紀元前3000年期から文明が存在
世界遺産登録 2016年
アクセス ケルマーン州のシャフダードから
登録基準 登録基準(vii)手つかずの自然、登録基準(viii)変化し続ける砂漠地形

1. ルート砂漠の地理と気候

要約

ルート砂漠の位置と規模

ルート砂漠はイラン東部、ケルマーン州に位置する大砂漠で、長さ480km、幅320km、総面積は17万5000km²にも及び、イランの総面積のおよそ10%を占めています。この砂漠は、周囲を山に囲まれており、湿気のある風を山が遮るため、砂漠は太陽の熱を吸収し、最高気温70.7℃を記録したこともあります。

ルート砂漠は、東のナフバンダーンと西のナーイバンドの2つの断層の間に位置しています。北から南にかけてはおよそ900キロ、西から東には、およそ300キロあります。ルート砂漠で最も標高の低い場所は、海抜190メートルです。

ルート砂漠は、イランの領土の広大な範囲を砂漠に覆われている、世界でも数少ない国のひとつです。イランの領土のおよそ65%が、砂漠性の条件を持つ乾燥地帯となっています。この現象は、緯度の関係によって生じています。この緯度では、水の蒸発量が、降雨量を上回っているため、乾燥が進みます。

ルート砂漠の規模
項目 内容
長さ 480km
320km
面積 17万5000km²
イランの総面積に占める割合 約10%

ルート砂漠の地形

ルート砂漠は、岩石が多く、壮大な礫砂漠や砂海が存在することに加えて、風雨などによって地面の柔らかい部分が侵食され、堅い岩部分が小山または堆積物のように数多く残るヤルダン(もしくはカルト)地形であることが挙げられます。このヤルダン地形は、毎年6月から10月にかけて吹く北北西の風により風食されてできたもので、宇宙からも観測できるそうです。

特にこの砂漠の西側に見られる、こうした風食により形成された天然の砂柱は、ペルシャ語ではキャルートという名称で知られ、これが多数連なって他にはない不思議な世界を生み出しています。

ルート砂漠は塩砂漠であることから、その土壌に含まれる塩分が白く見える区域もあります。

ルート砂漠の地形
地形 説明
ヤルダン 風食によってできた畝状のくぼみ
キャルート 風食によってできた天然の砂柱
砂丘 高さ300mから500mに達する砂丘
塩原 塩分を含む土壌が白く見える区域

ルート砂漠の気候

ルート砂漠は、地球上で最も暑い場所の一つとされ、最高気温は70.7℃を記録したことがあります。この高温は、砂漠の表面が太陽の熱を吸収しやすく、乾燥していることが原因です。

ルート砂漠は、年間降水量が非常に少なく、ほとんど雨が降りません。そのため、植物はほとんど生えていません。

ルート砂漠は、年間を通して乾燥した気候ですが、季節によって気温の変化が大きいです。夏は非常に暑く、冬は寒くなります。

ルート砂漠の気候
項目 内容
年間降水量 非常に少ない
最高気温 70.7℃
気温の特徴 季節によって変化が大きい

まとめ

ルート砂漠は、イラン東部に位置する広大な砂漠で、その過酷な環境から生物はほとんど生息していません。しかし、その一方で、ヤルダンやキャルートなど、独特の地形や自然現象が見られることから、世界遺産に登録されました。

ルート砂漠は、地球上で最も暑い場所の一つであり、その高温は、砂漠の表面が太陽の熱を吸収しやすく、乾燥していることが原因です。

ルート砂漠は、年間を通して乾燥した気候ですが、季節によって気温の変化が大きいです。夏は非常に暑く、冬は寒くなります。

2. ルート砂漠に生息する植物と動物

要約

ルート砂漠の厳しい環境

ルート砂漠は、太陽の灼熱が砂に吸収され、非常に高温となることや、塩分を含む塩漠であることから、植生をはじめとする生物はほぼ存在しないと見られています。

しかしながら、東側の一部地域には高温や水のない状態への耐久性の高い生物が少数ながら生息しています。

ルート砂漠は、年間降水量が非常に少なく、ほとんど雨が降りません。そのため、植物はほとんど生えていません。

ルート砂漠に生息する動物

ルート砂漠に生息する動物としては、ヘビ、腐肉を食べる鳥、スナネズミ、トビネズミ、キツネ、スナネコ、アガマと呼ばれる爬虫類トカゲ属の生物などがあります。

また、およそ数十種類の鳥類も生存しているとされています。特に代表的なものは、渡り鳥の一種・イランサバクガラス(英名:Pleske’s Ground Jay 学名:Podoces pleskeiです。これはスズメ目カラス科に属し、イランの固有種とされています。

これらの鳥類は主に虫を捕食して水分を補給しているということです。

ルート砂漠に生息する動物
動物 説明
ヘビ 高温や水のない状態に強い
腐肉を食べる鳥 高温や水のない状態に強い
スナネズミ 高温や水のない状態に強い
トビネズミ 高温や水のない状態に強い
キツネ 高温や水のない状態に強い
スナネコ 高温や水のない状態に強い
アガマ 高温や水のない状態に強い
イランサバクガラス イランの固有種

ルート砂漠に生息する植物

ルート砂漠は、原則的に植物はほとんど生えていませんが、東側の一部の区域の砂丘などでは季節的な降雨がみられるため、低木などわずかな植物が自生します。

こうした季節的な降雨により、この砂漠に見られるもう1つの大きな特徴として、樹木の周囲に砂丘が形成されたネブカと呼ばれる地形を挙げることができます。

ネブカとは、風食、その地域の湿気、植生の相互作用により生じた一種の小型地形のようなものです。つまり、風による浸食や移動の経路が植生により遮断され、その結果として植物の根元に砂が蓄積し、時間の経過とともに植物を冠として頭部に頂いたような土砂の小山を指します。

ネブカ
項目 内容
形成原因 風食、湿気、植生の相互作用
形状 植物の大きさや密度、成長の度合いに左右される
構成要素 砂、シルト、粘土
高さ 最大10m

まとめ

ルート砂漠は、過酷な環境のため、生物はほとんど生息していません。しかし、東側の一部地域には、高温や水のない状態への耐久性の高い生物が少数ながら生息しています。

ルート砂漠に生息する動物としては、ヘビ、腐肉を食べる鳥、スナネズミ、トビネズミ、キツネ、スナネコ、アガマと呼ばれる爬虫類トカゲ属の生物などがあります。

ルート砂漠に生息する植物としては、低木などわずかな植物が自生しています。また、樹木の周囲に砂丘が形成されたネブカと呼ばれる地形も見られます。

3. ルート砂漠の歴史と文化

要約

ルート砂漠の文明の歴史

ルート砂漠の文明の歴史は、紀元前3000年期にさかのぼります。この地域で発見されたおよそ3000点の文化財や遺物は、この地域の5000年の歴史を物語っています。

この地域には、城砦、隊商宿、貯水池、類まれなる自然などの何十もの歴史的な遺物が残っています。

ルート砂漠で最も人口が多い地域は、シャフダードです。また、最も美しく緑が豊かな景観を持つのは、スィールチと呼ばれる渓谷とその一体の住宅地です。

ルート砂漠の文明の歴史
時代 内容
紀元前3000年期 文明が存在
現在 城砦、隊商宿、貯水池などの歴史的遺物が残る

ルート砂漠の文化

ルート砂漠は、イランとパキスタンの国境近くにあり、世界遺産の巨大な古代都市バムも近くにある。

ルート砂漠は、イラン南東部からパキスタンにかけて暮らしているバルーチー族の言葉で「草木のない裸で、一切のものがなく空で乾いていること」を意味しています。

ルート砂漠は、世界で最も灼熱の地点であり、フライパンを持参すればその場で卵焼きが焼けるそうです。

ルート砂漠の文化遺産

ルート砂漠は、世界遺産に登録された巨大な古代都市バムの近くにあります。

ルート砂漠には、城砦、隊商宿、貯水池、類まれなる自然などの何十もの歴史的な遺物が残っています。

ルート砂漠は、地理的に、北ルート、中央ルート、南ルートの3つの部分に分けられます。南ルートは、この砂漠の中でも最も植物が多い部分です。

まとめ

ルート砂漠は、長い歴史を持つ地域であり、古代の文明や文化が栄えてきました。

ルート砂漠には、城砦、隊商宿、貯水池、類まれなる自然などの何十もの歴史的な遺物が残っています。

ルート砂漠は、地理的に、北ルート、中央ルート、南ルートの3つの部分に分けられます。南ルートは、この砂漠の中でも最も植物が多い部分です。

4. ルート砂漠で見られる自然現象

要約

ヤルダン地形

ヤルダンとは、風食作用によって砂地などの表面にできる不規則な畝状のくぼみで、世界では、類まれなる現象として知られています。

これらのくぼみの壁に湿気を与える上で、塩水のシュール川が大きな役割を果たし、その風化を進めています。

この地域は、シャフダードと呼ばれる場所から43キロのところにあり、145キロかける80キロの範囲に広がっています。

ヤルダン地形
項目 内容
形成原因 風食作用
場所 シャフダードから43キロの場所
範囲 145キロかける80キロ
特徴 不規則な畝状のくぼみ

砂丘

ルート砂漠の東部には、およそ100キロかける50キロの範囲に砂丘が見られます。

これらの砂丘の高さが、500メートルに及ぶ場所もあります。

ルート砂漠は、世界で最も標高の高い砂のピラミッドも、ルート砂漠にあります。世界で確認されている最も高い砂のピラミッドは、最大で標高300メートル、リビアにありますが、ルートでは、高さが480メートルに達するピラミッドもあります。

砂丘
項目 内容
範囲 100キロかける50キロ
高さ 最大500メートル
特徴 赤茶色や灰色、黒の砂の丘や玄武岩が見られる

ネブカ

ルート砂漠は、原則的に植物はほとんど生えていませんが、東側の一部の区域の砂丘などでは季節的な降雨がみられるため、低木などわずかな植物が自生します。

こうした季節的な降雨により、この砂漠に見られるもう1つの大きな特徴として、樹木の周囲に砂丘が形成されたネブカと呼ばれる地形を挙げることができます。

ネブカとは、風食、その地域の湿気、植生の相互作用により生じた一種の小型地形のようなものです。つまり、風による浸食や移動の経路が植生により遮断され、その結果として植物の根元に砂が蓄積し、時間の経過とともに植物を冠として頭部に頂いたような土砂の小山を指します。

ネブカ
項目 内容
形成原因 風食、湿気、植生の相互作用
場所 ケルマーン州シャフダード郡
特徴 樹木の周囲に砂丘が形成された地形

まとめ

ルート砂漠は、ヤルダン、砂丘、ネブカなど、独特の地形や自然現象が見られることから、世界遺産に登録されました。

ヤルダンは、風食作用によって砂地などの表面にできる不規則な畝状のくぼみで、世界では、類まれなる現象として知られています。

ルート砂漠の東部には、およそ100キロかける50キロの範囲に砂丘が見られます。これらの砂丘の高さが、500メートルに及ぶ場所もあります。

5. ルート砂漠へのアクセス方法

要約

ルート砂漠へのアクセス

ルート砂漠は、イラン南東部のケルマーン州に位置し、ケルマーン州の北東に位置しています。

ルート砂漠へのアクセスは、ケルマーン州のシャフダードからが一般的です。

シャフダードには、空港があり、テヘランから飛行機で行くことができます。

ルート砂漠へのアクセス
場所 説明
ケルマーン州 ルート砂漠へのアクセス拠点
シャフダード ルート砂漠へのアクセス拠点
シャフダード空港 テヘランからの飛行機でアクセス可能

ルート砂漠の交通手段

シャフダードからルート砂漠へは、四輪駆動車やラクダなどの交通手段を利用することができます。

ルート砂漠は、広大で、道が整備されていない場所もあるため、四輪駆動車などの乗り物が必要となります。

また、ルート砂漠は、砂漠の最も驚くべき現象を持つ自然の象徴であり、世界で最も規模の大きな、土でできた町が存在し、遠くから見ると、大きな都市の廃墟のように見えます。

ルート砂漠の交通手段
交通手段 説明
四輪駆動車 砂漠の道が整備されていないため必要
ラクダ 砂漠の移動手段として利用可能
ツアー ルート砂漠の様々な場所を案内してくれる

ルート砂漠のツアー

ルート砂漠へのツアーは、イランの旅行会社が提供しています。

ツアーでは、ルート砂漠の様々な場所を案内してもらい、ヤルダンや砂丘などの自然現象を見学することができます。

また、ルート砂漠の周辺には、エコキャンプが設置されており、宿泊することができます。

まとめ

ルート砂漠へのアクセスは、ケルマーン州のシャフダードからが一般的です。

シャフダードには、空港があり、テヘランから飛行機で行くことができます。

シャフダードからルート砂漠へは、四輪駆動車やラクダなどの交通手段を利用することができます。

6. ルート砂漠が世界遺産に登録された理由

要約

ルート砂漠の価値

ルート砂漠は、世界遺産に登録されるための明確な基準を有していました。ユネスコの専門家でさえ、報告の中で、この点を指摘していました。

会合の際にも、ルート砂漠の映像は、参加していた全ての人を感嘆させました。

ルート砂漠は、イランで初めて世界遺産に登録された自然遺産であり、イランで21個目のユネスコ世界遺産となります。

ルート砂漠の登録基準

ルート砂漠は、世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました。

登録基準(vii)ルート砂漠は、印象的なヤルダンや砂丘など、途切れることのない変化が見られ、手つかずの自然が残るという点。

登録基準(viii)風化によって形成されるヤルダンや姿を変える砂丘が見られることから、ここは侵食と堆積により現在も変化し続ける砂漠地形であるということ。

ルート砂漠の世界遺産登録基準
基準 内容
登録基準(vii) 手つかずの自然が残る
登録基準(viii) 侵食と堆積により変化し続ける砂漠地形

ルート砂漠の登録の意義

ルート砂漠は、イランで初めて世界遺産に登録された自然遺産であり、イランで21個目のユネスコ世界遺産となります。

ルート砂漠の登録は、イランの自然遺産の価値を世界に認めさせただけでなく、イランの観光業の発展にも貢献するでしょう。

ルート砂漠は、地球上で最も過酷な環境の一つであり、その一方で、ヤルダンや砂丘など、独特の地形や自然現象が見られることから、世界遺産に登録されました。

まとめ

ルート砂漠は、世界遺産登録基準のうち、印象的なヤルダンや砂丘など、途切れることのない変化が見られ、手つかずの自然が残るという点、風化によって形成されるヤルダンや姿を変える砂丘が見られることから、ここは侵食と堆積により現在も変化し続ける砂漠地形であるという点で評価され、世界遺産に登録されました。

ルート砂漠の登録は、イランの自然遺産の価値を世界に認めさせただけでなく、イランの観光業の発展にも貢献するでしょう。

ルート砂漠は、地球上で最も過酷な環境の一つであり、その一方で、ヤルダンや砂丘など、独特の地形や自然現象が見られることから、世界遺産に登録されました。

参考文献

ルート砂漠 – Wikipedia

ルート砂漠 | イラン | 世界遺産オンラインガイド

イランの世界遺産「ルート砂漠」とは?世界遺産マニアが解説

ルート砂漠 – 世界遺産を学ぶ

表面温度80℃の地球一暑い砂漠で、新たな「純白の甲殻類」が …

ルート砂漠 | アジア, イラン | 世界遺産ガイド

ルート砂漠(ルートさばく)とは? 意味や使い方 – コトバンク

ルート砂漠 – ルート砂漠の概要 – わかりやすく解説 Weblio辞書

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