1. 割安株投資とは
1-1. 割安株とは何か
割安株とは、企業の実体価値に対して、割安の株価で取引されている株のことです。企業の業績や資産などを基に評価された企業の実体価値に対して、株価が低く見積もられている状態を指します。
割安株は、企業の実体価値が盤石であるにもかかわらず、悪いニュースの影響を一時的に受けているために、投資家の間でネガティブな話題が広まり、株価が一時的に下落することがあります。
また、市場全体に対して、企業が生み出している利益の規模が小さく、知名度が低いことも理由として挙げられます。 知名度の低い企業は、利益が安定しているにもかかわらず投資家から注目を浴びないので、取引が活発に行われず過小評価されます。
1-2. 割安株を見つけるための指標
割安株を見つける際に役立つ指標として、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)があります。
PER(株価収益率)は、株価を1株当たりの利益で割って求められる指標であり、企業の株価が利益に対してどれだけ割安であるのかを示します。 例えばPERが「10倍」であれば、株価は企業の1株当たりの利益に対して10倍で取引されているということになります。 したがってPERが低い場合、株価は企業の利益に対して割安であると判断できます。 一般的にPERが15倍以下の株式が割安株だとみなされますが、あくまでも目安として考えてください。
PBR(株価純資産倍率)は、株価を1株当たりの純資産で割って求められる指標であり、企業の株価が純資産に対してどれだけ割安であるのかを示します。 例えばPBRが「0.5倍」であれば、株価は企業の1株当たりの純資産に対して半分の価値であるということになります。 したがってPBRが低い場合、配当など株主への利益還元の原資となる純資産に対して株価が割安であると判断できます。 一般的にPBRが1倍未満の株式が割安株だとみなされますが、PER同様、1倍未満という数値はあくまでも目安として考えてください。
1-3. 割安株投資のメリットと注意点
割安株投資には、以下のメリットがあります。
将来的な値上がり期待: 割安株は、一時的に過小評価されているにすぎず、今後企業の実体価値に見合った水準まで株価が上昇すると期待できます。 したがって割安株への投資では、将来的な値上がりが期待できる株式をお得に購入できます。
株価下落リスクの低さ: 割安株は既に株価が下落しているので、さらに大きく株価が下落するリスクが低いと言えます。 また、割安株には利益が安定している大手企業が多いという点でも、株価の下落リスクは限定的であるといえます。
安定したインカムゲイン: 割安株には利益が安定している大手企業が多く、投資家に対して利益を還元するための配当や株主優待制度が充実していることが多いです。 割安株への投資では、将来的な値上がりによるキャピタルゲインを期待できつつ、株式を保有して得られるインカムゲインも狙えます。
しかし、割安株投資には以下の注意点があります。
成長性の不確かさ: 割安株は、企業の実体価値と比べて過小評価されているだけであって、必ずしも将来的な成長を期待できるとは限りません。 株価が企業の本来の価値に見合った水準に戻ることは期待できますが、企業が成長して、株価がさらに上昇し続けるかは企業の努力次第であり、大きなリターンを確実に狙えるわけではありません。
割安株の選定: 株価が割安になる原因はさまざまなので、企業の価値がただ過小評価されているだけなのか見極めなければなりません。 一時的な悪いニュースや知名度の低さが原因である場合、株価が企業の実体価値を表す水準まで戻る可能性が高いと考えられます。 しかし市場において将来的な成長が期待されておらず、多くのトレーダーから売りに出されて株価が下落している場合は、株価の上昇が期待できないのです。 したがって、なぜ株価が割安になっているのか原因を見極め、企業の実力と将来性を総合的に評価することが重要です。
1-4. まとめ
割安株投資は、企業の実体価値に対して割安で取引されている株式に投資することで、リスクを抑えて安定した利益を期待できる投資手法です。 しかし、株価がなぜ割安になっているのか原因を見極めなければ、過小評価されたまま株価が上昇しない可能性もあります。
PERやPBRなどの指標を参考にしたり、複数の銘柄へ分散投資したりすると、バリュー投資で失敗するリスクを抑えつつ、リターンが狙えるようになるでしょう。
参考文献
2. 割安株のメリットとリスク
2-1. 割安株投資のメリット
割安株投資は、企業の本来の価値に対して株価が低く評価されている銘柄に投資する手法です。一見、リスクが高いように思える割安株投資ですが、実は魅力的なメリットも数多く存在します。
まず、 低価格で投資を始められる という点が挙げられます。割安株は、元々の価格が低いので、少ない資金で投資を始められます。これは、投資初心者にとって大きなメリットです。特に、まとまった資金がない方や、リスクを抑えたい方にとっては、魅力的な選択肢と言えるでしょう。
次に、 値下がりによる損失をある程度限定できる という点も大きなメリットです。割安株は、既に価格が下がっているため、さらに下がる可能性は低く、値下がりによる損失も限定的です。もちろん、企業の業績が悪化すれば、さらに価格が下がる可能性はありますが、成長性のある企業を選定すれば、値下がりリスクをある程度抑えることができます。
さらに、 長期的な視点で投資できる という点も割安株投資の魅力です。割安株は、市場で十分に評価されていないため、時間がかかる場合もありますが、企業の成長に伴い、将来的に株価が上昇する可能性があります。これは、短期的な利益よりも長期的な安定収入を求める投資家にとって、非常に魅力的なポイントです。
このように、割安株投資は、低価格で投資を始められ、値下がりリスクを抑え、長期的な視点で投資できるなど、多くのメリットがあります。
2-2. 割安株投資のリスク
一方で、割安株投資には、以下のようなリスクも存在します。
まず、 株価がなかなか上がらない というリスクがあります。割安株は、市場で十分に評価されていないため、株価がなかなか上がらない場合があります。これは、特に、企業の成長が遅かったり、市場の動向が変化したりした場合に起こりやすいです。
次に、 企業の業績が悪化し、さらに価格が下がる というリスクもあります。割安株は、既に価格が下がっているため、さらに下がる可能性は低いですが、企業の業績が悪化すれば、さらに価格が下がる可能性もあります。特に、企業の経営状況が不安定だったり、競合他社の台頭など、外的要因によって業績が悪化する可能性もあるため、注意が必要です。
また、 割安株を見極めるのが難しい というリスクも存在します。割安株を見極めるためには、企業の業績や財務状況、市場の動向などを総合的に判断する必要があります。これは、ある程度の知識や経験が必要となり、投資初心者にとっては難しい場合があります。
さらに、 割安株は、成長株に比べて情報が少ない というリスクもあります。成長株は、市場の注目を集めているため、多くの情報が公開されています。一方、割安株は、市場で注目されていないため、情報が少ない場合があります。そのため、企業の将来性や成長性を判断することが難しく、投資判断を誤る可能性があります。
2-3. 割安株を見つける方法
割安株を見つけるには、いくつかの方法があります。
まず、 PER(株価収益率) と PBR(株価純資産倍率) といった指標を活用する方法があります。これらの指標は、企業の業績や資産価値に対して株価がどれほど評価されているかを表すもので、数値が低いほど割安と判断されます。
しかし、これらの指標だけで割安株を見極めるのは、少々安易です。これらの指標と企業の動向やビジネスモデルなどを組み合わせて、投資対象を選定することが重要です。
例えば、 今後の業績向上が期待できるか、企業として成長が期待できるか といった視点で判断することが重要です。
2-4. まとめ
割安株投資は、低価格で投資を始められ、値下がりリスクを抑え、長期的な視点で投資できるなど、多くのメリットがある一方で、株価がなかなか上がらない、企業の業績が悪化し、さらに価格が下がる、割安株を見極めるのが難しいといったリスクも存在します。
割安株投資を行う際には、これらのメリットとリスクを理解した上で、慎重に投資判断を行うことが重要です。特に、投資初心者の方は、まずは、よく知る業界や普段利用している企業の中から、今後の業績向上が期待できる企業を検討することから始めてみましょう。
また、割安株投資は、長期的な視点で投資を行うことが重要です。そのため、短期的な値動きに一喜一憂せず、企業の成長を信じてじっくりと投資を続けることが大切です。
参考文献
・バリュー株に投資する6つのメリット・デメリット。割安な …
・[動画で解説]成長株、割安株、高配当利回り株…どの株を選べば …
3. 割安株投資の始め方
3-1. 割安株の探し方
割安株投資を始める第一歩は、魅力的な割安株を見つけることです。そのためには、いくつかの指標を活用し、スクリーニングを行う必要があります。
まず、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)を用いて、企業の収益性と資産価値を評価します。PERは、株価を一株あたり利益で割ったもので、低いPERは利益に対して株価が低いことを意味します。PBRは、株価を一株当たり純資産で割ったもので、1未満であれば純資産に比べて株価が低いと判断されます。これらの指標は、業界平均や過去の値と比較することで、割安度をより正確に評価することができます。
さらに、ROE(自己資本利益率)や自己資本比率などの指標も活用することで、企業の成長性と財務の安定性を評価します。ROEは、自己資本に対する利益の比率で、高いROEは効率の良い経営を行っていることを示します。自己資本比率は、総資産に対する自己資本の割合で、高い自己資本比率は財務の安定性を示します。
スクリーニングツールを活用することで、これらの指標を用いた銘柄選定を効率的に行うことができます。証券会社が提供する無料のスクリーニングツールや、Trader’s Web、SBI証券、楽天証券、GMOクリック証券などのサービスを利用することができます。各ツールには特徴がありますので、自分に合ったツールを選び、使いこなすことが重要です。
3-2. 銘柄分析
スクリーニングで絞り込んだ銘柄に対しては、さらに詳細な分析が必要です。ここでは、企業の事業内容、競争優位性、成長性、財務状況などを分析することで、その銘柄が本当に割安かどうかを判断します。
企業の事業内容を理解することは、その企業が将来どのように成長していくのかを予測する上で重要です。競争優位性は、企業が他社に対してどのような強みを持っているのかを示します。成長性については、売上や利益の過去データと将来の予測を比較することで評価することができます。財務状況は、企業の安全性と安定性を評価する上で不可欠です。
これらの分析を行う際には、企業のウェブサイト、IR情報、証券会社のリポート、経済ニュースなどを参考にすることができます。
3-3. 投資戦略の策定
割安株投資では、長期的な視点で投資を行うことが重要です。短期的な値動きに惑わされず、企業の成長を見据えて投資することが、長期的なリターン獲得につながります。
投資戦略を策定する際には、以下の点を考慮する必要があります。
投資期間:長期投資か、それとも短期投資か
投資金額:どれだけの資金を投資するのか
リスク許容度:どの程度の損失を受け入れられるのか
投資目標:どのようなリターンを期待しているのか
これらの要素を踏まえ、分散投資やバリュー投資などの投資戦略を検討する必要があります。
3-4. まとめ
割安株投資は、企業の価値に対して株価が低い銘柄に投資することで、長期的に安定したリターンを獲得できる可能性のある投資戦略です。
割安株投資を始めるには、まず、PER、PBR、ROEなどの指標を用いて、スクリーニングを行い、魅力的な銘柄を見つけ出す必要があります。そして、企業の事業内容、競争優位性、成長性、財務状況などを分析し、その銘柄が本当に割安かどうかを判断します。
投資戦略を策定する際には、投資期間、投資金額、リスク許容度、投資目標などを考慮し、分散投資やバリュー投資などの戦略を検討する必要があります。
割安株投資は、企業の真の価値を見極めることで、長期的な視点で安定したリターンを獲得できる可能性のある投資戦略です。しかし、リスクを理解した上で、慎重に投資を行うことが重要です。
参考文献
・「割安株」ってどうやって見つけるの?株式投資初心者でも …
コメント