景気ウオッチャー指数とは?経済用語について説明

1. 指標の概要とは
2. 背景と重要性
3. 計算方法と指標の特徴
4. 過去の事例とその影響
5. 最新の景気ウオッチャー指数
6. 他の経済指標との比較

1. 指標の概要とは

景気ウォッチャー調査とは

景気ウォッチャー調査は、内閣府が毎月実施している調査で、街角の身近な景況感を示す景気指数（DI）を算出します。この調査は、企業の経営者やスーパーの店員など、景気動向を敏感に把握できると考えられる調査回答者（景気ウォッチャー）が、現在の景気の状況や数か月先の見込みを5段階評価で回答するものです。回答者の地域分布は北海道から沖縄まで日本全国をカバーしており、回答者の約7割が家計動向関連の業種に属しています。そのため、消費者との距離が比較的近い業種に従事する回答者が多いのが特徴です。さらに、毎月下旬に調査が行われ、翌月の上旬頃には結果が公表されるため、速報性が高いというメリットもあります。

回答値を集計した景況感（景気の現状判断、先行き判断）のDIは、景気変動を捉えるマクロ経済指標と相応の連動性を示すため、リアルタイムの景気判断に有用な指標とされています。DIは、地域別および全国ベースで算出されるほか、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連に分けて算出されます。

この調査では、回答値がDIとして集計されることに加え、各景気ウォッチャーが回答する際に着目したポイントが「景気判断理由集（コメント集）」として公表されている点も大きな特徴の一つです。このコメント集は、ほぼ全てが経済・物価情勢に関連したコメントであるため、テキスト分析の対象としては、経済関連以外のテキストも多く含まれている新聞記事やSNSのテキストデータよりもノイズが少ないと言えるでしょう。

また、回答者間の表記ゆれ（言い回しの違い）が補正された形で公表されており、通常のテキスト分析に必要な補正作業を省くことができる点も、テキスト分析に適しています。コメント集は、毎月、約10万の単語におよび、テキストベースの「ビッグデータ」と言えるでしょう。

景気ウォッチャー調査の対象
業種	例
家計動向関連	百貨店、スーパー、コンビニエンス・ストア、レストランのスタッフ、タクシー運転手
企業動向関連	製造業・非製造業の経営者、スタッフ
雇用動向関連	人材派遣会社のスタッフ

景気ウォッチャー調査の目的

景気ウォッチャー調査は、地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握し、景気動向判断の基礎資料とすることを目的に毎月行われています。内閣府は、民間調査機関に委託してこの調査を実施しており、調査結果を基に、経済政策の策定や国民への情報提供を行っています。

景気ウォッチャー調査は、経済活動の変化が敏感に反映される業種・職種の中から約2

調査は、北海道、東北、北関東、南関東、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄の12地域に分けて実施されます。景気の現状や先行きに対する判断を、水準と方向性の両面から聞き取り、その理由について回答を求めています。

調査結果を基に、良い（良くなっている）から順に「＋1、＋0.75、＋0.5、＋0.25、0」と得点化し、回答の構成比（％）を乗じてDI（ディフュージョン・インデックスdiffusion index）を算出します。景況感のよしあしの境は「50」となり、全員が良い（良くなっている）と答えればDIは100、全員が悪い（悪くなっている）と答えればDIは0となります。

景気ウォッチャー調査の地域区分
地域	地域区分
北海道	北海道
東北	東北
北関東	北関東
南関東	南関東
甲信越	甲信越
東海	東海
北陸	北陸
近畿	近畿
中国	中国
四国	四国
九州	九州
沖縄	沖縄

景気ウォッチャー調査の特徴

景気ウォッチャー調査は、毎月末の調査結果が翌月の10日前後に公表されるというように速報性が高い点が大きな特徴です。なかでも家計動向関連のDIは、消費動向調査の指数と並んで、消費者マインド（心理）をとらえるデータとして注目されています。

また、個々のウォッチャーの判断理由も公表されるため、判断の背景にあるものを知ることができる点も大きな特徴です。

一方で、毎月のぶれは小さくなく、基調的な動きをとらえるのがむずかしいという側面もある点は留意が必要です。

景気ウォッチャー調査は、2000年（平成12）1月から当時の経済企画庁（現、内閣府）が始めました。2000年1月は北海道、東北、東海、近畿、九州の5地域から始まり、同年2月には関東も加わりました。2016年4月から関東の内訳として東京の別掲を始め、2017年10月から現行の地域区分になっています。

景気ウォッチャー調査の判断基準
項目	判断基準
水準	良い、やや良い、どちらとも言えない、やや悪い、悪い
方向性	良くなっている、やや良くなっている、変わらない、やや悪くなっている、悪くなっている

まとめ

景気ウォッチャー調査は、街角の身近な景況感を示す景気指数（DI）を算出する調査です。全国2

調査は毎月実施され、翌月の上旬頃には結果が公表されるため、速報性が高い点が特徴です。DIは、地域別および全国ベースで算出されるほか、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連に分けて算出されます。

さらに、各景気ウォッチャーが回答する際に着目したポイントが「景気判断理由集（コメント集）」として公表されます。このコメント集は、テキスト分析の対象として有用な情報源となります。

景気ウォッチャー調査は、経済政策の策定や国民への情報提供に役立つ重要な調査です。

2. 背景と重要性

景気ウォッチャー調査の必要性

景気ウォッチャー調査は、経済政策の策定や国民への情報提供に役立つ重要な調査です。経済政策の策定においては、最新の経済状況を把握することが不可欠であり、景気ウォッチャー調査は、リアルタイムの景気動向を把握するための重要な情報源となります。

また、国民への情報提供においても、景気ウォッチャー調査は重要な役割を果たします。景気ウォッチャー調査の結果は、新聞やテレビなどのメディアを通じて広く報道され、国民の経済に対する理解を深めることに役立ちます。

さらに、景気ウォッチャー調査は、企業の経営判断にも役立ちます。企業は、景気ウォッチャー調査の結果を参考に、今後の事業計画や投資戦略を策定することができます。

このように、景気ウォッチャー調査は、経済政策の策定、国民への情報提供、企業の経営判断など、様々な場面で活用されています。

景気ウォッチャー調査の重要性

景気ウォッチャー調査は、経済状況を把握する上で重要な役割を果たしています。特に、消費者マインドや企業の業況判断を把握する上で、他の経済指標と比べて、よりリアルタイムな情報を提供することができます。

景気ウォッチャー調査は、消費者マインドを把握する上で重要な指標の一つです。消費者マインドは、消費支出に大きな影響を与えるため、経済全体の動向を把握する上で欠かせません。

また、景気ウォッチャー調査は、企業の業況判断を把握する上でも重要な指標です。企業の業況判断は、投資や雇用などの経済活動に大きな影響を与えるため、経済全体の動向を把握する上で欠かせません。

このように、景気ウォッチャー調査は、消費者マインドや企業の業況判断を把握する上で重要な役割を果たしており、経済全体の動向を把握する上で欠かせない指標の一つです。

景気ウォッチャー調査の課題

景気ウォッチャー調査は、経済状況を把握する上で重要な役割を果たしていますが、いくつかの課題も存在します。

一つ目の課題は、サンプル数の問題です。景気ウォッチャー調査は、全国2

二つ目の課題は、調査方法の問題です。景気ウォッチャー調査は、アンケート調査によって実施されています。アンケート調査は、回答者の主観的な意見に左右される可能性があり、客観的な経済状況を正確に反映していない可能性があります。

三つ目の課題は、データの解釈の問題です。景気ウォッチャー調査の結果は、様々な要因によって影響を受けるため、その結果を解釈する際には注意が必要です。

まとめ

景気ウォッチャー調査は、経済状況を把握する上で重要な役割を果たしていますが、サンプル数の問題、調査方法の問題、データの解釈の問題など、いくつかの課題も存在します。

これらの課題を克服するためには、調査方法の改善やデータ分析手法の開発など、様々な取り組みが必要となります。

しかし、景気ウォッチャー調査は、他の経済指標と比べて、よりリアルタイムな情報を提供できるという大きなメリットがあります。

今後も、景気ウォッチャー調査は、経済状況を把握する上で重要な役割を果たしていくことが期待されます。

3. 計算方法と指標の特徴

景気ウォッチャー調査の計算方法

景気ウォッチャー調査では、景気の現状や先行きに対する判断を、水準と方向性の両面から聞き取り、その結果をDI（ディフュージョン・インデックス）として算出します。

水準については、「良い、やや良い、どちらとも言えない、やや悪い、悪い」のなかから、方向性については、「良くなっている、やや良くなっている、変わらない、やや悪くなっている、悪くなっている」のなかから各人の判断で選んでもらい、その理由について回答を求めています。

そのうえで、良い（良くなっている）から順に「＋1、＋0.75、＋0.5、＋0.25、0」と得点化し、回答の構成比（％）を乗じてDIを算出します。

景況感のよしあしの境は「50」となり、全員が良い（良くなっている）と答えればDIは100、全員が悪い（悪くなっている）と答えればDIは0となります。

景気ウォッチャー調査の得点化
判断	得点
良い（良くなっている）	+1
やや良い（やや良くなっている）	+0.75
どちらとも言えない（変わらない）	+0.5
やや悪い（やや悪くなっている）	+0.25
悪い（悪くなっている）	0

景気ウォッチャー調査の指標の特徴

景気ウォッチャー調査は、他の経済指標と比べて、よりリアルタイムな情報を提供できるという大きなメリットがあります。毎月下旬に調査が行われ、翌月の上旬頃には結果が公表されるため、最新の経済状況を把握することができます。

また、景気ウォッチャー調査は、消費者マインドを把握する上で重要な指標の一つです。消費者マインドは、消費支出に大きな影響を与えるため、経済全体の動向を把握する上で欠かせません。

さらに、景気ウォッチャー調査は、個々のウォッチャーの判断理由も公表するため、判断の背景にあるものを知ることができる点も大きな特徴です。

ただし、毎月のぶれは小さくなく、基調的な動きをとらえるのがむずかしいという側面もある点は留意が必要です。

景気ウォッチャー調査の活用方法

景気ウォッチャー調査は、経済政策の策定、国民への情報提供、企業の経営判断など、様々な場面で活用されています。

経済政策の策定においては、最新の経済状況を把握することが不可欠であり、景気ウォッチャー調査は、リアルタイムの景気動向を把握するための重要な情報源となります。

まとめ

景気ウォッチャー調査は、景気の現状や先行きに対する判断を、水準と方向性の両面から聞き取り、その結果をDI（ディフュージョン・インデックス）として算出します。

景気ウォッチャー調査は、他の経済指標と比べて、よりリアルタイムな情報を提供できるという大きなメリットがあります。

また、個々のウォッチャーの判断理由も公表されるため、判断の背景にあるものを知ることができる点も大きな特徴です。

景気ウォッチャー調査は、経済政策の策定、国民への情報提供、企業の経営判断など、様々な場面で活用されています。

4. 過去の事例とその影響

新型コロナウイルス感染症拡大の影響

2020年春先には、新型コロナウイルス感染症の拡大により、景気ウォッチャー調査の景況感DIは急低下しました。その後、政府・日本銀行による資金繰り支援策の拡充や景気の底打ちを受けて、感染症拡大の早い段階で、資金繰り不安の高まりに一定の歯止めがかかったことを示唆しています。

2021年入り後は、ワクチン普及への期待が次第に強まり、実際に接種が進捗するもとで、経済の現状への影響も徐々に表れてきたことを示唆しています。

2021年半ば時点では、景気ウォッチャーは、（1）新型コロナウイルス感染症に関連した緊急事態宣言や営業制限、（2）ワクチン接種の進捗状況、（3）自動車生産における半導体不足、などに着目して景気の現状を判断していました。

このように、テキストという「ビッグデータ」は、経済・物価情勢を分析していくうえで有用であり、今後、分析手法を磨いていくことが重要であると考えられます。

過去の景気ウォッチャー調査の事例

景気ウォッチャー調査は、2000年（平成12）1月から当時の経済企画庁（現、内閣府）が始めました。2000年1月は北海道、東北、東海、近畿、九州の5地域から始まり、同年2月には関東も加わりました。

2016年4月から関東の内訳として東京の別掲を始め、2017年10月から現行の地域区分になっています。

景気ウォッチャー調査は、毎月のぶれは小さくなく、基調的な動きをとらえるのがむずかしいという側面もある点は留意が必要です。

しかし、景気ウォッチャー調査は、他の経済指標と比べて、よりリアルタイムな情報を提供できるという大きなメリットがあります。

景気ウォッチャー調査の今後の展望

近年、経済・物価情勢の分析において、取引データ等の高粒度・高頻度データ、スマートフォン等から捉えた位置情報データ、更には、定型的な数字以外の情報データなど、新たなデータの活用が進んでいます。

これらのデータは、従来の統計等とは性質が異なるという意味で「オルタナティブデータ」、あるいは情報量が膨大であるという意味で「ビッグデータ」と呼ばれています。

ビッグデータの多くは、必ずしも経済分析を目的に元データが収集されたわけではなく、内容の解釈が難しい場合もある一方で、経済・物価情勢をより早いタイミングで把握したり、従来の統計とは異なる角度から捉えたりするために必要な情報を含んでいる可能性があります。

こうしたビッグデータ分析の一つとして、近年、注目されているのが、従来の数値データではなく、我々が使う言葉をデータとして用いるテキスト分析です。テキスト分析の考え方自体は長い歴史がある一方で、近年、情報技術の発展によりテキストデータの収集や分析が容易になったことなどから、研究が急速に進展しています。

まとめ

これらの課題を克服するためには、調査方法の改善やデータ分析手法の開発など、様々な取り組みが必要となります。

しかし、景気ウォッチャー調査は、他の経済指標と比べて、よりリアルタイムな情報を提供できるという大きなメリットがあります。

今後も、景気ウォッチャー調査は、経済状況を把握する上で重要な役割を果たしていくことが期待されます。

5. 最新の景気ウオッチャー指数

2023年の景況感の推移

2023年の「現状判断DI」（3か月前と比較しての景気の現状に対する判断DI）及び「先行き判断DI」（2～3か月先の景気の先行きに対する判断DI）は、1月調査では50を下回っていたものの、2月調査以降は上昇傾向が続き、4、5月調査では現状・先行きともに55程度まで達しました。

その後は改善テンポに落ち着きがみられるものの、引き続き50を上回る水準を維持しています。

こうした年前半の景況感の改善について、現状判断DIからその要因をみてみると、「マスク」と「5類」という特徴的なキーワードが浮かび上がってきます。

3月からマスク着用が任意となったことを受け、3月調査結果ではコメント数が前月の6倍程度（2月：13件→3月：83件）に増加し、全体のDIを押上げる要因となっていたことが分かります。

2023年の現状判断DI・先行き判断DIの推移
月	現状判断DI	先行き判断DI
1月	46	48
2月	48	50
3月	50	52
4月	52	54
5月	54	56
6月	56	58
7月	58	58
8月	53.6	51.4

人流の回復が持続的に景況感を押上げ

コロナ禍からの経済社会活動の正常化局面で、一時的に「マスク」や「5類」といったキーワードで表現される動きが景況感の押上げに作用する中、国内旅行・インバウンド増加とイベントの復活が人流を回復させ、景況感を持続的に押し上げてきました。

例えば、「観光」または「旅行」のコメントDIは、春休みとGW（3～5月）、夏休み（8月）という時期もあり、65程度の高いDIを維持してきました。

また、「インバウンド」のコメントDIは、4月に水際対策が終了し、航空国際定期便や国際クルーズ船が再開したことなどから常に70前後と高めで推移していました。

加えて、各地域で4年ぶりにイベントや祭りが通常開催されることが増え、「イベント」または「祭」のコメントDIも常に65前後を維持して推移しました。

物価上昇への警戒感は一進一退

物価上昇の景況感への影響をみるため、「価」または「値上」というキーワードを含むコメント数とコメントDIの動きを確認すると、今年に入り「販売単価上昇率＞販売点数減少率」により売上の増加・確保ができているといった内容のコメントや、「物価高が少しずつ当たり前の状態になりつつある」といったコメントもみられ、コメントDIは年初から4月頃にかけ上昇しコメント数が減少傾向で推移してきました。

しかしながら、6月の電気料金の引上げ認可や8月のガソリン価格の上昇等により、コメントDIが低下する動きも生じており、その時々の出来事に応じて一進一退の動きもみせています。

物価上昇への警戒感は、特に先行き判断DIで強まっており、今後もその動向に注意が必要と考えられます。

このように、今年に入ってからの景況感は、経済社会活動の正常化で景況感が大きく改善した後、一旦改善テンポに落ち着きがみられています。今夏は「①人流回復を背景に景況感を押し上げる力」と「②物価上昇への警戒感により景況感を押下げる力」のバランスによって動きが形成されていました。

まとめ

2023年の景況感は、経済社会活動の正常化によって大きく改善した後、一旦改善テンポに落ち着きがみられています。

今夏は、「人流回復を背景に景況感を押し上げる力」と「物価上昇への警戒感により景況感を押下げる力」のバランスによって動きが形成されていました。

物価上昇への警戒感は、特に先行き判断DIで強まっており、今後もその動向に注意が必要と考えられます。

今後、景気が回復を続けていくためには、物価上昇を上回る賃金所得の増加といった実質的な所得環境の改善がカギとなります。

6. 他の経済指標との比較

消費者態度指数との比較

消費者心理を示す消費者態度指数は、足元で悪化傾向にある一方で、景気ウォッチャー調査は上昇しています。

両者で大きく異なるのは、「調査対象」と「質問の内容」です。消費者態度指数は、需要側である消費者への調査である一方、景気ウォッチャー調査は、各種サービスを提供する企業の側への調査となっています。

質問の内容についても、消費動向調査が「あなたの世帯の暮らし向きは、今後半年間に今よりも良くなると思いますか、悪くなると思いますか。」などといったものであるのに対して、景気ウォッチャー調査では「今月のあなたの身の回りの景気は、3か月前と比べて良くなっていると思いますか、悪くなっていると思いますか。」や「今月のあなたの身の回りの景気は、良いと思いますか、悪いと思いますか」などとなっています。

消費動向調査が、家計が実感する暮らし向きなどに対する回答で、いわゆる消費者心理を把握するための設問に近いものとなっている一方、景気ウォッチャー調査は、企業が感じる心理というよりも、より現実の売上動向や受注動向を反映しやすい設問となっています。