職業：作業療法士について説明

作業療法士の仕事内容
作業療法士の仕事内容	作業療法士の資格取得	作業療法士の活躍する職場	作業療法士に求められるスキル	作業療法士の将来性	作業療法士になるための勉強
心身機能の回復を支援	国家試験合格が必須	医療機関、福祉施設など	コミュニケーション能力、観察力など	需要が高まっている	専門知識と実践力を習得
日常生活動作の訓練	養成学校での学びが重要	多様な職場が存在	忍耐力、探求心も必要	キャリアパスは多岐にわたる	大学、短大、専門学校など
社会生活への適応を支援	3年制または4年制	病院、介護施設、行政機関など	高いコミュニケーション能力	専門性を深める道も	国家試験対策が重要
患者中心の支援	国家試験合格率は高い	就職先は多岐にわたる	チーム医療への貢献	将来性のある職業	実習経験も重要

1. 作業療法士の役割とは
2. 作業療法士の必要な資格と学習プロセス
3. 作業療法士の活躍する職場と働き方
4. 作業療法士に求められるスキルと能力
5. 作業療法士の将来性とキャリアパス
6. 作業療法士になるための勉強法とポイント

1. 作業療法士の役割とは

作業療法士の仕事内容

作業療法士は、心身に障害を抱える人々に対して、日常生活に必要な能力の回復・維持を図る専門家のことです。主に、身体的または精神的な障害を持つ人が日常生活を自立して送れるように支援します。作業療法の対象となる「作業」には、食事、着替え、家事、職務、余暇活動など、生活の全般が含まれます。個々のニーズに応じた具体的な活動を計画し、それによって身体的及び精神的機能の向上を図ります。さらに、社会的適応能力や応用的動作能力の回復を目指し、全人的なサポートを提供することが求められます。

作業療法士は、医療や福祉の現場で重要な役割を果たし、病気やけが、高齢化などによって日常生活に困難を抱える人々を広範に支援します。作業療法士は対象者が再び活動的で自立した生活を送れるよう助け、その過程で身体だけでなく心の健康にも配慮を行います。

作業療法士と理学療法士はどちらもリハビリテーションの専門職で、それぞれ重要な役割を持っていますが、業務の焦点は異なります。理学療法士は主に患者の運動機能を回復させることに注力し、歩行や立ち上がりといった基本的な動作の習得をサポートします。

対して、作業療法士は日常生活での応用的な動作や心の健康に焦点を当て、食事や入浴といった活動のほか、趣味や社会活動を含む広範なリハビリを提供します。作業療法士は、手の使用や細かい指の動きを含む活動にも対応し、個々の患者のライフスタイルや趣味に合わせたカスタマイズされたリハビリプランを作成します。

作業療法士の仕事内容
作業内容	説明
食事、着替え、入浴などのセルフケア	日常生活動作の訓練
家事、仕事、趣味活動などの生産的活動	社会生活への適応能力の向上
地域活動、ボランティア活動などの社会参加	社会生活への適応能力の向上
精神的なサポート	心の安定と回復を支援

作業療法士と理学療法士の違い

作業療法士は約7万人、理学療法士の患者数は約11万人となっています。

理学療法士はリハビリテーションの専門家で、患者の日常生活に必須な基本動作の獲得と回復を目指します。主な治療手段には「運動療法」と「物理療法」があります。

運動療法では、立ち上がりや歩行といった基本動作の訓練を通じて、筋力の強化や関節の可動域を改善します。一方、物理療法は、電気刺激や温熱治療など物理的手段を用いて患者の機能回復を促進します。

理学療法士について詳しく知りたい方は、「理学療法士とは？仕事内容から受験資格、就職先を解説」をご参照ください。

作業療法士と理学療法士の違い
職種	主な仕事内容
作業療法士	日常生活動作の訓練、社会生活への適応能力の向上
理学療法士	歩行、立ち上がりなどの基本動作の訓練

作業療法士の仕事内容

作業療法士の役割は、日常生活での応用的動作や社会的活動をサポートすることです。対象者が自分らしい生き方を実現できるよう、身体機能だけでなく精神機能の維持と改善にも注力します。

食事、排泄、家事など日常必要な動作の訓練から、就学、就労、地域活動への参加支援まで幅広く対応します。

作業療法の主な内容は以下の通りです。

作業療法士は、患者の日常活動をより充実させるための具体的な支援を提供します。例えば、特定の動作が困難な場合には、適切な道具の使用や活動の方法を教えることで、自立を促進します。また、趣味や遊びを含めた多岐にわたる活動を通じて、心身のリラックスを促し、治療の一環として娯楽性を重視する点も特徴です。作業療法士は、医師の指示の下でプログラムを行い、対象者が病気やケガを乗り越え、健康と「その人らしい生活」を取り戻せるようサポートします。

作業療法士の仕事内容
段階	主な仕事内容
急性期	基本動作の訓練、身体機能の維持
回復期	日常生活動作の訓練、社会生活への適応能力の向上
維持期	機能の維持、社会参加の促進

まとめ

作業療法士は、心身に障害を抱える人々の心身機能の回復と社会環境への順応をサポートする重要な役割を担っています。

日常生活の様々な動作や活動を通して、患者さんが自分らしく生き生きとした生活を送れるように支援するのが作業療法士の仕事です。

作業療法士は、医療や福祉の現場で活躍し、患者さんの心身両面をサポートすることで、社会復帰を支援しています。

作業療法士は、理学療法士とは異なる専門分野を持ち、患者さんの生活の質を高めるために、より応用的な動作や社会生活への適応能力の向上を支援しています。

2. 作業療法士の必要な資格と学習プロセス

作業療法士になるための資格取得

作業療法士として働くためには、国の定める教育機関で必要単位を取得し、国家試験に合格することが必要となります。

作業療法士の資格を取得することで、医療や福祉の現場で専門的なサービスを提供することが可能となります。

作業療法士の国家試験を受験するために必要な、受験資格の取得方法を解説します。

作業療法士国家試験を受験するには、制度上定められているカリキュラムを学習する必要があります。必要な単位を取得すれば、受験資格を取得することができます。

作業療法士の資格取得
取得方法	説明
作業療法士国家試験に合格	厚生労働省が実施する国家試験
養成学校を卒業	大学、短大、専門学校など
必要な知識と技術を習得	専門知識、実践力、コミュニケーション能力など

作業療法士の養成校

作業療法士になるための養成校は大学や専門学校などがあり、修業期間は3〜4年です。修業期間の違いによって得られる知識や技術に違いはないため、じっくり学びたい方は4年制の養成学校、できるだけ早く現場で働きたい方は3年制を選ぶとよいでしょう。

2023年度における国家試験合格率は83.8％であるものの、過去には70％台の年度もあります。国家試験は毎年1回だけなので、十分な試験対策を行ったうえで受験する必要があるでしょう。

作業療法士の養成学校には大学、短大、専門学校があります。それぞれの学校の特徴を理解した上で、自分に合った学校を選びましょう。

大学では、学術的な知識を深め、幅広い教養を身につけることができます。短大では、大学よりも短期間で専門知識を習得できます。専門学校では、実践的な知識や技術を習得することができます。

作業療法士の養成校
学校	特徴
大学	学術的な知識を深め、幅広い教養を身につける
短大	大学よりも短期間で専門知識を習得
専門学校	実践的な知識や技術を習得

作業療法士国家試験

作業療法士の国家試験は、毎年2月に実施され、2日間に分けて筆記試験と口述試験および実技試験がおこなわれます。

2024年に実施された「第59回作業療法士国家試験」の結果は以下のとおりです。

合格発表：2024年3月21日（2024年3月29日訂正公開）受験者数：5

※（）内は新卒者のみの割合

作業療法士国家試験
試験内容	説明
筆記試験	解剖学、生理学、運動学など
口述試験・実技試験	重度視力障害者に対する実技試験
合格率	近年は80%前後

まとめ

作業療法士になるためには、作業療法士国家試験に合格する必要があります。

国家試験を受験するためには、厚生労働大臣が指定した養成学校を卒業する必要があります。

養成学校は大学、短大、専門学校があり、それぞれ特徴があります。

国家試験の合格率は近年高いですが、しっかりと準備をして試験に臨むことが重要です。

3. 作業療法士の活躍する職場と働き方

作業療法士の主な就職先

作業療法士は、医療・福祉の現場をはじめ、教育機関や行政機関など、さまざまな分野で活躍しています。

以下に主な就職先をまとめましたので、参考にしてみて下さい。

主な就職先

また、過去にインタビューをした作業療法士のIさんは精神科病棟での働き方を次のように話ししてくれました。

作業療法士の主な就職先
領域	主な就職先
身体障害領域	総合病院、クリニック、リハビリテーションセンターなど
精神障害領域	精神科病院、精神保健福祉センターなど
発達障害領域	小児科病院、特別支援学校、児童福祉施設など
老年期障害領域	介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、訪問看護ステーションなど

作業療法士の給与

厚生労働省の調査によると、作業療法士の平均給与は下記のとおりです。

作業療法士の平均給与は賞与を含めて約431万円となっており、男女差は36万円です。また、平均月収は約30.1万円となっており、男女差は約2.7万円となっています。

ただし、上記の平均給与は理学療法士、言語聴覚士を含めた金額であることに注意が必要です。作業療法士の給与は職場によって異なり、企業や研究機関に就職した場合は、平均以上の給与を得られる可能性があるでしょう。

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作業療法士の平均年収
項目	金額
平均年収	約431万円
平均月収	約30.1万円

作業療法士の働き方

作業療法士は、医療・福祉の現場で働くことが多いですが、近年では、一般企業や行政機関、就労支援など、様々な場所で活躍しています。

作業療法士の仕事内容は、勤務先によって異なります。

例えば、病院では、患者さんのリハビリテーションを支援し、日常生活動作の訓練や、社会復帰のための訓練を行います。

介護施設では、高齢者の生活の質を高めるためのリハビリテーションを提供します。

まとめ

作業療法士は、医療機関や介護施設、行政機関など、様々な場所で活躍しています。

就職先によって、仕事内容や求められるスキルは異なります。

作業療法士の平均年収は約431万円ですが、職場や経験によって異なります。

作業療法士は、患者さんの生活の質を高めるために、様々な場所で活躍しています。

4. 作業療法士に求められるスキルと能力

コミュニケーション能力

作業療法士は、子どもから高齢者まで、さまざまな方を対象にリハビリを行います。なかには、病気やけがをきっかけに、精神が不安定になっている方もいるでしょう。

そのため、作業療法士には、どのような患者さまとも向き合える、高いコミュニケーション能力が求められます。リハビリに前向きでない方や横柄な対応をする方がいたとしても、会話を通じて趣味や好み、希望などを引き出すことができれば、関係が深まってより効果的なリハビリが提案できるはずです。

また、日々のコミュニケーションによって悩みや不安を取り除いたり、元気づけたりすることも、作業療法士の重要な役割です。

作業療法士が適切なアプローチをするためには、相手の体調に異変がないかを注意深く観察したり、相手の気持ちを的確に読み取ったりするスキルが重要です。対象者の動きの変化にいち早く気づくことで、プログラムを改善したり、自助具を替えたりといった対応もスムーズに行えるでしょう。また、患者さまの気分や心理的な変化に気づくことは、お互いの信頼関係を築くことにもつながります。

コミュニケーション能力
説明	具体例
患者との信頼関係を築く	患者の話を丁寧に聞き取る
チーム医療を円滑に進める	医師や看護師など他職種との連携
患者のモチベーションを高める	励ましの言葉をかけるなど
患者の不安を解消する	不安な気持ちを理解し、寄り添う

観察力

多くの場合、リハビリは長期間にわたって行う必要があります。そのため、作業療法士は長期的な視点で対象者と向き合い、根気強くリハビリをサポートすることが求められます。

患者さまや利用者さまのなかには、思うようにリハビリが進まない焦りから、イライラしたりやる気をなくしたりする方もいます。しかし、そうした場面で作業療法士までが焦ってしまうと、対象者はさらに不安な気持ちになるかもしれません。

だからこそ、作業療法士にはどんな場面でも根気強くリハビリを行い、対象者の社会復帰を支えようとする姿勢が必要です。前向きにリハビリに取り組む作業療法士の姿は、きっと患者さま、利用者さまのやる気や笑顔につながるでしょう。

作業療法士は、心身に障害のある方や将来的に障害が予測される方に対して、応用的動作能力、社会的適応能力の回復に向けた治療や訓練、指導を行う仕事です。理学療法士が基本動作の訓練を行うのに対して、作業療法士は応用的な動作の訓練が中心となります。また、精神に障害がある方への支援が行えるのも、作業療法士の大きな特徴です。

観察力
説明	具体例
患者の状態を正確に把握する	身体的な変化、精神的な変化に気づく
リハビリプランを柔軟に変更する	患者の状況に合わせて計画を変更
患者の反応を注意深く観察する	リハビリへの意欲、不安などを察知
患者の家族との連携を図る	家族の意見を聞き取り、連携を強化

忍耐力

忍耐力
説明	具体例
長期的なリハビリをサポートする	根気強く励まし続ける
患者の焦燥感に寄り添う	落ち着いて対応する
困難な状況にも諦めない	諦めずに努力を続ける
患者と家族を励ます	前向きな言葉をかけ続ける

まとめ

作業療法士には、コミュニケーション能力、観察力、忍耐力、探求心など、様々なスキルが求められます。

これらのスキルを身につけることで、患者さんの心身に寄り添い、効果的なリハビリテーションを提供することができます。

作業療法士は、患者さんの生活の質を高めるために、これらのスキルを駆使して、日々努力しています。

5. 作業療法士の将来性とキャリアパス

作業療法士の将来性

作業療法士は、高齢化社会の進展に伴い、ますます需要が高まっている職業です。

医療技術の進歩により、より高度なリハビリテーションが求められるようになり、作業療法士の役割はますます重要になっています。

また、近年では、精神的な健康への関心が高まっていることから、精神科分野での作業療法士の需要も増加しています。

さらに、障害者に対する社会の理解が進み、障害者の方々が社会参加しやすい環境が整いつつあることから、作業療法士の活躍の場はますます広がっていくと考えられます。

作業療法士の将来性
将来性	説明
高齢化社会の進展	高齢者のリハビリ需要が高まっている
医療技術の進歩	高度なリハビリテーションが求められている
精神的な健康への関心の高まり	精神科分野での需要が増加
障害者に対する社会の理解の進展	障害者の方々が社会参加しやすい環境が整いつつある

作業療法士のキャリアパス

作業療法士のキャリアパスは、多岐にわたります。

病院や施設で臨床経験を積み、管理職を目指す道があります。

専門分野を深め、認定作業療法士や専門作業療法士の資格を取得する道もあります。

大学院に進学して、研究者を目指す道もあります。

作業療法士のキャリアパス
キャリアパス	説明
管理職	病院や施設でリーダーシップを発揮
専門作業療法士	特定の分野を専門的に深める
研究者	大学院に進学し、研究活動を行う
起業	自身の専門知識を活かして起業

作業療法士のスキルアップ

作業療法士は、様々な資格を取得することで、スキルアップを図ることができます。

例えば、認定作業療法士や専門作業療法士の資格を取得することで、専門性を高めることができます。

また、介護支援専門員や福祉住環境コーディネーターなどの資格を取得することで、幅広い分野で活躍することができます。

作業療法士は、常に学び続けることで、より専門的な知識や技術を身につけることができます。

作業療法士のスキルアップ
スキルアップ方法	説明
資格取得	認定作業療法士、専門作業療法士など
研修参加	最新の知識や技術を学ぶ
学会発表	研究成果を発表し、専門性を高める
論文執筆	専門知識を深め、論文を発表

まとめ

作業療法士は、高齢化社会の進展や医療技術の進歩に伴い、ますます需要が高まっている職業です。

作業療法士は、臨床経験を積む、専門性を深める、研究者になるなど、様々なキャリアパスがあります。

作業療法士は、常に学び続けることで、スキルアップを図ることができます。

作業療法士は、患者さんの生活の質を高めるために、様々な場所で活躍しています。

6. 作業療法士になるための勉強法とポイント

作業療法士の勉強法

作業療法士になるためには、専門知識を学ぶだけでなく、実践的なスキルを身につける必要があります。

そのため、座学だけでなく、実習にも積極的に参加することが重要です。

実習では、実際に患者さんと接することで、理論的な知識を実際の場面でどのように活かすことができるのかを学ぶことができます。

また、国家試験対策として、過去問を解いたり、問題集を解いたりすることも有効です。

作業療法士の勉強法
勉強方法	説明
座学	解剖学、生理学、運動学など
実習	病院や施設での実習
過去問対策	国家試験対策
問題集	知識の確認と理解を深める

作業療法士の学校選び

作業療法士の養成校は、大学、短大、専門学校などがあります。

学校を選ぶ際には、カリキュラムの内容、教員の質、就職実績などを考慮することが重要です。

オープンキャンパスに参加して、学校の様子を実際に見てみるのも良いでしょう。

自分に合った学校を選ぶことで、より充実した学びを得ることができます。

作業療法士の学校選び
ポイント	説明
カリキュラム	専門知識、実践力、コミュニケーション能力など
教員の質	経験豊富で熱心な教員
就職実績	希望する職種への就職実績
学校環境	設備、雰囲気、サポート体制など

作業療法士の資格取得

作業療法士の国家試験は、毎年2月に実施されます。

試験内容は、解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要などです。

国家試験に合格するためには、しっかりと準備をする必要があります。

過去問を解いたり、問題集を解いたりすることで、試験対策を行うことができます。

作業療法士の国家試験
試験内容	説明
筆記試験	解剖学、生理学、運動学など
口述試験・実技試験	重度視力障害者に対する実技試験
合格率	近年は80%前後