項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 複数の株式を1株にまとめることで、発行済株式数を減らすこと |
目的 | 株価調整、管理コスト削減、スクイーズアウトなど |
手順 | 取締役会決議、株主総会決議、効力発生日 |
影響 | 株主:保有株式数減少、単元未満株発生、議決権制限 企業:管理コスト削減、経営安定化、株価変動 市場:流動性低下、投資意欲低下 |
メリット | 管理コスト削減、株価上昇、経営安定化 |
デメリット | 株主の権利制限、株価下落、株主とのトラブル |
株価動向 | 業績、市場状況、投資家の心理などによって左右される。一般的には下落傾向 |
1. 株式併合とは?
株式併合の定義
株式併合とは、複数の株式を1株に統合することで、発行済株式数を減らすことを指します。例えば、100株を10株にまとめる場合、発行済株式数は10分の1の10株になります。株式併合は、株式分割の逆の操作といえます。株式分割は、1株を複数株に分割することで、株価を下げて投資家の参入障壁を下げることを目的とするのに対し、株式併合は、複数の株を1株にまとめることで、株価を引き上げ、投資家の参入障壁を高めることを目的とする場合が多いです。
株式併合は、企業が経営戦略の一環として行うものであり、株主の保有する株式の価値そのものは変化しません。これは、株式併合によって株価が上昇する一方で、保有する株式数が減少するため、資産価値は変わらないからです。例えば、1株100円の株式を10株保有している場合、株式併合によって1株1
ただし、株式併合によって、単元未満株や端株が発生することがあります。単元未満株とは、100株未満の株式を指し、端株とは、1株未満の株式を指します。単元未満株や端株は、市場で売買することができないため、株主にとっては不利益となる可能性があります。
株式併合は、株主総会の特別決議によって行われます。これは、株式併合によって株主の権利が制限される可能性があるため、株主の同意を得る必要があるからです。
企業 | 併合比率 | 併合前株価 | 併合後株価 |
---|---|---|---|
みずほFG | 10:1 | 120円 | 1,200円 |
シャープ | 10:1 | 500円 | 5,000円 |
株式併合の例
例えば、みずほフィナンシャルグループ(8411)は、2020年10月1日に10株を1株に株式併合を行いました。この株式併合によって、株価は10倍になりました。しかし、株主の保有する資産価値は、株式併合の前後で変化していません。
また、シャープ<6753>は、2017年9月27日に10株を1株に株式併合を行いました。この株式併合は、東京証券取引所が推奨する投資単位を調整するために行われました。
このように、株式併合は、企業の経営戦略によってさまざまな目的で行われています。
株式併合と株式分割
株式併合は、複数の株式を1株にまとめることで、発行済株式数を減らすことを目的とする一方、株式分割は、1株を複数株に分割することで、発行済株式数を増やすことを目的とします。株式併合は、株価を引き上げ、投資家の参入障壁を高めることを目的とするのに対し、株式分割は、株価を下げて投資家の参入障壁を下げることを目的とする場合が多いです。
株式併合と株式分割は、どちらも企業の経営戦略によって行われるものであり、株主の保有する株式の価値そのものは変化しません。
ただし、株式併合と株式分割は、株主への影響が異なります。株式併合は、単元未満株や端株が発生する可能性があり、株主にとっては不利益となる可能性があります。一方、株式分割は、株主の保有する株式数が増加するため、株主にとっては有利となる可能性があります。
項目 | 株式併合 | 株式分割 |
---|---|---|
目的 | 株価上昇、投資家の参入障壁を高める | 株価下落、投資家の参入障壁を下げる |
株主への影響 | 単元未満株や端株が発生する可能性あり | 保有する株式数が増加する |
企業価値 | 変化なし | 変化なし |
まとめ
株式併合は、複数の株式を1株にまとめることで、発行済株式数を減らすことを指します。株式併合は、株価を引き上げ、投資家の参入障壁を高めることを目的とする場合が多いです。
株式併合は、企業の経営戦略によって行われるものであり、株主の保有する株式の価値そのものは変化しません。
ただし、株式併合によって、単元未満株や端株が発生することがあります。単元未満株や端株は、市場で売買することができないため、株主にとっては不利益となる可能性があります。
株式併合は、株主総会の特別決議によって行われます。
2. 株式併合の目的
株価の調整
株式併合の目的の一つとして、株価の調整があります。企業の業績が低迷している場合、株価が下落し、いわゆる「低位株」と呼ばれる状態になることがあります。低位株は、投資家からあまり良い印象を持たれず、投機の対象になりやすい傾向があります。
投機目的の取引は、企業にとって好ましいものではありません。なぜなら、投機目的の取引は、株価の変動が激しく、企業の経営に悪影響を及ぼす可能性があるからです。そのため、企業は株式併合によって株価を引き上げ、投機目的の取引を抑制しようとする場合があります。
また、東京証券取引所は、投資家の利便性を高めるために、売買単位を100株に統一することを推進しています。売買単位が100株に統一されると、100株未満の株式は売買することができなくなります。そのため、企業は、株式併合によって株価を引き上げ、100株の購入に必要な金額を調整する必要がある場合があります。
状況 | 目的 | 例 |
---|---|---|
株価が割安 | 株価を適正な水準に引き上げる | 企業の実績を反映した株価にする |
売買単位の変更 | 投資単位を適切な水準に調整する | 東京証券取引所の推奨する投資単位に合わせる |
管理コストの削減
株式併合のもう一つの目的として、管理コストの削減があります。企業は、株主に対して、株主総会への招集通知や配当金の支払い通知、株主優待などの情報を提供する必要があります。
株主の数が増えると、これらの管理コストも増加します。そのため、企業は、株式併合によって株主数を減らし、管理コストを削減しようとする場合があります。
特に、業績が低迷している企業にとっては、管理コストの削減は重要な課題です。株式併合によって管理コストを削減することで、企業は経営資源をより有効に活用することができます。
項目 | 例 |
---|---|
株主総会 | 招集通知の郵送、会場の手配 |
配当金 | 支払い通知の郵送 |
株主優待 | 優待券の郵送 |
スクイーズアウト
スクイーズアウトとは、少数株主を排除することを目的とした株式併合です。スクイーズアウトは、企業が経営の安定化を図ったり、事業承継をスムーズに進めたりするために用いられます。
スクイーズアウトを行う場合、企業は、株式併合によって少数株主の保有する株式数を1株未満に減らし、その端株を買い取ることで、少数株主を排除します。
スクイーズアウトは、株主の権利を制限する可能性があるため、株主総会の特別決議が必要となります。また、スクイーズアウトは、株主とのトラブルに発展する可能性もあるため、慎重に検討する必要があります。
状況 | 目的 | 例 |
---|---|---|
経営の安定化 | 経営の意思決定をスムーズにする | 少数株主の反対意見を排除する |
事業承継 | 事業承継をスムーズに進める | 事業承継者の持ち株比率を100%にする |
まとめ
株式併合は、株価の調整、管理コストの削減、スクイーズアウトなど、さまざまな目的で行われます。
株価の調整は、企業の業績が低迷している場合や、東京証券取引所の推奨する投資単位に合わせるために用いられます。
管理コストの削減は、株主数を減らすことで、株主総会への招集通知や配当金の支払い通知などの管理コストを削減するために用いられます。
スクイーズアウトは、少数株主を排除することで、経営の安定化を図ったり、事業承継をスムーズに進めたりするために用いられます。
3. 株式併合の手順
取締役会での決議
株式併合を行うには、まず取締役会で株式併合の実施を決定する必要があります。取締役会は、株式併合の目的、併合の割合、効力発生日などを決定します。
取締役会が株式併合の実施を決定したら、次に株主総会を開催する必要があります。株主総会では、株式併合について株主の同意を得る必要があります。
株主総会を開催する前に、株主に対して、株主総会で議決される事項などを記載した事前書面を備え置く必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 株式併合を行う理由 |
併合の割合 | 何株を1株にまとめるか |
効力発生日 | 株式併合が有効になる日付 |
端株の買取 | 端株が発生する場合の買取方法 |
株主総会での決議
株主総会では、株式併合について特別決議を行う必要があります。特別決議とは、議決権の過半数を持つ株主が出席し、そのうち3分の2以上から賛成票を獲得することです。
株主総会では、取締役は、株式併合の目的、併合の割合、効力発生日などを説明する必要があります。また、株式併合によって端株が発生する場合には、端株の買取について説明する必要があります。
株主総会で特別決議が成立すると、株式併合が正式に決定します。
項目 | 内容 |
---|---|
併合の割合 | 何株を1株にまとめるか |
効力発生日 | 株式併合が有効になる日付 |
種類株式発行会社の場合 | 併合する株式の種類 |
効力発生日における発行可能株式総数 | 株式併合後の発行可能株式総数 |
効力発生日
株式併合の効力発生日は、株主総会で決定されます。効力発生日には、株主の保有する株式数が併合の割合に応じて変更されます。
効力発生日以降、会社は、株式併合によって端株が発生した場合には、端株を買い取る必要があります。
また、会社は、株式併合の効力発生日から6か月間、株式併合に関する情報を記載した書面を本店に備え置く必要があります。
まとめ
株式併合は、取締役会での決議、株主総会での特別決議、効力発生日という手順で行われます。
取締役会では、株式併合の目的、併合の割合、効力発生日などを決定します。
株主総会では、株式併合について株主の同意を得る必要があります。
効力発生日には、株主の保有する株式数が併合の割合に応じて変更されます。
4. 株式併合の影響
株主への影響
株式併合は、株主の保有する株式数に影響を与えます。株式併合によって、保有する株式数が減少し、単元未満株や端株が発生することがあります。
単元未満株や端株は、市場で売買することができないため、株主にとっては不利益となる可能性があります。
また、株式併合によって、株主の議決権が制限される可能性があります。
項目 | 内容 |
---|---|
保有株式数 | 併合の割合に応じて減少 |
単元未満株 | 100株未満の株式となり、市場で売買できなくなる |
端株 | 1株未満の株式となり、市場で売買できなくなる |
議決権 | 単元未満株や端株は議決権を行使できない |
資産価値 | 理論上は変化しない |
企業への影響
株式併合は、企業の経営にも影響を与えます。株式併合によって、管理コストを削減したり、経営の安定化を図ったりすることができます。
しかし、株式併合は、株主とのトラブルに発展する可能性もあるため、慎重に検討する必要があります。
また、株式併合は、株価に影響を与える可能性があります。株式併合によって、株価が上昇することもあれば、下落することもあります。
項目 | 内容 |
---|---|
管理コスト | 株主数が減るため削減できる |
経営安定化 | 少数株主の排除により意思決定がスムーズになる |
株価 | 上昇する可能性もあれば、下落する可能性もある |
市場への影響
株式併合は、市場にも影響を与えます。株式併合によって、市場の流動性が低下する可能性があります。
また、株式併合は、投資家の心理に影響を与える可能性があります。株式併合によって、投資家の投資意欲が低下する可能性があります。
そのため、企業は、株式併合を行う際には、市場への影響を十分に考慮する必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
流動性 | 株主数が減るため低下する可能性がある |
投資意欲 | 企業の業績や経営状況によって左右される |
まとめ
株式併合は、株主、企業、市場にさまざまな影響を与えます。
株主にとっては、保有する株式数が減少し、単元未満株や端株が発生する可能性があります。
企業にとっては、管理コストを削減したり、経営の安定化を図ったりすることができます。
市場にとっては、流動性が低下したり、投資家の投資意欲が低下したりする可能性があります。
5. 株式併合のメリットとデメリット
メリット
株式併合は、企業にとってさまざまなメリットがあります。
まず、株式併合によって、管理コストを削減することができます。株主総会への招集通知や配当金の支払い通知などの管理コストは、株主の数が多いほど増加します。株式併合によって株主数を減らすことで、これらの管理コストを削減することができます。
また、株式併合によって、株価を引き上げることができます。株価が上昇すると、企業の資金調達がしやすくなります。
さらに、株式併合によって、経営の安定化を図ることができます。株式併合によって、少数株主を排除することで、経営の意思決定をスムーズに行うことができます。
項目 | 内容 |
---|---|
管理コスト削減 | 株主数が減るため、株主総会などの管理コストを削減できる |
株価上昇 | 投資家の参入障壁が高まるため、株価が上昇する可能性がある |
経営安定化 | 少数株主の排除により、経営の意思決定がスムーズになる |
デメリット
株式併合は、企業にとってさまざまなデメリットもあります。
まず、株式併合によって、株主の権利が制限される可能性があります。株式併合によって、単元未満株や端株が発生することがあります。単元未満株や端株は、市場で売買することができないため、株主にとっては不利益となる可能性があります。
また、株式併合によって、株価が下落する可能性があります。株式併合は、企業の業績が低迷している場合に行われることが多いです。そのため、株式併合によって、投資家の投資意欲が低下し、株価が下落する可能性があります。
さらに、株式併合は、株主とのトラブルに発展する可能性があります。株式併合は、株主の権利を制限する可能性があるため、株主とのトラブルに発展する可能性があります。
項目 | 内容 |
---|---|
株主の権利制限 | 単元未満株や端株が発生し、株主の権利が制限される可能性がある |
株価下落 | 企業の業績が低迷している場合、投資家の投資意欲が低下し、株価が下落する可能性がある |
株主とのトラブル | 株主の権利を制限するため、株主とのトラブルに発展する可能性がある |
メリットとデメリットの比較
株式併合は、企業にとってメリットとデメリットの両方があります。
メリットとしては、管理コストの削減、株価の引き上げ、経営の安定化などが挙げられます。
デメリットとしては、株主の権利の制限、株価の下落、株主とのトラブルなどが挙げられます。
企業は、株式併合を行う際には、メリットとデメリットを比較検討し、慎重に判断する必要があります。
まとめ
株式併合は、企業にとってメリットとデメリットの両方があります。
メリットとしては、管理コストの削減、株価の引き上げ、経営の安定化などが挙げられます。
デメリットとしては、株主の権利の制限、株価の下落、株主とのトラブルなどが挙げられます。
企業は、株式併合を行う際には、メリットとデメリットを比較検討し、慎重に判断する必要があります。
6. 株式併合と株価動向
株式併合と株価の関係
株式併合は、株価に影響を与える可能性があります。株式併合によって、株価が上昇することもあれば、下落することもあります。
株式併合によって株価が上昇するケースとしては、企業の業績が好調で、投資家の期待が高まっている場合が挙げられます。
一方、株式併合によって株価が下落するケースとしては、企業の業績が低迷している場合や、投資家の期待が低い場合が挙げられます。
株式併合後の株価動向
株式併合後の株価動向は、企業の業績、市場の状況、投資家の心理など、さまざまな要因によって左右されます。
一般的には、株式併合によって株価が上昇するケースは少なく、むしろ下落するケースが多いと言われています。
これは、株式併合は、企業が経営の安定化を図ったり、事業承継をスムーズに進めたりするために用いられることが多いからです。そのため、株式併合は、投資家にとって、企業の業績が低迷していることを示唆するシグナルと捉えられる場合があります。
株式併合と投資戦略
株式併合は、投資戦略にも影響を与えます。株式併合によって、投資家の投資意欲が低下する可能性があります。
そのため、投資家は、株式併合を行う企業の業績や経営状況を十分に調査し、投資判断を行う必要があります。
また、株式併合によって、株価が大きく変動する可能性があります。そのため、投資家は、株式併合を行う企業の株価動向に注意する必要があります。
まとめ
株式併合は、株価に影響を与える可能性があります。
株式併合によって、株価が上昇することもあれば、下落することもあります。
株式併合後の株価動向は、企業の業績、市場の状況、投資家の心理など、さまざまな要因によって左右されます。
投資家は、株式併合を行う企業の業績や経営状況を十分に調査し、投資判断を行う必要があります。
参考文献
・株式併合とは?メリットとデメリット、株価への影響について …
・複数株式を1つにまとめる「株式併合」の目的とは?注意点や手順 …
・【株式併合】を具体例で解説 「単元未満株」や「端株」の株主 …
・株式併合が急増中! その目的は? 株価と株主への影響は …
・株式併合の手続はどうしたらいい? 複雑なプロセスをわかり …