項目 | 内容 |
---|---|
分布 | 日本固有種、本州、四国、九州 |
生息環境 | 山地や平地の森林、特に樹洞のある高木が多い鎮守の森 |
体の大きさ | 頭胴長27-49cm、尾長28-41cm、体重700-1500g |
飛膜 | 前足と首、後足と尾の間にある |
目の特徴 | 立体視に長けており、樹上生活に適している |
食性 | 植物食、ケヤキやカエデなどの若葉、種子、ドングリ、カキの果実、芽、ツバキの花、樹皮など |
繁殖 | 冬と初夏の年2回発情期、オスはメスをめぐって争い、交尾の順番を競い合う |
子育て | メスだけで行う、約74日の妊娠期間を経て、春と秋に1~2匹の子どもを産む |
活動時間 | 夜行性、日中は木の穴や樹洞で休息し、夜になると食物を求めて活動する |
滑空 | 最大120メートル以上の滑空が可能、速度は最大秒速16メートル |
生活リズム | 特定の巣に住み続けるのではなく、転々と棲み家を変えながら生活する |
保護活動 | 鳥獣保護法により保護されている |
保護活動の課題 | 森林伐採や生息地の破壊、農地開発、都市拡大などによる生息地の減少 |
保護活動の必要性 | IUCNのレッドリストで絶滅の危険性が低いと評価されているが、地域によっては個体数が減少しているため、保護対策が必要 |
1. ムササビの分布地域と生息環境
ムササビの分布
ムササビは日本の固有種であり、本州、四国、九州に生息しています。生息地によってニッコウムササビ、ワカヤマムササビ、キュウシュウムササビの3亜種に分けられています。
ムササビは、北海道を除く日本各地で見かけることができます。また、世界中で見られるモモンガと違い、その多くが中国・朝鮮半島などアジアの地域に生息しているのが特徴です。
山地や森林などの平地を好み、木の上で生活します。夜行性ではありますが、平地で暮らしているため、ときおり人の住む周辺にも姿を現すことも。
亜種名 | 生息地 |
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ニッコウムササビ | 本州 |
ワカヤマムササビ | 四国 |
キュウシュウムササビ | 九州 |
ムササビの生息環境
山地や平地の森林に生息し、特に、巣になる樹洞があり、滑空に利用できる高木の多い鎮守の森を好む。
ムササビは、樹木が豊かで、特に古い森林や自然環境が残っている地域を好みます。
彼らは樹木が豊かで、特に古い森林や自然環境が残っている地域を好む傾向があります。
ムササビとモモンガの生息地の違い
ムササビは人里近い環境から山地まで広く生息していますが、モモンガの方はより山地を好む傾向があります。
ただし、これには例外があって、エゾモモンガは平地にも生息しています。
その理由としては、モモンガはキツツキが木にあけた穴の中などで生息していますが、本州の平地にはあまりキツツキがおらず、生息する場所がないため、などがあげられます。しかし、決定的な理由は見つかっていません。
まとめ
ムササビは、日本固有種であり、本州、四国、九州に生息しています。生息地は山地や平地の森林で、特に樹洞のある高木が多い鎮守の森を好みます。
一方、モモンガは、世界各地に生息し、日本では本州、四国、九州に生息するニホンモモンガと北海道に生息するエゾモモンガの2種類がいます。
モモンガは、ムササビよりも山地を好みますが、エゾモモンガは平地にも生息しています。
2. ムササビの特徴と身体構造
ムササビの体の大きさ
ムササビは、近縁のモモンガ類に比べて大柄である。頭胴長27-49cm、尾長28-41cm、体重700-1500gと、近縁のモモンガ類に比べて大柄である(ホンドモモンガは頭胴長14-20cm、尾長10-14cm、体重150-220g)のみならず、日本に生息するネズミ目としては在来種内で最大級である。
よく言われるのが、ムササビは座布団、モモンガはハンカチの大きさです。
ムササビは、モモンガと比べ身体が大きいのが特徴です。体長と同じ長さの尾を持ち、全長は約70~80㎝・体重はなんと800~1200gも!
種 | 体長 | 体重 |
---|---|---|
ムササビ | 約70~80cm | 800~1200g |
モモンガ | 約30cm | 約180g |
ムササビの飛膜
長い前足と後足との間に飛膜と呼ばれる膜があり、飛膜を広げることでグライダーのように滑空でき、樹から樹へと飛び移ることができる。
ムササビは、身体にある「飛膜」で風を受け、木から木へ滑空移動します。この皮膜は首から手足・尾っぽの間でつながっていて、広げると5角形です。
モモンガの飛膜は前肢と後肢の間だけにあるが、ムササビの飛膜は前肢と首、後肢と尾の間にもある。
ムササビの目の特徴
ムササビの目は、立体視に長けていて、樹上で生活するのに適していると言われています。
ムササビは、顔の正面にある特徴的な目は、立体視に長けていて、樹上で生活するのに適していると言われています。
モモンガはムササビよりも体に対する目の割合が大きく、ぱっちりした目をしています。
まとめ
ムササビは、モモンガよりも一回り大きく、体長が40cmに達することもありますが、モモンガは一般的に15cmから30cm程度の体長です。
ムササビは、前足と後足の間、さらには尾まで伸びる広い皮膜「パタギウム」を展開することで、空中を滑ることができます。
ムササビの目は、顔の正面についていて、立体視に長けています。
3. ムササビの食性と摂取量
ムササビの食性
ムササビは、ケヤキやカエデなどの若葉、種子、ドングリ、カキの果実、芽、ツバキの花、樹皮など、季節に応じてさまざまな樹上の食物を食べる。
ムササビは、主に樹液や果物、種子などを食べる植物食傾向が強いのに対し、モモンガは果物や種子に加え、昆虫や小さな鳥類も捕食することがあり、より雑食性に近い食生活をしています。
ムササビは、木の葉、芽、花、果実、種子、樹皮など植物質のものを採食します。
食物 | 例 |
---|---|
葉 | ケヤキ、カエデ |
種子 | ドングリ |
果実 | カキ |
芽 | ツバキ |
花 | ツバキ |
樹皮 |
ムササビの食べ痕
葉の食べ痕は中央に丸い穴が開いていたり、V字型に削られたようになる。
松ぼっくりの食べ痕は芯を残すのでエビフライ状になる。
ムササビであれば、アラカシなどの葉を折りたたんで食べるので、真ん中に穴のあいた葉っぱが落ちていると、そこにいる証拠になります。
食べ痕 | 特徴 |
---|---|
葉 | 中央に丸い穴が開いている、V字型に削られた |
松ぼっくり | 芯を残すのでエビフライ状 |
ムササビの食性とモモンガの食性の違い
ムササビは、主に樹液や果物、種子などを食べる植物食傾向が強いのに対し、モモンガは果物や種子に加え、昆虫や小さな鳥類も捕食することがあり、より雑食性に近い食生活をしています。
まとめ
ムササビは、植物食で、ケヤキやカエデなどの若葉、種子、ドングリ、カキの果実、芽、ツバキの花、樹皮など、季節に応じてさまざまな樹上の食物を食べる。
ムササビは、地上で採食はせず、葉の食べ痕は中央に丸い穴が開いていたり、V字型に削られたようになる。
モモンガは、ムササビよりも雑食性で、果物や種子に加え、昆虫や小さな鳥類も捕食する。
4. ムササビの繁殖と子育て行動
ムササビの繁殖期
ムササビは冬と初夏の年2回発情期を迎える。
発情期には交尾の順位をめぐり、オス同士が激しい喧嘩を繰り広げる。
ムササビの繁殖期というは交尾から出産、そして子育てをおこなう期間のことで、年に1回か2回、繁殖期があります。
時期 | 特徴 |
---|---|
冬 | 発情期 |
初夏 | 発情期 |
ムササビの交尾
ムササビの陰茎は「コルク抜き」のような形状をしており、次に交尾しようとするオスは、陰茎を用いて交尾栓を取り除き、交尾を行っている。
オスたちはメスのいる巣の周りにだんだん集まりだします。
メスが交尾できるのは繁殖期のなかでもたった1日だけなので、オスはその日までの間、メスが棲んでいる巣にマーキングをしてアピールしたり、オス同士でメスに近づく順番を決めるためのケンカをしたりといった行動をします。
ムササビの子育て
平均74日の妊娠期間を経て、春と秋に1-2匹の子を産む。
子育てはメスだけで行うが、餌を採りに通常より短い周期で毎晩巣を空ける。
ムササビは人間と同じ哺乳(ほにゅう)類なので、赤ちゃんを産んだあとは母乳を与えて育てていきます。
まとめ
ムササビは、冬と初夏の年2回発情期を迎えます。
オスはメスをめぐって争い、交尾の順番を競い合います。
メスは、約74日の妊娠期間を経て、春と秋に1~2匹の子どもを産みます。
5. ムササビの生活リズムと行動パターン
ムササビの活動時間
ムササビは夜行性で、日中は木の穴や樹洞で休息を取り、夜になると食物を求めて活動を開始します。
夜行性なので観察は夜に…とはならず、まずは昼のうちに下見に行きましょう。
夜行性なので、日中は木の穴や樹洞で休息を取り、夜になると食物を求めて活動を開始します。
ムササビの滑空
最大120メートル以上の滑空が可能で、その速度は最大秒速16メートルにもなる。
ムササビは、前足と後足の間に張られた皮膜「パタジウム」を使って滑空します。
ムササビは、前足と後足の間に張られた皮膜「パタジウム」を使って滑空します。この皮膜は空気を捉えることで、ムササビを空中で支え、滑空を可能にします。
ムササビの生活リズム
ムササビは、特定の巣に住み続けるのではなく転々と棲み家を変えながら生活をしています。
ムササビは、特定の巣に住み続けるのではなく転々と棲み家を変えながら生活をしています。
ムササビは、特定の巣に住み続けるのではなく転々と棲み家を変えながら生活をしています。
まとめ
ムササビは夜行性で、日中は木の穴や樹洞で休息し、夜になると食物を求めて活動します。
ムササビは、最大120メートル以上の滑空が可能で、その速度は最大秒速16メートルにもなります。
ムササビは、特定の巣に住み続けるのではなく、転々と棲み家を変えながら生活しています。
6. ムササビの保護活動と課題
ムササビの保護活動
ムササビは、日本では古くから狩猟の対象であった。
縄文時代では、青森県青森市に所在する三内丸山遺跡において、縄文集落に一般的なシカ・イノシシを上回るムササビ・ウサギが出土しており、巨大集落を支えるシカ・イノシシ資源が枯渇していたことを示していると考えられている。
現在の日本では、ムササビは鳥獣保護法において「非狩猟鳥獣」であるため、狩猟は不可能となっている。
ムササビの保護活動の課題
ムササビは、森林伐採や生息地の破壊、農地開発、都市拡大などによって生息地が減少しています。
ムササビの生息状況は地域によって異なりますが、全体としては比較的安定している地域もあれば、環境の変化によって生息数が減少している地域も存在します。
ムササビが直面している主な脅威には、森林伐採や生息地の破壊、農地開発、都市拡大などがあります。
要因 | 説明 |
---|---|
森林伐採 | 生息地の破壊 |
農地開発 | 生息地の破壊 |
都市拡大 | 生息地の破壊 |
ムササビの保護活動の必要性
ムササビは現在、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅の危険性が低い(Least Concern
これは、ムササビが広い範囲に分布しており、多くの地域で比較的安定した個体群を保持しているためです。
しかし、地域によっては個体数が減少していることが報告されており、これらの地域では保護対策が必要とされています。
まとめ
ムササビは、日本では古くから狩猟の対象とされてきましたが、現在は鳥獣保護法により保護されています。
しかし、森林伐採や生息地の破壊、農地開発、都市拡大などによって生息地が減少しており、地域によっては個体数が減少しています。
ムササビの保護活動は、生息地の保全や再生プロジェクト、生態系のバランスを保つための取り組みなど、様々な取り組みが必要です。
参考文献
・ムササビの特徴、分布、生態、写真をご紹介します。|目に …
・ムササビってどんな動物!?生態についてのまとめ | 生き物navi
・「ムササビ」と「モモンガ」の8つの違いとは?生息地や鳴き声 …
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