1. オビテンスモドキの生態とは
1-1. オビテンスモドキの分布と形態
オビテンスモドキ（学名: *Novaculichthys taeniourus*）は、スズキ目ベラ科テンスモドキ属に分類される海水魚です。日本国内では、八丈島、小笠原諸島、和歌山県串本町、高知県柏島、屋久島、琉球列島、尖閣諸島など、南日本に広く分布しています。幼魚のみの場合、神奈川県早川でも見られることがあります。また、死滅回遊魚として、南日本の太平洋岸で広く観察されることもあります。国外では、台湾、東沙群島、西沙諸島、南沙諸島、インド洋、太平洋など、広い範囲に分布しています。
オビテンスモドキは全長約20cm程度に成長する小型の魚で、側線は不連続であることが特徴です。臀鰭軟条は背鰭軟条よりも長いのも特徴の一つです。幼魚は全身が赤く、白い斑点が全身に散らばっています。背鰭の第1・2棘が顕著に長く、赤褐色をしています。背鰭、体側、腹鰭にかけて紅色の横帯が3本入り、まるで海藻の切れ端のような外観をしています。成魚は頭部が白色で、尾鰭基部には幅の広い白色横帯があります。雌は体側が鱗列に対応した白色斑列があり、網目状を呈しています。目の後ろには斜め上方と下方に向かう2本ずつの放射状黒色線があります。雄は頭部に黒色線がなく、胸鰭基部に小さい黄色斑、その後方により大きい黒色斑があります。
1-2. オビテンスモドキの生態と行動
オビテンスモドキは、岩礁やサンゴ礁周辺の潮通しのよい転石砂底や砂礫底に生息しています。礫をひっくり返して底生動物を探索し、夜はサンゴ片を運んで寝床をつくり、その下に潜ります。この行動から、英名はRockmover wrasse（石を動かすベラ）と呼ばれています。
幼魚は、頭を水底に向けてヒラヒラ漂うような、特徴的な泳ぎ方をします。これは海藻に擬態するためと考えられています。成魚はペアで行動し、岩礁やサンゴ礁をテリトリーとして生活しています。食性は肉食で、甲殻類や軟体動物などの底生生物を捕食します。
1-3. オビテンスモドキの繁殖
オビテンスモドキは、産卵期になると雄が雌を誘って、海底に巣を作ります。雌は巣の中に卵を産み付け、雄は卵を保護します。卵は数日で孵化し、稚魚はプランクトンを食べて成長します。
1-4. まとめ
オビテンスモドキは、幼魚と成魚で大きく異なる形態を持つ特徴的な魚です。海藻に擬態する幼魚と、岩礁やサンゴ礁をテリトリーとして生活する成魚は、それぞれに適応した生活様式を送っています。彼らの生態は、海藻やサンゴ礁といった環境との深い関係性、そして生存戦略を垣間見ることができ、非常に興味深いものです。
参考文献
・水族館魚図鑑-オビテンスモドキ(Novaculichthys taeniourus …
・オビテンスモドキ属について＆生物一覧ー | 市場魚貝類図鑑
2. オビテンスモドキの餌について知ろう
2-1. オビテンスモドキの食性：雑食性で幅広い餌を食べる
オビテンスモドキは、雑食性で、様々な餌を食べることで知られています。幼魚時代はプランクトンや小さな甲殻類などを食べますが、成長するにつれて、より大きな餌を食べるようになります。成魚になると、魚類、甲殻類、ゴカイ、海藻など、様々なものを食べます。
オビテンスモドキは、口の大きさと形状が餌の種類に合わせて変化する特徴があります。幼魚時代は小さな口でプランクトンなどを捕食しますが、成魚になると大きな口で魚や甲殻類などを捕食するようになります。また、歯も幼魚時代は小さく、成魚になると大きく鋭い歯に生え変わります。
2-2. オビテンスモドキの採餌行動：積極的に狩りをし、岩を動かして餌を探す
オビテンスモドキは、活発な捕食者で、積極的に狩りをします。主に海底で餌を探し、魚や甲殻類などを捕食します。
特徴的なのは、岩を動かして餌を探す行動です。彼らは、岩やサンゴの欠片を口でくわえて移動させ、その下に隠れている餌を捕食します。この行動から、彼らは「Rockmover Wrasse（ロックムーバー・ラス）」という英名でも呼ばれています。
2-3. オビテンスモドキの餌となる生物：多様な生物を食べることで生態系に貢献
オビテンスモドキは、様々な生物を餌とすることで、海洋生態系のバランス維持に貢献しています。
例えば、彼らは海底に生息するゴカイや甲殻類などを食べることで、それらの生物の個体数を調整しています。また、魚類を食べることで、他の魚類の個体数調整にも役立っています。
2-4. まとめ
オビテンスモドキは、雑食性で様々な餌を食べることで、生態系の中で重要な役割を果たしています。彼らは、岩を動かして餌を探すというユニークな採餌行動によって、他の生物が捕食できない餌を獲得しています。オビテンスモドキは、海の生態系のバランスを保つ上で欠かせない存在と言えるでしょう。
参考文献
・『海のドラゴン？その名はオビテンスモドキ』｜研究・教育 …
3. オビテンスモドキの繁殖行動の特徴
3-1. オビテンスモドキの産卵行動
オビテンスモドキの産卵行動は、他のベラ科魚類と同様に、雄が雌を誘導して産卵を行う特徴があります。雄は、産卵場所に適した場所を見つけると、その周囲に縄張りを作って、他の雄を追い払います。その後、雌を誘導し、雌雄が一緒に産卵場所へ向かいます。産卵は、水底の砂礫底で行われ、雌は卵を産み、雄は精子を放出します。
オビテンスモドキの産卵行動は、他のベラ科魚類と比較して、いくつかの特徴があります。一つは、雄が産卵場所を積極的に守ることです。雄は、産卵場所の周囲に縄張りを作って、他の雄を追い払うだけでなく、産卵場所周辺を巡回し、卵を守る行動も見られます。これは、オビテンスモドキが、他のベラ科魚類よりも、卵の保護に力を入れていることを示唆しています。
もう一つの特徴は、雌が産卵場所へ積極的に移動することです。他のベラ科魚類では、雄が雌を誘導して産卵場所へ移動することが多いですが、オビテンスモドキでは、雌も積極的に産卵場所へ向かう行動が見られます。これは、オビテンスモドキの雌が、産卵場所の選択に積極的に参加していることを示唆しています。
3-2. オビテンスモドキの卵と稚魚の成長
オビテンスモドキの卵は、他のベラ科魚類と同様に、球形で透明な膜で覆われています。卵は、サンゴ片や岩などに付着して産み付けられます。卵は、約3日で孵化し、稚魚が生まれます。
オビテンスモドキの稚魚は、プランクトンを餌として成長します。稚魚は、他のベラ科魚類と同様に、水中の流れに乗って移動し、成長に適した場所を探します。稚魚は、成長するにつれて、水底の砂礫底に移り、底生生物を餌として食べるようになります。
オビテンスモドキの稚魚は、他のベラ科魚類と比較して、成長が早いことが特徴です。稚魚は、約1年で成魚に成長するとされています。これは、オビテンスモドキが、他のベラ科魚類よりも、短期間で繁殖に貢献できることを示唆しています。
3-3. オビテンスモドキの繁殖行動の意義
オビテンスモドキの繁殖行動は、種族の維持に重要な役割を果たしています。オビテンスモドキは、サンゴ礁に生息する重要な魚類であり、サンゴ礁の生態系を維持するために不可欠な存在です。
オビテンスモドキの繁殖行動は、他のベラ科魚類と同様に、雄が雌を誘導して産卵を行う特徴があります。これは、雌雄が協力して、より多くの卵を産むことを可能にし、種族の維持に貢献しています。また、雄が卵を守る行動は、卵の生存率を高め、次世代の個体数を増やすことに役立っています。
3-4. まとめ
オビテンスモドキは、他のベラ科魚類と同様に、雄が雌を誘導して産卵を行い、卵の保護に力を入れていることが特徴です。オビテンスモドキの繁殖行動は、種族の維持に重要な役割を果たしており、サンゴ礁の生態系を維持するために重要な役割を担っています。
オビテンスモドキの繁殖行動は、まだ十分に解明されていません。今後の研究によって、オビテンスモドキの繁殖行動の詳細が明らかになることが期待されています。
参考文献
・新潟市水族館 マリンピア日本海 生物図鑑 ≫ 「オビテンス …
コメント