魚:イボダイについて説明

イボダイのまとめ
項目 内容
学名 Psenopsis anomala
和名 イボダイ
英名 Pacific rudderfish, Japanese butterfish
体長 最大30cm
分布域 男鹿半島・松島湾以南の日本列島沿岸、朝鮮半島、台湾、東シナ海
生息環境 やや深い海の海底付近
食性 肉食性(クラゲ類、サルパ類、甲殻類など)
産卵期 4~8月
寿命 約4年
漁獲方法 底引き網、定置網
主な産地 島根県、兵庫県、大分県、長崎県、愛媛県
夏~秋
特徴 エラ蓋の上に褐色の斑点がある、皮膚が薄く筋肉が浮き上がって見える、体表から粘液を分泌する

1. イボダイの特徴

要約

イボダイの形態

イボダイは、スズキ目イボダイ科イボダイ属に分類される魚で、最大で30cmほどに成長します。体は楕円形で側扁し、体高が高いのが特徴です。口吻は尖らず、頭部は丸みを帯びています。体色は鈍い光沢のある銀灰色で、鰓蓋の上に褐色の斑点が1つあります。この斑点が灸の跡(いぼお)に見えることから、イボダイという名前が付けられました。

全身は細かい円鱗に覆われていますが、鱗は剥がれやすいです。しかし、体表からは多量の粘液が分泌されます。背鰭は1基だけで、棘条はあまり発達していません。側線は体側を湾曲して走り、側線鱗数は55~63枚です。

イボダイは、皮膚が薄いため、筋肉が浮き上がって見えるのが特徴です。そのため、生で食べるよりも干物に加工されることが多いです。

イボダイの形態的特徴
特徴 説明
体型 楕円形で側扁し、体高が高い
口吻 尖らず、頭部は丸い
体色 鈍い光沢のある銀灰色
斑点 鰓蓋の上に褐色の斑点が1つある
細かい円鱗に覆われているが、剥がれやすい
背鰭 1基のみで、棘条はあまり発達していない
側線 体側を湾曲して走り、側線鱗数は55~63枚
皮膚 薄いため、筋肉が浮き上がって見える

イボダイの生態

イボダイは、稚魚の頃はクラゲにくっついて泳ぎ、クラゲの足に隠れることで外敵から身を守りながら成長します。成長すると海底付近に移り、1年で約13cm、2年で18cm、3年で20cmほどに成長します。

イボダイは、肉食性で、クラゲ類、サルパ類、甲殻類など浮遊性・遊泳性の小動物を捕食します。

産卵期は4~8月で、東シナ海では南部の大陸沿岸に産卵場があると推定されています。卵は直径約1mmの分離浮性卵で、孵化した稚魚は、海洋表層を遊泳するクラゲ類の触手付近で生活し、敵から身を守ります。

イボダイの生態的特徴
特徴 説明
稚魚 クラゲにくっついて泳ぎ、外敵から身を守る
成魚 海底付近で生活する
食性 肉食性で、クラゲ類、サルパ類、甲殻類などを捕食する
産卵期 4~8月
寿命 約4年
成長速度 1年で約13cm、2年で18cm、3年で20cmほどに成長する

イボダイの地方名

イボダイは、地域によって様々な呼び方をされています。例えば、東京都・神奈川県・静岡県では「エボダイ」、伊豆諸島では「メダイ」、銚子では「アゴナシ」、関西では「ウオゼ」や「ウボゼ」、徳島県では「ボウゼ」、愛媛県では「シズ」、福岡市では「モチノウオ」、長崎県では「モチウオ」など、地域によって呼び方が異なります。

このように、イボダイは地域によって様々な呼び方をされていることから、その地域の人々にとって身近な魚であることがわかります。

イボダイの地方名
地域 呼び名
東京都・神奈川県・静岡県 エボダイ
伊豆諸島 メダイ
銚子 アゴナシ
関西 ウオゼ、ウボゼ
徳島県 ボウゼ
愛媛県 シズ
福岡市 モチノウオ
長崎県 モチノウオ

まとめ

イボダイは、独特の斑点を持つ、卵型の体型をした魚です。稚魚はクラゲに守られながら成長し、成魚は海底付近で生活します。地域によって様々な呼び方をされ、日本各地で親しまれている魚です。

2. イボダイの生息地

要約

イボダイの分布域

イボダイは、男鹿半島・松島湾以南の日本列島沿岸、朝鮮半島、台湾、東シナ海まで、東アジア沿岸の温暖な海域に分布しています。特に東シナ海や南日本沿岸で個体数が多いです。

イボダイ科としては分布が狭い部類に入ります。

イボダイの分布域
地域 分布
日本 男鹿半島・松島湾以南の日本列島沿岸
朝鮮半島 南部
台湾 沿岸
東シナ海 沿岸

イボダイの生息環境

イボダイは、やや深い海の海底付近に多く生息しています。

水深は30~370mと幅広く、昼間は海底付近で生活し、夜間に餌を求めて浮上します。

季節的な移動も認められ、太平洋側南部海域では、夏季は比較的浅海域に来遊しますが、秋から冬季は外海の沖合いへ移動します。

イボダイの生息環境
時間帯 生息場所
昼間 水深30~370mの海底付近
夜間 上層へ移動して餌を探す
季節 夏季は浅海域、秋から冬季は沖合いへ移動

イボダイの漁獲方法

イボダイは、主に底引き網や定置網で漁獲されます。

釣りで釣れることは稀で、熟練の釣り師でも難しいと言われています。

イボダイの漁獲方法
漁獲方法 説明
底引き網 海底を網で引きずって漁獲する
定置網 網を仕掛け、魚を捕獲する
釣り 稀に釣れるが、熟練の釣り師でも難しい

まとめ

イボダイは、東アジアの温暖な海域に広く分布し、特に東シナ海や南日本沿岸に多く生息しています。水深は30~370mと幅広く、昼間は海底付近で生活し、夜間に餌を求めて浮上します。漁獲は主に底引き網や定置網で行われ、釣りで釣るのは難しいです。

3. イボダイの食性

要約

イボダイの食性

イボダイは、肉食性で、クラゲ類、サルパ類、甲殻類など浮遊性・遊泳性の小動物を捕食します。

稚魚は、ミズクラゲ、エチゼンクラゲ、アカクラゲ、流れ藻などにつき、外敵から身を守り、クラゲ類やコペポーダ類を食べるという特徴があります。

イボダイの食性
説明
クラゲ類 ミズクラゲ、エチゼンクラゲ、アカクラゲなど
サルパ類 浮遊性動物
甲殻類 エビ、カニなど
コペポーダ類 プランクトンの一種
多毛類 ゴカイなど
小エビ類 小型のエビ

イボダイの食性と生態系

イボダイは、クラゲ類を捕食することで、クラゲの過剰な繁殖を抑える役割を担っています。

また、イボダイは、他の魚類や海洋生物の餌となるため、海洋生態系において重要な役割を果たしています。

イボダイの食性と生態系
役割 説明
クラゲの抑制 クラゲの過剰な繁殖を抑える
食物連鎖 他の魚類や海洋生物の餌となる
漁業 漁獲対象となる魚種として重要

イボダイの食性と漁業

イボダイは、様々な小動物を捕食するため、漁獲対象となる魚種として重要な役割を果たしています。

特に、底引き網漁では、イボダイが重要な漁獲対象となっています。

まとめ

イボダイは、クラゲ類、サルパ類、甲殻類など様々な小動物を捕食する肉食性です。稚魚はクラゲに守られながら成長し、成魚は海底付近で生活します。イボダイは、クラゲの過剰な繁殖を抑え、他の魚類や海洋生物の餌となるなど、海洋生態系において重要な役割を果たしています。

4. イボダイの繁殖行動

要約

イボダイの産卵期

イボダイの産卵期は4~8月で、盛期は5月です。

東シナ海では南部の大陸沿岸に産卵場があると推定されています。

イボダイの産卵期
時期 説明
産卵期 4~8月
盛期 5月
産卵場 東シナ海では南部の大陸沿岸

イボダイの卵と稚魚

イボダイの卵は、直径約1mmの分離浮性卵です。

孵化した稚魚は、海洋表層を遊泳するクラゲ類の触手付近で生活し、敵から身を守ります。

イボダイの卵と稚魚
特徴 説明
直径約1mmの分離浮性卵
稚魚 クラゲ類の触手付近で生活し、外敵から身を守る

イボダイの成長

イボダイは、成長すると海底付近に移り、1年で約13cm、2年で18cm、3年で20cmほどに成長します。

寿命は約4年です。

イボダイの成長
年齢 体長
1年 約13cm
2年 約18cm
3年 約20cm
寿命 約4年

まとめ

イボダイの産卵期は4~8月で、東シナ海では南部の大陸沿岸に産卵場があると推定されています。卵は分離浮性卵で、孵化した稚魚はクラゲ類の触手付近で生活し、成長すると海底付近に移ります。イボダイは、1年で約13cm、2年で18cm、3年で20cmほどに成長し、寿命は約4年です。

5. イボダイの生態系における役割

要約

イボダイとクラゲ

イボダイは、クラゲ類を捕食することで、クラゲの過剰な繁殖を抑える役割を担っています。

クラゲは、大量発生すると漁業に被害を与えることがあります。イボダイは、クラゲの数を抑制することで、漁業の安定に貢献しています。

イボダイとクラゲ
役割 説明
クラゲの抑制 クラゲの過剰な繁殖を抑えることで、漁業の安定に貢献する

イボダイと食物連鎖

イボダイは、他の魚類や海洋生物の餌となるため、海洋生態系において重要な役割を果たしています。

イボダイは、食物連鎖の中で、重要な位置を占めています。

イボダイと食物連鎖
役割 説明
食物連鎖 他の魚類や海洋生物の餌となることで、生態系のバランスを保つ

イボダイと人間

イボダイは、人間にとって重要な食用魚です。

特に、西日本では、塩焼き、煮付け、刺身、干物など、様々な料理に使われています。

イボダイと人間
役割 説明
食用魚 塩焼き、煮付け、刺身、干物など、様々な料理に使われる

まとめ

イボダイは、クラゲの過剰な繁殖を抑え、他の魚類や海洋生物の餌となるなど、海洋生態系において重要な役割を果たしています。また、人間にとっても重要な食用魚であり、食文化に貢献しています。

6. イボダイの保護活動

要約

イボダイの漁獲量の減少

近年、イボダイの漁獲量は減少傾向にあります。

これは、乱獲や環境変化などが原因と考えられています。

イボダイの漁獲量の減少
原因 説明
乱獲 過剰な漁獲によって個体数が減少している
環境変化 水温上昇や海洋汚染などによって生息環境が悪化している

イボダイの保護活動

イボダイの保護活動としては、漁獲量の制限や禁漁期間の設定などが行われています。

また、イボダイの生息環境を守るための活動も重要です。

イボダイの保護活動
活動 説明
漁獲量の制限 漁獲量を制限することで、個体数の減少を防ぐ
禁漁期間の設定 産卵期などに漁獲を禁止することで、資源の保護を図る
生息環境の保護 水質改善や海洋ゴミの削減など、生息環境を守る活動を行う

イボダイの未来

イボダイは、美味しい魚として、これからも多くの人に愛される魚であり続けてほしいです。

そのためには、漁獲量の制限や生息環境の保護など、適切な保護活動が必要です。

まとめ

イボダイの漁獲量は減少傾向にあり、乱獲や環境変化などが原因と考えられています。イボダイの保護活動としては、漁獲量の制限や禁漁期間の設定、生息環境の保護などが行われています。イボダイは、美味しい魚として、これからも多くの人に愛される魚であり続けてほしいです。

参考文献

イボダイ – Web魚図鑑 – ズカンドットコム

水族館魚図鑑-イボダイ(Psenopsis anomala) – 動物園&水族館 …

イボダイ (エボダイ) | 市場魚貝類図鑑 – ぼうずコンニャクの …

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イボダイ(いぼだい)とは? 意味や使い方 – コトバンク

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