設備稼働率とは?経済用語について説明

設備稼働率に関する項目
項目	説明
設備稼働率	工場や設備が実際に稼働している時間の割合を示す指標
可動率	設備が実際に動作していた時間と、稼働及び停止の全時間との比率
生産基準	製品・商品の生産個数を基準に稼働率を計算する方法
時間基準	時間を基準に稼働率を計算する方法
故障ロス	設備の突発的な故障による稼働率の悪化
部品ロス	製造に必要な部品が予定通り入荷されないことによる稼働率の悪化
速度低下ロス	設備の動作スピードや作業者の作業速度が遅くなることで稼働率の悪化
段取り替えロス	生産ラインの製品に合わせて部品の品種や工程などを変更する作業による稼働率の悪化
生産計画の最適化	生産計画を見直すことで稼働率を改善する方法
受注量の最適化	生産能力に応じた受注を行うことで稼働率を改善する方法
生産性の向上	生産性を下げている工程の生産能力を上げることで稼働率を改善する方法
無駄の排除	無駄な業務、段取り替え、工数、在庫などを解消することで稼働率を改善する方法
良品率	良品がどれくらいの割合で作成できているか確認する方法
自動化・省力化	自動化できる工程を洗い出し、稼働率を改善する方法
設備稼働率の見える化	設備の稼働状況を可視化し、データに基づいて分析を行うこと
設備稼働率の改善	設備の故障やトラブルを減らすことで稼働率を改善する方法
設備稼働率の活用	設備稼働率のデータを様々な用途に活用する方法

1. 設備稼働率とは何か

設備稼働率の定義

設備稼働率とは、工場や設備が実際に稼働している時間の割合を示す指標です。製造業において、設備がどれだけの時間生産活動に貢献しているかを表す重要な指標であり、生産効率や生産能力を評価するために使用されます。設備稼働率は、通常、次の数式で計算されます。\n\n設備稼働率 = (稼働時間 / 全体の時間) × 100\n\n稼働時間は、設備や機械が実際に稼働している時間を指し、全体の時間は設備が稼働できる総時間を表します。この計算によって、設備稼働率が算出されます。

例えば、1日に8時間稼働可能な設備が、実際に6時間稼働した場合、設備稼働率は75%となります。\n\n設備稼働率 = (6時間 / 8時間) × 100 = 75%

設備稼働率は、生産計画の策定や設備投資の判断、生産効率の改善など、様々な場面で活用されます。

設備稼働率の計算式
計算式	説明
設備稼働率 = (稼働時間 / 全体の時間) × 100	稼働時間と全体の時間の比率で算出
可動率 = (稼働時間 – 停止時間) / 稼働時間 × 100	稼働時間から停止時間を除いた時間の比率で算出

稼働率と可動率の違い

稼働率と似た言葉に可動率があります。可動率は、設備が実際に動作していた時間と、稼働及び停止の全時間（計画的、非計画的な停止を含む）との比率を指します。可動率は、設備の信頼性や整備状態を反映する指標であり、設備が正常に動作している時間の割合を示します。

稼働率は、設備が稼働可能な時間に対する実際の稼働時間の割合を示すのに対し、可動率は設備が正常に動作可能な時間に対する実際に正常に動作した時間の割合を示します。

例えば、1日に8時間稼働可能な設備が、故障により2時間停止し、6時間しか稼働できなかった場合、稼働率は75%、可動率は75%となります。

稼働率と可動率の違い
項目	稼働率	可動率
対象	稼働可能な時間	正常に動作可能な時間
基準	実際の稼働時間	実際に正常に動作した時間
意味	生産効率	設備の信頼性

稼働率の計算方法

稼働率の計算方法は、生産量ベースか稼働時間ベースかで異なります。それぞれの計算式は以下の通りです。

生産量ベース\n\n稼働率 = (実際の生産量 / 生産能力) × 100\n\n例えば、生産能力が1000で実際の生産量が950だった場合の稼働率は95%になります。

稼働時間ベース\n\n稼働率 = (実際の稼働時間 / 稼働すべき時間) × 100\n\n例えば、稼働すべき時間が8時間で実際の稼働時間が7時間30分だった場合の稼働率は93.75%ということになります。

稼働率の計算方法
計算方法	計算式	例
生産量ベース	稼働率 = (実際の生産量 / 生産能力) × 100	生産能力1000個、実際の生産量950個の場合、稼働率は95%
稼働時間ベース	稼働率 = (実際の稼働時間 / 稼働すべき時間) × 100	稼働すべき時間8時間、実際の稼働時間7時間30分の場合、稼働率は93.75%

まとめ

設備稼働率は、設備が実際に稼働している時間の割合を示す重要な指標です。稼働率は、生産計画の策定や設備投資の判断、生産効率の改善など、様々な場面で活用されます。

稼働率と似た言葉に可動率があり、可動率は設備が正常に動作している時間の割合を示します。

稼働率の計算方法は、生産量ベースと稼働時間ベースの2種類があります。

2. 設備稼働率の重要性

生産性向上への影響

設備稼働率が高いと、生産性が向上します。生産設備が効率的に稼働しているため、同じ時間内により多くの製品やサービスを提供できるため、収益性を高めることができます。

例えば、1日に100個の製品を生産できる設備が、稼働率80%で稼働した場合、1日に80個の製品を生産できます。しかし、稼働率が100%に近づけば、1日に100個の製品を生産することができ、生産性が向上します。

高い稼働率は、生産ラインの停止時間を最小限に抑え、無駄な時間を削減することができます。これにより、生産性が向上し、コスト削減にもつながります。

稼働率と生産性
稼働率	生産性
低い	低い
高い	高い

コスト削減

高い設備稼働率により、生産効率が向上し、一定生産量を維持しながら生産コストを削減することが可能となります。これは企業の競争力を高める上で重要な要素となります。

例えば、設備の稼働率が向上することで、人件費や電気代などのコストを削減することができます。また、無駄な在庫を抱えるリスクを減らすことにもつながります。

さらに、効率的な設備稼働は顧客サービス向上にもつながります。生産ラインや設備の稼働率が向上すると、納期の短縮や製品の品質向上など、顧客へのサービス提供にもプラスの影響を与える場合があります。

稼働率とコスト
稼働率	コスト
低い	高い
高い	低い

顧客満足度の向上

高い稼働率は、納品期限の守られた高品質な製品を提供することができ、顧客満足度を向上させます。逆に、低い稼働率は納品遅延や品質低下につながる可能性があります。

顧客満足度が向上すると、リピート率や顧客ロイヤリティの向上につながり、企業の収益安定化に貢献します。

顧客満足度を高めるためには、製品の品質だけでなく、納期や価格、サービスなど、様々な要素が重要となります。

稼働率と顧客満足度
稼働率	顧客満足度
低い	低い
高い	高い

まとめ

設備稼働率は、企業の生産性、コスト、顧客満足度、そして経済全体に大きな影響を与えます。

高い稼働率は、生産性と収益性を向上させ、競争力を維持するための重要な要素となります。

一方、低い稼働率は、生産能力の浪費やコスト増加を引き起こし、企業の持続可能性に影響を与える可能性があります。

3. 設備稼働率の影響要因

設備の故障

設備の故障やトラブルは稼働率を低下させる要因の一つです。設備の故障は、突発的に発生することが多く、予期せぬ停止時間を招き、生産計画の遅延やコスト増加につながります。

設備の故障を防ぐためには、定期的なメンテナンスや予防保全が重要です。また、老朽化した設備の更新も検討する必要があります。

設備の故障による稼働率の悪化は故障ロス（ドカ停）です。例えば、ロボット軸異常・ポンプ回転不良・電装機器の不良といった設備の突発的な故障が該当します。これらの突発的に発生する故障では、まず原因究明を行い故障した部品を交換する準備をするなど、長時間の故障停止を招いてしまいます。

設備故障による稼働率悪化
要因	例
設備の故障	ロボット軸異常、ポンプ回転不良、電装機器の不良
設備のちょっとしたトラブル	部品の詰まり、機械の軽微な不具合

部品の不足

製造に必要な部品が予定通り入庫されないことによる稼働率の悪化（物流トラブルなど）です。原料・材料・部品または製品が、計画に反して滞り手待ちの状態です。部品が規格通りできず選別するムダ等が発生します。

部品の不足を防ぐためには、適切な在庫管理やサプライチェーンマネジメントが重要です。また、複数のサプライヤーを持つことや、代替部品の確保も有効な手段です。

部品ロスは、製造に必要な部品が物流トラブルなどで予定通り入荷されないことが原因で引き起こされます。原料・材料・部品といった製品が入荷されないと何も作業ができません。従来の部品で作業できるかどうかという判断や部品自体の選別もしなければいけないことから、その分時間ロスにもなってしまいます。\n\n当初計画していたものに反することになるため、可動率が悪化してしまう原因となります。こういったことにならないためにも、万が一に備えて日頃から材料や部品の在庫チェックを欠かさないようにすることが必要だと言えるでしょう。

部品不足による稼働率悪化
要因	例
物流トラブル	部品の遅延、部品の紛失
部品の不具合	規格外の部品、不良部品

人材不足

人材不足は、設備の稼働率に大きな影響を与えます。熟練した作業員が不足すると、生産スピードが低下したり、ミスが発生したりする可能性があります。

人材不足を防ぐためには、人材育成や採用活動が重要です。また、業務の効率化や自動化によって、人材の負担を軽減することも有効です。

設備の動作スピードやその作業に携わる人員の作業速度が遅くなることで稼働率の悪化に繋がります。例えば、使用している機械や設備が古いことから動きが鈍いというのは想定内だとしても、その作業を行うのが初めての人や、まだ慣れていない人であれば使い方がわからないということも考えられるため、どうしてもスピードが落ちてしまいます。これを防ぐためには、経験が浅い人に対してリーダーの方がしっかりとOJT（新人や未経験者に対して、実務を体験させながら仕事を覚えてもらう手法）を含めたレクチャーを行うことが必須となります。このことから、作業について未経験、または慣れていない従業員がいれば、OJT以外でもできる限りのレクチャーを行い、その方自身のスキルアップを図ることで貴社の重要な戦力にしましょう。

人材不足による稼働率悪化
要因	例
熟練工の不足	経験不足による作業の遅延、ミス
作業員のスキル不足	OJT不足による作業の遅延、ミス

まとめ

設備稼働率を悪化させる要因は、設備の故障、部品の不足、人材不足など、様々な要因が考えられます。

これらの要因を分析し、適切な対策を講じることで、設備稼働率の向上を図ることができます。

設備の故障を防ぐためには、定期的なメンテナンスや予防保全が重要です。部品の不足を防ぐためには、適切な在庫管理やサプライチェーンマネジメントが重要です。人材不足を防ぐためには、人材育成や採用活動が重要です。

4. 設備稼働率向上のための方法

生産計画の最適化

生産計画の最適化とは、生産計画を最適化して稼働率を改善するというチェックポイントです。製品の受注量が少ない場合、作業員の数を削減するなどの対策が考えられます。

受注量の変動に合わせて、生産計画を見直すことで、設備の稼働率を安定させることができます。

例えば、受注量の多い時期には、残業や休日出勤を導入することで、生産能力を向上させることができます。逆に、受注量の少ない時期には、休業やシフト制を導入することで、人件費を抑えることができます。

生産計画の最適化
対策	説明
受注量の少ない時期の作業員削減	シフトの変更、配置換え
受注量の多い時期の残業・休日出勤	生産能力の向上
休業・シフト制の導入	人件費の抑制

受注量の最適化

受注量の最適化とは、生産能力に応じた受注を行うというチェックポイントです。稼働率が高い場合は製品の受注量を減らし、稼働率が低い場合は積極的な営業により受注量を高める方法が考えられます。

受注量の最適化は、企業の経営戦略と密接に関係しています。

例えば、受注量が多い場合は、設備投資や人員増員を検討する必要があります。逆に、受注量が低い場合は、製品のラインナップを見直したり、新たな市場を開拓したりする必要があります。

受注量の最適化
対策	説明
受注量の多い場合	設備投資、人員増員
受注量の少ない場合	製品ラインナップの見直し、新規市場開拓

生産性の向上

生産性の向上とは、生産性を下げている工程の生産能力を上げるというチェックポイントです。工場全体の状況を把握して問題が発生している箇所の生産性を上げる方法が考えられます。特に、ボトルネック工程を洗い出し、改善することが重要です。

生産性の向上には、様々な方法があります。例えば、作業の効率化、設備の自動化、人材育成などが挙げられます。

生産性の向上は、設備稼働率の向上だけでなく、企業全体の競争力強化にもつながります。

生産性の向上
対策	説明
作業の効率化	ムダな作業の排除、標準作業の導入
設備の自動化	ロボット導入、自動化ラインの導入
人材育成	スキルアップ研修、OJTの充実

まとめ

設備稼働率を向上させるためには、生産計画の最適化、受注量の最適化、生産性の向上など、様々な方法があります。

これらの方法を組み合わせることで、設備稼働率を効率的に向上させることができます。

設備稼働率の向上は、企業の収益性向上や競争力強化に貢献します。

5. 設備稼働率の産業への影響

経済成長への影響

設備稼働率は、経済活動に大きな影響を与えます。設備稼働率が高いと、生産性が向上し、経済成長に寄与する可能性が高まります。

逆に、設備稼働率が低いと、生産性が低下し、経済成長が鈍化する可能性があります。

設備稼働率は、企業の投資意欲にも影響を与えます。設備稼働率が高いと、企業は将来の需要増加を見込み、設備投資を行う意欲が高まります。

設備稼働率と経済成長
設備稼働率	経済成長
高い	促進
低い	停滞

雇用への影響

設備稼働率は、雇用にも影響を与えます。設備稼働率が高いと、生産量が増加し、雇用創出につながります。

逆に、設備稼働率が低いと、生産量が減少するため、雇用が減少する可能性があります。

設備稼働率の向上は、雇用安定に貢献します。

設備稼働率と雇用
設備稼働率	雇用
高い	増加
低い	減少

国際競争力への影響

設備稼働率は、国際競争力にも影響を与えます。設備稼働率が高い国や地域は、生産性が向上し、製品やサービスの品質や価格競争力が強化されることが期待されます。

逆に、設備稼働率が低い国や地域は、生産性が低下し、国際競争力が弱まる可能性があります。

設備稼働率の向上は、国際競争力の強化に貢献します。

設備稼働率と国際競争力
設備稼働率	国際競争力
高い	強化
低い	弱体化

まとめ

設備稼働率は、経済成長、雇用、国際競争力など、様々な側面に影響を与えます。

設備稼働率の向上は、経済活性化や社会全体の豊かさに貢献します。

企業は、設備稼働率の向上を図ることで、社会全体の持続可能な発展に貢献することができます。

6. 設備稼働率の実務への応用事例

設備稼働率の見える化

設備稼働率の見える化とは、設備の稼働状況を可視化し、データに基づいて分析を行うことです。設備稼働率の見える化によって、設備の稼働状況を把握し、問題点を早期に発見することができます。

設備稼働率の見える化には、様々なツールやシステムが活用されています。例えば、IoTセンサーやクラウドサービスなどを利用することで、リアルタイムで設備の稼働状況を監視することができます。

設備稼働をモニタリング・見える化することによって、機械やその部品の故障や不具合を未然に防止することが可能です。これにより、上でご紹介したような設備稼働率を悪化させる要因を作らずに済みます。日頃からモニタリングを行っていると、「この機械は、ここのボタンの効きが悪い」ということがひと目でわかるため、前もって何かしらの対策ができます。\n\n消費者の方の手にわたってからも、貴社の製品は壊れにくくて使いやすいという評価をいただけるのはほぼ間違いありません。

設備稼働率見える化のメリット
メリット	説明
故障・不具合の未然防止	早期発見による対策が可能
要因分析の容易化	データに基づいた分析が可能
生産プロセスの効率化	無駄な時間の削減、作業の効率化
従業員モチベーション向上	目標達成感、達成感による更なるモチベーション向上

設備稼働率の改善

設備稼働率の改善には、設備の故障やトラブルを減らすことが重要です。定期的なメンテナンスや予防保全を実施することで、設備の寿命を延ばし、故障のリスクを低減することができます。

また、設備の自動化や省力化も有効な手段です。自動化によって、人為的なミスを減らし、生産効率を向上させることができます。

設備稼働をモニタリング・見える化することで故障や不具合の未然防止はもちろんのこと、それについての要因分析も容易にできるようになります。例えば、「この機械はここが悪くて故障した、不具合を起こした」というようにわかります。モニタリング・見える化がしっかりとできていなければ、故障や不具合といったアクシデントが起こった場合に、どうしたらよいのか判らず「どうなっているのか」と右往左往するだけになってしまいます。そうならないためにも、設備稼働をモニタリング・見える化することが大切です。\n\nこうすることによって、万が一消費者の方から「貴社で購入した〇〇が壊れてしまったのですが」という問い合わせがあった場合でも、変に慌てることなく速やかに要因究明をすることが可能となります。\n\n消費者の方からの信用・信頼のためにも、モニタリング・見える化は必須です。

設備稼働率改善の対策
対策	説明
定期的なメンテナンス	設備の寿命延長、故障リスクの低減
予防保全	故障を未然に防ぐための対策
設備の自動化・省力化	人為的なミス削減、生産効率向上

設備稼働率の活用

設備稼働率のデータは、様々な用途に活用することができます。例えば、生産計画の策定、設備投資の判断、人材育成の計画などに役立ちます。

設備稼働率のデータは、企業の経営戦略を策定する上で重要な情報となります。

設備稼働をモニタリング・見える化すると、当然ながら生産プロセスの効率が格段に上がります。また、それによって従業員の方はもちろん、工場全体のモチベーション向上にもなるため一石二鳥です。人間というのはとても単純な生き物なため、物事がなかなかうまくいかない時にはイライラしてしますが、逆にうまく進んでいる時はその勢いに任せて猪突猛進してしまうものなので、そういう意味では、このメリットは人間のそういった心理をうまくついているということになります。もちろんそれだけではなく、これにより従業員の方々の気持ちが十二分に込められたより良い製品が作られることにもつながるため、常にモチベーションが高く仕事に取り組めるようモニタリング・見える化をぜひ実施してみてください。

設備稼働率データの活用例
用途	説明
生産計画の策定	需要予測に基づいた計画
設備投資の判断	投資効果の分析
人材育成の計画	スキルアップ研修の計画