人事院勧告とは?経済用語について説明

人事院勧告の全体像
項目	内容
対象者	国家公務員の一般職のうち「給与法の適用を受ける職員」
目的	国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させる
時期	例年8月
実施主体	人事院
勧告先	国会、内閣
影響	国家公務員の給与、勤務時間、その他の勤務条件に影響
関連法	国家公務員法、給与法、勤務時間法など

1. 人事院勧告とは？

人事院勧告の概要

人事院勧告とは、人事院が国会や内閣に対して行う国家公務員の給与に対する勧告のことです。国家公務員の給与を民間企業従業員の給与水準を考慮し、勧告をします。民間企業の景気が良く給与が高ければ、公務員の給与も高く、民間企業の景気が悪く給与が低ければ、公務員給与も低く、勧告をする傾向にあります。人事院勧告は、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させることを目的としています。

人事院は、国家公務員法に基づいて設置された独立行政機関であり、国家公務員の人事行政全般を所管しています。人事院勧告は、人事院が持つ重要な権限の一つであり、国家公務員の給与や勤務条件などの待遇改善を目的としています。

人事院勧告は、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させることを目的としています。そのため、人事院は毎年、民間企業の給与水準を調査し、その結果を基に国家公務員の給与水準を検討します。

人事院勧告は、国会や内閣に対して行われるため、法律に基づいて実施されます。人事院は、勧告の内容を盛り込んだ法案を国会に提出します。国会で法案が可決されると、国家公務員の給与が改定されます。

人事院勧告の概要
項目	内容
定義	人事院が国会や内閣に対して行う国家公務員の給与に対する勧告
目的	国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させる
実施主体	人事院
勧告先	国会、内閣
影響	国家公務員の給与水準に影響
実施時期	例年8月

人事院勧告の対象者

人事院勧告の対象者は、国家公務員の一般職のうち「給与法の適用を受ける職員」です。給与法の適用を受ける職員は、一般行政職員、外交官、税務署職員、刑務官、海上保安官、医師、看護師など、様々な職種が含まれます。

人事院の報告によると、給与法の適用を受ける職員の数は約28.1万人です。国家公務員は約58.9万人、地方公務員は約275.8万人なので、人事院勧告の対象者は公務員全体のうち約8％です。

人事院勧告の対象者
対象者	国家公務員の一般職のうち「給与法の適用を受ける職員」
職種例	一般行政職員、外交官、税務署職員、刑務官、海上保安官、医師、看護師など
対象者数	約28.1万人（公務員全体の約8％）

人事院勧告の時期

人事院勧告は、例年8月に出されています。令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、例年より遅らせて10月に2回行われました。

国家公務員法において、人事院は毎年少なくとも1回、国家公務員の給与水準が適当であるかどうか国会及び内閣に報告しなければならないと定めています。

人事院勧告の時期
時期	例年8月
令和2年度	新型コロナウイルス感染症の影響で10月に2回実施

まとめ

人事院勧告は、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させることを目的とした、人事院が国会や内閣に対して行う勧告です。人事院は、毎年、民間企業の給与水準を調査し、その結果を基に国家公務員の給与水準を検討します。

2. 人事院勧告の意義とは？

労働基本権制約の代償措置

国家公務員は、その地位の特殊性と職務の公共性から、協約締結権やストライキ権が否定されているなど労働基本権の制約を受けているため、民間企業の従業員のように使用者との交渉によって給与や勤務時間を決めることができません。

このため、人事院勧告という仕組みを作り、給与改定について国会と内閣に同時に勧告を行い、それに基づいて国家公務員の給与が改定される、ということになっています。

人事院勧告は、国家公務員の労働基本権制約の代償措置として位置付けられています。つまり、国家公務員は労働基本権の一部を制限されている代わりに、人事院勧告によって、給与や勤務条件などの待遇改善を求めることができるのです。

労働基本権制約の代償措置
項目	内容
労働基本権	国家公務員は、協約締結権やストライキ権が制限されている
代償措置	人事院勧告は、労働基本権制約の代償措置として位置付けられている
目的	国家公務員の給与や勤務条件などの待遇改善を求めることができる

日本の賃金決定機構における機能

人事院勧告は、国家公務員の一般職非現業職員の給与を対象とするが、公務員の給与法制上、公共部門全体の給与水準がこれに連動し、また一部の民間給与にも逆作用するため、日本の賃金決定機構において重要な機能を持っている。

高度経済成長期にあっては、春闘相場の設定自体に大きな影響を及ぼすこともあった。

日本の賃金決定機構における機能
項目	内容
影響範囲	国家公務員、地方公務員、特別職の公務員、行政執行法人、独立行政法人、国立大学法人などの給与に影響
役割	日本の賃金決定機構において重要な機能を持つ
高度経済成長期	春闘相場の設定に大きな影響を与えていた

公務員給与への影響

人事院の給与勧告は公務員全体の給与水準に対する強い影響力を持っている。

人事院の給与勧告が直接対象とする国家公務員は給与法、任期付職員法、任期付研究員法の適用職員（2009年1月15日現在、292405人）である。また他の公務員給与法により大臣、裁判官、裁判所職員、国会職員、防衛省職員（自衛官含む）等特別職の職員（約30万人）及び検察官（約3千人）が勧告に準じて措置される。

公務員給与への影響
対象者	給与法、任期付職員法、任期付研究員法の適用職員（約29万人）、特別職の職員（約30万人）、検察官（約3千人）
影響	人事院勧告に準じて給与が決定される
地方公務員	人事院勧告を参考に給与が決定されることが多い
独立行政法人	社会一般の情勢に適合させることが定められている
国立大学法人	社会一般の情勢に適合させることが定められている

まとめ

人事院勧告は、国家公務員の労働基本権制約の代償措置として、公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させることを目的としています。

3. 人事院勧告と企業経営の関連性

民間企業への影響

人事院勧告は、民間企業の給与水準に影響を与える可能性があります。人事院勧告によって国家公務員の給与が引き上げられると、民間企業もそれに合わせて給与を引き上げる必要が生じる可能性があります。

民間企業への影響
項目	内容
給与水準	人事院勧告によって国家公務員の給与が引き上げられると、民間企業もそれに合わせて給与を引き上げる必要が生じる可能性がある
人材獲得競争	人事院勧告によって国家公務員の給与が引き上げられると、民間企業は人材を獲得するために、より高い給与を支払う必要が生じる可能性がある
消費経済	人事院勧告によって国家公務員の給与が引き上げられると、国家公務員の消費支出が増加し、消費経済が活性化する可能性がある

人材獲得競争への影響

人事院勧告は、民間企業の人材獲得競争に影響を与える可能性があります。人事院勧告によって国家公務員の給与が引き上げられると、民間企業は人材を獲得するために、より高い給与を支払う必要が生じる可能性があります。

消費経済への影響

人事院勧告は、消費経済に影響を与える可能性があります。人事院勧告によって国家公務員の給与が引き上げられると、国家公務員の消費支出が増加し、消費経済が活性化する可能性があります。

まとめ

4. 人事院勧告の仕組み

民間給与実態調査

人事院は、毎年、民間企業の給与水準を調査しています。この調査は「職種別民間給与実態調査」と呼ばれ、公務員と類似する職種に従事する常雇従業員について個人別に4月分の月例給与等を調査する「従業員別調査」と、事業所別に給与改定や雇用調整等の状況、手当制度を調査する「事業所別調査」から成ります。

調査対象は企業規模50人以上で、かつ事業所規模50人以上の民間事業所であり、地域別に、産業、規模等により層化無作為抽出されます。「従業員別調査」もその標本事業所の従業員が対象となります。

人事院は、この調査結果を基に、国家公務員の給与水準を検討します。

民間給与実態調査
調査名	職種別民間給与実態調査
調査内容	公務員と類似する職種に従事する常雇従業員について個人別に4月分の月例給与等を調査する「従業員別調査」と、事業所別に給与改定や雇用調整等の状況、手当制度を調査する「事業所別調査」
調査対象	企業規模50人以上で、かつ事業所規模50人以上の民間事業所
調査方法	層化無作為抽出

官民給与比較

人事院は、民間給与実態調査の結果と、国家公務員の給与実態調査の結果を比較します。この比較は、単純に平均値を比較するのではなく、仕事の種類、責任の度合い、年齢、学歴、勤務地域といった主な給与決定条件を同じくするグループごとに比較し、国家公務員の人員構成を基準としてラスパイレス算式で全体の官民較差を算出します。

税務、公安職等は民間に比較すべき職種がないため、比較から外されている。特別給も比較方法は一般給与と同じだが、単位に年間支給割合を用いる。