国民年金とは?経済用語について説明

国民年金制度の概要
項目 内容
対象者 日本国内に住む20歳以上60歳未満の人
加入義務 あり
保険料 月額16,610円(2021年度)
受給資格 原則10年以上保険料を納付
受給開始年齢 原則65歳
給付内容 老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金など
財源 社会保険料と国庫負担
運営 日本年金機構

1. 国民年金とは

要約

国民年金の概要

国民年金は、日本の国民年金法によって規定されている、日本の公的年金のことです。現行制度は国民皆年金制度の基礎年金部分(1階部分、Basic Pension)に相当します。財源は社会保険料と、2分の1の国庫負担(租税)からなります。国民年金は、日本国籍は要件とはされず、日本国籍を持たない人(日本に定住している在日外国人)も、所定の要件に該当すれば保険料を納めなければなりません。また外国国籍のみを対象とする給付(脱退一時金)もあります。

日本国憲法第25条第2項「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」に規定する理念に基づき、すべての国民を対象に、老齢、障害又は死亡による所得の喪失・減少により国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯により防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的としています。この目的を達成するために、国民の老齢・障害・死亡(障害・死亡については、その原因が業務上であるか業務外であるかを問わない)に関して必要な給付を行います。

国民年金事業は、政府が管掌し、厚生労働大臣がその責任者となりますが、実際の運営事務の多くは日本年金機構に委任・委託されています。また、国民年金基金に係る権限、日本年金機構が滞納処分を行う場合の認可の権限等については、厚生労働大臣の委任を受けて地方厚生局長が行使しています。さらに国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、共済組合に行わせることができます。

国民年金事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければなりません。政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びに国民年金法による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における収支の見通し(『財政の現況及び見通し』)を作成し、将来の人口や経済の前提を設定したうえで、長期的な年金財政の見通しを作成し、給付と負担の均衡が図られているか確認します。そして「財政の現況と見通し」を作成したときは遅滞なくこれを公表しなければならない。「財政均衡期間」とは、「財政の現況及び見通し」が作成される年以降おおむね100年間を指します。

国民年金の目的
目的 内容
老齢保障 老齢による所得の喪失・減少を防止
障害保障 障害による所得の喪失・減少を防止
死亡保障 死亡による所得の喪失・減少を防止
福祉的性格 20歳前傷病による障害基礎年金など、無拠出の給付も存在
国民皆年金 すべての国民を対象とする
運営主体 政府(厚生労働大臣が責任者)

国民年金の目的

国民年金は、国民の老齢・障害・死亡(障害・死亡については、その原因が業務上であるか業務外であるかを問わない)に関して必要な給付を行うことを目的としています。これは、老齢、障害又は死亡による所得の喪失・減少により国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯により防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目指しています。

国民年金は、福祉的な性格も併せ持つことから、制度としては「保険」の名はつきません。当初は無拠出の福祉年金として発足し、現在でも無拠出の給付(いわゆる「20歳前傷病による障害基礎年金」)があります。

国民年金は、すべての国民を対象としており、日本国籍は要件とはされていません。日本国籍を持たない人(日本に定住している在日外国人)も、所定の要件に該当すれば保険料を納めなければなりません。

国民年金は、厚生労働大臣が責任者となり、実際の運営事務の多くは日本年金機構に委任・委託されています。また、国民年金基金に係る権限、日本年金機構が滞納処分を行う場合の認可の権限等については、厚生労働大臣の委任を受けて地方厚生局長が行使しています。さらに国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、共済組合に行わせることができます。

国民年金の財政
項目 内容
財政均衡 長期的に均衡が保たれる必要がある
財政検証 5年ごとに財政の現況と見通しを作成
財政均衡期間 財政の現況と見通し作成年からおおむね100年間
給付額調整 財政均衡期間に均衡を保てない場合、給付額を調整
基礎年金拠出金 厚生年金の実施者たる政府が負担
事務費 原則として国庫負担

国民年金の財政

国民年金は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければなりません。政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びに国民年金法による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における収支の見通し(『財政の現況及び見通し』)を作成し、将来の人口や経済の前提を設定したうえで、長期的な年金財政の見通しを作成し、給付と負担の均衡が図られているか確認します。

政府は、「財政の現況と見通し」を作成したときは遅滞なくこれを公表しなければならない。「財政均衡期間」とは、「財政の現況及び見通し」が作成される年以降おおむね100年間を指します。

政府は、財政の現況及び見通しを作成するに当たり、国民年金事業の財政が、財政均衡期間の終了時に給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の国民年金勘定の積立金)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、年金たる給付(付加年金を除く)の額(給付額)を調整するものとし、政令で、給付額を調整する期間(調整期間)の開始年度を定めるものとし、そして、政府は、調整期間において「財政の現況及び見通し」を作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない。

「財政の現況及び見通し」が作成されるときは、厚生労働大臣は厚生年金の実施者たる政府が負担し、または実施機関たる共済組合等が納付すべき基礎年金拠出金について、その将来にわたる予想額を算定するものとする。

まとめ

国民年金は、日本の社会保障制度の重要な柱の一つであり、国民の老後の生活を支えるための制度です。国民年金は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金など、様々な給付を提供しています。

国民年金は、国民皆年金制度の基礎年金部分に相当し、すべての国民が加入する必要があります。財源は社会保険料と国庫負担からなり、国民年金事業は政府が管掌し、厚生労働大臣が責任者となります。

国民年金は、長期的な財政均衡を保つために、政府は定期的に財政の現況と見通しを作成し、必要に応じて給付額の調整を行うなど、持続可能な制度を目指しています。

国民年金は、国民の生活の安定を図るための重要な制度であり、今後も社会の変化に対応しながら、その役割を果たしていくことが期待されます。

2. 国民年金の種類

要約

国民年金の給付の種類

国民年金は、国民年金法によって規定されている、日本の公的年金のことです。現行制度は国民皆年金制度の基礎年金部分(1階部分、Basic Pension)に相当します。財源は社会保険料と、2分の1の国庫負担(租税)からなる(第85条)[3]。

「国民年金」と呼ばれるが、実際に年金を受給する場合は給付の原因によって、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金などと呼ばれる(受給・給付に関しては「国民」の文字は付かなくなる)。当初は無拠出の福祉年金として発足し、現在でも無拠出の給付(いわゆる「20歳前傷病による障害基礎年金」)があるため、福祉的な性格も併せ持つことから、制度としては「保険」の名はつかない。

現行法では日本国籍は要件とはされず、日本国籍を持たない人(日本に定住している在日外国人)も、所定の要件に該当すれば保険料を納めなければならない。また外国国籍のみを対象とする給付(脱退一時金)もある。

日本国憲法第25条第2項「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」に規定する理念に基づき、すべての国民を対象に、老齢、障害又は死亡による所得の喪失・減少により国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯により防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする(第1条)。この目的を達成するために、国民の老齢・障害・死亡(障害・死亡については、その原因が業務上であるか業務外であるかを問わない)に関して必要な給付を行う(第2条)。

国民年金の給付の種類
給付の種類 内容
老齢基礎年金 老齢による所得の喪失・減少を防止
障害基礎年金 障害による所得の喪失・減少を防止
遺族基礎年金 死亡による所得の喪失・減少を防止
寡婦年金 配偶者の死亡により生計が困難になった場合に支給
死亡一時金 被保険者が死亡した場合に支給

国民年金の運営

「国民年金事業は、政府が管掌する。」と定められ(第3条)、厚生労働大臣がその責任者となるが、実際の運営事務の多くは日本年金機構(以下、「機構」と略す)に委任・委託されている。また、国民年金基金に係る権限、日本年金機構が滞納処分を行う場合の認可の権限等については、厚生労働大臣の委任を受けて地方厚生局長が行使している。さらに国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、共済組合に行わせることができる。

なお、以下の事務については、市町村長が行うこととされる(施行令第1条の2)。

「国民年金事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。」(第4条の2)とされ、さらに 「政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びに国民年金法による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における収支の見通し(『財政の現況及び見通し』)を作成しなければならない。」(財政検証、第4条の3)と定められ、将来の人口や経済の前提を設定したうえで、長期的な年金財政の見通しを作成し、給付と負担の均衡が図られているか確認する。そして「財政の現況と見通し」を作成したときは遅滞なくこれを公表しなければならない。「財政均衡期間」とは、「財政の現況及び見通し」が作成される年以降おおむね100年間を指す。

政府は、財政の現況及び見通しを作成するに当たり、国民年金事業の財政が、財政均衡期間の終了時に給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の国民年金勘定の積立金)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、年金たる給付(付加年金を除く)の額(給付額)を調整するものとし、政令で、給付額を調整する期間(調整期間)の開始年度を定めるものとし、そして、政府は、調整期間において「財政の現況及び見通し」を作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない(第16条の2)。「財政の現況及び見通し」が作成されるときは、厚生労働大臣は厚生年金の実施者たる政府が負担し、または実施機関たる共済組合等が納付すべき基礎年金拠出金について、その将来にわたる予想額を算定するものとする。

国民年金の運営主体
主体 内容
政府 管掌
厚生労働大臣 責任者
日本年金機構 運営事務の委任・委託
地方厚生局長 国民年金基金に係る権限など
共済組合 事務の一部委託

国民年金の財政運営

国民年金は、創設当初、完全積立方式を採用していました。厚生年金については、昔の政府資料では1948年以降実質的に賦課方式に移行[9]というものがあるが、1948年に国民年金は発足していないのでこれは国民年金には該当しない。国民年金については1966年(昭和41年)、1969年(昭和44年)、1973年(昭和48年)の法改正で給付額を大幅に引き上げ、保険料は段階的に引き上げを行うとされたことから、修正積立方式による財政運営に移行したとされる。

その後、年々の年金給付に必要な費用を、その時々の被保険者納付する保険料で賄われる部分が徐々に拡大し、1985年(昭和60年)の基礎年金制度導入を含め年金制度全体が世代間扶養の性格を強めてきた。2004年(平成16年)の法改正による保険料水準固定方式の導入により、将来的に保険料は定額で固定されることとなり、賦課方式への移行が進められている。

国民年金は、被保険者が保険料を納め、納めた保険料に応じて給付を受ける社会保険方式を採用しています。給付に必要な費用(給付費)は、保険料と国庫負担(税)により賄われている(第85条)。また、厚生年金実施機関が拠出する基礎年金拠出金や、積立金の運用の収入もある。

国庫負担の割合は、

国民年金の財政運営
方式 内容
完全積立方式 創設当初
修正積立方式 1966年以降
保険料水準固定方式 2004年以降
賦課方式 現在

まとめ

国民年金は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金など、様々な給付を提供しています。

国民年金の財源は、社会保険料と国庫負担からなり、厚生年金実施機関が拠出する基礎年金拠出金や、積立金の運用の収入も含まれます。

国民年金の財政運営は、当初は完全積立方式でしたが、その後、修正積立方式、保険料水準固定方式へと移行し、現在は賦課方式が中心となっています。

国民年金は、国民の生活の安定を図るための重要な制度であり、今後も社会の変化に対応しながら、その役割を果たしていくことが期待されます。

3. 国民年金の加入方法

要約

国民年金の加入義務

国民年金は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人が加入する年金保険のことです。次のいずれかに該当する人が、被保険者(国民年金の第1号被保険者)です。

国民年金の第1号被保険者には、国民年金保険料の納付が義務付けられています。

会社員や公務員など厚生年金の被保険者は国民年金の「第2号被保険者」となり、厚生年金保険料は半分、雇用主が負担してくれます。

国民年金の保険料は月額16

国民年金の加入義務
対象者 内容
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人 加入義務あり
厚生年金被保険者 国民年金第2号被保険者となり、保険料は雇用主が負担
国民年金保険料 月額16,410円(平成31年度)

国民年金の加入手続き

国民年金の加入手続きは、原則として20歳の誕生月の前月または当月上旬に日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届書」が送付されます。必要事項を明記しお住まいの市区町村役場へ提出します。

提出後、次のような書類が送付されます。

国民年金には、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3種類の被保険者に分かれます。

第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されているため、個別に保険料を支払う必要がありません。(正確には、第2号被保険者の厚生年金保険料から支払われる仕組みです。)上記の配偶者が60歳になるまでの期間、納付された保険料に応じて、老齢基礎年金が支給されます。

国民年金の加入手続き
手続き 内容
日本年金機構からの書類 国民年金被保険者資格取得届書
提出先 市区町村役場
送付される書類 年金手帳、国民年金保険料納付書

国民年金の任意加入

国民年金は、原則として20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を納付しますが、納付を完了することで、老後に満額の老齢基礎年金を受給できます。厚生年金や共済組合などに加入している場合には、厚生年金保険料に国民年金保険料も組み込まれているため、国民年金を自ら納付する必要はありません。

国民年金の保険料を納付することが難しい場合、免除や納付猶予制度を利用することができます。この制度を利用することで、将来的に受け取る年金額が減少する可能性があるものの、経済的な負担を軽減することが可能です。利用する制度によっては、将来受け取る年金額に影響が出るため、注意しましょう。

国民年金には、収入が低くなってしまった場合や、失業してしまった場合を考慮して、保険料の免除制度や納付猶予制度を設けられています。納入猶予になった期間は、将来もらえる受給額に反映されません。一方で、免除になれば、毎月収めるべき半分の保険料を納めていることになるため、もらえる金額は減ります。

また、学生には特別に「学生納付特例制度」が設けられています。これは所得が118万円以下の学生が利用できますが、猶予と同じようにその期間は単に支払いをしなくてもよいという状態なので、追納しない限り将来の受給額が減少することになります。将来の受給額に不安がある場合は、次に紹介する追納制度を利用するとよいでしょう。

国民年金の被保険者区分
区分 内容
第1号被保険者 自営業者、フリーランス、学生、無職など
第2号被保険者 厚生年金保険の適用を受ける会社員、公務員など
第3号被保険者 第2号被保険者の配偶者で年収が130万円未満の人

まとめ

国民年金は、20歳から60歳までの日本に住むすべての人が加入する義務がある年金制度です。

国民年金の加入手続きは、20歳の誕生月の前月または当月上旬に日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届書」が送付され、必要事項を明記して市区町村役場へ提出します。

国民年金には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類があり、それぞれ加入条件や保険料の負担方法が異なります。

国民年金の保険料を納付することが難しい場合は、免除や納付猶予制度を利用することができます。また、将来の受給額を増やすために、60歳以降も任意加入することができます。

4. 国民年金の支払いと受給条件

要約

国民年金の保険料

国民年金の保険料は、年収に関係なく定額で、2021年度は月額16

国民年金の保険料は、年度ごとに変化しますが、毎年度ごとの計算方法は、2004年に定められた額が基準になっています。そのため、計算の式としては下記のようになります。

【毎年度の国民年金保険料額を求める式】2004年度の改正で決められた基準の額×保険料改定率=当該年度の保険料額

この保険料改定率を求める式は、前年度保険料改定率×各種賃金変動率(物価変動率×実質賃金変動率)によって求められます。つまり、物価や給料の変動によって決められるのです。

国民年金の保険料
項目 内容
保険料 月額16,610円(2021年度)
前納制度 将来の受給額は変わらず、拠出金が安くなる
保険料改定率 前年度保険料改定率×各種賃金変動率(物価変動率×実質賃金変動率)

国民年金の保険料免除・猶予制度

国民年金には、収入が低くなってしまった場合や、失業してしまった場合を考慮して、保険料の免除制度や納付猶予制度を設けられています。納入猶予になった期間は、将来もらえる受給額に反映されません。一方で、免除になれば、毎月収めるべき半分の保険料を納めていることになるため、もらえる金額は減ります。

また、学生には特別に「学生納付特例制度」が設けられています。これは所得が118万円以下の学生が利用できますが、猶予と同じようにその期間は単に支払いをしなくてもよいという状態なので、追納しない限り将来の受給額が減少することになります。将来の受給額に不安がある場合は、次に紹介する追納制度を利用するとよいでしょう。

一般に免除や猶予制度を利用すると、将来もらえる年金額は低くなります。これを補うのが「追納」制度です。追納とは後払いのことで、免除や猶予制度を活用したとしても、将来の受給額を満額に近づけることができるという制度です。社会保険料控除が適用されますので、所得税や住民税が安くなる効果もあります。

2019年から始まった、妊婦を対象とした特別な制度についても解説します。これは産前産後期間の免除制度で、申請すれば保険料を4ヵ月間納付しなくても、全額納付をしているとみなされる制度です。双子以上の出産の場合は6ヵ月間となります。一般に「免除」の場合は半分しか納付したことにならず、猶予の場合は納入したことにはならないので、全額免除は優遇された制度といえます。

国民年金の保険料免除・猶予制度
制度 内容
免除制度 所得が低い場合に保険料の一部または全額が免除
納付猶予制度 所得が低い場合に保険料の納付を猶予
学生納付特例制度 所得が118万円以下の学生が利用可能
産前産後期間の保険料免除 出産予定日の前月から4か月間、保険料が免除
追納制度 免除期間の保険料を後払いできる制度

国民年金の受給資格

国民年金では、基本的に20歳以上60歳未満の日本に住む農業者や自営業者、学生、無職の人(※外国人も含む)が加入対象となります。受給資格は、主に次の3つに分けられます。

厚生年金保険は、主に会社員や公務員などの被保険者が対象です。こちらも受給資格は年金の種類によって異なります。

私的年金の受給資格は、加入している年金商品によって大きく異なります。一般的には、契約時もしくは加入時に設定された年齢に達すると年金の支払いが開始されます。ただし、確定拠出年金や個人年金保険など、選択したプランによって細かな条件が設けられています。

自分がどの年金制度に加入しているのか、そして受給資格を満たしているのかを知っておくことは非常に重要です。公的年金については、日本年金機構のウェブサイトや、最寄りの年金事務所で確認することが可能です。私的年金については、加入している保険会社や金融機関に問い合わせることで確認できます。

国民年金の受給資格
受給資格 内容
老齢基礎年金 20歳から60歳までの間に保険料を10年以上納付
障害基礎年金 障害の状態が障害等級表に定める1級または2級に該当
遺族基礎年金 死亡した被保険者の遺族(18歳未満の子のある配偶者または18歳未満の子)

まとめ

国民年金の保険料は、年収に関係なく定額で、2021年度は月額16

国民年金の保険料を納付することが難しい場合は、免除制度や納付猶予制度を利用することができます。

国民年金の受給資格は、年齢、加入期間、居住歴などが主な基準となります。

国民年金の受給資格や受給額については、日本年金機構のウェブサイトや、最寄りの年金事務所で確認することができます。

5. 国民年金の制度改正

要約

年金制度改正の背景

年金制度改正法は、主に高齢化にともなう社会保障費の増大や、労働者の減少への対応を目的として成立した法律です。改正の背景や主な変更点について、以下で詳しくご紹介します。

日本は少子高齢化が進んでおり、この傾向は今後さらに顕著になっていくと見られています。それにともなって現役世代人口が減少するとともに、現役世代一人ひとりに対する社会保障費の負担は大きくなっていくと考えられます。こうした背景を踏まえて、給付と負担のバランスという社会保障制度の趣旨を適切に形成するために、従来とは違った年金制度を整備する必要が生まれてきたのです。

また、健康寿命が伸びたことや女性の社会進出が進んでいることも一因と言えます。厚生労働省は「より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれる」としたうえで、こうした変化を年金制度に反映する旨を表明しています。

総じて今回の年金制度改正法は、すべての世代の年金に対する漠然とした不安や誤解を解消し、安定した年金制度を持続させることが一つの目的となっていると考えられるでしょう。

年金制度改正の背景
背景 内容
少子高齢化 現役世代人口の減少と社会保障費の増大
健康寿命の延伸 高齢者の就業期間が長期化
女性の社会進出 女性の就業期間が長期化
年金制度の安定化 すべての世代の年金に対する不安解消

年金制度改正のポイント

ここでは年金制度改正法のポイントとなる「被用者保険の適用拡大」「在職中の年金受給の在り方の見直し」「受給開始時期の選択肢の拡大」「確定拠出年金の加入可能要件の見直し」などについて説明します。

被用者保険とは、すなわちサラリーマンが加入する厚生年金保険や健康保険のことです。このうち、厚生年金のみをとらえたときには、特に被用者年金といいます。厚生年金は基礎年金に上乗せする形で報酬比例部分を受け取れるなど、さまざまなメリットがあります。今回の改正により週の所定労働時間が30時間未満の短時間労働者など、現行法では加入条件を満たせなかった人への適用が行われます。

現行では短時間労働者を適用対象とすべき事業所の規模要件は従業員数501人以上ですが、2022年10月には101人以上の企業に、2024年10月には51人以上の企業も対象になります。なお、適用拡大の対象となるのは、次の要件をすべて満たした場合のみです。

改正前の年金制度では、配偶者の扶養に入っている方(国民年金第3号被保険者、健康保険被扶養者)が年収130万円を超えた場合には、原則的に扶養を外れていました。つまり、配偶者自ら国民年金・国民健康保険に加入し、保険料を負担する必要があったのです。

年金制度改正のポイント
改正内容 内容
被用者保険の適用拡大 短時間労働者などへの適用拡大
在職中の年金受給の見直し 在職中の年金支給停止額の引き上げ、在職定時改定の導入
受給開始時期の選択肢の拡大 受給開始年齢を75歳まで拡大
確定拠出年金の加入可能要件の見直し 加入可能年齢の引き上げ、加入手続きの簡素化

年金制度改正による変化

そして今回の改正後には、結果的に130万円よりも低い基準で従業員自ら被用者保険に加入することになります。しかし、負担する保険料は事業主と折半することができ(※)、将来の年金給付や健康保険の傷病手当金等の保障はそのぶん手厚くなります。

※厚生年金と健康保険の保険料は労使で折半して負担します。このため、双方が事前に金額を把握することが大切と言えるでしょう。これに対して国民年金と国民健康保険は全額個人が負担します。

在職中の年金受給のあり方に対しても見直しが行われています。内容としては、年金を受給しながら働きつづけことを促進するものになっています。現行の年金制度では60~64歳の場合、「総報酬月額相当額と年金月額の合計額」が28万円を超えた際に、超えた額に応じて年金の一部、もしくは全額の支給が停止されています。

改正後は、この額が47万円に引き上げられ、現行の65歳以上の方と同じ基準となりました。つまり60歳以上で在職中の方は、「総報酬月額相当額と年金月額の合計」が47万円以下の場合は、年金が全て支給され、47万円を超えた場合は、超えた額の2分の1の年金が支給停止となります。

まとめ

年金制度改正法は、高齢化社会における社会保障費の増大や労働者減少への対応を目的としています。

主な改正内容としては、厚生年金の適用拡大、在職中の年金受給のあり方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直しなどがあります。

これらの改正により、厚生年金の加入者や、シニア層の雇用継続が増えることは、長期化する高齢期の経済基盤の充実につながるといえるでしょう。

企業では、対象となる人への改正内容の周知、説明会や面談を行い、理解を得てから加入の届け出をすることが重要になります。

6. 国民年金と個人年金の違い

要約

公的年金と私的年金

日本の年金制度は、大きく分けると公的年金と私的年金があります。このうち公的年金は、国民年金と厚生年金を指します。日本における年金制度は1階部分が「国民年金」、2階部分が「厚生年金」、3階部分は企業や個人が任意で加入できる「私的年金」になっています。

国の社会保障制度である公的年金には、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」と会社員や公務員などが加入する「厚生年金」があります。国民年金は「基礎年金」と呼ばれることもあります。

厚生年金は国民年金(基礎年金)に上乗せして支給されます。厚生年金の保険料は、所得に応じて変動するため、人によって納付額は違います。保険料の半分は事業主が支払い、残りの半分は従業員が支払うことになっています。

この公的年金は、法的要件を満たしたときには、本人の意思に関わらず被保険者になる制度になっています。将来老後の年金がもらえないなら加入しないと考える人もいますが、老後の保障だけではなく、障害や家庭の大黒柱を失った遺族に対しても保障があります。

公的年金と私的年金
種類 内容
公的年金 国が運営する年金制度
私的年金 政府以外の民間組織が運営する年金制度

私的年金の種類

私的年金は、公的年金に上乗せする年金です。余裕のある老後資金を考えたときに、できれば手厚いものにしておきたいものです。企業年金と個人年金に分かれており、会社員の人は勤務先が制度に入っていれば「企業年金」、公務員の人なら「年金払い退職給付」があります。

企業年金には、主に確定給付企業年金(DB)と企業型確定拠出年金(DC)があります。

個人年金としては、自営業などの人が任意で加入する「国民年金基金」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」などが利用できます。

国民年金基金は、20歳~65歳までの自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者と国民年金の任意加入被保険者が加入できます。国民年金基金は、会社員や公務員の人は利用できません。第1号被保険者にも老後の安心となるように、国民年金の上乗せ年金の目的として作られました。納めた掛金の額や期間に応じて年金額が決まる仕組みになっています。

私的年金の分類
分類 内容
企業型年金 確定給付企業年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金
個人型年金 国民年金基金、iDeCo、個人年金保険

国民年金と個人年金の比較

国民年金は、公的年金制度であり、20歳から60歳までの日本に住むすべての人が加入する義務があります。国民年金は、老後の生活を支えるための基礎的な年金制度であり、厚生年金に加入している人でも、国民年金に加入していることになります。

一方、個人年金は、公的年金とは別に、個人が任意で加入する年金制度です。個人年金には、確定拠出年金、確定給付企業年金、国民年金基金、iDeCo、個人年金保険など、様々な種類があります。

国民年金と個人年金の主な違いは、加入の義務の有無、保険料の負担方法、将来受け取れる年金額の決定方法などです。

国民年金は、加入が義務付けられており、保険料は原則として定額です。一方、個人年金は、加入が任意であり、保険料は自分で決めることができます。また、将来受け取れる年金額は、国民年金は加入期間や保険料の納付状況によって決まりますが、個人年金は、運用成績や契約内容によって決まります。

国民年金と個人年金の比較
項目 国民年金 個人年金
加入義務 あり なし
保険料 定額 自分で決める
将来受け取れる年金額 加入期間や保険料の納付状況によって決まる 運用成績や契約内容によって決まる

まとめ

国民年金は、公的年金制度であり、老後の生活を支えるための基礎的な年金制度です。

個人年金は、公的年金とは別に、個人が任意で加入する年金制度であり、国民年金に上乗せして加入することで、より充実した老後の生活を送ることができます。

国民年金と個人年金は、それぞれ特徴やメリット・デメリットがありますので、自分の状況に合わせて、適切な年金制度を選択することが重要です。

老後の生活設計を立てる際には、公的年金と個人年金の両方を考慮し、将来にわたって安定した収入源を確保できるように計画を立てましょう。

参考文献

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