キュー王立植物園とは？世界遺産についての解説

キュー王立植物園の概要
項目	内容
場所	イギリス・ロンドン南西部キュー
面積	約120ヘクタール
設立	1759年
世界遺産登録	2003年
植物の種類	約4万種
標本数	700万点以上
温室	パームハウス、テンペレートハウスなど
庭園	日本庭園、ローズガーデンなど
研究機関	植物学、生態学、遺伝学などの研究
種子銀行	ミレニアムシードバンク
年間来場者数	約100万人

1. キュー王立植物園の歴史

キュー王立植物園の起源

キュー王立植物園は、イギリスの首都ロンドン南西部のキューにある王立植物園です。1759年に宮殿併設の庭園として始まり、今では世界で最も有名な植物園として膨大な資料を有しています。2003年にユネスコ世界遺産に登録され、新種の発見などに貢献しています。キュー・ガーデンズの歴史は、テュークスベリーのケープル卿が熱帯植物を集めた庭を作ったことに始まります。その後、この庭はジョージ2世の長男フレデリック皇太子の未亡人であるオーガスタ妃によって拡張され、ウィリアム・チェンバーズの設計による建築物が何棟か建てられました。そのうちの1つである1761年建造の中国のパゴダは今日も残っています。

ジョージ3世はウィリアム・エイトンやサー・ジョゼフ・バンクスに命じてさらに庭園の植物を豊かなものにさせました。旧キュー・パークは1802年に廃止され、1781年にジョージ3世は隣接するダッチ・ハウスを買い上げて、王室の子供達を育てる施設としました。この建物は現在キュー宮殿として残っています。

1840年に庭園は国立の植物園と改組されました。ウィリアム・ジャクソン・フッカーの指揮のもとで植物園は30ヘクタールにまで拡張され、さらに後の改修で現在の120ヘクタールの敷地が完成しました。

キュー王立植物園は、世界各地から資源植物（人間生活に必要なものを作ることができるとされた植物）を集め、品種改良などをおこなう場でもありました。改組同年より始まったローランド・ヒルの郵便を利用して、イギリス植民地内の各植物園と情報交換などを行っていました。そして、育成条件の合致する植民地に移植してプランテーションでの大量生産を図りました。

キュー王立植物園の歴史
年	出来事
1759年	オーガスタ妃が庭園を拡張
1761年	中国のパゴダ建設
1781年	ダッチハウスを王室の子供達の施設として購入
1802年	旧キュー・パーク廃止
1840年	国立の植物園として改組
1848年	パームハウス完成
1853年	標本館建設
1899年	テンペレートハウス開園
1911年	日本の「勅使門」が贈られる
1978年	ウェイクハーストにシードバンク設立
1987年	プリンセスオブウェールズの温室開園
2003年	ユネスコ世界遺産に登録
2009年	開園250周年
2016年	ザ・ハイブ移設完成
2018年	テンペレートハウスリニューアル開園

キュー王立植物園の役割

キュー王立植物園は、世界最大級の植物園ではありますが、植民地経営のための研究所という側面もあり、それがイギリスの植物学や生態学の発展に大きく貢献したという点で評価されています。

また、温室など最先端の建築物も築かれていたということもポイントです。

園内には突如、日本の古き良き民家が出現しますが、これは2001年に愛知の岡崎にあった民家をそのまま移築したもので、その名も「ミンカ・ハウス」。もちろん、園内には日本庭園もあります。

キュー王立植物園は、現在も世界中の植物を収集し、研究を行っています。また、種子銀行（ミレニアムシードバンク）では地球規模で種子の収集・保存をしています。

キュー王立植物園の主な出来事

1759年宮殿の庭園としてスタート

1848年パームハウス完成

1853年標本館を建設

1899年テンペレートハウス開園

まとめ

キュー王立植物園は、イギリス王室の庭園として始まり、その後、世界中の植物を集め、研究機関として発展してきました。

イギリスの植民地経営にも貢献し、現在では世界最大級の植物園として、世界遺産に登録されています。

キュー王立植物園は、植物学研究の拠点として、世界中の研究者から注目されています。

また、一般公開されており、多くの人が訪れる人気の観光スポットとなっています。

2. キュー王立植物園の施設

パームハウス

1848年に建設されたもっとも歴史ある熱帯雨林の温室、それがパームハウスです。温暖化で環境破壊が進む熱帯地域の、貴重な植物資源の保護にも貢献しています。

ボタ爺コンピューターもAIもない時代から、冬のロンドンで熱帯植物を守り育てるなんて、それだけでものすごい技術なんじゃよ！

パームハウスは、鉄骨造のガラス温室で、ヴィクトリア時代の建築様式をそのまま残しています。

内部には、世界中から集められた熱帯植物が展示されています。

温室
名称	特徴
パームハウス	熱帯雨林の植物を展示
テンペレートハウス	温帯・熱帯地域の植物を展示
プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサーバトリー	乾燥した砂漠地帯や湿度の高い熱帯地域の植物を展示

テンペレートハウス

1987年に開園した、乾燥した砂漠地帯や湿度の高い熱帯地域の植物を、区分けして管理している温室です。

希少な食虫植物や着生植物、サボテンや多肉植物の宝庫です。ダイアナ妃はチャールズ皇太子と離婚後も、この温室を手放さなかったそうです。

テンペレートハウスは、イギリスの最も重要な建造物の一つに指定されています。

2018年に5年がかりの改修を終えて、再開園した開放感あふれる巨大な温室です。

ツリートップウォークウェイ

地上18mの高さがあり、樹上の散策が楽しめる人気のアトラクション、ツリートップウォークウェイ。

鳥や昆虫の目線も楽しめますが、エレベーターなどは無く、遊歩道まで登るのは階段です。

周囲の樹木に馴染むよう、サビ色の外観になっています。

インスタグラムでも人気のフォトスポットです。

まとめ

キュー王立植物園には、パームハウスやテンペレートハウスなどの温室、ツリートップウォークウェイなどのアトラクションがあります。

これらの施設は、植物の研究や保護、教育に役立っています。

また、観光客にとっても魅力的なスポットとなっています。

キュー王立植物園は、植物と人々をつなぐ重要な役割を果たしています。

3. キュー王立植物園の植物コレクション

植物の種類

キュー王立植物園には、世界中から集められた約4万種の植物が栽培されています。

温室や庭園には、熱帯植物、温帯植物、高山植物など、様々な種類の植物が展示されています。

また、植物標本館には、700万点以上の植物標本が収蔵されています。

キュー王立植物園は、世界で最も重要な植物コレクションの一つを誇っています。

植物の研究

キュー王立植物園は、植物の研究機関としても有名です。

植物学、生態学、遺伝学などの研究が行われています。

また、種子銀行（ミレニアムシードバンク）では、地球規模で種子の収集・保存をしています。

キュー王立植物園は、植物の研究と保護に貢献しています。

植物の展示

キュー王立植物園では、植物が美しく展示されています。

季節の花々が咲き乱れる花壇、珍しい植物が展示されている温室、植物の進化を学ぶことができる展示などがあります。

また、植物に関するイベントやワークショップも開催されています。

キュー王立植物園は、植物を鑑賞するだけでなく、植物について学ぶことができる場所です。

まとめ

キュー王立植物園は、世界中から集められた植物を展示し、研究を行っています。

植物の多様性と美しさを体感できる場所です。

また、植物の研究を通して、植物の保護にも貢献しています。

キュー王立植物園は、植物と人々をつなぐ重要な役割を果たしています。

4. キュー王立植物園の世界遺産登録

世界遺産登録の理由

キュー王立植物園は、2003年にユネスコの世界遺産に登録されました。

世界遺産登録の理由は、以下の3点です。

18世紀以降、世界中から研究と大量生産のためにさまざまな植物が持ち込まれ、それらが庭園の景観とコレクションに反映されているという点。

キュー王立植物園は、研究所などが作られ、植物学や生態学の発展に大きく貢献したということ。

世界遺産登録基準

キュー王立植物園は、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(ii) 18世紀以降、世界中から研究と大量生産のためにさまざまな植物が持ち込まれ、それらが庭園の景観とコレクションに反映されているという点。

(iii) キュー王立植物園は、研究所などが作られ、植物学や生態学の発展に大きく貢献したということ。

(iv) 庭園はウィリアム・チェンバーズなど、有名な芸術家たちによって独特で前衛的な建築物が加えられていき、この景観は世界の植物園に影響を与えているという点。

世界遺産登録基準
基準	内容
(ii)	18世紀以降、世界中から研究と大量生産のためにさまざまな植物が持ち込まれ、それらが庭園の景観とコレクションに反映されているという点
(iii)	キュー王立植物園は、研究所などが作られ、植物学や生態学の発展に大きく貢献したということ
(iv)	庭園はウィリアム・チェンバーズなど、有名な芸術家たちによって独特で前衛的な建築物が加えられていき、この景観は世界の植物園に影響を与えているという点