ウィーン歴史地区とは?世界遺産についての解説

ウィーン歴史地区の概要
項目 内容
登録年 2001年
危機遺産登録年 2017年
登録基準 (ii)(iv)(vi)
構成資産 リングシュトラーセと呼ばれる環状道路の内部、歴史地区
面積 約832ha
ウィーン全体の面積に対する割合 約2%

1. ウィーン歴史地区の概要

要約

ウィーン歴史地区とは?

ウィーン歴史地区は、オーストリアの首都ウィーンにある世界遺産です。2001年に世界文化遺産に登録されましたが、2017年には危機遺産リストにも登録されています。ウィーン歴史地区は、古代ローマ時代からの歴史を持ち、ハプスブルク家の王都として発展してきました。旧市街には様々な時代に建てられた様々な建築様式の建造物群が現存し、その歴史と文化を物語っています。

ウィーン歴史地区は、中心部の旧市街とその周辺までに及びます。特にバロック時代以降の優れた建造物群や19世紀の都市計画の成果などが評価され、世界遺産に登録されました。また、近世以降「音楽の都」としてヨーロッパ文化史上で重要な役割を果たしてきたことも評価されています。

ウィーンは、ローマ帝国の宿営地ウィンドボナ (Vindobona) を起源としています。中世にはドナウ川沿いの交易地として発展し、オーストリアを治めていたバーベンベルク家が1155年にクロスターノイブルクからウィーンに都を移したことで本格的な発展期を迎えます。1221年には都市特権を獲得しました。

バーベンベルク家は13世紀半ばに断絶し、ウィーンは1278年よりオーストリア公となったハプスブルク家の支配下におかれます。14世紀、建設公と称されたルドルフ4世のもとで、ウィーンは大きな発展を遂げ、シュテファン大聖堂やウィーン大学が建てられました。やがてハプスブルク家が勢力を伸ばし、神聖ローマ帝国の帝位を独占すると、ハプスブルク家のもとで帝都ウィーンでは華やかな貴族文化が栄えました。

ウィーン歴史地区が危機遺産に登録された原因

ウィーン歴史地区は、2017年に危機遺産リストに登録されました。その原因は、ウィーン市が中心部に高層ビルを建設する計画を進めているためです。この高層ビルは、ホテルやマンション、会議場、フィットネス施設などを併設する計画で、高さは66メートルを超える予定です。

ユネスコの世界遺産委員会は、この高層ビル建設がウィーン歴史地区の普遍的景観に悪影響を与えるとして、危機遺産リストに登録することを決定しました。しかし、オーストリアの連立与党は、ウィーン歴史地区には戦後に建てられた建造物の中に、今回の高層ビル計画より高いものが存在している、と主張し、世界遺産登録を維持すると話しています。

ウィーン歴史地区が世界遺産から登録解除されてしまうかどうかは、まだわかりません。しかし、現代の人間の活動は、文化や自然を破壊してしまう恐れがあります。新しい高層ビル建築計画が、ウィーン歴史地区の美しさを損なってしまうこともあるでしょう。

自然だけではなく、人類自らが作り出した文化までを破壊してしまうとは、あまりに悲しいことです。私たちは周りの環境に負担をかけず、自然や文化が長く続くような生活を心がける必要があるでしょう。

ウィーン歴史地区の構成資産

ウィーン歴史地区は、中心部のKernzone とその外側のPufferzoneの2つから成り立っています。Kernzoneは、旧市街地の1区に属するドナウ運河部分を除いた丸ごとを含み、3区、4区、7区、9区それぞれの一角が含まれます。

Pufferzoneは、Kernzoneに接する4区、5区、6区、7区、8区それぞれの一角が含まれます。世界遺産に登録されているウィーン歴史地区はかなり広いことがわかりますね。しかし、これだけ広くてもウィーン全体の面積や建物の数から見ると、ウィーン全体の2%にしかあたりません。

ウィーンの街はかなり広いことがあらためてわかりますね。

ウィーン歴史地区の構成資産
区分 面積 対象物数
Kernzone 約371ha 約1,600
Pufferzone 約461ha 約2,950

まとめ

ウィーン歴史地区は、古代ローマ時代から現代に至るまで、様々な時代の建築様式が混在する街です。ハプスブルク家の王都として栄え、音楽の都としても知られています。

しかし、近年では高層ビルの建設など、近代的な開発が進められており、世界遺産としての価値が失われる可能性も懸念されています。

ウィーン歴史地区は、歴史と文化、そして芸術が融合した街です。世界遺産に登録されているウィーン歴史地区は、中心部のKernzone とその外側のPufferzoneの2つから成り立っています。

ウィーン歴史地区は、ウィーンの街のほんの一部ですが、その歴史と文化を象徴する重要な場所です。

2. ウィーン歴史地区の観光スポット

要約

シュテファン大聖堂

シュテファン大聖堂は、ウィーンのシンボルとも言える、ゴシック様式の大聖堂です。ルドルフ4世の命で建造されたシュテファン大聖堂は、65年かけて南塔を完成させますが、これは高さが136メートルもあり、教会の塔としては世界で3番目の高さです。

あのモーツァルトとその妻、コンスタンツェが結婚式を挙げた場所としても知られています。

教会正面からは、カメラに納まり切らない程の大きさです。 特に興味深いのは正面入り口の左右対称の二つの塔、それに対して教会の後ろの一番高い南塔と向かい合う北塔はグリーンの小さなドーム型になっています。実は本来は左右対称に建てられる計画でしたが、財政難の為に断念。そして現在の姿になったのです。

2017年現在、シュテファン大聖堂は補修作業中。当時の姿を蘇らせる為に汚れを落とす作業や細かい箇所の補修が行われています。所々で見られる黒ずんだ石材は風格があります。シュテファン大聖堂の屋根は、見る角度によって違った印象を受けることでしょう。

ウィーン大学

ウィーン大学は、ヨーロッパの名門大学であり、ドイツ語圏では最古の大学です。

大講堂には、オーストリアの代表的な画家であるクリムトの壁画が見られます。

ウィーン国立歌劇場

音楽の都と言われるウィーンでは代表的な観光スポットと言える、ウィーン国立歌劇場。

現在も世界中の音楽愛好家を魅了するウィーン国立歌劇場は、世界最高レベルの歌劇場です。

日本を代表する指揮者の小沢征爾が、ウィーン国立歌劇場の音楽監督を務めていたことも知られています。

まとめ

ウィーン歴史地区には、シュテファン大聖堂、ウィーン大学、ウィーン国立歌劇場など、歴史的な建造物が数多く存在します。

これらの建造物は、ウィーンの歴史と文化を物語る貴重な遺産です。

シュテファン大聖堂は、ウィーンのシンボル的な存在であり、その壮大な姿は訪れる人々を魅了します。

ウィーン大学は、ヨーロッパを代表する名門大学であり、その歴史と伝統を感じることができます。

3. ウィーン歴史地区の歴史的建造物

要約

ホーフブルク宮殿

ホーフブルク宮殿はハプスブルク家の居城であり、640年も政治中枢であった宮殿です。

オーストリアの連邦大統領の公邸や、、欧州安全保障協力機構の常設会議場があるだけではなく、博物館や豪華な部屋の数々を巡ることができます。

ホーフブルク宮殿は、ウィーン歴史地区の中心部に位置し、その壮大な規模と歴史的な重要性から、ウィーンを代表する観光スポットの一つとなっています。

ベルヴェデーレ宮殿

ハプスブルク家に仕えたプリンツ・オイゲンが、夏の離宮として当時の有名建築家に作らせた宮殿が、ベルヴェデーレ宮殿です。

ベルヴェデーレとはイタリア語で「美しい眺望」を意味するように、ベルヴェデーレ宮殿は息を呑むような美しい外観となっています。

現在はオーストリアの絵画館で、オーストリアの美術館の中でも2番目に大きいものとされています。

また訪れたのは真冬だったので見れませんでしたが、ベルヴェデーレ宮殿の庭園は、バロック造園技術の最高峰であり、庭園の一角にあるアルプス庭園はヨーロッパ最古のものだそうです。

聖ペーター教会

シュテファン大聖堂にほど近い、ペテロに捧げたという名の教会は、小さいながらも個人的にはもっとも感動した教会です。創建当初の建築はほとんど残っていないようで、現在のドーム天井のバロック様式の建築は、ローマのサン・ピエトロ大聖堂をイメージしたようです。

外装・内装とも改定され、最終的には聖三位一体に捧げた教会となったようですが、とにかく内部・ドーム天井がとても素晴らしく、息をのむような空間がありました。

まとめ

ウィーン歴史地区には、ホーフブルク宮殿、ベルヴェデーレ宮殿、聖ペーター教会など、様々な歴史的建造物が存在します。

これらの建造物は、ウィーンの歴史と文化を物語る貴重な遺産であり、訪れる人々に感動を与えます。

ホーフブルク宮殿は、ハプスブルク家の権威と威容を感じることができる場所です。

ベルヴェデーレ宮殿は、美しい庭園と美術館で、芸術と自然を満喫できます。

4. ウィーン歴史地区の文化と芸術

要約

音楽の都ウィーン

ウィーンは、音楽の都として世界的に有名です。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなど、数多くの音楽家がウィーンで活躍しました。

ウィーン国立歌劇場は、世界最高レベルの歌劇場であり、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地でもあります。

ウィーンでは、音楽はあらゆるものに浸透しています。ハプスブルク帝国では皇帝、貴族、市民にいたるまで音楽愛好の精神がみなぎり、才能ある作曲家や演奏家はウィーンに集まってきました。

現代でもそれは脈々と受け継がれ、歴史あるダイホールでは、本格的なコンサート、オペラ、音楽祭、ミュージカル、バレエなどが楽しめます。

芸術の都ウィーン

ウィーンは、音楽だけでなく、芸術の都としても知られています。グスタフ・クリムト、エゴン・シーレなど、数多くの芸術家がウィーンで活躍しました。

ベルヴェデーレ宮殿には、クリムトの作品が数多く展示されています。

ウィーンには、美術館や博物館が数多くあり、様々な芸術作品を鑑賞することができます。

ウィーンのカフェ文化

ウィーンは、カフェ文化が盛んな街としても知られています。

カフェ・ザッハー、デーメルなど、伝統的なカフェが数多く存在します。

カフェでコーヒーを飲みながら、ゆったりと過ごすのは、ウィーンならではの魅力です。

まとめ

ウィーンは、音楽と芸術の都として、世界中の人々を魅了する街です。

ウィーン歴史地区には、音楽や芸術に関連する観光スポットが数多く存在します。

ウィーンのカフェ文化は、ウィーンの歴史と文化を象徴するものです。

5. ウィーン歴史地区の食事とショッピング

要約

ウィーンの食事

ウィーンは、美食の街としても知られています。

ウィーナーシュニッツェル、ザッハトルテなど、伝統的な料理やスイーツが数多く存在します。

ウィーンには、高級レストランからカジュアルなレストランまで、様々な飲食店があります。

ウィーンのショッピング

ウィーンは、ショッピングの街としても知られています。

ケルントナー通りなど、ショッピング街が数多く存在します。

ウィーンでは、伝統的な工芸品や、おしゃれな洋服、雑貨など、様々なものを購入することができます。

ウィーンのカフェ

ウィーンのカフェは、食事だけでなく、社交の場としても重要な役割を果たしています。

カフェでコーヒーを飲みながら、読書をしたり、友人と会話をしたり、時間を過ごすのは、ウィーンのライフスタイルの一つです。

ウィーンには、歴史的なカフェから、モダンなカフェまで、様々なカフェがあります。

まとめ

ウィーンは、食事とショッピングを楽しむことができる街です。

ウィーン歴史地区には、伝統的な料理やスイーツを提供するレストランやカフェが数多く存在します。

ウィーンは、ショッピングを楽しむことができる街でもあります。

6. ウィーン歴史地区の訪れるべき季節

要約

春は、ウィーンの街が花々で彩られる季節です。

気温も暖かく、過ごしやすいので、観光に最適です。

春には、ウィーン音楽祭などのイベントも開催されます。

夏は、ウィーンの街が活気に満ち溢れる季節です。

屋外カフェやレストランで、食事を楽しむことができます。

夏には、ウィーン映画祭などのイベントも開催されます。

秋は、ウィーンの街が紅葉に染まる美しい季節です。

気温も過ごしやすく、観光に最適です。

秋には、ウィーンオクトーバーフェストなどのイベントも開催されます。

まとめ

ウィーンは、一年を通して観光を楽しむことができる街です。

それぞれの季節で、異なる魅力を楽しむことができます。

春は、花々で彩られた街並みを、夏は、屋外カフェやレストランで、秋は、紅葉に染まった街並みを、冬は、クリスマス市場を楽しむことができます。

参考文献

オーストリアの世界遺産「ウィーン歴史地区」とは?世界遺産 …

ウィーン歴史地区 – 世界遺産データベース

ウィーン歴史地区 – Wikipedia

オーストリア ウィーン歴史地区 観光の見どころ Wien, Austria …

ウィーン歴史地区 | オーストリア | 世界遺産オンラインガイド

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