1. 外国籍投信とは
外国籍投信の定義
外国籍投信とは、外国の法律に基づいて設定された投資信託のことです。つまり、ファンドの設立や運用が外国で行われていることを指します。多くの外国籍投信は外貨建てで取引されますが、1998年12月の投信法改正により、円建ての外国籍投資信託も存在するようになりました。日本国内で販売される外国籍投資信託は、金融庁への登録が義務付けられています。
外国籍投信は、ケイマン諸島、ルクセンブルク、アイルランド、米国など、世界各地で設定されています。また、外国籍投資信託には、ETF(上場投資信託)も含まれます。海外ETFとも呼ばれ、バンガード・インベストメンツのバンガードETF、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのSPDR、ブラックロックのiシェアーズなど、世界有数の運用会社が設定・管理する多くのETFを日本の証券会社を通じて購入することができます。
日本の株式に投資するファンドであっても、海外で設立されたものは外国籍投資信託となります。法律上は、日本で設立された投資信託を内国証券投資信託と言い、外国で設立されたものを外国投資信託と言います。これは、目論見書の第一部証券情報に記載されていますので、チェックしてみましょう。
外国籍投資信託は、日本で販売されていても、取引はドルやユーロなどの外国通貨となりますので、必ず為替リスクが伴います。為替が円高に進むと、たとえ外貨建てでのファンドの価格が変わらなくても、円に換算した場合のファンドの価格(価値)は下がることになります。
分類 | 説明 |
---|---|
内国証券投資信託 | 日本で設立された投資信託 |
外国投資信託 | 外国で設立された投資信託 |
外国籍投信の例
外国籍投信の代表的な例として、外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)があります。外貨建てMMFは、主に短期の金融商品に投資する投資信託で、元本保証はありませんが、比較的安定した運用が期待できます。
その他にも、外国株式や債券に投資する外国籍投信、特定のテーマに特化した外国籍投信など、さまざまな種類の外国籍投信が存在します。
外国籍投信を選ぶ際には、投資対象、運用方針、リスク、手数料などをよく比較検討することが重要です。
種類 | 説明 |
---|---|
外貨建てMMF | 短期の金融商品に投資する投資信託 |
外国株式や債券に投資する外国籍投信 | 海外の株式や債券に投資する投資信託 |
特定のテーマに特化した外国籍投信 | 特定のテーマ(例:環境、テクノロジー)に特化した投資信託 |
外国籍投信の購入方法
外国籍投信を購入するには、証券会社や銀行などの金融機関で外国証券取引口座を開設する必要があります。
外国証券取引口座を開設する際には、本人確認書類や資金源証明などの書類が必要になります。
外国証券取引口座を開設後、外国籍投信の購入注文を出すことができます。
項目 | 内容 |
---|---|
外国証券取引口座 | 証券会社や銀行で開設 |
本人確認書類 | 運転免許証、パスポートなど |
資金源証明 | 源泉徴収票、給与明細書など |
まとめ
外国籍投信は、外国の法律に基づいて設定された投資信託であり、国内投資信託とは異なる特徴を持っています。
外国籍投信は、投資対象や運用手法の自由度が高く、国内投資信託では得られない商品性や税制面での特典を享受できる可能性があります。
しかし、外国籍投信には、為替リスクや海外市場の政治・経済情勢の変動リスクなど、国内投資にはない特有のリスクが存在することを理解する必要があります。
外国籍投信への投資を検討する際には、投資対象、運用方針、リスク、手数料などをよく比較検討し、ご自身の投資目標やリスク許容度に合わせて慎重に判断することが重要です。
2. 外国籍投信のメリットとデメリット
メリット
外国籍投信のメリットは、国内投資信託に比べて投資対象や運用手法の自由度が高いことです。そのため、国内投資信託では投資できないような、ニッチな市場やテーマに特化した投資を行うことができます。
また、外国籍投信は、税制面での優遇措置を受けることができる場合があります。例えば、外貨建てMMFは、売買益が譲渡所得として申告分離課税の対象となり、他の投資信託に比べて税金が低くなる場合があります。
さらに、外国籍投信は、国内投資信託に比べて選択肢が多いこともメリットです。世界中のさまざまなファンドから、自分の投資目標やリスク許容度に合わせて最適なファンドを選ぶことができます。
メリット | 説明 |
---|---|
投資対象の自由度が高い | 国内投資信託では投資できないような、ニッチな市場やテーマに特化した投資を行うことができる |
税制面での優遇措置がある場合がある | 外貨建てMMFは、売買益が譲渡所得として申告分離課税の対象となり、他の投資信託に比べて税金が低くなる場合があります |
選択肢が多い | 世界中のさまざまなファンドから、自分の投資目標やリスク許容度に合わせて最適なファンドを選ぶことができる |
デメリット
外国籍投信のデメリットは、為替リスクがあることです。外国籍投信は、外貨建てで運用されているため、為替レートの変動によって投資元本が減ってしまう可能性があります。
また、外国籍投信は、情報収集が難しい場合もあります。国内投資信託に比べて、外国籍投信に関する情報は少なく、投資判断に必要な情報を得ることが難しい場合があります。
さらに、外国籍投信は、手数料が高い場合もあります。国内投資信託に比べて、外国籍投信は、信託報酬や販売手数料などの費用が高くなる場合があります。
デメリット | 説明 |
---|---|
為替リスクがある | 外貨建てで運用されているため、為替レートの変動によって投資元本が減ってしまう可能性があります |
情報収集が難しい場合がある | 国内投資信託に比べて、外国籍投信に関する情報は少なく、投資判断に必要な情報を得ることが難しい場合があります |
手数料が高い場合がある | 国内投資信託に比べて、外国籍投信は、信託報酬や販売手数料などの費用が高くなる場合があります |
その他
外国籍投信は、国内投資信託に比べて、流動性が低い場合もあります。流動性とは、売却したいときにすぐに売却できるかどうかを示す指標です。外国籍投信は、国内投資信託に比べて、売却までに時間がかかる場合があるため、注意が必要です。
また、外国籍投信は、情報開示が不十分な場合もあります。国内投資信託は、金融商品取引法に基づいて情報開示が義務付けられていますが、外国籍投信は、必ずしも同じように情報開示がされているわけではありません。
外国籍投信への投資を検討する際には、これらのデメリットも理解した上で、慎重に判断する必要があります。
注意点 | 説明 |
---|---|
流動性が低い場合がある | 売却したいときにすぐに売却できるかどうかを示す指標です。外国籍投信は、国内投資信託に比べて、売却までに時間がかかる場合があるため、注意が必要です |
情報開示が不十分な場合がある | 国内投資信託は、金融商品取引法に基づいて情報開示が義務付けられていますが、外国籍投信は、必ずしも同じように情報開示がされているわけではありません |
まとめ
外国籍投信は、国内投資信託に比べて、投資対象や運用手法の自由度が高く、税制面での優遇措置を受けることができる場合があります。
しかし、外国籍投信には、為替リスク、情報収集の難しさ、手数料の高さ、流動性の低さ、情報開示の不十分さなど、国内投資信託にはないデメリットも存在します。
外国籍投信への投資を検討する際には、メリットとデメリットを比較検討し、ご自身の投資目標やリスク許容度に合わせて慎重に判断することが重要です。
3. 外国籍投信の運用方法
運用方法
外国籍投信の運用方法は、国内投資信託と大きく異なる点はあまりありません。
外国籍投信は、株式、債券、不動産、商品など、さまざまな資産に投資することができます。
運用方法は、アクティブ運用とパッシブ運用の2種類があります。アクティブ運用は、ファンドマネージャーが市場の動向を分析し、積極的に投資対象を選定することで、高いリターンを目指します。パッシブ運用は、特定の指数(例えば、日経平均株価)に連動するように運用することで、市場平均のリターンを目指す運用方法です。
運用方法 | 説明 |
---|---|
アクティブ運用 | ファンドマネージャーが市場の動向を分析し、積極的に投資対象を選定することで、高いリターンを目指します |
パッシブ運用 | 特定の指数(例えば、日経平均株価)に連動するように運用することで、市場平均のリターンを目指す運用方法です |
運用方針
外国籍投信の運用方針は、投資対象や運用方法によって異なります。
例えば、外国株式に投資する外国籍投信であれば、成長株に投資する、バリュー株に投資する、特定のセクターに投資するなど、さまざまな運用方針があります。
外国籍投信を選ぶ際には、運用方針をよく確認することが重要です。
運用方針 | 説明 |
---|---|
成長株に投資する | 将来の成長が期待される企業の株式に投資する |
バリュー株に投資する | 割安な企業の株式に投資する |
特定のセクターに投資する | 特定の産業分野(例:IT、エネルギー)に投資する |
運用実績
外国籍投信の運用実績は、過去のパフォーマンスを参考に判断することができます。
しかし、過去の運用実績が将来の運用成績を保証するものではありません。
外国籍投信の運用実績は、ファンドのホームページや投資信託説明書(交付目論見書)などで確認することができます。
確認方法 | 説明 |
---|---|
ファンドのホームページ | ファンドのホームページで過去の運用成績を確認することができます |
投資信託説明書(交付目論見書) | 投資信託説明書(交付目論見書)で過去の運用成績を確認することができます |
まとめ
外国籍投信の運用方法は、国内投資信託と大きく異なる点はあまりありません。
外国籍投信は、株式、債券、不動産、商品など、さまざまな資産に投資することができます。
運用方法は、アクティブ運用とパッシブ運用の2種類があります。
外国籍投信を選ぶ際には、運用方針、運用実績などをよく確認することが重要です。
4. 外国籍投信の運用リスク
為替リスク
外国籍投信の運用リスクとして、最も大きいのが為替リスクです。外国籍投信は、外貨建てで運用されているため、為替レートの変動によって投資元本が減ってしまう可能性があります。
例えば、円高が進むと、外貨建て資産の価値が下がり、円換算で損失が発生する可能性があります。逆に、円安が進むと、外貨建て資産の価値が上がり、円換算で利益が発生する可能性があります。
為替リスクは、投資期間が長くなればなるほど大きくなる傾向があります。
状況 | 説明 |
---|---|
円高 | 外貨建て資産の価値が下がり、円換算で損失が発生する可能性があります |
円安 | 外貨建て資産の価値が上がり、円換算で利益が発生する可能性があります |
市場リスク
外国籍投信は、海外市場の動向に大きく影響されます。海外市場は、国内市場に比べて変動が大きいため、投資元本が大きく減ってしまう可能性があります。
例えば、世界経済の悪化や政治不安などによって、海外市場が下落すると、外国籍投信の価値も下落する可能性があります。
市場リスクは、投資対象や運用方法によって異なるため、投資する前に十分に理解しておく必要があります。
要因 | 説明 |
---|---|
世界経済の悪化 | 海外市場が下落すると、外国籍投信の価値も下落する可能性があります |
政治不安 | 海外市場が下落すると、外国籍投信の価値も下落する可能性があります |
信用リスク
外国籍投信は、外国企業の債券や株式に投資している場合もあります。外国企業は、国内企業に比べて、信用情報が少なく、倒産のリスクが高い場合があります。
外国企業が倒産した場合、投資した資金が全額失われる可能性があります。
信用リスクは、投資対象の企業の財務状況や経営状況によって異なります。
要因 | 説明 |
---|---|
外国企業の倒産 | 投資した資金が全額失われる可能性があります |
まとめ
外国籍投信には、為替リスク、市場リスク、信用リスクなど、さまざまなリスクが存在します。
これらのリスクは、投資期間が長くなればなるほど大きくなる傾向があります。
外国籍投信への投資を検討する際には、これらのリスクを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
5. 外国籍投信と国内投資信託の違い
設定と運用
外国籍投信は、外国の法律に基づいて外国で設定され、運用されます。一方、国内投資信託は、日本の法律に基づいて日本で設定され、運用されます。
そのため、外国籍投信は、国内投資信託に比べて、投資対象や運用手法の自由度が高い傾向があります。
例えば、外国籍投信は、国内投資信託では投資できないような、ニッチな市場やテーマに特化した投資を行うことができます。
項目 | 外国籍投信 | 国内投資信託 |
---|---|---|
設定と運用 | 外国の法律に基づいて外国で設定され、運用される | 日本の法律に基づいて日本で設定され、運用される |
税制 | 外貨建てで運用されているため、為替リスクがある | 円建てで運用されているため、為替リスクはない |
情報開示 | 情報開示が不十分な場合がある | 金融商品取引法に基づいて情報開示が義務付けられており、投資判断に必要な情報が得やすい |
税制
外国籍投信は、外貨建てで運用されているため、為替リスクがあります。一方、国内投資信託は、円建てで運用されているため、為替リスクはありません。
また、外国籍投信は、税制面での優遇措置を受けることができる場合があります。例えば、外貨建てMMFは、売買益が譲渡所得として申告分離課税の対象となり、他の投資信託に比べて税金が低くなる場合があります。
一方、国内投資信託は、税制面での優遇措置はあまりありません。
情報開示
外国籍投信は、情報開示が不十分な場合もあります。一方、国内投資信託は、金融商品取引法に基づいて情報開示が義務付けられており、投資判断に必要な情報が得やすいです。
外国籍投信の投資判断に必要な情報を得るためには、ファンドのホームページや投資信託説明書(交付目論見書)などをよく確認する必要があります。
また、外国籍投信は、日本語の情報が少ない場合もあります。
まとめ
外国籍投信と国内投資信託は、設定と運用、税制、情報開示など、さまざまな点で違いがあります。
外国籍投信は、投資対象や運用手法の自由度が高く、税制面での優遇措置を受けることができる場合があります。
しかし、外国籍投信には、為替リスク、情報収集の難しさ、手数料の高さ、流動性の低さ、情報開示の不十分さなど、国内投資信託にはないデメリットも存在します。
外国籍投信への投資を検討する際には、これらの違いを理解した上で、ご自身の投資目標やリスク許容度に合わせて慎重に判断することが重要です。
6. 外国籍投信の今後の展望
市場の拡大
外国籍投信は、近年、市場規模が拡大しています。これは、投資家の海外投資への関心が高まっていること、外国籍投信の選択肢が増えていることなどが要因として考えられます。
特に、ETF(上場投資信託)は、外国籍投信の中でも人気が高まっており、今後も市場規模が拡大していくと予想されます。
ETFは、個別株や債券に比べて、取引手数料が安く、流動性が高いという特徴があります。そのため、投資初心者の方でも、手軽に海外投資を始めやすくなっています。
要因 | 説明 |
---|---|
投資家の海外投資への関心が高まっている | 近年、投資家の海外投資への関心が高まっている |
外国籍投信の選択肢が増えている | 世界中のさまざまなファンドから、自分の投資目標やリスク許容度に合わせて最適なファンドを選ぶことができる |
商品開発の活発化
外国籍投信は、投資対象や運用手法の自由度が高いことから、国内投資信託に比べて、商品開発が活発化しています。
例えば、ESG投資やインパクト投資など、社会貢献性の高い外国籍投信も登場しています。
今後も、投資家のニーズに合わせて、さまざまな外国籍投信が開発されていくと予想されます。
商品 | 説明 |
---|---|
ESG投資 | 環境、社会、ガバナンス(ESG)を重視した投資 |
インパクト投資 | 社会問題の解決に貢献する投資 |
規制の強化
外国籍投信は、海外の法律に基づいて設定・運用されているため、国内投資信託に比べて、規制が緩いという側面があります。
しかし、近年、投資家の保護を目的とした規制が強化されつつあります。
例えば、金融庁は、外国籍投信の販売に関する規制を強化しており、今後、さらに規制が強化されていく可能性があります。
目的 | 説明 |
---|---|
投資家の保護 | 投資家の保護を目的とした規制が強化されつつあります |
まとめ
外国籍投信は、市場規模が拡大し、商品開発も活発化しています。
投資家の海外投資への関心が高まっていること、外国籍投信の選択肢が増えていることなどが要因として考えられます。
しかし、外国籍投信は、国内投資信託に比べて、規制が緩いという側面もあります。そのため、投資する際には、リスクを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
参考文献
・外国籍投資信託|Smbc信託銀行プレスティア 投資・資産運用
・外国投信 | 初心者でもわかりやすい金融用語集 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
・外国籍投信 | 証券用語辞典 | マーケット情報 | 楽天証券
・外国籍投資信託 | 用語集 | 投資信託を学ぶ|つみたてnisa(積立nisa)・積立投資ならセゾン投信
・外国籍投資信託 お取引ガイド | 投資信託・投信つみたて | 商品・サービス一覧 | マネックス証券
・わかりやすい用語集 解説:外国投資信託(がいこくとうししんたく) | 三井住友dsアセットマネジメント
・外国籍の投資信託、残高増加 運用手法の自由度高く 投信調査隊 – 日本経済新聞
・外国籍投信とは?株式用語解説 – お客様サポート – Dmm 株
コメント