プラザ合意とは?経済用語について説明

プラザ合意の概要
項目	内容
時期	1985年9月22日
場所	ニューヨークのプラザホテル
参加国	アメリカ、日本、イギリス、西ドイツ、フランス
目的	ドル高是正によるアメリカの貿易赤字解消
結果	円高ドル安、日本のバブル経済発生
影響	日本の輸出産業への打撃、円高不況、海外直接投資の拡大

1. プラザ合意の意味とは

プラザ合意とは何か

プラザ合意とは、1985年9月22日にニューヨークのプラザホテルで行われた先進5カ国（G5）の蔵相・中央銀行総裁会議で合意された、ドル高を是正するための国際的な協調介入のことです。当時の為替レートは1ドル=240円前後の水準でしたが、これを是正するためアメリカ、日本、西ドイツ、イギリス、フランスの5カ国が協調してドル売り・自国通貨買いの為替介入を行うことを決めました。

プラザ合意は、当時のアメリカが抱えていた貿易赤字の拡大とドル高を是正するために、日本や西ドイツに自国通貨の切り上げを促し、ドル安を誘導することを目的としていました。この合意によって、ドル高は是正され、円高ドル安が進みました。

プラザ合意は、国際的な協調介入によって為替レートを調整した初めての事例として、歴史的に重要な意味を持ちます。しかし、その後の急激な円高は、日本の輸出産業に大きな打撃を与え、円高不況を引き起こすなど、日本経済に大きな影響を与えました。

プラザ合意の概要
項目	内容
時期	1985年9月22日
場所	ニューヨークのプラザホテル
参加国	アメリカ、日本、イギリス、西ドイツ、フランス
目的	ドル高是正によるアメリカの貿易赤字解消
結果	円高ドル安、日本のバブル経済発生
影響	日本の輸出産業への打撃、円高不況、海外直接投資の拡大

プラザ合意の名称の由来

プラザ合意という名称は、この合意が結ばれた場所であるニューヨークのプラザホテルに由来しています。プラザホテルは、セントラルパークの近くに位置する高級ホテルで、国際的な会議やイベントの会場として頻繁に利用されています。

プラザ合意に参加した国々

プラザ合意に参加したのは、アメリカ、日本、イギリス、西ドイツ、フランスの5カ国です。これらの国々は、当時の世界経済において大きな影響力を持つ主要国であり、国際的な協調によって為替レートを安定させる必要性を感じていました。

当時の日本は、輸出主導型の経済成長を遂げており、対米貿易黒字が拡大していました。そのため、プラザ合意によって円高が進み、日本の輸出産業は大きな打撃を受けました。

プラザ合意参加国
国名	当時の代表
アメリカ	ジェイムズ・ベイカー（財務長官）
イギリス	ナイジェル・ローソン（蔵相）
西ドイツ	ゲルハルト・シュトルテンベルク（財務相）
フランス	ピエール・ベレゴヴォワ（経済財政相）
日本	竹下登（蔵相）

まとめ

プラザ合意は、1985年にニューヨークのプラザホテルで行われた先進5カ国（G5）の蔵相・中央銀行総裁会議で合意された、ドル高を是正するための国際的な協調介入です。この合意は、当時のアメリカが抱えていた貿易赤字の拡大とドル高を是正するために、日本や西ドイツに自国通貨の切り上げを促し、ドル安を誘導することを目的としていました。

2. プラザ合意が行われた背景

アメリカの双子の赤字

1980年代初頭、アメリカではレーガン大統領の下で大規模な減税と財政支出拡大が行われました（レーガノミクス）。その結果、国債発行が増加し、連邦政府の財政赤字が急拡大します。財政赤字の拡大はアメリカへの資本流入を招き、ドル高・ドル需要を助長しました。さらに、当時のアメリカの金利は日本や西ドイツに比べて高い水準にあり、これもドル買いを促進する要因となりました。

その結果、1985年初めには1ドル=260円を超える史上最高値を記録。日本企業のアメリカ輸出が有利になる一方、アメリカ企業の採算は大きく悪化しました。

アメリカは、財政赤字と経常収支の赤字が同時に進行する「双子の赤字」に悩まされることになり、保護主義傾向に転じていきます。

アメリカの双子の赤字
項目	内容
財政赤字	レーガノミクスによる減税と財政支出拡大
貿易赤字	ドル高による輸出競争力低下、輸入増加

日米貿易摩擦の激化

1980年代、日本は自動車や電機など輸出産業の競争力が高く、対米貿易黒字を急速に拡大させました。1985年の日本の対米貿易黒字は約500億ドルに達し、アメリカ議会では日本叩きの声が強まります。

一方、ドル高により採算が悪化したアメリカ企業は、日本企業との競争に苦しみ、政府に対日貿易黒字の是正を求めるようになりました。日米間の貿易不均衡は深刻な政治問題にまで発展し、1985年に入ると日本車や日本製半導体に対する制裁関税の発動すら取りざたされるようになります。

プラザ合意には、こうした日米間の貿易摩擦を緩和する狙いもありました。

日米貿易摩擦
項目	内容
日本の輸出競争力	自動車や電機など輸出産業の競争力が高く、対米貿易黒字が拡大
アメリカの懸念	日本企業との競争に苦しむアメリカ企業からの対日貿易黒字是正要求
貿易摩擦の激化	日本車や日本製半導体に対する制裁関税の発動が取りざたされるまでに発展

国際的なドル高への懸念

1971年のニクソンショック以降、世界は変動相場制に移行し、為替レートが短期間のうちに不安定に乱高下を繰り返されるようになりました。そのため、先進国が協調して為替レートを管理していく大切さが認識され始めました。

1980年代に入ると、日本は対米輸出の急増により世界最大の貿易黒字国となりました。これまでの経営の合理化や産業構造の転換を終えて、日本は国際競争力を強め、欧米諸国に対し激しい輸出をし貿易摩擦が深刻化していきました。

当時のアメリカは、高金利政策を採用したため、ドル高を招いていた。

まとめ

プラザ合意が行われた背景には、アメリカの「双子の赤字」問題、日米貿易摩擦の激化、そして国際的なドル高への懸念がありました。

アメリカのレーガン政権は、高金利政策を採用したことでドル高を招き、貿易赤字が拡大しました。一方、日本は輸出主導型の経済成長を遂げており、対米貿易黒字が拡大していました。

こうした状況下で、アメリカはドル高を是正するために、日本や西ドイツに自国通貨の切り上げを促し、ドル安を誘導することを目的としたプラザ合意を呼びかけました。

3. プラザ合意の目的と効果

プラザ合意の目的

プラザ合意の目的は、アメリカの貿易赤字の拡大とドル高を是正することでした。当時のアメリカは、レーガノミクスによる財政赤字の拡大と高金利政策によってドル高が進行し、輸出競争力が低下していました。

プラザ合意によって、ドル高が是正され、アメリカの輸出競争力が回復することが期待されました。

プラザ合意の効果

プラザ合意は、協調介入によってドル高を是正し、アメリカの輸出競争力を回復させるという目的を達成しました。合意後、ドル円為替レートは1ドル=240円から、3年後には127円と、年率20％の割合で円高へと動きました。

しかし、プラザ合意は、日本経済に大きな影響を与えました。急激な円高は、日本の輸出産業に大きな打撃を与え、円高不況を引き起こしました。また、円高によって海外の資産を安く買えるようになったことから、日本企業の海外直接投資が活発化し、バブル経済の発生につながりました。

プラザ合意の評価

プラザ合意は、アメリカの貿易赤字の拡大とドル高を是正するという目的を達成しましたが、その副作用として、日本のバブル経済の発生や円高不況といった問題を引き起こしました。

まとめ

プラザ合意は、アメリカの貿易赤字の拡大とドル高を是正することを目的として、先進5カ国が協調してドル売り・自国通貨買いの為替介入を行うことを決めた国際的な協調介入でした。

プラザ合意は、アメリカの輸出競争力を回復させるという目的を達成しましたが、その副作用として、日本のバブル経済の発生や円高不況といった問題を引き起こしました。

4. プラザ合意の具体的内容

協調介入

プラザ合意の中心的内容は、G5諸国の中央銀行が協調して為替市場に介入し、ドル売り・自国通貨買いを行うことでドル高を是正するというものでした。具体的には、為替市場でドルを売って円やマルク（当時の西ドイツ通貨）を買うことで、ドルの供給量を増やし、ドル安・円高を誘導するのです。

協調介入が功を奏し、合意前の1ドル=240円から、わずか半年で1ドル=200円を割り込むほどの大幅な円高が進行しました。

アメリカの財政赤字削減

プラザ合意ではまた、アメリカが財政赤字の削減に努力することも確認されました。つまり、ドル高是正のためには、アメリカの国債発行に頼った財政運営を改め、財政規律を取り戻す必要があったのです。

ドル安容認

加えて、アメリカはドル安を容認する方針を打ち出しました。レーガン政権下の「強いドル」政策を転換し、ドル安を容認することで、輸出産業の競争力回復をはかったのです。

結果として、アメリカの製造業は息を吹き返し、貿易赤字は徐々に縮小に向かいました。

まとめ

プラザ合意の具体的内容は、G5諸国が協調してドル売り・自国通貨買いを行うことでドル高を是正すること、アメリカが財政赤字の削減に努力すること、そしてアメリカがドル安を容認することでした。

5. プラザ合意の影響と評価

日本経済への影響

プラザ合意後、為替市場では各国の協調介入によってドル売り・円買いが活発化し、円高ドル安が急速に進みました。合意からわずか1年で1ドル=150円を割り込むほどの大幅な円高となり、日本企業の輸出環境は一変します。

特に自動車や電機などの輸出産業は大きな打撃を受け、「円高不況」と呼ばれる景気後退に見舞われました。プラザ合意は、日本経済の転換点となった出来事と言えるでしょう。

急激な円高により、日本の輸出企業の多くは採算割れに陥りました。その一方で、円高により海外の資産を安く買えるようになったことから、日本企業の海外直接投資が活発化。日本の不動産市場や株式市場にも余剰マネーが流入し、地価や株価の異常な高騰を招きます。いわゆる「バブル経済」の発生です。

また、大幅な金融緩和により国内消費が過熱したことも、バブルの要因となりました。プラザ合意が招いた急激な円高は、日本経済にプラスとマイナス両面の影響を及ぼしたのです。

プラザ合意後の日本経済
項目	内容
輸出産業	円高による輸出競争力低下、採算悪化
海外直接投資	円高による海外資産の安価な買収機会、海外進出促進
国内経済	円高不況、バブル経済発生