特徴 | 説明 |
---|---|
体色 | 成魚は赤色、幼魚は黒色横帯 |
サイズ | 全長40cm程度、最大60cm近くまで成長 |
生息地 | 鹿児島県以南の海域、西太平洋 |
食性 | 肉食性、小魚や甲殻類を食べる |
繁殖 | 性転換をする、メスからオスへ変化 |
習性 | 縄張りを持ち、活発に活動する |
飼育 | 水槽の大きさに注意、飛び出し防止対策が必要 |
環境への影響 | サンゴ礁の生態系に貢献 |
保護活動 | 環境汚染防止、乱獲抑制が重要 |
1. キツネベラの特徴とは
キツネベラの外見の特徴
キツネベラは、成魚になると体色が赤色になり、背面後方に黒い斑紋が見られます。雄ではこの斑紋は不明瞭ですが、雌では明瞭です。また、雌の尾鰭付け根付近には不明瞭な白い斑紋が現れます。キツネベラはタキベラに似ていますが、体側中央に白い斑紋がないことで識別できます。各鰭は黄色みがかっており、体側の体色は赤色で、上顎付近と下顎後方は特に濃く黒ずんでいます。眼は白色または赤色です。
幼魚は成魚とは大きく異なる外見をしています。臀鰭と背鰭の後方、体側後方、尾柄前方に黒色横帯があるのが特徴です。この黒色横帯は成長するにつれて黒色斑へと変化していきます。背面前方と背鰭前方は黄色、体側前方は白の地色に赤色の点列が並び、尾柄と腹鰭は青みがかった白色、胸鰭と背鰭最後方、臀鰭最後方、尾鰭は半透明です。眼は黄色と赤色の境界に位置するため、2つの色が混ざり合って見えます。小さいサイズの幼魚ほど頭部の黄色、腹部の白い色、後方の黒い色が鮮明ですが、成長に伴い全体的に赤色が増していきます。
キツネベラの幼魚はヒレグロベラの幼魚に似ていますが、ヒレグロベラの幼魚は体側前方と背鰭前方が黄色、胸鰭が黒く、キツネベラの幼魚と同じ黒色横帯に加えて尾柄後端にも黒色横帯があります。また、黄色と黒色横帯と尾柄のほうの黒色横帯との間は青みがかった白色です。
キツネベラはタキベラ属の中では大型の魚で、全長は40センチメートル程度ですが、60センチメートル近くまで成長することもあります。
部位 | 特徴 |
---|---|
体色 | 成魚は赤色、背面後方に黒い斑紋(雌は明瞭) |
鰭 | 黄色みがかった色 |
眼 | 白色または赤色 |
幼魚 | 臀鰭と背鰭の後方、体側後方、尾柄前方に黒色横帯 |
幼魚 | 背面前方と背鰭前方は黄色、体側前方は白地に赤色の点列 |
幼魚 | 尾柄と腹鰭は青みがかった白色、胸鰭と背鰭最後方、臀鰭最後方、尾鰭は半透明 |
幼魚 | 眼は黄色と赤色の境界に位置するため、2つの色が混ざり合って見える |
成長 | 成長に伴い全体的に赤色が増していく |
識別 | 体側中央に白い斑紋がないことでタキベラと区別できる |
キツネベラの生態
成魚は水深30メートル付近の岩礁やサンゴ礁外縁礁付近で見られます。幼魚は、やや内湾の浅い水域で、岩やサンゴの陰で単独でじっとしていることが多いです。
キツネベラは性転換をする魚です。孵化したばかりのキツネベラのほぼすべてがメスで、成長するにつれてオスへと性転換する個体が出てきます。ただし、ごくまれに生まれながらにしてオスの個体もいるそうです。
キツネベラは肉食性で、小魚や甲殻類を食べて生活しています。
キツネベラの産卵期は初夏から秋にかけてです。
項目 | 説明 |
---|---|
生息場所 | 成魚は水深30m付近の岩礁やサンゴ礁外縁礁付近 |
生息場所 | 幼魚は内湾の浅い水域で岩やサンゴの陰に隠れる |
食性 | 肉食性、小魚や甲殻類を食べる |
繁殖 | 性転換をする、メスからオスへ変化 |
産卵期 | 初夏から秋にかけて |
キツネベラの名前の由来
キツネベラという名前は、顔を横から見ると口がとがっておりキツネに似ていることから付けられました。また、ベラという名前は、泳ぐとき海藻や岩の裂け目など狭い場所を移動する時、ヘラヘラと体を動かすことから付けられました。
キツネベラを漢字で書くと「狐倍良」です。これは、キツネベラの横顔が「狐(キツネ)」に似ていることからきています。
キツネベラを英語で書くと「Tarry hogfish」です。「Tarry」は英語で「タールを塗ったような」という意味で、キツネベラの体にある黒い斑紋に由来しています。「Hogfish」は英語で「大型のベラ」という意味です。
言語 | 名前 | 由来 |
---|---|---|
日本語 | 狐倍良 | 横顔がキツネに似ていることから |
英語 | Tarry hogfish | タールを塗ったような体色と大型のベラという意味 |
まとめ
キツネベラは、赤色の体色と黒い斑紋、そして幼魚の黒色横帯が特徴的な魚です。タキベラに似ていますが、体側中央に白い斑紋がないことで見分けられます。
キツネベラは、成魚になると水深30メートル付近の岩礁やサンゴ礁外縁礁付近に生息し、幼魚は内湾の浅い水域で岩やサンゴの陰に隠れて生活しています。
キツネベラは性転換をする魚で、メスからオスへと変化していきます。また、肉食性で小魚や甲殻類を食べて生活しています。
キツネベラという名前は、横顔がキツネに似ていることから付けられました。英語では「Tarry hogfish」と呼ばれ、タールを塗ったような体色と大型のベラという意味が込められています。
2. キツネベラの生息地と分布
日本の生息地
キツネベラは、暖かい海を好む魚で、日本近海では鹿児島県より南の海域に広く分布しています。具体的には、八丈島、火山列島などの小笠原諸島、静岡県富戸から高知県柏島までの太平洋沿岸、熊本県天草、屋久島、琉球列島などが挙げられます。
キツネベラは、水深50メートルまでの岩礁域に生息しています。
地域 | 詳細 |
---|---|
小笠原諸島 | 八丈島、火山列島など |
太平洋沿岸 | 静岡県富戸から高知県柏島まで |
九州 | 熊本県天草、屋久島 |
沖縄 | 琉球列島 |
海外の生息地
日本国外では、朝鮮半島南岸、台湾、中国福建省、東沙諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド洋、オーストラリア西岸・東岸を除く西太平洋に分布しています。
地域 | 詳細 |
---|---|
アジア | 朝鮮半島南岸、台湾、中国福建省、東沙諸島、西沙諸島、南沙諸島 |
その他 | インド洋、オーストラリア西岸・東岸を除く西太平洋 |
生息地の環境
キツネベラは、岩礁やサンゴ礁外縁礁付近などの、水深30メートル付近の環境を好みます。幼魚は、やや内湾の浅い水域で、岩やサンゴの陰に隠れて生活しています。
場所 | 水深 | 特徴 |
---|---|---|
岩礁 | 30m付近 | 成魚が好む |
サンゴ礁外縁礁 | 30m付近 | 成魚が好む |
内湾の浅い水域 | 浅い | 幼魚が好む |
まとめ
キツネベラは、日本国内では鹿児島県より南の海域、日本国外では朝鮮半島南岸、台湾、中国福建省、東沙諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド洋、オーストラリア西岸・東岸を除く西太平洋に分布しています。
キツネベラは、水深50メートルまでの岩礁域に生息し、成魚は水深30メートル付近の岩礁やサンゴ礁外縁礁付近、幼魚は内湾の浅い水域で岩やサンゴの陰に隠れて生活しています。
3. キツネベラの食性と摂取量
キツネベラの食性
キツネベラは肉食性で、小魚や甲殻類を食べて生活しています。
釣りでは、サンマなどの切り身やイソメなどがエサとして使われます。
餌 | 詳細 |
---|---|
小魚 | 主な餌 |
甲殻類 | 主な餌 |
サンマ | 釣り餌 |
イソメ | 釣り餌 |
キツネベラの摂取量
キツネベラの摂取量は、個体差や環境によって異なります。
一般的に、キツネベラは食欲旺盛で、餌をよく食べます。
キツネベラの栄養価
キツネベラは、低脂肪高タンパクな食材です。
キツネベラには、タンパク質、DHA、EPA、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン、コラーゲン、葉酸、パントテン酸、鉄分、リン、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどの栄養素が含まれています。
栄養素 | 効果 |
---|---|
タンパク質 | 筋肉細胞の維持、免疫力向上 |
DHA | 脳細胞の活性化、脳の発達 |
EPA | 血液サラサラ、中性脂肪低下 |
ビタミンA | 皮膚や粘膜の健康維持 |
ビタミンB群 | 神経機能の正常化 |
ビタミンD | カルシウムの吸収促進 |
ビタミンE | 抗酸化作用 |
ナイアシン | 血行促進、冷え性改善 |
コラーゲン | 皮膚の弾力、損傷修復 |
葉酸 | 細胞の生まれ変わり |
パントテン酸 | 糖質、脂質の代謝促進 |
鉄分 | 貧血予防 |
リン | 歯や骨を丈夫にする |
マグネシウム | 代謝促進 |
カルシウム | 骨を強くする、骨粗鬆症予防 |
カリウム | 細胞内の浸透圧調整、むくみ防止 |
まとめ
キツネベラは肉食性で、小魚や甲殻類を食べて生活しています。
キツネベラは、低脂肪高タンパクな食材で、タンパク質、DHA、EPA、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン、コラーゲン、葉酸、パントテン酸、鉄分、リン、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどの栄養素が含まれています。
4. キツネベラの繁殖期と習性
キツネベラの繁殖期
キツネベラの産卵期は初夏から秋にかけてです。
時期 | 詳細 |
---|---|
初夏から秋 | 産卵期 |
キツネベラの習性
キツネベラは、性転換をする魚です。孵化したばかりのキツネベラのほぼすべてがメスで、成長するにつれてオスへと性転換する個体が出てきます。ただし、ごくまれに生まれながらにしてオスの個体もいるそうです。
キツネベラは、縄張りを持ち、忙しく泳ぎ回っていることが多いです。
キツネベラは、他の小型の魚を追い回す姿も見られます。
項目 | 説明 |
---|---|
性転換 | メスからオスへ変化 |
行動 | 縄張りを持ち、活発に泳ぎ回る |
行動 | 他の小型の魚を追い回す |
行動 | 日中は活動し、夜間は岩の隙間などで休息 |
キツネベラの行動
キツネベラは、日中に活動することが多く、夜間は岩の隙間などで休息します。
キツネベラは、水深が数10メートルのところでよく釣れます。
まとめ
キツネベラの産卵期は初夏から秋にかけてです。
キツネベラは、性転換をする魚で、メスからオスへと変化していきます。
キツネベラは、縄張りを持ち、他の小型の魚を追い回すなど、活発に活動する魚です。
5. キツネベラの飼育方法と注意点
飼育に必要な環境
キツネベラを飼育するには、水槽の大きさは、キツネベラのサイズや性格、飼育する他の魚種などを考慮して決める必要があります。
キツネベラは、飛び出しやすい魚なので、水槽には必ず蓋を付けて飛び出し事故防止に努めましょう。
水温は22℃~26℃ぐらいが適温です。ただし、種類によっては、やや低温を好む種もいるため、飼育する種類の適温を確認してください。
水質は、硝酸塩濃度50ppm以下であれば問題ありません。ただし、水質を定期的にチェックし、必要に応じて水換えを行うようにしましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
水槽サイズ | キツネベラのサイズや性格、飼育する他の魚種などを考慮 |
蓋 | 飛び出し防止対策として必須 |
水温 | 22℃~26℃が適温、種類によっては低温を好む場合あり |
水質 | 硝酸塩濃度50ppm以下 |
水換え | 定期的に水換えを行う |
餌について
キツネベラは、人工餌でも問題なく飼育できますが、人工餌の食べが悪い時には、エビなどの甲殻類を与えてみましょう。
キツネベラは、食欲旺盛で、餌をよく食べます。
餌 | 詳細 |
---|---|
人工餌 | 問題なく飼育可能 |
甲殻類 | 人工餌の食べが悪い場合に与える |
頻度 | 食欲旺盛で餌をよく食べる |
混泳について
キツネベラは、多くの魚と混泳が可能です。ただし、種類によって相性がありますので、必ず相性を確認しましょう。
例えば、ライムラスは、気の強い海水魚と混泳させると怯えて砂の中から出てこなくなってしまうことがありますので、注意が必要です。
キツネベラは、同種の混泳はケンカになってしまうことが多いので避けましょう。
混泳 | 注意点 |
---|---|
相性 | 種類によって相性があるため、必ず確認 |
ライムラス | 気の強い魚との混泳は避ける |
同種 | 同種の混泳はケンカになるため避ける |
まとめ
キツネベラを飼育するには、水槽の大きさを適切に選び、蓋を付けて飛び出し事故を防ぐ必要があります。
水温は22℃~26℃、硝酸塩濃度50ppm以下を維持し、定期的に水換えを行いましょう。
キツネベラは、人工餌でも問題なく飼育できますが、エビなどの甲殻類も喜んで食べます。
キツネベラは、多くの魚と混泳が可能です。ただし、種類によって相性がありますので、必ず相性を確認し、同種の混泳は避けましょう。
6. キツネベラの環境への影響と保護活動
キツネベラの環境への影響
キツネベラは、サンゴ礁などの生態系において重要な役割を担っています。
キツネベラは、他の魚に付着した寄生虫や汚れを食べることで、海の環境を清潔に保つ役割を果たしています。
しかし、近年、環境汚染や乱獲などにより、キツネベラの生息数は減少しています。
影響 | 詳細 |
---|---|
生態系 | サンゴ礁などの生態系において重要な役割 |
役割 | 他の魚に付着した寄生虫や汚れを食べることで海の環境を清潔に保つ |
脅威 | 環境汚染や乱獲により生息数が減少 |
現状 | 保護活動が必要 |
キツネベラの保護活動
キツネベラを保護するためには、環境汚染の防止や乱獲の抑制が重要です。
また、キツネベラの生息環境であるサンゴ礁の保護活動も重要です。
キツネベラは、美しい魚であり、生態系において重要な役割を担っています。
キツネベラを保護することで、海の環境を守り、豊かな生態系を維持することができます。
活動 | 詳細 |
---|---|
環境汚染防止 | 重要 |
乱獲抑制 | 重要 |
サンゴ礁保護 | 重要 |
キツネベラと人間の関わり
キツネベラは、食用としても漁獲されています。
特に、関西地方ではキュウセンベラの刺身や煮つけが好んで食されています。
キツネベラは、観賞魚としても人気があり、アクアリウムで飼育されることもあります。
関係 | 詳細 |
---|---|
食用 | 関西地方ではキュウセンベラの刺身や煮つけが好んで食されている |
観賞魚 | アクアリウムで飼育されることも多い |
まとめ
キツネベラは、サンゴ礁などの生態系において重要な役割を担っており、環境汚染や乱獲などにより生息数が減少しています。
キツネベラを保護するためには、環境汚染の防止や乱獲の抑制、サンゴ礁の保護活動などが重要です。
キツネベラは、食用や観賞魚としても利用されており、人間と密接な関係を持つ魚です。
参考文献
・水族館魚図鑑-キツネベラ(Bodianus bilunulatus) – 動物園&水族 …
・キツネベラ | 美ら海生き物図鑑 | 沖縄美ら海水族館 | 沖縄の …
・キツネベラ | ダイバーの海水魚図鑑 Shiny Ace.
・キツネがつくベラ科はすべてうまい | コラム | 市場魚貝類図鑑
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