種別 | 学名 | 生息地 | 体長 | 体高 | 体重 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
アジアゾウ | Elephas maximus | アジア | 5.5~6.4m | 2.5~3m | 4~5t | 背中は凸型、鼻はなめらか、牙はオスの一部のみ |
アフリカサバンナゾウ | Loxodonta africana | アフリカ | 6~7.5m | 3~3.8m | 5.8~7.5t | 背中は凹型、鼻はしわが多い、オス・メスともに牙がある |
マルミミゾウ | Loxodonta cyclotis | アフリカ | 4~6m | 2.5~3m | 2.7~3.6t | 背中は凸型、鼻はしわが多い、オス・メスともに牙がある |
1. ゾウの生態とは
ゾウの生息地
ゾウは、アジアゾウ属のアジアゾウ(Elephas maximus)、アフリカゾウ属のアフリカサバンナゾウ(Loxodonta africana)およびマルミミゾウ(アフリカシンリンゾウLoxodonta cyclotis)の3種に分類されています。アフリカのゾウについては最近まで2種に分けるべきかどうかの論争が続いていました。アジアゾウは、インドと東南アジア(中国南部、スリランカ、タイ、ミャンマーなど)に分布しています。マルミミゾウは、現在コンゴ盆地を中心としたアフリカ中央部の熱帯林(サバンナとのモザイクも存在)に生息しています。アフリカサバンナゾウは、現在アフリカ南部と東部を中心に、サハラ以南の主としてサバンナに生息しています。
アジアゾウの4000年前の分布は、西はチグリス・ユーフラテス盆地まで、東北は揚子江を越えるところまで広がっていました。しかし、現在では、西はインド、東北は中国南端の雲南省にまで縮小しています。現在の生息域面積は歴史的なそれの6%にも及びません。マルミミゾウは、現在コンゴ盆地を中心としたアフリカ中央部の熱帯林(サバンナとのモザイクも存在)に生息しています。サハラ以北、地中海沿岸部まで生息していた個体群は6世紀後半には絶滅しています。現在の生息域面積は歴史的なそれの25%に過ぎません。アフリカサバンナゾウは、現在アフリカ南部と東部を中心に、サハラ以南の主としてサバンナに生息しています。その生息域面積は、サハラ以南のアフリカで農耕が始まる以前(おそらく2000年前頃) の15%に過ぎないと考えられています。
種別 | 生息地 |
---|---|
アジアゾウ | アジア |
アフリカサバンナゾウ | アフリカ |
マルミミゾウ | アフリカ |
ゾウの群れ
ゾウは雌と子供で群れを形成し、雄は単独か雄同士で別に群れを形成して生活する。巨大な体躯のため、成体のゾウが襲われることは少ないが、ヒトをはじめとして、敵は皆無という訳ではなく、アフリカではライオン、インドではトラが、主に若いゾウや幼獣を襲うことが確認されている。そのため、群れの成獣たちは常に幼獣の周囲を取り囲んで、これらの敵から身を守っている。
雌の乳房は前肢の付け根の下あたりの胸に1対あり、授乳期間は通常2年ぐらいである。アフリカゾウは極めて親密な個体関係を保っていて、親から子に、植物や水の供給場所などが伝承され、情報として記憶されている。個体を識別するには、こめかみの部分にある腺からの分泌物で判断しているようである。傷ついた個体は集団で守り助け合う。行動の間に日中は30分から1時間、夜間は1~2時間の休息を2回ほど繰り返すが、日中は休息では横たわらず、成獣はふつう立ったままで眠っている。
構成 | 特徴 |
---|---|
雌と子供 | 群れを形成 |
雄 | 単独または雄同士の群れ |
成獣 | 幼獣を守る |
ゾウの体の特徴
長い鼻、大きな耳が特徴。首が短く、立ったままでは口を地面に付けることができない。膝をついてしゃがむか、筋肉質の長い鼻を使って食べ物や水などを口に運ぶ。鼻を使って水を体にかけ、水浴をすることもある。この鼻は上唇と鼻に相当する部分が発達したものであり、先端にある指のような突起で仁丹のような小さな物から、豆腐といったつかみにくい物までを器用に掴み取ることができる。
また嗅覚も優れており、鼻を高く掲げることで遠方より風に乗って運ばれてくる匂いを嗅ぎ取ることができる。聴覚も優れている。視力について、多くの哺乳類と同様に緑色の知覚に劣る二色型色覚であるが、夜の薄明かりでも視力が維持される。歯式は1.0.3.3/0.0.3.3。第2切歯が巨大化した「牙」を持ち、オスのアフリカゾウでは牙の長さが3.5mにまで達することもある。牙は象牙として珍重され、密猟の対象となる。巨大な板状の臼歯は同時期に上下に1本ずつの計4本しかないが、新しい臼歯が後ろから出て古い臼歯と交換する。これを「水平交換」といい、幼時に3回、成獣で3回交換する。
自分の体重や歩くことによって足にかかる負担を少なくするため足の骨と足の裏の間には脂肪に包まれた細胞がつまっており、足の裏の皮膚は固く角質化している。蹄を持つため有蹄類として分類されることもある。ただし気性には個体差もあり、アフリカゾウが全体的に気性が荒いという性質はあるもののアジアゾウ同様に飼い慣らせば人間に従順になるとみられている。なお、かつて調教され労役に使われたアフリカゾウの種はマルミミゾウであり、これはアフリカゾウの中でも比較的温厚とされている。
特徴 | 説明 |
---|---|
長い鼻 | 上唇と鼻が伸びたもの |
大きな耳 | 体温調節に役立つ |
牙 | 象牙として珍重される |
蹄 | 前肢5本、後肢4本(アジアゾウ、マルミミゾウ) |
蹄 | 前肢4本、後肢3本(アフリカゾウ) |
まとめ
ゾウは、アフリカゾウ属のアフリカサバンナゾウ、マルミミゾウ、アジアゾウ属のアジアゾウの3種に分類され、それぞれ特徴的な生息地、体格、耳、頭、口、鼻、蹄を持ちます。ゾウは、雌と子供で群れを形成し、雄は単独か雄同士で別に群れを形成して生活します。ゾウは、視覚、聴覚、触覚、臭覚によって、複雑なコミュニケーションをしています。
ゾウは、長い鼻、大きな耳、牙、そして巨大な体を持つ、陸上最大の哺乳類です。彼らは、草食動物であり、1日に100kg以上の植物を食べるため、広大な生息地を必要としています。ゾウは、群れで生活し、家族を中心とした社会構造を持っています。彼らは、視覚、聴覚、触覚、臭覚など、様々な感覚を使ってコミュニケーションを行い、仲間との絆を深めています。
2. ゾウの食性と摂取量
ゾウの食性
ゾウは草食動物で1日に150kgの植物や100Lの水を必要とし、野生個体の場合はほぼ一日中食事をとる。また糞の量も多い。成獣では1日平均100キロもの糞をだす。
選択採食型の食性で草・葉・果実・野菜などを自分で選択的に食べる。ミネラルをとるために泥や岩塩などを食べることもある。
食物 | 説明 |
---|---|
草 | 主食 |
木の葉 | 主食 |
樹皮 | 主食 |
果実 | 主食 |
泥 | ミネラル摂取 |
岩塩 | ミネラル摂取 |
ゾウの摂取量
ゾウは、草食動物であり、1日に100kg以上の植物と50リットル以上の水を摂取しなければなりません。採食や水分補給のための移動だけでなく、食事そのものにも時間がかかります。
大きな体を持つゾウは、1日に150kgの植物や100Lの水を必要とし、野生個体の場合はほぼ一日中食事をとる。また糞の量も多い。成獣では1日平均100キロもの糞をだす。
項目 | 量 |
---|---|
植物 | 1日150kg |
水 | 1日100L |
糞 | 1日100kg |
ゾウの食事と環境
体が大きく必要となる食物も並大抵の量ではないため、森林伐採などの環境破壊の影響を受けやすい。また食欲と個体数増加に周囲の植生回復が追いつかず、ゾウ自身が環境破壊の元凶になってしまうこともある。
ゾウは、草食動物であり、1日に100kg以上の植物と50リットル以上の水を摂取しなければなりません。採食や水分補給のための移動だけでなく、食事そのものにも時間がかかります。
まとめ
ゾウは草食動物であり、1日に100kg以上の植物と50リットル以上の水を摂取しなければなりません。採食や水分補給のための移動だけでなく、食事そのものにも時間がかかります。そのため、ゾウは、森林伐採などの環境破壊の影響を受けやすく、生息地の減少が深刻な問題となっています。
ゾウは、草食動物であり、1日に100kg以上の植物と50リットル以上の水を摂取しなければなりません。採食や水分補給のための移動だけでなく、食事そのものにも時間がかかります。そのため、ゾウは、森林伐採などの環境破壊の影響を受けやすく、生息地の減少が深刻な問題となっています。
3. ゾウの繁殖と子育て行動
ゾウの繁殖
ゾウの性成熟は10歳以降。はじめて繁殖する年齢は15歳ごろです。成熟したオスのゾウはマスト期とよばれる時期があります。いまだに解明されていない現象ですが、繁殖活動に関係するといわれています。
とくに男性ホルモンが活発化。外見的には目と耳のあいだから分泌物が出たり、においが強くなったり、尿が出つづけたりします。メスにとってマスト期のオスはもっとも魅力的な存在。繁殖に成功する例がおおいとわかっています。そのため、マスト期のオスは食わず休まずで移動をつづけ、交尾の相手をさがします。また、野生ではメスをめぐって争うこともあるためか、マスト期のオスは攻撃的になります。動物園ではマスト期のオスは慎重に扱われています。来園者の目にふれることはあまりありません。
項目 | 説明 |
---|---|
性成熟 | 10歳以降 |
繁殖開始 | 15歳ごろ |
妊娠期間 | 22ヶ月 |
出産 | 1度に1頭 |
出産間隔 | 4年おき |
ゾウの子育て
22か月という長い妊娠期間をへて、通常1頭の子を生みます。出産は群れのなかまに見守られながら立ったまま行われます。子ゾウが離乳すると母親の発情が再開。およそ4年おきにメスのゾウは出産します。
お腹のなかに長くいた赤ちゃんゾウは生まれながらに体長1メートル、体重100kg以上と巨大。そして、数分後には立ちあがり、数時間後には歩きだします。子ゾウ誕生数日後には、出産のために移動を控えていた群れはふたたび歩きはじめます。群れの皆が赤ちゃんゾウにあわせてゆっくりと行動し、植物の知識や通ってはいけない道など生きる術を教えます。強くたくましく、絆の深い動物です。
項目 | 説明 |
---|---|
出生時 | 体長1m、体重100kg |
離乳 | 2歳 |
母乳 | 脂肪とタンパク質が豊富 |
子育て | 群れ全体で協力 |
ゾウの寿命
ゾウは生後4か月ごろから草を食べはじめます。しかし、完全に離乳するのは約2歳。その頃には体重800kgほどですが、まだまだおとなゾウに比べると愛らしい子ゾウです。
体の大きな動物は長命の傾向にあります。もちろんゾウも長寿動物として知られています。一般に飼育下の動物は捕食や飢餓の危険がありません。そのため、野生より長生きする傾向があります。しかし、ゾウはその逆。野生ゾウの寿命は70~80歳。動物園のゾウの約2倍長いという研究結果が発表されています。
まとめ
ゾウは、約22ヶ月の妊娠期間を経て、通常1頭の子を産みます。生まれたばかりの子ゾウは、すでに体長1メートル、体重100kgを超えています。群れの仲間は、子ゾウを大切に守り、育てるために、植物の知識や危険な場所などを教えます。ゾウは、野生では70~80歳、飼育下では50~70歳と、長寿な動物として知られています。
ゾウは、約22ヶ月の妊娠期間を経て、通常1頭の子を産みます。生まれたばかりの子ゾウは、すでに体長1メートル、体重100kgを超えています。群れの仲間は、子ゾウを大切に守り、育てるために、植物の知識や危険な場所などを教えます。ゾウは、野生では70~80歳、飼育下では50~70歳と、長寿な動物として知られています。
4. ゾウの進化と分類学
ゾウの進化
私たちが今いる宇宙空間は今から約138億年ほど前に誕生し、さらに今から46億年ほど前に「地球」が誕生しました。そして、その後8億年ほどの歳月を経て、海の中でいよいよ最初の生命が誕生することになります。(約38億年前)このころの生物はまだ細胞1個からなる非常に単純な生命体で、さらに細胞内に「核」という部屋を持たない、 「原核生物」と呼ばれるものでした。
ちなみに、私たち哺乳類はみな細胞の中に核という部屋を持っており、その核の中に染色体などの遺伝情報を保存しています。そして、このように核を持つ生物は 「真核生物」と呼ばれ 原核生物が誕生してから十数億年後、具体的には今から約25億年前~5億4200万年までの 「原生代」という時代に、その真核生物が誕生しました。しかし、当初の真核生物はやはり細胞1個からなる生物でしたが、その後真核生物の中から多細胞性を獲得するものが現れ、それが私たちのような大きな生物へと進化していくことになるのです。
原生代が終わると、次は「古生代」という時代に入ります。さらに、その古生代は以下の大きく6つの「紀」に分けることができます。そして、その初めの 「カンブリア紀」には、生物種の多様な変化が爆発的に起こりました。まず、カンブリア紀とは今から約5億4200万年前~4億8830万年前のことを言うのですが、この時代において陸地は存在せず、地球の表面は一面海に覆われていました。そして、その海中では、先に誕生していた原核生物や真核生物が多種多様に分化していき、その過程で様々な動物が誕生することになります。かの有名な古代生物「三葉虫」ものこのカンブリア紀に誕生し、海の中では藻類も増え始めました。
カンブリア紀の次は 「オルドビス紀」という時代で、これは4億8830万年前~約4億4370万年前の出来事でしたが、このオルドビス紀には生物の大量絶滅が起こったものの、地球上の生物のほとんどはまだ海の中にいました。そして、そのオルドビス紀が終わり、その次の 「シルル紀」という時代に、ついに生物の本格的な上陸が始まります。シルル紀は今から約4億4370万年前~約4億1600万年前の間のことを言い、この間に、植物や動物の多くが陸地に上がり始めました。さらに、そのシルル紀の次の 「デボン紀」には、それら陸上の生物種の多種多様な進化が起こり、デボン紀の終わりには 「両生類」が誕生します。デボン紀は約4億1600万年前~約3億5920万年前までの時期のことであり、このころから、私たちの祖先の陸上での生活が始まったのです。
時代 | 主な出来事 |
---|---|
原生代 | 真核生物の誕生 |
古生代 | カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀 |
中生代 | 三畳紀、ジュラ紀、白亜紀 |
新生代 | 哺乳類の繁栄 |
ゾウの祖先
ここまでを簡単に整理しますと、古生代のうち、我々の祖先はカンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀 を経て、ついに陸上にその生活圏を移し始めました。そして、その次の 「石炭紀」(約3億5920万年前~約2億9900万年前) の間で、今から約3億1200万年ほど前に、両生類の中から 「有羊膜類」 と呼ばれる分類が誕生します。これは文字通り「羊膜」という構造を持っている生物群のことであり、羊膜とは、生物の発生(受精後)の過程で見られる、胎児を包む膜のことを言います。
そして、その有羊膜類は、さらにその石炭紀において、単弓類 と 双弓類 という2つのグループに分かれていき、つまり、我々人間と恐竜の共通祖先は、約3億年ほど前に分化したことになります。私たち哺乳類の歴史を振り返ってみると、3億年ほど前の石炭紀においては単弓類という分類に属する生物でしたが、この単弓類は「哺乳類型爬虫類」とも呼ばれ、その頃はまだトカゲのような姿をしています。
この単弓類は、古生代最後となる 「ペルム紀」(約2億9900万年前~約2億5100万年前) まで繁栄し、実質この時代地上を支配していたのは単弓類でしたが、ペルム紀最後には大規模な火山活動が起き、この時噴出されたメタンガスが酸素と結びつくことで急激な酸素濃度の低下が起こりました。また、これに伴う大規模な気候変動の影響などから、単弓類は壊滅的なダメージを受け、小型化することで酸素濃度低下に何とか適応したものの、ほぼ絶滅の危機に追いやられます。しかし、この時すでに呼吸機能を発達させていた、竜弓類をルーツとする「双弓類」が、単弓類と入れ替わるように進化し始め、これが大型の恐竜へと進化していきます。
ちなみに、単弓類がさかえた時代には大気中の酸素濃度は一時 35%にまでなりましたが、恐竜が栄えた「中生代」には、 12%にまで低下しました。ちなみに、現代においてはその酸素濃度は21%にまで回復しています。と続いた古生代は、ペルム紀末期の大量絶滅(地上の90%以上の生物が絶滅)で終焉を迎えることになり、その後、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀 と3つにわけられる「中生代」に入ります。そして、今から約2億2500万年ほど前の三畳紀の後期に、ついに最古の哺乳類が誕生しました。この最古の哺乳類は「アデロバシレウス」と名付けられ、ネズミのような姿をしていたと考えられています。
時代 | 主な出来事 |
---|---|
石炭紀 | 有羊膜類の誕生 |
石炭紀 | 単弓類と双弓類に分化 |
ペルム紀 | 単弓類の衰退 |
三畳紀 | 最古の哺乳類「アデロバシレウス」の誕生 |
ゾウの分類
現生のゾウは3種に分類されている。アジアゾウ(Elephas maximus)と、2種のアフリカゾウ、すなわちシンリンゾウ(別名マルミミゾウ;Loxodonta cyclotis)およびサバンナゾウ(別名ソウゲンゾウ;Loxodonta africana)だ。アフリカゾウは当初、単一の種だと考えられていたが、2010年になって2種に分かれることが確認された。
一方、約10万年前まで欧州の森林地帯に生息していたアンティクウスゾウ(Palaeoloxodon antiquus)という古代の巨大なゾウは、化石上の証拠からアジアゾウに近縁だと考えられてきた。ところが実際には、このゾウ化石種はアフリカのシンリンゾウに最も近縁であることが、今回の遺伝解析で明らかになった。さらに驚いたことに、コンゴ盆地に生息しているシンリンゾウは、現在のアフリカのサバンナゾウよりも、絶滅したアンティクウスゾウの方により近縁なことが分かった。
また、マンモス由来の古代ゲノムについて新たな情報が得られ、総合的な解析が可能になったことで、過去にさまざまなゾウ種やマンモス種が交雑したことも明らかになった。「ショッキングな結果です」と、デンマーク自然史博物館(コペンハーゲン)の進化遺伝学者Tom Gilbertは話す。アンティクウスゾウのことは、専門家の間でもほとんど知られていないと彼は言う。「私にしても、このゾウのことを聞いたのは、今回のゲノムの話が最初でしたから」。
スウェーデン自然史博物館(ストックホルム)の古遺伝学者Love Dalénは、この研究成果によってゾウの系統樹の再構築が進むだろうと話す。「そもそも、Loxodontaという属名が妥当ではありません」と彼は言う。サバンナゾウやシンリンゾウとアンティクウスゾウとの類縁関係をもっとよく表すために、系統分類学者らがこの古代ゾウに新しい学名を付ける必要があるのではないかとDalénは考えている。
種別 | 学名 | 特徴 |
---|---|---|
アジアゾウ | Elephas maximus | マンモスに最も近い |
アフリカサバンナゾウ | Loxodonta africana | アフリカゾウ属 |
マルミミゾウ | Loxodonta cyclotis | アフリカゾウ属 |
アンティクウスゾウ | Palaeoloxodon antiquus | 絶滅したゾウ種 |
まとめ
ゾウは、約38億年前に誕生した最初の生命から、長い進化の過程を経て誕生しました。古生代には、両生類から有羊膜類が誕生し、さらに単弓類と双弓類に分かれました。単弓類は、ペルム紀末期の大量絶滅によってほぼ絶滅しましたが、双弓類は生き残り、恐竜へと進化していきました。
中生代には、恐竜が繁栄し、哺乳類は影に隠れるように生活していました。しかし、白亜紀末期の隕石衝突によって恐竜が絶滅し、哺乳類が繁栄する時代が到来しました。そして、約2億2500万年前に、最古の哺乳類「アデロバシレウス」が誕生しました。
現生のゾウは、アジアゾウ属のアジアゾウと、アフリカゾウ属のアフリカサバンナゾウ、マルミミゾウの3種に分類されます。近年、古代ゾウのゲノム解析が進み、アフリカゾウ属の進化について新たな知見が得られました。
ゾウは、地球上の生物の進化の歴史を物語る重要な存在です。彼らの進化の過程は、私たち人類の進化の歴史とも深く関係しています。ゾウの進化を理解することは、地球上の生命の多様性と、その歴史を理解することにつながります。
5. ゾウの保護活動と現状
ゾウの個体数
アジアゾウの個体数は、48
マルミミゾウの個体数は、約13万3300頭(97
アフリカサバンナゾウの個体数は、2016年時点では、マルミミゾウと合わせ、個体数は41万5000頭と推定され、この数の他に、裏付けが十分ではない「推測」 として、11万7000頭が存在する可能性があるとされていましたIUCNのレッドリストでは、これまで絶滅のおそれが「高い」ランク(VU)とされていたものが、2020年に「非常に高い」(EN)に変更されています。実際には、50年で60%減少したと推定されました。
種別 | 推定個体数 | IUCNレッドリスト |
---|---|---|
アジアゾウ | 48,323~51,680頭 | EN(危機) |
マルミミゾウ | 約13万3300頭 | CR(深刻な危機) |
アフリカサバンナゾウ | 約41万5000頭 | EN(危機) |
ゾウの保護活動
ゾウの個体数が減少してきたことを受け、生息する各国においては国立公園や自然保護区が設定され、ゾウは保護されている。この保護のための資金作りや象牙に代わる地元住民の雇用などを目指し、各国の自然公園ではサファリなどの観光を行うことが多い。このサファリにおいてゾウは目玉の一つであり、ゾウの自然な姿を見るためにヨーロッパやアメリカからやってくる観光客も多く、各国の重要な産業の一つとなっている。
現在ゾウの生息数が最も多いといわれるボツワナでは15万頭以上が生息しているといわれ、1980年代の3万から4万頭に比べ大幅に個体数が増加した。一方、かつては自然保護区に指定されても、象牙などを求める密猟が後を絶たなかった。世界最大のゾウの保護区だったタンザニアのセルー国立公園では、1970年代から1980年代にかけて、かつて10万頭いたゾウが2万頭にまで激減。その後、保護が強化されたことでセルーでの頭数は回復傾向にある。
モザンビークにおいては、2015年には5年前と比較し、密猟のためにゾウの生息数が半数にまで減少してしまった。その他、コンゴ民主共和国など、貧しく政治の混乱が続いている国においては密猟取り締まりに予算を割く余裕がなく、密猟の横行を招いている。
活動 | 説明 |
---|---|
国立公園・自然保護区 | 生息地の保護 |
サファリ | 観光による資金調達 |
象牙取引の禁止 | 密猟の抑制 |
土地利用の調整 | 生息地の保全 |
地域住民との協働 | 共存のための取り組み |
ゾウの保護活動の課題
ただし、ゾウが増加すると、今度は害獣として近隣に多大な被害を与えることがある。ゾウは農作物を荒らすことも多く、またその巨体を支えるために食べる食物の量は膨大で、樹木の樹皮をはがしてしまうことも多く、そのために枯死してしまう樹木も多いためである。こうしたことから、特にゾウの個体数が回復した地域においては逆にゾウの駆除が求められる場合がある。
ゾウの個体数が減少してきたことを受け、生息する各国においては国立公園や自然保護区が設定され、ゾウは保護されている。この保護のための資金作りや象牙に代わる地元住民の雇用などを目指し、各国の自然公園ではサファリなどの観光を行うことが多い。このサファリにおいてゾウは目玉の一つであり、ゾウの自然な姿を見るためにヨーロッパやアメリカからやってくる観光客も多く、各国の重要な産業の一つとなっている。
まとめ
ゾウは、生息地の減少と密猟によって、絶滅の危機に瀕しています。特に、マルミミゾウは、絶滅のおそれが「極度に高い」とされています。アフリカサバンナゾウも、絶滅のおそれが「非常に高い」とされています。
ゾウの保護活動は、生息地の保護、密猟の防止、人間とゾウの共存など、様々な課題に直面しています。ゾウの個体数が増加すると、今度は害獣として近隣に多大な被害を与えることがあるため、ゾウの保護と人間との共存は、難しい課題となっています。
6. ゾウと人間の関係性
ゾウと人間の長い歴史
人間とゾウの関わりは、先史時代まで遡ることが出来ます。太古の昔は食用として狩猟の対象となっていました。また、戦象・移動手段・重いものを運ぶ使役動物として利用されるなど、人間にとっては馴染み深い動物といえますね。
ゾウは、その生息地だけでなく、ゾウの生息しない地域においても大きさや温和さ、強さ、賢さなどのイメージから、さまざまなシンボルに使われてきた。アメリカの二大政党の一つである共和党はゾウを党のシンボルマークに使用している。また、ガーナの二大政党の一つである新愛国党も、偉大さや賢さ、愛情深さなどプラスのイメージを持つゾウを党のシンボルマークとして使用している。
時代 | 関係性 |
---|---|
先史時代 | 食用として狩猟 |
古代 | 戦象、移動手段、使役動物 |
現代 | 動物園、サーカス、観光 |
現在 | 絶滅の危機、保護活動 |
ゾウと人間の衝突
ゾウは農作物を荒らすことも多く、またその巨体を支えるために食べる食物の量は膨大で、樹木の樹皮をはがしてしまうことも多く、そのために枯死してしまう樹木も多いためである。こうしたことから、特にゾウの個体数が回復した地域においては逆にゾウの駆除が求められる場合がある。
ゾウは農作物を荒らすことも多く、またその巨体を支えるために食べる食物の量は膨大で、樹木の樹皮をはがしてしまうことも多く、そのために枯死してしまう樹木も多いためである。こうしたことから、特にゾウの個体数が回復した地域においては逆にゾウの駆除が求められる場合がある。
問題 | 説明 |
---|---|
農作物被害 | ゾウによる食害 |
人身被害 | ゾウによる襲撃 |
密猟 | 象牙目的の違法狩猟 |
ゾウの保護と共存
ゾウの個体数が減少してきたことを受け、生息する各国においては国立公園や自然保護区が設定され、ゾウは保護されている。この保護のための資金作りや象牙に代わる地元住民の雇用などを目指し、各国の自然公園ではサファリなどの観光を行うことが多い。このサファリにおいてゾウは目玉の一つであり、ゾウの自然な姿を見るためにヨーロッパやアメリカからやってくる観光客も多く、各国の重要な産業の一つとなっている。
ゾウの個体数が減少してきたことを受け、生息する各国においては国立公園や自然保護区が設定され、ゾウは保護されている。この保護のための資金作りや象牙に代わる地元住民の雇用などを目指し、各国の自然公園ではサファリなどの観光を行うことが多い。このサファリにおいてゾウは目玉の一つであり、ゾウの自然な姿を見るためにヨーロッパやアメリカからやってくる観光客も多く、各国の重要な産業の一つとなっている。
活動 | 説明 |
---|---|
生息地の保護 | 国立公園、自然保護区の設置 |
密猟の防止 | 象牙取引の規制、監視活動 |
共存のための取り組み | 地域住民との協働、被害対策 |
まとめ
ゾウは、古くから人間と深い関わりを持ってきました。食用や使役動物として利用されてきた歴史があり、現在でも動物園やサーカスなどで人々に親しまれています。しかし、近年では、生息地の減少や密猟によって、ゾウは絶滅の危機に瀕しています。
ゾウの保護活動は、生息地の保護、密猟の防止、人間とゾウの共存など、様々な課題に直面しています。ゾウの個体数が増加すると、今度は害獣として近隣に多大な被害を与えることがあるため、ゾウの保護と人間との共存は、難しい課題となっています。
参考文献
・アフリカゾウとは – 生態や形態の特徴解説 – Zukan(図鑑)
・ゾウの生態と特徴|耳・鼻の役割、寝相や寿命など象の疑問に …
・ゾウとその保全 – Japan Tiger Elephant Organization – JTEF
・象の特性、進化、分類、摂食、繁殖 / 生物学 | Thpanorama …
・ゾウの進化史が書き換えられる? | Nature ダイジェスト | Nature …
・絶滅の危機に瀕しているゾウ:その原因とその保護を支援する …
・アフリカのゾウ、絶滅の危機に 密猟と生息地の減少で | Bbc …
・環境省_アフリカゾウの生息状況|ワシントン条約と種の保存法
・ゾウと人間 共存の道を探る | ナショナル ジオグラフィック日本 …
コメント