魚:クマノミモドキ→クマノミについて説明

クマノミモドキの特徴まとめ
項目 内容
学名 Amphiprion clarkii
英名 Clark’s anemonefish, yellowtail clownfish
最大サイズ 雄: 10cm, 雌: 15cm
体色 背側: 黒, 腹側: 橙黄色, 成長とともに黒色部分拡大
白いライン 眼の後方と肛門の上に2本
尾鰭 雄: 橙色, 雌: 白色
分布域 インド太平洋の熱帯域
生息環境 サンゴ礁や岩礁などの浅い海域
生息深度 通常60m以浅
共生関係 イソギンチャクと共生
性転換 雄性先熟性, 大きく成長した雄が雌に性転換
食性 雑食性, 動物プランクトンや藻類を食べる
性格 縄張り意識が強く攻撃的
地方名 トンボダイ(和歌山), ハチマキ, チンチクリ(高知), ヤハゲ(愛媛)

1. クマノミモドキとは

要約

クマノミモドキとは?

クマノミモドキは、クマノミの仲間の一種で、学名は *Amphiprion clarkii* です。英名では Clark’s anemonefish や yellowtail clownfish などと呼ばれています。クマノミモドキは、その名前の通り、クマノミの仲間の中でも最も一般的な種類です。最大で雄は10cm、雌は15cm程度まで成長し、体はずんぐりとして側扁します。背鰭は10棘15-16軟条、臀鰭は2棘13-14軟条を持ちます。体色は地域変異があり、通常は背側が黒、腹側が橙黄色で、黒い部分は成長とともに拡大します。吻は橙から桃色で、体には2本の白い横縞があり、1本は眼の後方に、もう1本は肛門の上にある。背鰭は橙黄色で、尾柄は白い。尾鰭は三角形に近く、雄は橙色だが雌は白色です。アラビアハタゴイソギンチャク *Stichodactyla mertensii* に共生するものは腹部まで黒くなることもあります。尾鰭の色は多少淡く、白いこともある。稚魚は橙黄色の体に、白い横縞を持つ。

クマノミモドキは、インド太平洋の熱帯に広く分布し、成体は深度60m以浅の、礁湖や礁周縁に生息しています。クマノミ亜科の中で最も宿主の範囲が広く、約10種のイソギンチャクと共生することができます。ハナビラクマノミやセジロクマノミと共同で1個体のイソギンチャクを利用していることが観察されています。

クマノミモドキは、雄性先熟性で、大きく成長した雄が雌に性転換します。しかし、群れの構造や性転換のタイミングは生息地によって異なります。クマノミモドキは、雑食性で、動物プランクトンや藻類を食べる。昼行性で、縄張りを持ち攻撃的です。イソギンチャクが利用できない場合は岩陰に隠れます。イソギンチャクとは相利共生の関係にあり、弱った魚を触手に近づける、チョウチョウウオ科のようなイソギンチャクの捕食者を追い払う、などの行動を取ります。

クマノミモドキの地方名

クマノミモドキは、地域によって様々な呼び名で呼ばれています。例えば、和歌山県ではトンボダイ、高知県ではハチマキやチンチクリ、愛媛県ではヤハゲなどと呼ばれています。これらの地方名は、クマノミモドキの体色や模様、あるいは生態からつけられたと考えられます。

クマノミモドキの地方名
地域 地方名
和歌山県 トンボダイ
高知県 ハチマキ, チンチクリ
愛媛県 ヤハゲ

クマノミモドキの学名

クマノミモドキの学名は *Amphiprion clarkii* です。学名は、生物を分類するために用いられる名前で、世界共通で用いられています。学名は、属名と種小名から構成され、属名は *Amphiprion*、種小名は *clarkii* です。種小名 *clarkii* は、魚類学者ベネットが本種を新種として報告する時に、図版を製作した銅版彫師クラークへ献名したものです。

まとめ

クマノミモドキは、クマノミの仲間の中でも最も一般的な種類で、インド太平洋の熱帯に広く分布しています。体色は地域変異があり、背側が黒、腹側が橙黄色で、成長とともに黒い部分が拡大します。雄性先熟性で、大きく成長した雄が雌に性転換します。イソギンチャクと共生し、縄張り意識が強く攻撃的な性格をしています。

2. クマノミモドキの分布地域

要約

クマノミモドキの分布域

クマノミモドキは、インド太平洋の熱帯域に広く分布しています。具体的には、紅海、インド洋、太平洋の熱帯域に生息しています。日本国内では、千葉県以南の太平洋側、琉球列島、小笠原諸島などで見られます。

クマノミモドキの生息環境

クマノミモドキは、サンゴ礁や岩礁などの浅い海域に生息しています。特に、水温が高く、日光が良く当たるような場所を好みます。また、イソギンチャクと共生するため、イソギンチャクが生息しているような場所によく見られます。

クマノミモドキの生息深度

クマノミモドキは、通常は水深60m以浅の浅い海域に生息しています。しかし、稀に水深100mを超えるような深い場所で見られることもあります。

まとめ

クマノミモドキは、インド太平洋の熱帯域に広く分布し、サンゴ礁や岩礁などの浅い海域に生息しています。水温が高く、日光が良く当たるような場所を好み、水深は通常60m以浅です。

3. クマノミモドキとクマノミの違い

要約

クマノミモドキとクマノミの体色の違い

クマノミモドキとクマノミは、どちらもオレンジ色をベースとした体色をしていますが、いくつかの違いがあります。クマノミモドキは、背側が黒く、腹側が橙黄色で、成長とともに黒い部分が拡大します。一方、クマノミは、背側が黒く、腹側が黄色で、成長とともに黒い部分が拡大します。また、クマノミモドキは、吻が橙から桃色であるのに対し、クマノミは吻が黄色です。

クマノミモドキとクマノミの体色の違い
項目 クマノミモドキ クマノミ
背側
腹側 橙黄色 黄色
橙から桃色 黄色

クマノミモドキとクマノミの白いラインの違い

クマノミモドキとクマノミは、どちらも体側に白いラインが入っていますが、本数と位置が異なります。クマノミモドキは、眼の後方と肛門の上に2本の白いラインが入っています。一方、クマノミは、眼の後方と体の中央に2本の白いラインが入っています。

クマノミモドキとクマノミの白いラインの違い
項目 クマノミモドキ クマノミ
白いライン 眼の後方と肛門の上に2本 眼の後方と体の中央に2本

クマノミモドキとクマノミの尾鰭の違い

クマノミモドキとクマノミは、尾鰭の色が異なります。クマノミモドキの尾鰭は、雄は橙色、雌は白色です。一方、クマノミの尾鰭は、雄は黄色、雌は白色です。

クマノミモドキとクマノミの尾鰭の違い
項目 クマノミモドキ クマノミ
雄の尾鰭 橙色 黄色
雌の尾鰭 白色 白色

まとめ

クマノミモドキとクマノミは、体色、白いライン、尾鰭の色など、いくつかの違いがあります。クマノミモドキは、背側が黒く、腹側が橙黄色で、眼の後方と肛門の上に2本の白いラインが入っています。尾鰭は、雄は橙色、雌は白色です。一方、クマノミは、背側が黒く、腹側が黄色で、眼の後方と体の中央に2本の白いラインが入っています。尾鰭は、雄は黄色、雌は白色です。

4. クマノミモドキの生態と繁殖

要約

クマノミモドキの生態

クマノミモドキは、イソギンチャクと共生することで知られています。イソギンチャクは、触手に刺胞と呼ばれる毒針を持ち、他の魚を攻撃しますが、クマノミは、体表から出す粘液がイソギンチャクと同質で刺胞が発動しないようになっています。クマノミはイソギンチャクにもぐり込み共生することで、外敵から身を守ることができています。

クマノミモドキの繁殖

クマノミモドキは、雄性先熟性で、大きく成長した雄が雌に性転換します。一つのイソギンチャクには複数のクマノミが生息し、その中で一番大きい個体がメス、2番目に大きい個体がオスとなり、この2匹がカップルになります。残りのクマノミたちは、オスにもメスにもならず繁殖行動は行いません。もしもメスが死んでしまった場合は、メスの次に大きかったオスがメスへと性転換をします。そして、残りのオスでもメスでもなかったクマノミの中から、体の大きい個体がオスへなります。

クマノミモドキの産卵

クマノミモドキは、産卵期になると、メスがイソギンチャクの触手に卵を産み付け、オスが受精させます。卵は、オレンジ色で、イソギンチャクの触手に付着して保護されます。オスは、卵を世話をする役割を担い、卵に新鮮な水を送り続けたり、卵を掃除したりします。

まとめ

クマノミモドキは、イソギンチャクと共生し、外敵から身を守っています。雄性先熟性で、大きく成長した雄が雌に性転換します。産卵期になると、メスがイソギンチャクの触手に卵を産み付け、オスが受精させます。

5. クマノミモドキの飼育方法

要約

クマノミモドキの飼育に必要なもの

クマノミモドキを飼育するには、水槽、ろ過装置、ヒーター、照明、人工海水、餌などが必要です。水槽の大きさは、クマノミモドキのサイズや飼育する数によって異なりますが、一般的には60cm水槽以上が推奨されます。ろ過装置は、水槽のサイズに合わせて適切なものを選びましょう。ヒーターは、水温を25℃前後に保つために必要です。照明は、イソギンチャクを飼育する場合には、光合成ができるようなものを選びましょう。人工海水は、水槽の水を海水にするために必要です。餌は、クマノミモドキ用の専用の人工飼料が販売されています。

クマノミモドキの飼育に必要なもの
項目 内容
水槽 60cm水槽以上
ろ過装置 水槽のサイズに合わせて適切なものを選択
ヒーター 水温を25℃前後に保つために必要
照明 イソギンチャクを飼育する場合は光合成ができるものを選択
人工海水 水槽の水を海水にするために必要
クマノミモドキ用の専用の人工飼料

クマノミモドキの飼育環境

クマノミモドキは、水温25℃前後、比重1.023程度の海水で飼育するのが理想です。水質は、定期的に水換えを行い、アンモニアや亜硝酸などの有害物質が溜まらないように注意しましょう。また、クマノミモドキは、イソギンチャクと共生するため、イソギンチャクを水槽に入れることもできます。ただし、イソギンチャクの飼育は、水質管理が難しいため、初心者にはおすすめできません。

クマノミモドキの餌

クマノミモドキは、雑食性で、人工飼料、冷凍餌、生餌など様々な餌を食べます。人工飼料は、クマノミモドキ用のものが販売されています。冷凍餌は、イトミミズ、オキアミ、クリルなどが一般的です。生餌は、ブラインシュリンプ、アルテミアなどがよく食べられます。

クマノミモドキの餌
種類
人工飼料 クマノミモドキ用の専用の人工飼料
冷凍餌 イトミミズ, オキアミ, クリル
生餌 ブラインシュリンプ, アルテミア

まとめ

クマノミモドキを飼育するには、水槽、ろ過装置、ヒーター、照明、人工海水、餌などが必要です。水温25℃前後、比重1.023程度の海水で飼育するのが理想です。水質は、定期的に水換えを行い、アンモニアや亜硝酸などの有害物質が溜まらないように注意しましょう。クマノミモドキは、雑食性で、人工飼料、冷凍餌、生餌など様々な餌を食べます。

6. クマノミモドキの魅力

要約

クマノミモドキの魅力1:鮮やかな体色

クマノミモドキは、オレンジ色をベースとした鮮やかな体色をしています。背側が黒く、腹側が橙黄色で、成長とともに黒い部分が拡大していく様子は、見ていて飽きることがありません。また、吻が橙から桃色で、体には2本の白い横縞が入っているのも、クマノミモドキの魅力の一つです。

クマノミモドキの魅力2:イソギンチャクとの共生

クマノミモドキは、イソギンチャクと共生することで知られています。イソギンチャクの触手に身を隠し、外敵から身を守り、一方、イソギンチャクに食べ残しを提供するなど互いに利益をもたらす関係を築いています。クマノミモドキがイソギンチャクの毒のある刺胞の攻撃を受けないのは、生まれつき免疫があるわけではなく、接触を繰り返して触手に順応することが実験の結果明らかになっています。

クマノミモドキの魅力3:ユニークな繁殖方法

クマノミモドキは、雄性先熟性で、大きく成長した雄が雌に性転換します。これは、メスが死んだ場合、次に大きいオスがメスに性転換することで、群れの安定を保つための戦略と考えられています。このユニークな繁殖方法は、クマノミモドキの魅力の一つです。

まとめ

クマノミモドキは、鮮やかな体色、イソギンチャクとの共生、ユニークな繁殖方法など、多くの魅力を持つ魚です。飼育も比較的容易で、初心者の方にもおすすめです。

参考文献

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