世界銀行とは?経済用語について説明

世界銀行の概要
項目	内容
設立目的	貧困削減と持続的な成長の実現
設立年	1944年
本部所在地	アメリカ合衆国ワシントンD.C.
加盟国数	189ヶ国
主な活動	融資、技術協力、政策助言
構成機関	国際復興開発銀行（IBRD）、国際開発協会（IDA）、国際金融公社（IFC）、多数国間投資保証機関（MIGA）、国際投資紛争解決センター（ICSID）

1. 世界銀行の定義と歴史
2. 世界銀行の機能と役割
3. 世界銀行の主なプロジェクトと活動
4. 世界銀行の組織構造とメンバー国
5. 世界銀行が取り組む課題と課題解決の取り組み
6. 世界銀行が影響を及ぼす経済用語の解説

1. 世界銀行の定義と歴史

世界銀行とは何か？

世界銀行は、貧困削減と持続的な成長の実現に向けて、途上国政府に対し融資、技術協力、政策助言を提供する国際開発金融機関です。世界銀行は、一般の銀行とは違い、途上国の経済成長のための銀行です。189ヶ国が共同で運営しています。

世界銀行は、国際復興開発銀行（IBRD）と国際開発協会（IDA）という2つの機関から成り立っています。この2つの機関はお金で援助することには変わりありません。違いは「自立できる国向け」か「最貧国向け」かです。IBRDは中所得国に、IDAは最貧国に融資を行なっています。

国際復興開発銀行（IBRD）は、中所得国および信用力のある低所得国の政府に貸出を行います。IBRDは低所得な国に緩やかな条件で資金を貸し出します。また、国の貧困を削減させ、さらに発展させるために資金だけでなく分析や助言も行っています。

国際開発協会（IDA）は、最貧国の政府に無利子の融資（クレジット）や贈与を提供しています。IDAは世界でも特に貧困な77ヶ国を支援しています。格差をなくしたり、生活水準を上げるためのプログラムにお金を出しています。

世界銀行の構成機関
機関名	目的	対象国
国際復興開発銀行（IBRD）	中所得国および信用力のある低所得国への貸出	中所得国および信用力のある低所得国
国際開発協会（IDA）	最貧国への無利子融資や贈与	最貧国

世界銀行の目標

世界銀行は、2030年までに達成すべき2つの目標を掲げています。

1つ目は、極度の貧困を撲滅することです。1日1.90ドル未満で暮らす人々の割合を2030年までに3％以下に減らすことを目指しています。

2つ目は、繁栄の共有を促進することです。各国の所得の下位40％の人々の所得を引き上げることを目指しています。

世界銀行は、これらの目標を達成するために、途上国に対して資金源、技術援助をする機関として活動しています。

世界銀行の目標
目標	内容
極度の貧困の撲滅	1日1.90ドル未満で暮らす人々の割合を2030年までに3％以下に減らす
繁栄の共有の促進	各国の所得の下位40％の人々の所得を引き上げる

世界銀行の歴史

世界銀行は、1944年7月のブレトン・ウッズ会議で設立されました。第二次世界大戦後の世界経済の混乱を立て直すため、国際通貨基金（IMF）とともに設立されました。

当初は、戦災を受けた西ヨーロッパ諸国の復興支援が中心でしたが、1947年のマーシャル・プランによってヨーロッパ諸国への多額の援助が決まったことで、世界銀行は開発途上国の開発資金援助に特化した機関へと役割を変えていきました。

1950年代から60年代にかけては、開発途上国のインフラ整備に融資が集中しました。その後、1968年にロバート・マクナマラが世界銀行総裁に就任すると、融資額が急速に増加し、社会分野への援助も拡大していきました。

1980年代には、開発途上国の債務返済の停滞が問題となり、経済システムを対象とした援助「構造調整融資」が行われるようになりました。構造調整融資は、開発途上国の経済を拡大させる一方で、借金を増大させ、経済危機に陥る国も出てきました。

世界銀行の歴史における主な出来事
年	出来事
1944年	ブレトン・ウッズ会議で設立
1947年	マーシャル・プランによってヨーロッパ諸国への多額の援助が決まり、開発途上国の開発資金援助に特化した機関へと役割が変化
1968年	ロバート・マクナマラが世界銀行総裁に就任し、融資額が急速に増加、社会分野への援助も拡大
1980年代	開発途上国の債務返済の停滞が問題となり、経済システムを対象とした援助「構造調整融資」が開始
1990年代以降	途上国の経済発展を支援する一方で、債務問題、気候変動、紛争、脆弱性、パンデミックなどの課題に直面

まとめ

世界銀行は、途上国の経済発展を支援するために設立された国際開発金融機関です。

設立当初は、戦災を受けた西ヨーロッパ諸国の復興支援が中心でしたが、その後、開発途上国の経済発展に特化した機関へと役割を変えていきました。

世界銀行は、貧困削減と持続的な成長の実現に向けて、途上国政府に対し融資、技術協力、政策助言を提供しています。

世界銀行は、国際復興開発銀行（IBRD）と国際開発協会（IDA）という2つの機関から成り立っており、それぞれ中所得国と最貧国を対象に融資を行っています。

2. 世界銀行の機能と役割

世界銀行の資金援助

世界銀行は、低金利での貸付や無利子での融資、無償での贈与などによって提供した資金を活用し、開発途上国への投資支援を行っています。

その分野は、教育、保健、行政、インフラ、金融・民間セクター開発、農業、環境・天然資源管理など多岐に渡ります。

これらのプロジェクトの一部は、各国政府、他の多国間機関、民間金融機関、民間投資家など、様々なドナーとの共同出資という形でも実施されています。

世界銀行は、途上国の経済発展を支援するために、資金援助を行っています。

世界銀行の資金援助の主な分野
分野	例
教育	学校建設、教育制度の改善
保健	病院建設、医療従事者の育成
インフラ	道路、橋、港湾、空港の建設
金融・民間セクター開発	中小企業への融資、金融システムの改善
農業	灌漑施設の整備、農業技術の向上
環境・天然資源管理	森林保護、水資源管理
行政	ガバナンスの強化、腐敗防止

世界銀行の技術援助

世界銀行は、政策面での助言、研究、分析、技術支援を通じた支援などを途上国に提供しています。

特に、分析業務においては、世界銀行がどのように効果的な援助を行なっていくかを判断するための情報としても役立てられます。

さらに、支援対象国の能力開発にも力を入れており、多くの開発関連の会議やフォーラムを主催・後援し、開催しています。

世界銀行は、資金援助だけでなく、技術援助も行っており、途上国の開発能力向上を支援しています。

世界銀行の組織構造

世界銀行グループは、国際復興開発銀行（IBRD）、国際開発協会（IDA）、国際金融公社（IFC）、多数国間投資保証機関（MIGA）、国際投資紛争解決センター（ICSID）の5つの機関から構成されています。

このうち、IBRDとIDAを合わせて「世界銀行」と呼ぶことが一般的です。

世界銀行グループの最高意思決定機関は、世界銀行・IMF総会です。総会は、IMF・世界銀行に加盟する189か国の最高責任者（財務大臣、中央銀行総裁クラス）で構成され、毎年秋に開催されています。

世界銀行グループは、加盟国によって組織される総務会と理事会が各機関に関する主な決定を行うことで運営されています。

世界銀行グループの構成機関
機関名	主な活動
国際復興開発銀行（IBRD）	中所得国および信用力のある低所得国への貸出
国際開発協会（IDA）	最貧国への無利子融資や贈与
国際金融公社（IFC）	途上国の民間セクター開発への投融資
多数国間投資保証機関（MIGA）	途上国向けの民間投融資へのリスク保証
国際投資紛争解決センター（ICSID）	国際投資紛争の調停と仲裁

まとめ

世界銀行は、途上国の経済発展を支援するために、資金援助と技術援助を行っています。

資金援助は、低金利での貸付や無利子での融資、無償での贈与などによって行われ、教育、保健、インフラ整備など、様々な分野に投資されています。

技術援助は、政策助言、研究、分析、技術支援などによって行われ、途上国の開発能力向上を支援しています。

3. 世界銀行の主なプロジェクトと活動

世界銀行の具体的なプロジェクト例

世界銀行は、これまで様々なプロジェクトを実施してきました。

例えば、ルワンダでは、農村部の農業をビジネスとして成り立たせるために、10年間にわたってインフラ投資、農業開発を行いました。その結果、農業生産の改善により貧困が11.8％削減されました。

インドでは、6～14歳の年齢層の子ども全員に小学校8年間の質の高い教育を提供するプログラムを実施しました。このプログラムにより、学校に通う女子の割合が増え、小学校のドロップアウト率は15%から6.8%に低下しました。

世界銀行は、途上国の様々な課題解決のために、様々なプロジェクトを実施しています。

世界銀行の主なプロジェクト例
国	プロジェクト	内容
ルワンダ	農村部支援プロジェクト	農業をビジネスとして成り立たせるためのインフラ投資、農業開発
インド	SSAプログラム	6～14歳の年齢層の子ども全員に小学校8年間の質の高い教育を提供するプログラム

世界銀行の取り組み事例：新型コロナウイルス感染症への緊急支援

世界銀行グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大による途上国への深刻な打撃に対処するため、迅速に支援を行いました。

2020年4月1日から2021年6月30日までの15か月間に1

この支援は、保健面だけでなく、現金給付を通じて貧困緩和、政策金融に重点を置いています。

世界銀行グループは、途上国における新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済回復を支援しています。

世界銀行の新型コロナウイルス感染症への緊急支援
期間	支援内容
2020年4月1日から2021年6月30日	1,570億ドル以上の資金提供
–	保健面、現金給付による貧困緩和、政策金融に重点
–	医薬品や医療機器の調達支援
–	緊急支援プロジェクトの開始（危機の封じ込め、経済再建、民間セクターの支援）

世界銀行の強み

世界銀行は、グローバルな経験、幅広いセクターにわたる豊富な知識、主要ステークホルダーの動員力という強みを持っています。

世界銀行は、これらの強みを活かして、途上国に対して総合的な解決策を提供しています。

例えば、安全かつ定時制の高い輸送機関への女性・女児のアクセス確保、気候変動の影響に耐えられる強靭なインフラの構築、脆弱性・紛争・暴力の影響下にある地域の保健システム向上など、途上国だけでは難しい諸課題への対応を促進しています。

世界銀行は、途上国の持続可能な開発を支援するために、様々な取り組みを行っています。

まとめ

世界銀行は、途上国の様々な課題解決のために、様々なプロジェクトを実施しています。

ルワンダの農業開発プロジェクトやインドの教育支援プログラムなど、具体的なプロジェクトを通して、途上国の経済発展と貧困削減に貢献しています。

世界銀行は、新型コロナウイルス感染症の拡大による途上国への影響に対処するため、迅速に支援を行いました。

世界銀行は、グローバルな経験、幅広いセクターにわたる豊富な知識、主要ステークホルダーの動員力という強みを活かして、途上国の持続可能な開発を支援しています。

4. 世界銀行の組織構造とメンバー国

世界銀行グループの組織構造

IBRDとIDAを合わせて「世界銀行」と呼ぶことが一般的です。

世界銀行グループは、加盟国によって組織される総務会と理事会が各機関に関する主な決定を行うことで運営されています。

世界銀行グループの構成機関
機関名	主な活動
国際復興開発銀行（IBRD）	中所得国および信用力のある低所得国への貸出
国際開発協会（IDA）	最貧国への無利子融資や贈与
国際金融公社（IFC）	途上国の民間セクター開発への投融資
多数国間投資保証機関（MIGA）	途上国向けの民間投融資へのリスク保証
国際投資紛争解決センター（ICSID）	国際投資紛争の調停と仲裁

世界銀行グループのメンバー国

世界銀行グループには、現在189カ国が加盟しています。

加盟国は、世界銀行グループの運営や意思決定に参加し、資金拠出を行います。

世界銀行グループは、加盟国の資金拠出と債券発行によって財源を確保しています。

世界銀行グループは、加盟国の協力によって運営されている国際機関です。

世界銀行グループの職員

世界銀行グループには、世界120か国以上の現地事務所で業務にあたる1万人を超える職員がいます。

職員は、当初は技師や金融アナリストがほとんどでしたが、現在では、エコノミストや公共政策、セクター別、社会科学など幅広い分野の専門家が在籍しています。

世界銀行グループは、様々な専門知識を持つ職員によって構成されています。

世界銀行グループは、国際的な機関として、世界中から優秀な人材を集めています。

まとめ

世界銀行グループには、現在189カ国が加盟しており、加盟国は世界銀行グループの運営や意思決定に参加し、資金拠出を行います。

世界銀行グループには、世界120か国以上の現地事務所で業務にあたる1万人を超える職員がおり、様々な専門知識を持つ職員によって構成されています。

世界銀行グループは、加盟国の協力によって運営されている国際機関であり、途上国の経済発展を支援するために活動しています。

5. 世界銀行が取り組む課題と課題解決の取り組み

世界銀行が直面する課題

世界銀行は、途上国の経済発展を支援する一方で、様々な課題に直面しています。

例えば、途上国の債務問題、気候変動、紛争、脆弱性、パンデミックなど、世界的な課題が挙げられます。

これらの課題は、途上国の経済発展を阻害し、貧困削減の取り組みを困難にする可能性があります。

世界銀行は、これらの課題に対処するために、様々な取り組みを行っています。

世界銀行が直面する課題
課題	内容
債務問題	途上国の債務負担の増加
気候変動	地球温暖化による影響
紛争	紛争による経済・社会への影響
脆弱性	自然災害、パンデミックなどによる影響
パンデミック	感染症の拡大による影響

世界銀行の課題解決への取り組み

世界銀行は、途上国の債務問題に対処するために、債務負担の軽減や債務の持続可能性の向上を支援しています。

気候変動に対処するために、再生可能エネルギーへの投資や気候変動への適応策を支援しています。

紛争や脆弱性に対処するために、紛争の影響を受けた地域への支援や平和構築を支援しています。

世界銀行は、これらの課題に対処するために、様々な取り組みを行っています。

世界銀行の課題解決への取り組み
課題	取り組み
債務問題	債務負担の軽減、債務の持続可能性の向上
気候変動	再生可能エネルギーへの投資、気候変動への適応策
紛争	紛争の影響を受けた地域への支援、平和構築
脆弱性	自然災害、パンデミックなどへの対応
パンデミック	感染症の拡大防止、経済回復支援