項目 | 内容 |
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利益配当請求権とは | 株式会社の株主が持つ権利の一つで、企業の利益の分配である配当を受け取ることができる権利 |
利益配当請求権の発生条件 | 会社が利益を上げていること、株主総会で配当を行うことが決議されていること、株主が株式を保有していること |
利益配当請求権の意義と役割 | 株主の企業業績への参加と利益分配の権利保障、企業の経営に対する株主の関心を高める役割、企業の資金調達手段、企業の信用力向上 |
利益配当請求権と株主の関係 | 株主は利益配当請求権を通じて企業の業績に直接的に関与し、配当収入を得ることができる。投資判断においても重要な要素となる |
利益配当請求権の法的根拠 | 会社法によって法的根拠が与えられており、会社は株主に対し剰余金の配当をすることができる。配当には分配可能額の制限があり、取締役は配当に関する責任を負う |
利益配当請求権の実務上の注意点 | 配当は株主総会で決定され、決算期末の権利確定日までに株式を保有している必要がある。配当は課税対象となるが、NISA口座で投資している場合は非課税となる |
1. 利益配当請求権とは
利益配当請求権とは何か
利益配当請求権とは、株式会社の株主が持つ権利の一つであり、企業の利益の分配である配当を受け取ることができる権利です。日本においては、会社法105条1項1号に規定がある(「剰余金の配当を受ける権利」)。企業が必ず配当を出さなければならないわけではなく、利益が無い場合や、あっても内部留保を厚くしたいとの経営判断により、無配になることもあります(会社法461条などを参照)。配当の有無や金額は一定の要件を充たす場合(459条など)を除き、株主総会の決議によって決定されます(452条)。
また、この権利により、株式には企業の利潤の価値が付与されているとみなすことができ、株券が発行されている場合、株券は利潤証券であると考えられています。
項目 | 内容 |
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定義 | 株式会社の株主が持つ権利の一つで、企業の利益の分配である配当を受け取ることができる権利 |
法的根拠 | 会社法105条1項1号(剰余金の配当を受ける権利) |
配当の決定 | 原則として株主総会の決議によって決定 |
株券 | 利潤証券とみなされる |
利益配当請求権の例
例えば、A社が1株あたり100円の配当を行うと決議した場合、A社の株式を10株保有している株主は、1
利益配当請求権と株主総会
利益配当請求権は、株主総会において議決されます。会社の利益から配当金を支払う場合、株主総会でその内容が決定され、株主に配当金が支払われることになります。
まとめ
利益配当請求権は、株主が持つ重要な権利の一つであり、企業の利益の一部を分配してもらう権利です。
配当は、企業の業績や経営判断によって決まるため、必ずしも受け取れるとは限りません。
しかし、配当を受け取れる可能性があることは、株式投資の魅力の一つと言えるでしょう。
2. 利益配当請求権の発生条件
利益配当請求権が発生する条件
利益配当請求権が発生するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
まず、会社が利益を上げている必要があります。会社が赤字の場合や、利益があっても内部留保に回す場合は、配当は行われません。
次に、株主総会で配当を行うことが決議される必要があります。株主総会は、会社の意思決定機関であり、配当を行うかどうかを決定します。
最後に、株主が株式を保有している必要があります。株式を保有していない場合は、配当を受ける権利はありません。
項目 | 内容 |
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利益 | 会社が利益を上げていること |
株主総会 | 株主総会で配当を行うことが決議されていること |
株式保有 | 株主が株式を保有していること |
配当の決定方法
配当の金額や方法は、株主総会で決定されます。
株主総会では、取締役会が提案した配当案について、株主が投票を行い、過半数の賛成を得た配当案が可決されます。
配当は、通常は現金で支払われますが、株式で支払われる場合もあります。
項目 | 内容 |
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決定機関 | 株主総会 |
決定方法 | 取締役会が提案した配当案について、株主が投票を行い、過半数の賛成を得た配当案が可決 |
支払い方法 | 通常は現金で支払われるが、株式で支払われる場合もある |
配当の時期
配当は、通常は決算期末に支払われます。
決算期末は、会社によって異なりますが、多くの会社は3月決算です。
決算期末に配当が支払われる場合、配当を受け取るためには、決算期末の権利確定日までに株式を保有している必要があります。
項目 | 内容 |
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通常 | 決算期末に支払われる |
権利確定日 | 決算期末の権利確定日までに株式を保有している必要がある |
まとめ
利益配当請求権が発生するためには、会社が利益を上げていること、株主総会で配当を行うことが決議されていること、そして株主が株式を保有していることが必要です。
配当の金額や方法は、株主総会で決定され、通常は決算期末に支払われます。
配当を受け取るためには、決算期末の権利確定日までに株式を保有している必要があります。
3. 利益配当請求権の意義と役割
利益配当請求権の意義
利益配当請求権は、株主にとって、企業の業績に対する参加と利益分配の権利を保障するものです。
企業が利益を上げれば、株主は配当を受け取ることができます。これは、株主が企業の成長に貢献した対価として、利益を分配してもらう権利と言えるでしょう。
また、利益配当請求権は、企業の経営に対する株主の関心を高める役割も担っています。
株主は、配当を受け取るために、企業の業績や経営状況を注視するようになり、企業の健全な成長を促す効果も期待できます。
項目 | 内容 |
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企業業績への参加 | 企業の業績に対する参加と利益分配の権利を保障 |
利益分配 | 企業が利益を上げれば、株主は配当を受け取ることができる |
経営への関心 | 企業の業績や経営状況を注視するようになり、企業の健全な成長を促す効果も期待できる |
利益配当請求権の役割
利益配当請求権は、企業の資金調達手段としても重要な役割を果たしています。
企業は、配当を行うことで、株主からの資金調達を容易にすることができます。
また、配当は、企業の信用力を高める効果もあります。
配当を安定的に行うことで、企業は投資家からの信頼を得ることができ、資金調達を円滑に行うことができます。
項目 | 内容 |
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資金調達 | 株主からの資金調達を容易にする |
信用力 | 企業の信用力を高める効果 |
安定的な配当 | 投資家からの信頼を得ることができ、資金調達を円滑に行うことができる |
利益配当請求権と株価
利益配当請求権は、株価にも影響を与えます。
企業が安定的に配当を行うことで、株価は上昇する傾向があります。
これは、配当が株主にとって魅力的な投資収益源となるためです。
逆に、配当が減少したり、無配になったりすると、株価は下落する可能性があります。
項目 | 内容 |
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安定的な配当 | 株価は上昇する傾向がある |
配当減少・無配 | 株価は下落する可能性がある |
まとめ
利益配当請求権は、株主にとって、企業の業績に対する参加と利益分配の権利を保障するものであり、企業の経営に対する株主の関心を高める役割を担っています。
また、企業の資金調達手段としても重要な役割を果たし、企業の信用力を高める効果もあります。
利益配当請求権は、株価にも影響を与え、安定的な配当は株価の上昇に繋がる可能性があります。
4. 利益配当請求権と株主の関係
株主と利益配当請求権
株主は、利益配当請求権を通じて、企業の業績に直接的に関与することができます。
配当は、企業の利益の一部を株主に分配するものであり、株主は配当を受け取ることで、企業の業績に対する貢献を直接的に実感することができます。
また、配当は、株主にとって重要な収入源となる可能性があります。
特に、長期投資を行う場合は、配当収入は安定的な収入源となり、投資戦略を立てる上で重要な要素となります。
項目 | 内容 |
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業績への関与 | 企業の業績に直接的に関与することができる |
収入源 | 配当収入は安定的な収入源となる可能性がある |
投資戦略 | 長期投資を行う場合は、配当収入は投資戦略を立てる上で重要な要素となる |
利益配当請求権と投資判断
投資家は、利益配当請求権を考慮して、投資判断を行うことがあります。
配当が多い企業は、株主に対して利益還元を重視していると考えられ、安定的な収益が見込める企業として評価されることがあります。
逆に、配当が少ない企業は、利益を内部留保に回して将来の成長に投資していると考えられ、成長性が高い企業として評価されることがあります。
投資家は、企業の業績や将来性、そして配当政策などを総合的に判断して、投資を行うかどうかを決定します。
項目 | 内容 |
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配当が多い企業 | 株主に対して利益還元を重視していると考えられ、安定的な収益が見込める企業として評価されることがある |
配当が少ない企業 | 利益を内部留保に回して将来の成長に投資していると考えられ、成長性が高い企業として評価されることがある |
利益配当請求権と株主の権利
利益配当請求権は、株主が持つ多くの権利の一つです。
株主は、利益配当請求権以外にも、議決権、情報公開請求権、取締役の解任請求権など、様々な権利を持っています。
これらの権利を行使することで、株主は企業の経営に積極的に関与することができます。
項目 | 内容 |
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権利 | 議決権、情報公開請求権、取締役の解任請求権など、様々な権利を持つ |
経営への関与 | これらの権利を行使することで、企業の経営に積極的に関与することができる |
まとめ
利益配当請求権は、株主と企業の関係において重要な役割を果たしています。
株主は、利益配当請求権を通じて、企業の業績に直接的に関与し、配当収入を得ることができます。
また、利益配当請求権は、投資判断を行う上でも重要な要素であり、企業の将来性や成長性を評価する上で役立ちます。
5. 利益配当請求権の法的根拠
会社法における利益配当請求権
利益配当請求権は、会社法によって法的根拠が与えられています。
会社法では、株式会社は、その株主に対し、剰余金の配当をすることができます(会社法第453条)。
剰余金とは、会社の利益から、資本金や準備金などを差し引いた残りの金額のことです。
会社法は、剰余金の配当に関する手続きや要件、制限などを定めています。
項目 | 内容 |
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法的根拠 | 会社法によって法的根拠が与えられている |
剰余金の配当 | 株式会社は、その株主に対し、剰余金の配当をすることができる(会社法第453条) |
剰余金 | 会社の利益から、資本金や準備金などを差し引いた残りの金額 |
会社法 | 剰余金の配当に関する手続きや要件、制限などを定めている |
配当の制限
会社法では、配当を行うことができる金額に制限が設けられています。
配当を行うことができる金額は、分配可能額と呼ばれ、会社法第461条に規定されています。
分配可能額は、会社の財務状況や経営状況などを考慮して算出されます。
会社は、分配可能額を超えて配当を行うことはできません。
項目 | 内容 |
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分配可能額 | 配当を行うことができる金額に制限が設けられている |
会社法第461条 | 分配可能額は、会社法第461条に規定されている |
算出 | 会社の財務状況や経営状況などを考慮して算出される |
制限 | 会社は、分配可能額を超えて配当を行うことはできない |
配当に関する取締役の責任
取締役は、会社法に基づいて、配当に関する責任を負います。
取締役は、分配可能額を超えて配当を行った場合、会社に対して連帯してその金額を支払う義務を負います。
また、取締役は、配当に関する職務を行う際に、注意義務を怠った場合にも責任を負うことがあります。
項目 | 内容 |
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責任 | 取締役は、会社法に基づいて、配当に関する責任を負う |
分配可能額超過 | 分配可能額を超えて配当を行った場合、会社に対して連帯してその金額を支払う義務を負う |
注意義務 | 取締役は、配当に関する職務を行う際に、注意義務を怠った場合にも責任を負うことがある |
まとめ
利益配当請求権は、会社法によって法的根拠が与えられており、会社は、その株主に対し、剰余金の配当をすることができます。
配当を行うことができる金額には制限があり、分配可能額を超えて配当を行うことはできません。
取締役は、配当に関する責任を負い、分配可能額を超えて配当を行った場合や、注意義務を怠った場合に責任を負うことがあります。
6. 利益配当請求権の実務上の注意点
配当の決定と株主総会
配当の決定は、原則として株主総会で行われます。
株主総会では、取締役会が提案した配当案について、株主が投票を行い、過半数の賛成を得た配当案が可決されます。
ただし、会社法では、一定の条件を満たす会社においては、取締役会が配当を決定することができる旨を定款に定めることができます。
この場合、株主総会は、配当の決定権限を取締役会に委任することになります。
項目 | 内容 |
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決定機関 | 原則として株主総会で行われる |
取締役会 | 一定の条件を満たす会社においては、取締役会が配当を決定することができる旨を定款に定めることができる |
委任 | 取締役会が配当を決定できる場合、株主総会は、配当の決定権限を取締役会に委任することになる |
配当の受け取り
配当は、通常は現金で支払われますが、株式で支払われる場合もあります。
配当を受け取るためには、決算期末の権利確定日までに株式を保有している必要があります。
配当金の受け取り方は、証券会社によって異なります。
証券会社によっては、配当金を自動的に口座に振り込むサービスを提供しているところもあります。
項目 | 内容 |
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支払い方法 | 通常は現金で支払われるが、株式で支払われる場合もある |
権利確定日 | 決算期末の権利確定日までに株式を保有している必要がある |
証券会社 | 証券会社によって配当金の受け取り方が異なる |
自動振込 | 証券会社によっては、配当金を自動的に口座に振り込むサービスを提供しているところもある |
配当に関する税金
配当は、課税対象となります。
配当を受け取った場合、配当所得として、所得税と住民税が課税されます。
配当所得の税率は、20.315%です。
ただし、NISA口座で投資している場合は、配当金は非課税となります。
項目 | 内容 |
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課税対象 | 配当は、課税対象となる |
所得税 | 配当を受け取った場合、配当所得として、所得税と住民税が課税される |
税率 | 配当所得の税率は、20.315% |
NISA口座 | NISA口座で投資している場合は、配当金は非課税となる |
まとめ
利益配当請求権の実務上、注意すべき点は、配当の決定、受け取り、税金などがあります。
配当は、株主総会で決定され、決算期末の権利確定日までに株式を保有している必要があります。
配当は課税対象となりますが、NISA口座で投資している場合は、非課税となります。
参考文献
・株式の利益配当請求権について知っておくべきこと | sasa-dango
・わかりやすい用語集 解説:利益配当請求権(りえきはいとう …
・利益配当請求権とは?株式用語解説 – お客様サポート – Dmm 株
・利益配当請求権(りえきはいとうせいきゅうけん) | 証券用語集 …
・株主になるとどんな権利があるの?|投資の時間|日本証券業協会
・株式投資における【 利益配当請求権とは 】分かりやすく解説
・株式会社が株主総会の決議によって剰余金を配当するときの …
・株主の権利にはどのようなものがあるか – 株式会社の機関運営 …
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