コアサテライト運用とは?経済用語について説明

コアサテライト運用における資産分類
資産分類	特徴	例
コア資産	安定成長・長期保有	預貯金、個人向け国債、国内社債、米国債、不動産投資、インデックスファンド、バランスファンド、ETF
サテライト資産	積極運用・短期売買	個別株、FX、暗号資産、アクティブファンド

1. コアサテライト運用とは
2. コア資産とサテライト資産の違い
3. ポートフォリオの構築方法
4. リスク分散のメリット
5. メリットとデメリットの比較
6. 実践の注意点

1. コアサテライト運用とは

コアサテライト運用の基本

コアサテライト運用とは、資産運用における戦略の一種です。資産を「リスクを取らない（少ない）資産」と「リスクを取れる資産」に分割し、それぞれ異なる投資対象で運用を行います。コアサテライト戦略の大きな特徴は2つです。1つは、リスクを抑えながら安定的な運用ができることです。コア部分に安定した収益が見込める資産を多く組み込むことで、全体的なリスクを抑制し、安定した運用を実現します。もう1つは、積極的にリターンを狙うことができることです。サテライト部分に、値動きの大きいリスクの高い資産を組み込むことで、大きなリターンを獲得する可能性を高めます。

コアサテライト戦略は、投資を初めて間もない方からある程度投資経験を積んだベテランまで、幅広い人に用いられている投資戦略です。リスクを抑えつつ長期的にリターンを期待できるため、初心者にこそおすすめの投資戦略ですが、投資経験が豊富な投資家の中でもうまく活用している人はたくさんいます。

逆にいえば、大きくリスクをとって短期的にリターンを得たい場合や、日々の生活に全く余裕がないという場合にコアサテライト戦略はあまり適していないといえます。

コアサテライト運用の特徴
特徴	説明
リスクを抑えながら安定的な運用	コア部分に安定した収益が見込める資産を多く組み込むことで、全体的なリスクを抑制し、安定した運用を実現します。
積極的にリターンを狙う	サテライト部分に、値動きの大きいリスクの高い資産を組み込むことで、大きなリターンを獲得する可能性を高めます。

コアサテライト運用のイメージ

コアサテライト戦略を利用した場合、実際にどのようなポートフォリオになるのかを確認していきましょう。コア部分とサテライト部分の投資比率や投資対象の特徴に注目します。

コア部分については、リスクを抑えて堅実な運用をすることがポイントとなります。投資のリスクを抑えるためには、投資対象の分散が重要です。世界中の幅広い国の資産に分散して投資できる投資信託やETFなどであれば、投資初心者でも簡単に分散投資が行えます。

中でも、S&P500やMSCIワールド・インデックスなどのメジャーな指標に連動するインデックスファンド・ETFは組入銘柄が多く、信託報酬も低めに設定されているというメリットがあります。このコア部分は資産の中核となる部分であるため、資産の中では70％から80％程度の比率が目安となります。

コア・サテライトの投資比率は自由ですが、基本的にはコアが大半を占めるように資産配分を検討しましょう。サテライト部分は、積極的な攻めの投資として値動きの比較的大きな資産を保有することが多いです。個別株やアクティブファンド、仮想通貨、FXなどがサテライト投資にあたります。これらの投資対象は比較的値動きも大きいため、20％程度に留めておくのがおすすめです。

コアサテライト運用の投資比率
資産分類	比率
コア資産	70～80%
サテライト資産	20～30%

コアサテライト戦略の注意点

単純に投資銘柄を分散させるだけでは、リスクヘッジにならない場合もあります。例えば、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなどに分けて投資をしたとします。この場合、銘柄は分散できていますが、全て自動車分野への投資になっています。

例えば何らかの理由で自動車業界に対する大幅な規制強化などのニュースが出ると、自動車セクター全体の株価が一斉に下落してしまうかもしれません。そうすると、せっかく分散投資をしていたにもかかわらず、保有銘柄すべてで損失が出てしまう事態もあり得ます。

リスクヘッジを目的として分散投資を行うのであれば、投資セクターや投資する国・地域、投資商品のジャンルなども分散させる必要があります。コアサテライト運用は「守り」と「攻め」の比率を明確に区切って運用するため、単純な銘柄分散よりも安全な分散投資だといえるでしょう。

コアサテライト戦略の注意点
注意点	説明
単純な銘柄分散だけではリスクヘッジにならない	投資セクターや投資する国・地域、投資商品のジャンルなども分散させる必要があります。
コアサテライト運用は単純な銘柄分散よりも安全な分散投資	「守り」と「攻め」の比率を明確に区切って運用するため、より効果的なリスクヘッジを実現できます。

まとめ

コアサテライト運用は、リスクを抑えながら安定的な運用と、積極的にリターンを狙うという2つの側面を兼ね備えた投資戦略です。投資初心者から経験豊富な投資家まで、幅広い層に適した戦略といえます。

コア部分には、世界中の幅広い国の資産に分散投資できるインデックスファンドやETFなどを組み込み、資産の70～80％を占めるようにしましょう。

サテライト部分には、個別株やアクティブファンド、仮想通貨、FXなど、リスクの高い資産を組み込み、資産の20％程度に留めるのがおすすめです。

コアサテライト運用は、投資対象を分散させるだけでなく、投資セクターや投資する国・地域、投資商品のジャンルなども分散させることで、より効果的なリスクヘッジを実現できます。

2. コア資産とサテライト資産の違い

コア資産

コア資産は、長期・安定成長の資産です。長期的に保有を続けることで、安定的にお金を増やす「守りの資産」といえます。またリスクがある商品でも、分散投資が効いている資産をコア資産と考えます。

預貯金：個人でコア・サテライト戦略を活用するときには、預貯金もコア資産に含めて考えます。銀行に預金すると、一定の利息を受け取れます。また、金融機関が倒産するなど、万が一のことがあっても、預貯金は1000万円とその利息までは保護されます。

ただ、現状大手銀行の普通預金金利は年0.001％（2022年7月時点）。安全性は高いものの、お金を増やすことはまったくといっていいほど期待できません。リスクは極めて小さいといえます。

個人向け国債：個人向け国債は、国が個人でも買いやすいようにして発行している債券です。購入すると半年に一度利子が受け取れ、満期になると購入したお金が戻ってきます（償還）。個人向け国債には、「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があり、満期までの期間や金利の種類が違います。個人向け国債は、元本割れの心配がありません。それでいて、金利は最低年0.05％（税引前）ですので、預貯金よりも有利です。長らく個人向け国債の金利は年0.05％でしたが、このところ、変動10年の金利がわずかに上昇しています。とはいうものの、リスクは極めて小さい商品といえます。

コア資産の特徴
特徴	説明
長期的に保有を続けることを前提	安定的にお金を増やす「守りの資産」といえます。
リスクがある商品でも、分散投資が効いている資産	預貯金、個人向け国債、国内社債、米国債、不動産投資、インデックスファンド、バランスファンド、ETFなどがコア資産として考えられます。

サテライト資産

サテライト資産は「積極運用、短期売買」の資産です。リスクの比較的高い資産に投資し、お金を大きく増やすことを目指します。

個別株（日本株・米国株）：会社が発行する株を売買してお金を稼ぐ株式投資。買ったときよりも値上がりした時点で売れば値上がり益が得られるほか、株を保有していることで配当金や株主優待が受け取れます。近年は米国株も人気。米国の経済成長は日本を上回るものがありますし、配当金も年4回受け取れます。50年以上連続で配当金を増やし続ける「連続増配株」もあるほどです。

株も、長期間保有して、配当金をじっくりと受け取る投資ならコア資産に含めても良いのでは、という考えもあります。しかし株式投資のリスクは投資信託などより高め。配当が安定していても、株価自体の値動きは大きく、現金化したいときの流動性リスクが高い資産です。ですから、サテライト資産と考えておいたほうがいいでしょう。

FX：FXは、円・ドル・ユーロといった通貨の売買をして利益を狙う投資。為替レートが上昇しても下落しても、さっと売買することで利益を出すチャンスがあります。為替レートは平日ほぼ24時間絶え間なく変動しているので、いつでも利益が狙えるのもメリットです。投資資金の元となる証拠金をFX会社に預けることで、証拠金の最大25倍の金額を投資できる「レバレッジ」を生かすと、資金が少額でも大きな利益を狙えます。しかし、思惑に反した時の損失もその分大きくなるので、無理なレバレッジを行わないようにレバレッジルールやロスカットルールを定めるなどリスク管理を徹底の上、行うのが鉄則です。

サテライト資産の特徴
特徴	説明
リスクの高い資産に投資し、お金を大きく増やすことを目指す	個別株、FX、暗号資産、アクティブファンドなどがサテライト資産として考えられます。
コア資産よりもリスクが高い	大きなリターンが期待できますが、損失が出る可能性も高くなります。

コア資産とサテライト資産の選び方

コア資産は、長期的に保有を続けることを前提に、リスクを抑えて安定した収益を得られるようにします。預貯金、個人向け国債、国内社債、米国債、不動産投資、インデックスファンド、バランスファンド、ETF（上場投資信託）などがコア資産として考えられます。

サテライト資産は、コアを取り囲む小さな衛星のようなイメージで、一つひとつの衛星がリスクを取って、高いリターンを狙います。特定分野に集中した運用や、相場変動に乗じる形で利ざやを稼いでいくわけです。個別株（日本株・米国株）、FX、暗号資産（仮想通貨）、アクティブファンドなどがサテライト資産として考えられます。

コア資産とサテライト資産は、金融資産のリスクとリターンによって分類されます。リスクは「投資の結果（リターン）のブレ幅」を表します。リスクとリターンには、トレードオフ（比例）の関係があるからです。

預貯金や国内債券などは、お金がほとんど減らない代わりに、増えることもありません。ローリスク・ローリターンです。しかし、反対に暗号資産やFXなどでは、お金が大きく増える可能性がある一方、大きく減る可能性もあります。ハイリスク・ハイリターンです。

リスクとリターンの関係
リスク	リターン
低	低
高	高

まとめ

コア資産は、長期的に保有し、安定した収益を得ることを目的とした、リスクの低い資産です。預貯金、個人向け国債、国内社債、米国債、不動産投資、インデックスファンド、バランスファンド、ETFなどがコア資産として考えられます。

サテライト資産は、コア資産よりもリスクの高い資産で、積極的にリターンを狙うことを目的としています。個別株、FX、暗号資産、アクティブファンドなどがサテライト資産として考えられます。

コア資産とサテライト資産は、リスクとリターンの関係に基づいて分類されます。リスクの低いコア資産は、安定した収益を期待できますが、リターンは低めです。リスクの高いサテライト資産は、大きなリターンが期待できますが、損失が出る可能性も高くなります。

コア資産とサテライト資産を組み合わせることで、リスクを抑えながらリターンを追求するコア・サテライト戦略は、個人投資家にとって有効な投資戦略といえます。

3. ポートフォリオの構築方法

コア資産の比率

コア資産は、運用資産全体の7～9割を占めるのが一般的です。コア資産の比率が高いほど、リスクを抑え、安定した運用が期待できます。

コア資産の比率は、年齢や投資経験、リスク許容度などに応じて調整する必要があります。若い世代やリスク許容度が高い人は、サテライト資産の比率を高く設定することもできます。

しかし、一般的には、コア資産の比率を高く設定することが、安定した資産形成には重要です。

サテライト資産の比率

サテライト資産は、運用資産全体の1～3割を占めるのが一般的です。サテライト資産の比率が高いほど、リスクは高まりますが、大きなリターンが期待できます。

サテライト資産の比率は、コア資産の比率とバランスをとりながら、自身の投資目標やリスク許容度に応じて調整する必要があります。

サテライト資産は、コア資産よりもリスクが高いので、余裕資金で運用することが重要です。

コア資産とサテライト資産の組み合わせ

コア資産には、インデックスファンドやETF、バランス型ファンドなどが適しています。サテライト資産には、個別株、FX、暗号資産、アクティブファンドなどが適しています。

コア資産とサテライト資産の組み合わせは、投資目標やリスク許容度に応じて調整する必要があります。

コア資産とサテライト資産の組み合わせ例
コア資産	サテライト資産
インデックスファンド	個別株
バランス型ファンド	FX
ETF	暗号資産
不動産投資	アクティブファンド

まとめ

コア・サテライト戦略では、運用資産全体をコア資産とサテライト資産に分け、それぞれの目的に沿った運用商品を選択して運用します。

コア資産は、運用資産全体の7～9割を占め、安定した収益を得ることを目的としています。サテライト資産は、運用資産全体の1～3割を占め、積極的にリターンを狙うことを目的としています。

コア資産とサテライト資産の組み合わせは、投資目標やリスク許容度に応じて調整する必要があります。

コア・サテライト戦略は、リスクを抑えながらリターンを追求する有効な投資戦略です。

4. リスク分散のメリット

分散投資の重要性

分散投資とは、複数の資産に投資することで、リスクを分散させる投資方法です。分散投資を行うことで、特定の資産の値動きに左右されにくくなり、全体的なリスクを抑制することができます。

例えば、株式と債券は、値動きが逆相関の関係にあることが多く、株式が下落すると債券が上昇する傾向があります。株式と債券の両方に投資することで、どちらかの資産が下落しても、もう一方の資産が上昇することで、全体的な損失を抑制することができます。

分散投資は、投資のリスクを軽減する上で非常に有効な手段です。

コアサテライト戦略における分散投資

コアサテライト戦略は、分散投資をさらに進化させた戦略です。コア資産とサテライト資産を組み合わせることで、より効果的なリスク分散を実現できます。

コア資産には、世界中の幅広い国の資産に分散投資できるインデックスファンドやETFなどを組み込み、資産の70～80％を占めるようにしましょう。

サテライト部分には、個別株やアクティブファンド、仮想通貨、FXなど、リスクの高い資産を組み込み、資産の20％程度に留めるのがおすすめです。

分散投資のメリット

分散投資を行うことで、以下のメリットがあります。

・リスクの軽減：特定の資産の値動きに左右されにくくなり、全体的なリスクを抑制することができます。

・安定的な運用：複数の資産に投資することで、全体的な収益の安定性を高めることができます。

・長期的な資産形成：リスクを抑制しながら、長期的に安定した収益を期待できます。

分散投資のメリット
メリット	説明
リスクの軽減	特定の資産の値動きに左右されにくくなり、全体的なリスクを抑制することができます。
安定的な運用	複数の資産に投資することで、全体的な収益の安定性を高めることができます。
長期的な資産形成	リスクを抑制しながら、長期的に安定した収益を期待できます。

まとめ

分散投資は、投資のリスクを軽減する上で非常に有効な手段です。

コアサテライト戦略は、分散投資をさらに進化させた戦略であり、より効果的なリスク分散を実現できます。

分散投資を行うことで、リスクを軽減し、安定的な運用を実現することができます。

長期的な資産形成を目指すのであれば、分散投資は必須といえます。

5. メリットとデメリットの比較

コアサテライト戦略のメリット

コアサテライト戦略のメリットは、以下のとおりです。

・リスクの軽減：コア資産に安定した収益が見込める資産を多く組み込むことで、全体的なリスクを抑制し、安定した運用を実現します。

・リターンの最大化：サテライト部分に、値動きの大きいリスクの高い資産を組み込むことで、大きなリターンを獲得する可能性を高めます。

・投資の柔軟性：コア資産とサテライト資産の比率を調整することで、投資目標やリスク許容度に合わせて運用戦略を変更できます。

コアサテライト戦略のメリット
メリット	説明
リスクの軽減	コア資産に安定した収益が見込める資産を多く組み込むことで、全体的なリスクを抑制し、安定した運用を実現します。
リターンの最大化	サテライト部分に、値動きの大きいリスクの高い資産を組み込むことで、大きなリターンを獲得する可能性を高めます。
投資の柔軟性	コア資産とサテライト資産の比率を調整することで、投資目標やリスク許容度に合わせて運用戦略を変更できます。

コアサテライト戦略のデメリット

コアサテライト戦略のデメリットは、以下のとおりです。

・管理の手間：複数の資産を管理する必要があるため、時間と労力を要します。

・情報収集の必要性：複数の資産を管理するためには、それぞれの資産に関する情報収集が必要です。

・リバランスの必要性：市場の状況に応じて、コア資産とサテライト資産の比率を調整する必要があります。

コアサテライト戦略のデメリット
デメリット	説明
管理の手間	複数の資産を管理する必要があるため、時間と労力を要します。
情報収集の必要性	複数の資産を管理するためには、それぞれの資産に関する情報収集が必要です。
リバランスの必要性	市場の状況に応じて、コア資産とサテライト資産の比率を調整する必要があります。