コーポレートガバナンス報告書とは?経済用語について説明

コーポレートガバナンス報告書の内容
項目	内容
取締役会	構成と役割
監査役会	構成と役割
社外取締役	独立性に関する考え方
内部統制システム	整備状況
リスク管理体制	整備状況
役員報酬	決定プロセス
監査報酬	決定プロセス
株主とのコミュニケーション	方針
サステナビリティ	取り組み

1. コーポレートガバナンス報告書とは
2. コーポレートガバナンスの重要性
3. コーポレートガバナンス報告書の作成手順
4. 世界的なコーポレートガバナンスの動向
5. コーポレートガバナンス報告書の効果
6. コーポレートガバナンス報告書の未来展望

1. コーポレートガバナンス報告書とは

コーポレートガバナンス報告書とは何か？

コーポレートガバナンス報告書とは、証券取引所が上場会社に提出を義務付けた、コーポレートガバナンスの状況を記載した報告書です。別名、CG報告書とも呼ばれます。東京証券取引所は、2015年に策定したコーポレートガバナンス・コードに基づき、「コンプライ・オア・エクスプレイン(comply or explain)」として、順守する(comply)かどうかは自主性に任せつつ、順守しない場合には「コーポレートガバナンス報告書」で説明責任(explain)を果たすことが求められています。

コーポレートガバナンスとは、企業が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みのことです。従来型のコーポレートガバナンスは、経営者が株主利益の最大化を達成するための企業運営の仕組みやプロセスを意味していました。

しかし、サステナビリティが求められる現代では、コーポレートガバナンスは株主利益の最大化だけでなく、社会からの期待に応え、企業価値の向上につなげることが重要になります。企業の目的は利益の最大化であり、投資する株主へ与える価値を最大化することです。株主は経営者に対して、自分たちの利益を重視する行動を要求できます。

しかし、経営者が常に株主の利益を優先して行動するとは限りません。両者の間のコンフリクト（対立）を解消するために、コーポレートガバナンスが存在します。コーポレートガバナンスには主に三つの目的があります。

コーポレートガバナンス報告書の内容
項目	内容
取締役会	構成と役割
監査役会	構成と役割
社外取締役	独立性に関する考え方
内部統制システム	整備状況
リスク管理体制	整備状況
役員報酬	決定プロセス
監査報酬	決定プロセス
株主とのコミュニケーション	方針
サステナビリティ	取り組み

コーポレートガバナンス報告書の内容

コーポレートガバナンス報告書には、企業のガバナンス体制、内部統制システム、リスク管理体制、役員報酬、監査報酬など、企業の統治に関する様々な情報が記載されます。具体的には、以下の項目などが含まれます。

・取締役会、監査役会などの機関の構成と役割\n・社外取締役の独立性に関する考え方\n・内部統制システムの整備状況\n・リスク管理体制の整備状況\n・役員報酬の決定プロセス\n・監査報酬の決定プロセス\n・株主とのコミュニケーションに関する方針\n・サステナビリティに関する取り組み

これらの情報は、投資家やその他のステークホルダーが企業のガバナンス体制を評価し、投資判断を行うための重要な情報となります。

コーポレートガバナンス報告書は、企業の透明性と説明責任を向上させるために重要な役割を果たしています。

コーポレートガバナンス報告書の提出義務

東京証券取引所は、上場企業に対して、コーポレートガバナンス報告書の提出を義務付けています。これは、企業がコーポレートガバナンス・コードを遵守しているかどうか、または遵守していない場合はその理由を説明する必要があるためです。

コーポレートガバナンス・コードは、企業がステークホルダーの立場を踏まえた上で、適正に運営・発展していくための仕組みづくりの指針です。

コーポレートガバナンス・コードは、以下の5つの「基本原則」で構成されています。

・株主の権利の保護\n・ステークホルダーとの関係\n・情報開示の充実\n・取締役会の機能強化\n・持続可能な成長

まとめ

コーポレートガバナンス報告書は、企業のガバナンス体制を透明化し、投資家やその他のステークホルダーへの説明責任を果たすために重要な役割を果たしています。

上場企業は、コーポレートガバナンス・コードに基づき、コーポレートガバナンス報告書を提出することで、企業のガバナンス体制に対する説明責任を果たす必要があります。

コーポレートガバナンス報告書は、企業のガバナンス体制を評価し、投資判断を行うための重要な情報源となります。

今後、コーポレートガバナンス報告書は、企業の社会的責任や環境問題への取り組みなど、より幅広い情報を提供することが求められると考えられます。

2. コーポレートガバナンスの重要性

コーポレートガバナンスの目的

コーポレートガバナンスの目的は、企業経営の透明性確保、ステークホルダーの権利・立場の尊重、中長期的な企業価値の向上です。

企業経営の透明性確保とは、経営戦略や財務状況、リスクマネジメントといった情報を適切に管理することであり、企業の現状を正確に把握する上で重要な役割を果たします。

ステークホルダーの権利・立場の尊重とは、企業が活動を続けていく上では、株主をはじめ、取引先や投資家などの利害関係者（ステークホルダー）に対して利益を還元する責任があるということです。

中長期的な企業価値の向上とは、透明性が高い経営を行うことで、新たな出資や融資を受けやすくなることです。さらに、財務状態が安定することによって、事業投資や優秀な人材獲得も行いやすくなり、持続的な成長基盤を整えることができるでしょう。

コーポレートガバナンスの目的
目的	説明
透明性確保	経営状況を正確に把握
ステークホルダー保護	利益を守る
企業価値向上	投資や融資を促進
不正防止	リスクを抑制

コーポレートガバナンスと類似用語

コーポレートガバナンスには、いくつか混同されがちな類似用語が存在します。ここでは、コーポレートガバナンスの類似用語として以下の3つを取り上げ、その意味合いとコーポレートガバナンスとの相違点や関係性を解説します。

「内部統制」とは、「企業が健全かつ効率的に事業活動を行うために必要な仕組みであり、組織内の全従業員が遵守するべきルール」のことです。

「コンプライアンス（Compliance）」とは、企業活動における「法令等の遵守」を指す用語です。

「CSR」とは、企業が事業活動を行ううえで果たすべき社会的責任のことで、「Corporate Social Responsibility（企業の社会的責任）」の頭文字から取られています。

コーポレートガバナンスと類似用語
用語	説明
内部統制	社内向けの健全性確保
コンプライアンス	法令遵守
CSR	社会への責任

コーポレートガバナンス・コード

金融庁および東京証券取引所は、上場企業がコーポレートガバナンスを行う上で参照すべきガイドラインとして、「コーポレートガバナンス・コード」を公表しています。

これは、企業がステークホルダーの立場を踏まえた上で、適正に運営・発展していくための仕組みづくりの指針です。

コーポレートガバナンス・コードは、以下の5つの「基本原則」で構成されています。

・株主の権利の保護\n・ステークホルダーとの関係\n・情報開示の充実\n・取締役会の機能強化\n・持続可能な成長

まとめ

コーポレートガバナンスは、企業の透明性と公正性を確保し、持続的な成長と社会的信頼を維持するために極めて重要です。

経営の透明性や効率の向上、社会的責任の履行、株主の権利保護、国際競争力の強化、長期的な企業価値の向上など、多岐にわたるメリットがあります。

今後も、コーポレートガバナンスの重要性は増す一方であり、企業はその実践に努める必要があります。

コーポレートガバナンスは、企業の健全な経営と持続可能な成長を支える重要な枠組みです。

3. コーポレートガバナンス報告書の作成手順

コーポレートガバナンス報告書の作成

コーポレートガバナンス報告書は、企業がコーポレートガバナンス・コードに基づいて、自社のガバナンス体制をどのように構築し、運用しているかを説明する報告書です。

報告書には、以下の項目などが含まれます。

・コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方\n・経営管理組織の状況\n・株主その他の利害関係者に関する施策\n・内部統制システムに関する事項\n・その他

報告書の作成には、東京証券取引所が定めた記載要領に従う必要があります。

コーポレートガバナンス報告書の提出

上場会社は、コーポレートガバナンス報告書を、遅くとも定時株主総会の終了後に提出する必要があります。

報告書は、東京証券取引所のウェブサイトに掲載されます。

投資家は、コーポレートガバナンス報告書を通じて、企業のガバナンス体制を評価することができます。

コーポレートガバナンス報告書は、企業の透明性と説明責任を向上させるために重要な役割を果たしています。

コーポレートガバナンス報告書の更新

コーポレートガバナンス報告書は、毎年更新する必要があります。

企業は、コーポレートガバナンス・コードの改訂や自社のガバナンス体制の変化に合わせて、報告書の内容を更新する必要があります。

報告書の更新は、企業のガバナンス体制に対する説明責任を果たすために重要です。

コーポレートガバナンス報告書は、企業のガバナンス体制に対する説明責任を果たすために重要な役割を果たしています。

まとめ

上場会社は、コーポレートガバナンス報告書を提出することで、企業のガバナンス体制に対する説明責任を果たす必要があります。

コーポレートガバナンス報告書は、投資家やその他のステークホルダーが企業のガバナンス体制を評価し、投資判断を行うための重要な情報源となります。

4. 世界的なコーポレートガバナンスの動向

コーポレートガバナンスの国際的な動向

コーポレートガバナンスは、世界的に注目されている重要な経営課題です。

特に、エンロン事件やリーマン・ショックなどの企業不祥事や金融危機を背景に、コーポレートガバナンスの重要性が認識され、多くの国でガバナンスに関する規制やガイドラインが整備されてきました。

例えば、イギリスでは2010年に「コーポレートガバナンス・コード」が制定され、企業の透明性と説明責任を強化する取り組みが進められています。

また、欧州連合（EU）では、2014年に「非財務情報開示指令」が施行され、企業は環境、社会、ガバナンス（ESG）に関する情報を開示することが義務付けられました。

日本のコーポレートガバナンスの動向

日本では、2004年に「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」が東京証券取引所から公表され、コーポレートガバナンスの重要性が認識されるようになりました。

その後、2015年には「コーポレートガバナンス・コード」が金融庁から公表され、上場企業はコーポレートガバナンスに関する報告書の提出が義務付けられました。

コーポレートガバナンス・コードは、企業の透明性、公正性、効率性を高め、持続的な成長を促すための重要な指針です。

近年では、コーポレートガバナンス・コードの改訂やESG投資の台頭など、コーポレートガバナンスの重要性はますます高まっています。

コーポレートガバナンスの課題

コーポレートガバナンスは、企業の健全な経営と持続可能な成長を支える重要な枠組みですが、課題も多く存在します。

例えば、経営陣と株主の利益相反、取締役会の独立性と多様性の欠如、リスク管理と内部統制の強化、情報開示と透明性の確保、ステークホルダーの利益の調整、ESG課題への対応、グローバルな規制環境の変化、デジタル化とサイバーセキュリティの強化など、様々な課題があります。

企業は、これらの課題に対処するために、包括的かつ戦略的なアプローチが必要となります。

コーポレートガバナンスの課題は、企業の規模や業種によって異なりますが、共通して取り組むべき課題も多く存在します。

コーポレートガバナンスの課題
課題	説明
利益相反	経営陣と株主の利益対立
独立性と多様性	取締役会の構成
リスク管理	企業が直面するリスク
情報開示	正確な情報提供
ステークホルダー利益	調整の難しさ
ESG課題	環境・社会への配慮
グローバル規制	国際的な基準
デジタル化	サイバーセキュリティ

まとめ

世界的に、コーポレートガバナンスは、企業の透明性、公正性、説明責任を強化するための重要な取り組みとして認識されています。

企業は、自社の規模や業種、置かれている状況に合わせて、適切なコーポレートガバナンス体制を構築し、運用していく必要があります。

コーポレートガバナンスは、企業の持続的な成長と社会的信頼を維持するために不可欠な要素です。

今後、コーポレートガバナンスは、ESG投資の拡大やデジタル化の進展など、新たな課題に対応していくことが求められます。

5. コーポレートガバナンス報告書の効果

コーポレートガバナンス報告書の効果

コーポレートガバナンス報告書は、企業のガバナンス体制を評価し、投資判断を行うための重要な情報源となります。

コーポレートガバナンス報告書は、企業の社会的責任や環境問題への取り組みなど、より幅広い情報を提供することが求められると考えられます。

コーポレートガバナンス報告書は、企業のガバナンス体制に対する説明責任を果たすために重要な役割を果たしています。

コーポレートガバナンス報告書のメリット

コーポレートガバナンス報告書は、企業にとって様々なメリットをもたらします。

・投資家からの信頼獲得\n・資金調達の円滑化\n・企業価値の向上\n・不正や不祥事の防止\n・社会的責任の履行\n・従業員のエンゲージメント向上

コーポレートガバナンス報告書は、企業の透明性と説明責任を向上させることで、投資家やその他のステークホルダーからの信頼を獲得し、企業価値を高める効果があります。

また、不正や不祥事の防止にも役立ち、企業の社会的責任を果たすための取り組みを促進する効果も期待できます。

コーポレートガバナンス報告書のメリット
メリット	説明
信頼獲得	投資家からの信頼
資金調達	円滑な資金調達
企業価値向上	企業価値の向上
不正防止	不正や不祥事の防止
社会的責任	社会的責任の履行
従業員エンゲージメント	従業員のエンゲージメント向上

コーポレートガバナンス報告書の課題

コーポレートガバナンス報告書は、企業にとって様々なメリットをもたらしますが、課題も存在します。

・情報開示の負担\n・情報開示の質の向上\n・ステークホルダーとのコミュニケーションの強化\n・ガバナンス体制の継続的な改善

企業は、これらの課題に対処するために、情報開示の体制を整備し、ステークホルダーとのコミュニケーションを強化する必要があります。

また、ガバナンス体制を継続的に改善し、コーポレートガバナンス報告書の内容を充実させることが重要です。

コーポレートガバナンス報告書の課題
課題	説明
情報開示負担	情報開示の負担
情報開示質	情報開示の質向上
コミュニケーション強化	ステークホルダーとのコミュニケーション
ガバナンス改善	ガバナンス体制の継続的な改善