哺乳類：カバについて説明

カバの生態と特徴
項目	内容
分類	哺乳綱偶蹄目（鯨偶蹄目とする説もあり）カバ科カバ属
生息地	サハラ砂漠以南のアフリカ大陸
体長	3.5～4メートル
体重	オス平均1500kg、メス平均1,300kg
特徴	皮膚は乾燥に弱く、赤い粘液を分泌する
食性	草食だが、稀に肉も食べる
行動	日中は水中で過ごし、夜に陸上で採食
繁殖	メスは8歳前後、オスは10歳前後で性成熟
寿命	約30年
保護状況	IUCNレッドリストにおいて「絶滅危惧II類（VU）」に指定

1. カバの分類と特徴

カバの分類

カバは、哺乳綱偶蹄目（鯨偶蹄目とする説もあり）カバ科カバ属に分類される偶蹄類です。カバ科には、カバとコビトカバの2種が存在します。カバは、かつてはブタの仲間と考えられていましたが、最新のDNA研究により、クジラやイルカと近縁であることが明らかになりました。これは、カバの祖先がかつて海に進出し、その後陸上に帰ってきたことを示唆しています。そのため、カバはクジラやイルカと同じ鯨偶蹄目に分類されることもあります。

カバは、サハラ砂漠以南のアフリカ大陸に生息しています。かつてはナイル川にも生息していましたが、19世紀以降は確認されていません。カバは、水辺に生息する半水生動物であり、水中で過ごす時間を多く費やします。

カバは、陸上動物の中ではゾウ、サイに次いで3番目に大きな動物です。体長は3.5～4メートル、体重はオス平均1500kg、メス平均1

カバは、短くてずんぐりとした四肢と樽のような胴体を持ち、その大きな頭は水中の生活に適応していて、眼、耳、鼻孔は上方についている。そして、5分間にもわたり潜水ができる。口の横幅は最大 50 cm、あごは150度まで開くことができる。

カバの分類
分類	内容
哺乳綱	偶蹄目（鯨偶蹄目とする説もあり）
科	カバ科
属	カバ属
種	カバ（Hippopotamus amphibius）

カバの特徴

カバの皮膚は、厚い上皮と真皮、及び極めて薄い表層（角質層）からできている。これは水中生活への独特な適応といえる。角質層が極端に薄いため、皮膚がちょうど毛細管のような働きをし、水分を外側へ通してしまう。このため、乾燥した空気中での皮膚の水分消失率は、ほかの哺乳類より数倍高い。

カバの皮膚のもう1つの特徴は、皮脂腺や体温調節作用を持つ汗腺が存在しないこと。そのかわり、ピンク色の液体を分泌する腺があって、この液体は乾くと皮膚を被う塗料となる。昔カバが血の汗をかくといわれた理由はこれである。この汗はアルカリ性で、非常にネバネバしている。赤い色素は紫外線を通さないため、日光から皮膚を保護するが、同時に細菌の感染を防ぐ働きも持っているらしい。

カバの歯は、一生伸び続ける。特に下顎の犬歯は、成長すると50cmにもなり、左右合わせた重量は雌で 1.1 kg、雄で 2.1 kgにもなる。この攻撃から身を守るのは、よく発達した鎧のような皮膚で、脇腹の部分がもっとも厚い。成体の雄がかなりの深手を負うことがあり、ときどき大きな傷跡がみられる。しかし、皮膚は目を見張るほどすみやかに傷を癒す能力を持っている。

カバは、ほとんど陸上の植物だけを食べる。カバは丈の低い数種のイネ科草本だけを、大きな口で引き抜くようにして食べる。このような食べ方は、根の浅い草だけが選択的に摘み取られるということを意味し、カバの生息密度が高いところでは、過剰な食い荒らしと土壌の浸食が起こる。また小型の有蹄類や腐肉を食べるのも観察されている。

カバの特徴
特徴	内容
皮膚	乾燥に弱く、赤い粘液を分泌する
歯	一生伸び続ける。特に下顎の犬歯は50cmにもなる
食性	主に草食だが、稀に肉も食べる

コビトカバ

コビトカバは、カバよりもはるかに小型の種類で、その不思議な見た目から「世界三大珍獣」の１つとされています。体長は150～175cm、体重は180～270kgとカバに比べると圧倒的に小さいです。体長はヤギくらいの大きさです。また、目がカバのように飛び出していないのも特徴です。水かきもカバほどは発達していません。

コビトカバは、アフリカ大陸西海岸のごく限られた場所にだけ分布しています。カバに比べるとやや陸生・森林性が強く、河川ではなく森林内の沼や池に生息しています。食性は植物食で、草・地下茎・木の葉・果実などを食べています。

コビトカバは、単独で行動しています。これは、群れで行動してしまうと他の動物に見つかってしまうリスクが高くなるからです。カバのように大型になると狙う動物も減るため、群れで行動しても安心なんですね。ただし、コビトカバもペアや子どもと一緒に行動することはあるようです。

コビトカバは夜行性ですが、昼間に水中で生活しているわけではなく、基本的には陸の上で活動します。皮膚は乾燥に弱いのですが、生息地域が湿度の高い場所なため、水浴びをあまりしなくても平気なようです。ただ、水の中で行動するのは上手なようです。

コビトカバ
特徴	内容
体長	150～175cm
体重	180～270kg
生息地	アフリカ大陸西海岸のごく限られた場所
行動	単独で行動することが多い

まとめ

カバは、その独特な特徴と生態から、古くから人々の関心を集めてきました。近年では、DNA研究が進んだことで、カバの進化や分類に関する新たな知見が得られています。カバは、水生生活に適応した形態や、他の動物とは異なる特徴を持つ、非常に興味深い動物です。

カバは、その大きさや攻撃性から、しばしば危険な動物として認識されています。しかし、カバは、主に植物を食べる草食動物であり、人間を積極的に襲うことは稀です。ただし、縄張り意識が強く、特に繁殖期には攻撃性が高まるため、注意が必要です。

コビトカバは、カバよりも小型で、森林に生息する陸生動物です。カバとは異なる生態を持つコビトカバは、その希少性から「世界三大珍獣」の一つに数えられています。

カバは、そのユニークな特徴と生態から、今後も研究が進められることが期待されます。また、カバの保護活動は、生息地の保全や密猟の防止など、様々な課題に直面しています。カバの未来を守るためには、私たち一人ひとりが、カバについて理解を深め、保護活動に積極的に参加することが重要です。

2. カバの生息地と生態

生息地

カバは、水辺の近くにある草原や湿地帯に生息し、水場から遠く離れることはあまりありません。水場から3kmほど離れることはありますが、水場と採食場の途中に泥浴びを行える場所があればさらに拡大し、水場から最大で10km離れた場所で採食を行うこともあるそうです。

生息地
地域	内容
サハラ砂漠以南	アフリカ大陸
かつての生息地	ナイル川

生態

カバは、日中は水中で過ごし、夜になると陸上に上がって採食を行います。水中で過ごす時間は、1日のほとんどを占め、水浴びや睡眠などを行います。カバは、水中で泳ぐことは苦手ですが、水底を歩くことは得意です。水中の歩行速度は時速60kmにも達すると言われています。

カバは、夜行性で、夕暮れ時に水場から出て、草を食べるために放牧地まで同じ道を通ります。水中では集団でコミュニケーションをとりますが、放牧は単独行動です。カバの道はいつも水の家から2マイル離れて広がっている。

カバは、他の放牧動物のように反芻したり食べたりはしないが、他の草食動物に比べ胃が多室であり、腸管が非常に長いため、比較的栄養価の低い食事で生育するのに適しているのだ。

生態
行動	内容
日中	水中で過ごす
夜間	陸上に上がって採食
水中の移動	泳ぐのは苦手だが、水底を歩くことは得意
歩行速度	水中で時速60km

繁殖

カバは、メスが8歳前後、オスが10歳前後で性成熟します。通常、乾季に繁殖期をむかえます。1頭の優位なオスが群れのすべてのメスと交尾する権利をもちます。

群れを率いるオスは川や湖の岸辺を占拠し、他のオスが水場に入らないように見まわりしています。ときに下位のオスや群れに属さないオスが第1位オスに挑戦し、壮絶な戦いになることもあります。

母カバは出産前から1～2週間群れをはなれ、出産と育児に専念します。妊娠期間はおよそ8か月。カバの出産は水中もしくは陸上でおこなわれます。カバは体長100cm、体重30kgほどの赤ちゃんを1頭生みます。

生後数週間たつと、子をもつ母カバたちのグループ（カバの学校）にくわわります。約18か月の授乳期間をおえると、母カバの発情がふたたびやってきます。多くの動物は母親の発情とともに親離れしますが、カバは例外。子は性成熟をむかえる8歳ごろまで母親のもとにいます。

繁殖
時期	内容
繁殖期	乾季
妊娠期間	約8か月
出産	水中で1頭の子どもを産む
授乳期間	約18か月

まとめ

カバは、水辺に生息する半水生動物であり、水中で過ごす時間を多く費やします。カバは、水中で泳ぐことは苦手ですが、水底を歩くことは得意です。水中の歩行速度は時速60kmにも達すると言われています。

3. カバの食性と摂取方法

食性

カバは、主に草食動物であり、草、木の根、木の葉などを食べています。カバは、1日に40kgほどの草を食べます。ゾウは1日で200kg近いエサを食べるとされているため、いくらゾウより体が小さいとはいえ少なすぎますよね。

カバは１日の大半を水中で動かずに生活しています。消費するエネルギーも少ないため、食事の量も少ないというわけです。以外と省エネな生き物なんですね。

カバは、草を唇でちぎった後は、奥の歯ですりつぶして食べます。カバの歯は、一生伸び続ける。特に下顎の犬歯は、成長すると50cmにもなり、左右合わせた重量は雌で 1.1 kg、雄で 2.1 kgにもなる。

食性
種類	内容
主食	草、木の根、木の葉
1日の摂取量	約40kg

肉食性

カバは基本的に草食性ですが、たまーに肉を食べることがあります。過去にはインパラやシマウマなどの草食動物を襲って食べてしまったという記録もあります。また、同じカバの死骸を食べているところも目撃されています。

実際にカバ以外の草食動物が他の動物を食べたことは結構あります。キリンやウシが鳥を食べるシーンが目撃されているんです。草食動物が肉を食べるのは、足りない栄養素を補う目的だそうです。普段は肉に興味すら示しませんからね。

カバも追い込まれると他の動物を食べてしまうことがあるんです。カバは、その大きな体格と特異な口や歯の形状から、無蹄類による大型哺乳類の捕食・排除が生物力学的な要因に制限されない極端なケースであると思われる。

カバは、その大きな体格と特異な口や歯の形状から、無蹄類による大型哺乳類の捕食・排除が生物力学的な要因に制限されない極端なケースであると思われる。

炭疽病

カバは、他の草食動物同様、植物や土壌に含まれる細菌胞子を摂取・吸入するため、二重に炭疽病にさらされることになるのである。

また、汚染された死骸を食べたりすることで、より被ばく量が増えるという有力な仮説も出てきている。

大発生時の共食いが問題を悪化させるこの共食いと肉食行動は、カバの集団における大発生を悪化させ、疾病対策と動物や人間の保護に影響を与える。人間の病気の多くは、”ブッシュミート “の汚染によって発生する。

炭疽病
原因	内容
植物や土壌に含まれる細菌胞子を摂取・吸入	汚染された死骸を食べる
影響	カバの集団における大発生を悪化させる
人間への影響	ブッシュミートの汚染によって発生する

まとめ

4. カバの行動とコミュニケーション

行動

行動
時間帯	内容
日中	水中で過ごす
夜間	陸上に上がって採食
移動	水場から放牧地まで同じ道を通る
水中の移動	泳ぐのは苦手だが、水底を歩くことは得意

コミュニケーション

カバは、様々な音声を使いコミュニケーションをとります。低い唸り声から甲高い声まで、声色は様々です。動物園では静かな印象があるかもしれませんが、カバはおしゃべりな動物です。

カバは、排便の際にしっぽを大きく振り、排泄物をまく習性があります。この「まきふん」はオスがおこなう行為で、メスにはあまり見られません。テリトリーのアピールや、道しるべの役割があると考えられています。

カバは、口を大きく開ける・糞をまき散らす・後肢で蹴りあげる・鼻から水を出す・唸り声をあげるなどして威嚇し縄張りを主張するが、オス同士で犬歯で噛みつくなど激しく争うこともあり命を落とすこともある[4][5]。

コミュニケーション
方法	内容
音声	低い唸り声から甲高い声まで、様々な音声を使いコミュニケーションをとる
まきふん	排便の際にしっぽを大きく振り、排泄物をまく習性がある
目的	テリトリーのアピールや、道しるべの役割

縄張り

カバは、縄張り意識が非常に強く、特に群れを統べ、群れのメスを手中にしている1頭のオスは、他のオスや捕食者から群れを守る必要があるので攻撃性が高いです。

オスは基本的には単独行動で縄張りをもちます。メスと子どもは、普段は１０～１５頭の群れを作って生活していますが、最大で１００頭ほどの群れになることもあります。

縄張り
特徴	内容
縄張り意識	非常に強い
攻撃性	特に繁殖期には高まる
防衛	口を大きく開ける・糞をまき散らす・後肢で蹴りあげる・鼻から水を出す・唸り声をあげるなどして威嚇

まとめ

5. カバと人間の関係

人間との衝突

カバは、その大きさや攻撃性から、しばしば危険な動物として認識されています。カバは、人間を積極的に襲うことは稀ですが、縄張り意識が強く、特に繁殖期には攻撃性が高まるため、注意が必要です。

カバは、人間との衝突によって、毎年500人以上が死亡していると言われています。カバは、水辺に生息するため、人間との接触機会が多く、特に水辺での活動には注意が必要です。

人間との衝突
原因	内容
生息地の破壊	農業、鉱業、インフラ開発など
水質汚染	産業廃棄物、農業排水、下水の排出
攻撃性	カバは攻撃的な動物として知られており、人間を襲うこともある

密猟

カバは、その牙や肉が食用や薬用として利用されるため、密猟の対象となっています。特に、象牙の密猟が問題となっている地域では、カバの牙も象牙の代用品として密猟されています。

カバの牙は、歯茎に埋まっているため、実際には見えている部分の数倍の長さがあります。象牙同様、印鑑や装飾品の材料として高値で売買されています。

密猟
目的	内容
牙	象牙の代用品として密猟される
肉	食用として密猟される
取引	組織犯罪と関連していることが多く、犯人の追跡と訴追は困難

生息地の破壊

カバの生息地は、人間の活動によって破壊されています。農業、鉱業、インフラ開発などにより、カバの生息地は減少しています。また、水質汚染もカバの生息地を脅かしています。

カバは、水辺に生息するため、水質汚染の影響を受けやすいです。産業廃棄物、農業排水、下水の排出により、カバの生息地の水源が汚染されています。汚染された水を摂取すると病気やその他の健康上の問題を引き起こす可能性があり、カバの個体群の生存を脅かす可能性があります。

生息地の破壊
原因	内容
農業	農地開発による生息地の減少
鉱業	鉱山開発による生息地の破壊
インフラ開発	道路建設やダム建設による生息地の分断
水質汚染	産業廃棄物、農業排水、下水の排出による水質悪化

まとめ

6. カバの未来と保護活動

保護活動

カバは、絶滅危惧種に指定されており、ワシントン条約附属書IIに掲載されています。そのため、カバの取引は規制されています。しかし、密猟や生息地の破壊などにより、カバの個体数は減少を続けています。

カバの保護活動は、生息地の保全、密猟の防止、水質汚染の対策など、様々な課題に直面しています。カバの未来を守るためには、私たち一人ひとりが、カバについて理解を深め、保護活動に積極的に参加することが重要です。

保護活動
内容	内容
生息地の保全	開発による生息地の破壊を防ぐ
密猟の防止	違法な狩猟を阻止する
水質汚染の対策	水質汚染の原因となる物質の排出を抑制する
意識啓発	カバの保護の重要性を広く伝える

カバの未来

カバの未来は、私たち人間の行動にかかっています。カバの生息地を保護し、密猟を防止することで、カバの個体数を回復させることができます。

カバの未来
課題	内容
生息地の減少	開発による生息地の破壊
密猟	牙や肉を目的とした密猟
水質汚染	産業廃棄物や農業排水による水質悪化
気候変動	生息環境の変化
人間との衝突	人間とカバの接触による事故