持ち株会社とは?経済用語について説明

持ち株会社の概要
持ち株会社の種類	特徴
純粋持株会社	子会社の株式保有のみを目的とする。自ら事業を行わない。
事業持株会社	子会社の株式保有に加え、自らも事業を行う。
金融持株会社	金融機関の株式を保有し、統制を行う。純粋持株会社の一種。

1. 持ち株会社の概要

持ち株会社の定義

持ち株会社とは、他の会社の株式を保有し、その経営を支配することを目的とした会社のことです。投資目的ではなく、子会社の経営や事業を支配することを目的として株式を保有し、グループ全体の経営戦略や事業計画などに携わります。組織再編を行うときに設立されることが多く、大規模なグループ会社であれば必ずといっていいほど持ち株会社が設立されています。

持ち株会社は、大きく2種類に分けられます。1つ目が「純粋持株会社」で、グループ企業の指揮監督のみを目的に設立されるため、自らは生産活動や事業を行わず、子会社からの配当金が売上となります。

「事業持ち株会社」は、株式を保有して子会社を指揮する一方で、持ち株会社自体も事業活動を行います。

純粋持株会社の設立は、財閥の再編成の抑止や企業間の自由競争を確立することを理由として、独占禁止法で全面的に禁止されていました。しかし、1997年の規制緩和によって法改正が行われ、現在では原則自由となっています。

持ち株会社の種類
持ち株会社の種類	特徴
純粋持株会社	子会社の株式保有のみを目的とする。自ら事業を行わない。
事業持株会社	子会社の株式保有に加え、自らも事業を行う。
金融持株会社	金融機関の株式を保有し、統制を行う。純粋持株会社の一種。

持ち株会社の役割

持ち株会社は、子会社の株式を保有することで、その経営を支配し、グループ全体の戦略を策定し、実行を監督する役割を担います。持ち株会社は、子会社に対して経営方針や事業計画などを指示し、グループ全体の利益最大化を目指します。

また、持ち株会社は、グループ全体の資金調達やリスク管理、事業承継などの役割も担います。グループ全体の資金調達を効率的に行うために、持株会社が資金を調達し、子会社に資金を供給するケースもあります。

さらに、持株会社は、グループ全体のブランドイメージの向上や、グループ全体の競争力強化にも貢献します。グループ全体のブランドイメージを統一することで、顧客からの信頼度を高め、グループ全体の競争力を強化することができます。

持ち株会社は、グループ全体の経営を効率化し、グループ全体の利益を最大化するために重要な役割を果たしています。

持ち株会社の歴史
時期	内容
戦前	財閥などにより持株会社が運営されていた。
戦後	独占禁止法により持株会社が禁止された。
1997年	独占禁止法改正により持株会社が解禁された。

持ち株会社の例

日本でよく知られている持ち株会社には、以下のような企業があります。

・ソフトバンクグループ株式会社：通信、インターネット、金融など幅広い事業を展開するソフトバンクグループの持株会社。

・セブン＆アイ・ホールディングス：セブン-イレブン、イトーヨーカドーなど、小売事業を展開するセブン＆アイグループの持株会社。

・三菱UFJフィナンシャル・グループ：三菱UFJ銀行、三菱UFJ証券など、金融事業を展開する三菱UFJグループの持株会社。

持ち株会社の例
業界	企業名
通信・インターネット	ソフトバンクグループ株式会社
小売	セブン＆アイ・ホールディングス
金融	三菱UFJフィナンシャル・グループ

まとめ

持ち株会社は、子会社の株式を保有することで、その経営を支配し、グループ全体の経営戦略を策定し、実行を監督する役割を担う会社です。

持ち株会社は、純粋持株会社と事業持株会社の2種類に分けられ、純粋持株会社は子会社の株式保有のみを目的とし、事業持株会社は自らも事業活動を行います。

持ち株会社は、グループ全体の経営効率化、M&Aの促進、リスク分散、事業承継などのメリットをもたらしますが、一方で、グループ企業間の連携の難しさやコスト増加などのデメリットも存在します。

持ち株会社は、企業の成長戦略において重要な役割を果たす一方で、その設立には慎重な検討が必要です。

2. 持ち株会社のメリット

経営効率の向上

持ち株会社は、グループ全体の経営を効率化し、グループ全体の利益を最大化するために重要な役割を果たします。持ち株会社がグループ全体の経営戦略を統括することで、各子会社の意思決定が一元化され、迅速な意思決定が可能となります。

これにより、市場環境の変化に素早く対応することができ、ビジネスのスピードを上げることができます。また、グループ全体の資源を最適化することで、無駄を削減し、コスト効率を向上させることができます。

さらに、グループ全体のブランドイメージを統一することで、顧客からの信頼度を高め、グループ全体の競争力を強化することができます。

持ち株会社は、グループ全体の経営資源を効率的に活用することで、グループ全体の利益を最大化することができます。

経営効率向上
メリット	説明
意思決定の迅速化	グループ全体の経営戦略を統括することで、迅速な意思決定が可能になる。
資源の最適化	グループ全体の資源を効率的に活用することで、無駄を削減し、コスト効率を向上させることができる。
ブランドイメージの統一	グループ全体のブランドイメージを統一することで、顧客からの信頼度を高め、グループ全体の競争力を強化できる。

M&Aの促進

持ち株会社は、M&Aを促進する役割も担います。持ち株会社が他の企業の株式を保有することで、その企業の経営を支配することが可能となり、企業間の意思決定がスムーズに行われ、経営資源の最適化が可能となります。

これにより、企業の成長戦略を柔軟に進めることができ、新たな事業領域への進出や、事業の多角化を容易にすることができます。

また、持ち株会社は、グループ全体の資金調達を効率的に行うために、資金を調達し、子会社に資金を供給するケースもあります。

持ち株会社は、M&Aを促進することで、企業の成長を加速させることができます。

M&A促進
メリット	説明
買収の促進	持ち株会社が他の企業の株式を保有することで、その企業の経営を支配することが可能となり、企業間の意思決定がスムーズに行われ、経営資源の最適化が可能となる。
事業の多角化	企業の成長戦略を柔軟に進めることができ、新たな事業領域への進出や、事業の多角化を容易にすることができる。
資金調達の効率化	グループ全体の資金調達を効率的に行うために、資金を調達し、子会社に資金を供給するケースもある。

リスクの分散

持ち株会社は、リスクを分散する役割も担います。各子会社が独立した法人として運営されるため、1つの事業が大きな損失を被った場合でも、他の企業にその影響が波及しにくいのです。

また、持ち株会社は、グループ全体のブランドイメージの向上や、グループ全体の競争力強化にも貢献します。

さらに、持ち株会社は、グループ全体の資金調達を効率的に行うために、資金を調達し、子会社に資金を供給するケースもあります。

持ち株会社は、リスクを分散することで、企業の安定性を高めることができます。

リスクの分散
メリット	説明
事業リスクの分散	各子会社が独立した法人として運営されるため、1つの事業が大きな損失を被った場合でも、他の企業にその影響が波及しにくい。
ブランドイメージの向上	グループ全体のブランドイメージを向上させることで、顧客からの信頼度を高め、グループ全体の競争力を強化できる。
資金調達の効率化	グループ全体の資金調達を効率的に行うために、資金を調達し、子会社に資金を供給するケースもある。

まとめ

持ち株会社は、経営効率の向上、M&Aの促進、リスクの分散など、多くのメリットをもたらします。

経営効率の向上においては、グループ全体の経営資源を効率的に活用することで、グループ全体の利益を最大化することができます。

M&Aの促進においては、企業の成長戦略を柔軟に進めることができ、新たな事業領域への進出や、事業の多角化を容易にすることができます。

リスクの分散においては、各子会社が独立した法人として運営されるため、1つの事業が大きな損失を被った場合でも、他の企業にその影響が波及しにくいのです。

3. 持ち株会社の設立手順

株式移転方式

株式移転方式は、既存企業が新たな企業を設立したうえで、既存企業の株主が新設企業に株式を移転し、その会社を親会社とする方法です。

子会社となる会社は、それぞれの株主が保有するすべての株式を新設会社に移転させ、完全子会社となります。その後、本社機能を移転させれば完了です。

株式移転方式のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

各子会社は法人格を維持したまま業務を続行できるため、事業に与える影響が少なくてすみます。また、許認可が必要な事業の場合でも、移転の必要がないことも大きなメリットといえます。

株式移転方式
手順	説明
新設会社の設立	既存企業が新たな企業を設立する。
株式の移転	既存企業の株主が新設企業に株式を移転する。
本社機能の移転	既存企業の本社機能を新設企業に移転する。

会社分割方式

会社分割方式は、既存の会社の下に子会社を設立し事業と権利義務を包括的に承継させる方法です。

引き継ぐ事業は、すべての場合もあれば一部の場合もあるなどさまざまです。子会社設立と事業の切り離しが終われば、持株会社の設立は完了です。

会社分割方式のメリットとしては、権利義務を包括的に承継できるため負担が少ない点や、現金の準備が不要で資産の引き継ぎなどが簡単に行える点などがあります。

会社分割方式は、既存の会社を分割して、新たな会社を設立する方法です。

会社分割方式
手順	説明
子会社の設立	既存の会社の下に子会社を設立する。
事業の移転	既存の会社から子会社に事業を移転する。
持株会社の設立	子会社の株式を保有することで、持株会社を設立する。

抜け殻方式

抜け殻方式は、子会社に親会社内の事業を譲渡したり、事業を分割したりする方式です。譲渡や分割をした会社は、持株会社に移行します。既存事業をほかの組織に渡して独立することから「抜け殻」と呼ばれています。

抜け殻方式の流れは、以下のとおりです。

抜け殻方式は、経営の効率を高めるために行われることが多いです。親会社は自身で事業を行わず、子会社の支配を事業とする手続きを行います。

抜け殻方式のメリットとしては、現金の調達が不要であることや株式の移動がないことなどが挙げられます。

抜け殻方式
手順	説明
事業の譲渡	既存の会社から子会社に事業を譲渡する。
持株会社の設立	子会社の株式を保有することで、持株会社を設立する。
親会社の事業活動停止	親会社は事業活動を停止し、持株会社として子会社を支配する。

まとめ

持ち株会社の設立方法は、株式移転方式、会社分割方式、抜け殻方式の3つがあります。

株式移転方式は、既存の会社をそのまま維持したまま、持株会社を設立する方法です。

会社分割方式は、既存の会社を分割して、新たな会社を設立する方法です。

抜け殻方式は、既存の会社を子会社化し、親会社を持株会社にする方法です。

4. 持ち株会社の株主構成

株主構成の例

持ち株会社の株主構成は、企業によって異なりますが、一般的には、創業者一族や経営陣が株式の大部分を保有しているケースが多いです。

また、従業員持株会や投資ファンドなどが株主になっているケースもあります。

持ち株会社の株主構成は、企業の経営戦略や事業計画に影響を与えるため、重要な要素です。

例えば、創業者一族が株式の大部分を保有している場合は、創業者の意思が強く反映され、経営が安定しやすい一方で、新しい事業への投資や改革が遅れる可能性もあります。

株主構成の例
株主	例
創業者一族	創業者の意思が強く反映される。
経営陣	経営陣の意向が強く反映される。
従業員持株会	従業員のモチベーション向上に繋がる。
投資ファンド	企業の成長に期待し、投資を行う。

株主構成と経営への影響

株主構成は、企業の経営に大きな影響を与えます。株主は、株主総会で議決権を行使することで、経営陣に対して意思を表明することができます。

株主構成が変化すると、経営方針や事業戦略にも影響を与える可能性があります。

例えば、創業者の意思が強く反映されるような株主構成の場合、新しい事業への投資や改革が遅れる可能性があります。

逆に、外部の投資家が多く、経営陣に強いプレッシャーがかかるような株主構成の場合、新しい事業への投資や改革が積極的に行われる可能性があります。

株主構成と経営への影響
株主構成	影響
創業者一族中心	創業者の意思が強く反映され、経営が安定しやすい。一方で、新しい事業への投資や改革が遅れる可能性もある。
外部投資家中心	新しい事業への投資や改革が積極的に行われる可能性がある。一方で、経営陣に強いプレッシャーがかかる可能性もある。

株主構成の重要性

株主構成は、企業の経営戦略や事業計画に影響を与えるため、重要な要素です。

株主構成が変化すると、経営方針や事業戦略にも影響を与える可能性があります。

そのため、企業は、株主構成を常に意識し、適切な株主構成を維持する必要があります。

特に、上場企業の場合、株主構成は、企業の価値や成長性に大きな影響を与えるため、非常に重要です。

まとめ

持ち株会社の株主構成は、企業の経営戦略や事業計画に大きな影響を与えます。

株主構成は、企業の経営方針や事業戦略に影響を与えるため、重要な要素です。

株主構成が変化すると、経営方針や事業戦略にも影響を与える可能性があります。

そのため、企業は、株主構成を常に意識し、適切な株主構成を維持する必要があります。

5. 持ち株会社と関連会社の関係

関連会社の定義
関連会社の定義	説明
株式保有割合	株式の20％以上～50％以下を保有され、実質的に影響を及ぼされていれば関連会社となる。
影響力	資金提供や役員の派遣などを通じて、実質的に影響を及ぼされている。
子会社との違い	子会社は株式の50％以上を保有されている会社。関連会社は子会社よりも支配力が弱い。

関連会社との関係
関係	説明
資金提供	持ち株会社は、関連会社に対して、資金提供を行うことがある。
技術指導	持ち株会社は、関連会社に対して、技術指導を行うことがある。
経営アドバイス	持ち株会社は、関連会社に対して、経営アドバイスを行うことがある。
事業戦略への協力	関連会社は、持ち株会社の事業戦略に協力し、グループ全体の利益向上に貢献する。

まとめ

持ち株会社は、子会社だけでなく、関連会社とも密接な関係を築いています。

関連会社は、子会社ほど支配力は強くないものの、親会社から一定の影響を受けている会社です。

持ち株会社は、関連会社に対して、資金提供や技術指導、経営アドバイスなどを行うことがあります。

持ち株会社と関連会社は、それぞれが独立した法人でありながら、緊密な連携を図ることで、グループ全体の競争力を強化することができます。

6. 持ち株会社の経済への影響

経済への影響

持ち株会社は、経済に様々な影響を与えます。持ち株会社は、グループ全体の経営資源を効率的に活用することで、グループ全体の利益を最大化することができます。

これにより、企業の成長を促進し、雇用創出や経済活性化に貢献することができます。

また、持ち株会社は、M&Aを促進することで、企業の再編を促進し、経済構造の変革に貢献することができます。

さらに、持ち株会社は、リスクを分散することで、企業の安定性を高め、経済の安定化に貢献することができます。

経済への影響
影響	説明
経済活性化	グループ全体の経営資源を効率的に活用することで、グループ全体の利益を最大化し、企業の成長を促進し、雇用創出や経済活性化に貢献できる。
経済構造の変革	M&Aを促進することで、企業の再編を促進し、経済構造の変革に貢献できる。
経済の安定化	リスクを分散することで、企業の安定性を高め、経済の安定化に貢献できる。

市場への影響

持ち株会社は、市場にも大きな影響を与えます。持ち株会社は、グループ全体のブランドイメージを向上させることで、顧客からの信頼度を高め、グループ全体の競争力を強化することができます。

これにより、市場における企業の競争力を高め、市場の活性化に貢献することができます。

また、持ち株会社は、M&Aを促進することで、市場の競争環境を変化させる可能性があります。

さらに、持ち株会社は、リスクを分散することで、市場の安定化に貢献することができます。

市場への影響
影響	説明
市場活性化	グループ全体のブランドイメージを向上させることで、顧客からの信頼度を高め、グループ全体の競争力を強化できる。これにより、市場における企業の競争力を高め、市場の活性化に貢献できる。
競争環境の変化	M&Aを促進することで、市場の競争環境を変化させる可能性がある。
市場の安定化	リスクを分散することで、市場の安定化に貢献できる。

社会への影響

持ち株会社は、社会にも様々な影響を与えます。持ち株会社は、グループ全体の経営資源を効率的に活用することで、グループ全体の利益を最大化することができます。

これにより、企業の成長を促進し、雇用創出や経済活性化に貢献することができます。

また、持ち株会社は、社会貢献活動にも積極的に取り組むことで、社会全体の幸福度を高めることができます。

さらに、持ち株会社は、環境問題や社会問題の解決にも貢献することで、持続可能な社会の実現に貢献することができます。

社会への影響
影響	説明
社会貢献活動	グループ全体の経営資源を効率的に活用することで、グループ全体の利益を最大化し、企業の成長を促進し、雇用創出や経済活性化に貢献できる。
社会全体の幸福度向上	社会貢献活動にも積極的に取り組むことで、社会全体の幸福度を高めることができる。
持続可能な社会の実現	環境問題や社会問題の解決にも貢献することで、持続可能な社会の実現に貢献できる。