業務内容 | 説明 |
---|---|
現預金の管理 | 会社のお金を管理する。銀行口座の残高確認や現金出納帳の作成などを行う。 |
経費精算 | 社員が立て替えた経費を精算する。領収書をチェックし、経費精算システムに入力する。 |
伝票や帳簿への記帳 | 取引内容を伝票に記録し、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿に記入する。 |
月次決算書の作成 | 1ヶ月の収支をまとめた月次決算書を作成する。会社の経営状況を把握するために、売上や利益率、キャッシュ・フローなどを分析する。 |
年次決算書の作成 | 1年間の会計記録を締め、取引内容をまとめる。決算書をもとに「法人税申告書」と「消費税申告書」を作成し、税務署への提出が必要。 |
税務申告 | 決算書をもとに税務申告書を作成し、税務署に提出する。 |
資産管理 | 会社の資産を管理する。棚卸や減価償却費の計算などを行う。 |
その他 | 給与計算、社会保険料の納付、株主総会資料の作成など、様々な業務を行う。 |
1. 経理の基本業務とは
経理の仕事内容
経理の仕事は、企業の資金や取引の流れを管理する重要な役割を担っています。具体的には、伝票作成・管理、現金出納、売掛金・買掛金管理など、日々の資金の流れを管理するだけでなく、会社の資産管理や決算書類の作成なども担当します。経理は、会社の財産や資金の流れを管理する重要な部門であり、経営資源を有効活用しながら会社が成長していくためのサポートを行っています。
経理は、会社における日々の資金の動きを管理することが役割です。具体的な業務として、以下のような内容が挙げられます。\n\n* 現預金の管理\n* 経費精算\n* 伝票や帳簿への記帳\n* 月次決算書の作成\n* 年次決算書の作成\n* 税務申告\n* 資産管理
経理は会計業務の一部で「日常的な入出金管理や伝票の起票、帳票作成など、そして決算書の作成や税金の申告」をおこないます。会計は毎日の売上や仕入れを記録し管理するなど、「会社の資金管理」を担当しています。財務は、会計や経理によって作成された決算書などをもとに、「資金の調達」を担当します。銀行との融資交渉や社債発行などを行います。会計、経理が過去のお金の出入りを扱っているのに対し、財務は未来の資金運用を扱う仕事です。
経理・会計・財務について先述しましたが、これは会社の規模や組織体制によって異なります。たとえば、ベンチャー企業を含む中小企業の場合は財務部門がなく社長や経理が担当していたり、経理・会計・財務すべてが経理の仕事となっていたりすることもあります。また、会社の経営状態をダイレクトに把握できる部門であるため、小規模な会社では社長の親族が行っているケースもあります。これに対し、大手企業ではお金の流れを明確にするため経理・会計・財務をそれぞれ独立させ、取引銀行からの出向者を配置して管理するなどの対応をしています。
業務内容 | 説明 |
---|---|
現預金の管理 | 会社のお金を管理する。銀行口座の残高確認や現金出納帳の作成などを行う。 |
経費精算 | 社員が立て替えた経費を精算する。領収書をチェックし、経費精算システムに入力する。 |
伝票や帳簿への記帳 | 取引内容を伝票に記録し、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿に記入する。 |
月次決算書の作成 | 1ヶ月の収支をまとめた月次決算書を作成する。会社の経営状況を把握するために、売上や利益率、キャッシュ・フローなどを分析する。 |
年次決算書の作成 | 1年間の会計記録を締め、取引内容をまとめる。決算書をもとに「法人税申告書」と「消費税申告書」を作成し、税務署への提出が必要。 |
税務申告 | 決算書をもとに税務申告書を作成し、税務署に提出する。 |
資産管理 | 会社の資産を管理する。棚卸や減価償却費の計算などを行う。 |
その他 | 給与計算、社会保険料の納付、株主総会資料の作成など、様々な業務を行う。 |
経理の仕事サイクル
経理の仕事は、日々のルーティンワークにあたる「日次業務」の他、「月次業務」「年次業務」など、月間・年間単位でもサイクルが決まっています。ここでは経理の仕事の基本サイクルについて解説していきましょう。ただし、業務サイクルは会社の決算時期に応じて決まります。「すべての会社が下記の流れのとおり、この月には必ずこの仕事をする」ということではありませんので注意してください。
経理の仕事のサイクルを年間単位で見てみましょう。\n\n* 税務申告\n* 株主総会\n* 有価証券報告書作成\n* 賞与計算・振込\n* 社会保険の算定基礎届提出\n* 労働保険の更新\n* 四半期決算関係業務\n* 年末調整\n* 給与支払報告書・法定調書の提出\n* 償却資産税申告書提出\n* 四半期決算関係業務\n* 実地棚卸\n* 残高確認
月間での経理の仕事サイクルをみていきます。\n\n* 取引先からの入金確認\n* 月次決算書作成\n* 予算実績管理\n* 住民税・源泉所得税の納付(毎月10日まで)\n* 給与計算\n* 取引先への支払い・請求書発行\n* 社会保険料納付
経理の月次業務は大きく前半と後半に分けられます。ただし、給与は毎月25日支払いのところもあれば10日支払いのところもあります。請求書は月末締めで翌月末払いや翌々月払いなど、会社ごとに日付が決められています。上記表は一般的なものととらえ、実際にはその会社のスケジュールに合わせて月次業務の流れも変わると考えてください。
サイクル | 業務内容 |
---|---|
日次 | 現預金の管理、伝票起票・計上、仕訳、経費精算など |
月次 | 取引先への請求、給与計算と支払い、社会保険料の納付、1ヶ月分の入力データチェック、前月との比較など |
年次 | 1年間の集大成となる年次決算書(財務諸表)の作成のほか、税務申告、株主総会で発表する報告書作成などの業務 |
経理の仕事内容の例
経理の仕事は、日々の取引を会計データとして集計することにあります。取引を記録する書類は「伝票」と「帳簿」です。会社で行われるさまざまな取引は、各部署の担当者や経理担当者によって、売上伝票などの「伝票」に記録されます。経理担当者はそれらを集めて「帳簿」にまとめます。主な帳簿としては、取引を日付順に記録した「仕訳帳」と、勘定科目別に記録した「総勘定元帳」があります。
帳簿への記録は、「仕訳」という簿記のルールに従って行います。手書きで帳簿を作成する際は、取引を仕訳帳や伝票に記録し、仕訳帳から総勘定元帳に転記します。さらに仕訳帳をもとに、小口現金出納帳や預金出納帳などの補助簿を作ることもあります。最近では、仕訳入力は会計ソフトで行うことが一般的です。会計ソフトの場合、仕訳帳に入力しただけで、自動的に総勘定元帳などほかの帳簿に転記されるので、転記ミスが起こる心配はありません。なお、これらの伝票や帳簿は決められた保管期間にのっとって保管しておく必要があります。
取引の記録となる伝票の作成は、システム化が進んだ昨今でも手書きで作成されることが多いといえます。伝票の作成には、決められた記入方法や訂正方法があるので、経理業務の常識として知っておきましょう。伝票を手書きで作成する際は、ボールペンを使います。これは、あとから誰かが金額などを不正に書き換えるのを防止するためです。同じ理由で、「消せるボールペン」や鉛筆は使ってはいけません。訂正する必要があるときは、修正液は使わず、必ず二重線で消した上に訂正印を押し、正しい数字や文字を記入してください。
また書き損じた伝票は、破棄せず、わかりやすく×印を書いてそのまま保存しておきます。伝票には必ず伝票番号が連番で割り振ってあるので、破棄してしまうと、会計監査を受ける際に粉飾決算を疑われてしまうからです。
伝票の種類 | 説明 |
---|---|
売上伝票 | 商品やサービスの販売時に発行する伝票 |
仕入伝票 | 商品やサービスを購入した際に発行する伝票 |
経費精算書 | 社員が立て替えた経費を精算する際に提出する書類 |
請求書 | 取引先に対して商品やサービスの代金を請求する際に発行する書類 |
支払請求書 | 取引先に対して商品やサービスの代金を支払う際に発行する書類 |
まとめ
経理の仕事は、企業の資金や取引の流れを管理する重要な役割を担っています。日々の資金の流れを管理するだけでなく、会社の資産管理や決算書類の作成なども担当します。経理は、会社の財産や資金の流れを管理する重要な部門であり、経営資源を有効活用しながら会社が成長していくためのサポートを行っています。
経理の仕事は、日々のルーティンワークにあたる「日次業務」の他、「月次業務」「年次業務」など、月間・年間単位でもサイクルが決まっています。経理の仕事は、日々の取引を会計データとして集計することにあります。取引を記録する書類は「伝票」と「帳簿」です。
経理の仕事は、企業の規模や業種によって大きく異なります。大手企業では経理部として複数名が別の業務を担当しています。中小企業の場合だと、経理担当者が少人数で業務を進めていることがほとんどです。スタートアップでは専任の担当者がいないことがほとんどです。
経理の仕事は、正確性とスピード感が求められます。また、会社のほぼ全部署と関わりがあり、経営陣や営業メンバーと多く関わることになるでしょう。経理の仕事は、会社の経営をそばで見られる面白い仕事です。
2. 経理職の必要スキルとは
簿記の知識
経理において欠かせないのが「簿記」の知識です。経理のメイン業務でもある仕訳は、簿記という共通のルールに則って進めていきます。基本的なルールは同じなので、どの企業へいっても役立つのが簿記の特徴です。
「経理の資格=簿記」とも言われており、転職における求人も、簿記の取得レベルによって調整されるほど定番になっています。経理を目指したい方はまず、簿記の資格を取得するところからはじめてみてください。
簿記に関しては、別サイト『簿記屋さん』で詳しく解説しています。簿記の詳細や学習法について徹底解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
経理ではパソコンスキルが必要不可欠です。基本的にはExcelなど、業務のほとんどがパソコンを使って進められます。パソコンスキルがあるだけで「普段1時間かかっていた作業が5分で終わる」なんてこともよくある話です。近年進歩しつつあるIT技術に対応していくためにも、ぜひパソコンスキルは身につけておきましょう。とはいえ、超高度なプログラミング等を覚える必要はないので大丈夫。ITスキルに自信のない方は、まずExcelの勉強から始めてみるのがオススメです。Excelの勉強は「金子さんのExcel動画」わかりやすいですよ。
資格名 | 説明 |
---|---|
日商簿記 | 簿記検定の中でも最も知名度が高い試験。3級は基礎知識、1級は税理士試験の受験資格 |
全経簿記 | 全国経理教育協会が主催する簿記検定。日商簿記よりも難易度が低め |
FASS | 経理・財務分野における実務スキルを測る検定試験。資産、決算、税務、資金の4分野から出題 |
給与計算実務能力検定 | 給与計算の実務スキルを評価する試験。労働基準法、雇用保険法などの知識が問われる |
ビジネス会計検定 | 財務諸表の理解力を養う検定試験。財務諸表を読み解き、ビジネスに役立てることに重きを置く |
語学力
企業によっては、語学力もかなり重宝されます。語学力を持っていれば海外取引など、仕事の幅は一気に広がります。「会計×英語」などの組み合わせができると、転職等にも有利です。国境を超えてお仕事したい方には最適なスキルになります。
英語力を証明したい方は、TOEICの取得も検討してみてくださいね。
最近は、単純な入力業務だけでなく海外子会社とのやり取りなど、人と話す機会も増えています。会計のルールは小難しく感じる方も多いため、伝わるような説明スキルも必要です。
他部署と円滑にコミュニケーションを取れる方こそが、優秀な経理部員といっても過言ではありません。まずは「社員と助けあう」「話を聞いてあげる」などの意識をしつつ、コミュ力を磨いてみてくださいね。コミュ力があると作業効率が上がって残業時間も一気に減らせるよ。ちなみに「経理でスキルアップする方法」を別の記事で解説しています。経理で活躍していきたい方は、ぜひ合わせてご覧ください。
レベル | 説明 |
---|---|
基礎レベル | 簡単な英語のメールや資料を読める、簡単な会話ができる |
ビジネスレベル | ビジネス文書の読み書き、会議での議論に参加できる |
ネイティブレベル | ビジネス文書の読み書き、会議での議論をリードできる |
翻訳レベル | 専門的な文書の翻訳ができる |
分析力
経理は、集計した数字を読み解き、経営状況を分析したり、提案したりする能力が求められます。例えば、財務報告の作成や監査、税務計画などの会計に関する業務は、数字を正確に解釈し、改善案や対策を導き出すことが必要です。
数字の背景まで考え、経理の専門家ではない人にもわかりやすく伝えられる能力が求められます。
経理業務は細かなデータの入力や正確な帳簿の管理を伴うため、細部への注意を怠らない方が向いています。特に、納税や経営に関する業務は、ミスをすると重大な問題に関わるため、仕事上の責任が重い傾向にあります。
小さなミスも見逃さず、慎重に仕事を進められる方は、経理の仕事において強みになるでしょう。
分析力 | 説明 |
---|---|
データ分析 | 売上や経費などのデータを分析し、経営状況を把握する |
財務分析 | 財務諸表を分析し、企業の財務状況を評価する |
経営分析 | 経営指標を分析し、企業の経営状況を評価する |
まとめ
経理には、簿記の知識、パソコンスキル、語学力、コミュニケーション能力、分析力など、様々なスキルが求められます。
経理の仕事は、数字を正確に扱って集計・記録・分析できる高い専門性を身につけられることです。特に、簿記の資格を取得していると、財務諸表を読み解く能力を身につけられます。財務諸表は企業の意思決定に関わるため、重宝されるでしょう。
経理は、会社の経営の意思決定に関与する場合があります。なぜなら、経理はお金の管理業務が多く、会社の資産や利益を把握しやすいポジションであるためです。したがって、お金の流れを把握している経理は必要とされるでしょう。特に中小企業では、経理スタッフが経営陣から、重要な存在として信頼されるケースが多くあります。
経理の仕事を通じて会社の数字を詳細に理解できる点もやりがいです。各営業のスキルや動き、取引先の財務状況などを明確に把握できるため、会社全体の状況を手に取るように理解できます。さらに、経理の仕事には数字を正確に合わせる作業も含まれます。金額がぴったり合ったときの達成感は大きく、日々の業務の中でやりがいを感じられるでしょう。
3. 経理のキャリアパスと将来性
経理のキャリアプラン
経理のキャリアパスには、複数のパターンがあります。それぞれのキャリアの方向性には、どんなスキルが求められるかをご紹介します。
経理職の業務内容は、「仕分け・伝票起票」→「B/S管理」→「月次決算」→「四半期決算」→「年次決算」とステップアップしていくのが一般的です。その後、規模などによりますが、「連結決算」「監査対応」「法人税申告」「有価証券報告書作成(※上場企業)」といった業務を担います。
経理スペシャリストとして長く働くことを目指すなら、「四半期決算」まで、できれば「年次決算」までとりまとめられるレベルを目指しましょう。仕分け・伝票起票までしか経験していないと、転職を図る場合、評価されにくいと言えます。
決算処理を税理士・会計士に委託しているケースなど、経理スペシャリストになるため決算業務を担当したいと願い出ても、どうしても経験できない状況もあります。その場合は、決算業務まで担う企業へ転職し、スキルアップを目指すのもひとつの手です。
ステップ | 業務内容 | 必要なスキル |
---|---|---|
アシスタント | 伝票処理、仕訳入力、経費精算など | 簿記3級、PCスキル |
担当者 | 月次決算、予算管理、税務申告など | 簿記2級、会計ソフト操作スキル |
責任者 | 年次決算、連結決算、監査対応など | 簿記1級、財務分析能力 |
管理職 | 経理部門のマネジメント、経営企画など | リーダーシップ、マネジメントスキル |
経理のキャリアアップ
経理職がキャリアアップ・転職を図る場合、何よりも「実務経験」が重視されます。ただし、経理未経験者でも、日商簿記2級資格を取得すれば、アシスタントのポジションで採用されるチャンスがあります。
また、「英語力」を身に付ければ、求人の選択肢が広がります。外資系企業などで経理の仕事をしたいと考えている人は、米国公認会計士(USCPA)を取得すると、英文での経理スキルが証明しやすくなります。
進む方向などに迷った場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーと対話してみることで、自身の志向や強みに気付けるかもしれません。
経理職の方が転職エージェントを活用するメリットは他にもあります。経理職の求人情報を見ると、「年次決算ができる方」など、一見同じような内容に見えます。しかし、実際には、求める人物像や担ってほしい役割が異なることもあります。
方法 | 説明 |
---|---|
資格取得 | 簿記検定、税理士試験、公認会計士試験など |
実務経験 | 様々な業務を経験し、スキルを磨く |
スキルアップ | 専門知識を深める、ITスキルを習得する |
転職 | より専門性の高い仕事に挑戦する、キャリアアップを目指す |
自己啓発 | セミナーや研修に参加する、書籍を読むなど |
経理の将来性
近年、経理業務にはAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの導入が進んでおり、これまで人の手で行っていたデータ入力・伝票起票などのルーティンワークが代替されるようになっています。今後、さらに機能の高度化進むと、経理業務に関わる人員は削減されていくでしょう。
経理経験を活かして経理の求人に応募する際、作業の「正確さ」や「スピード」をアピールする方が多く見られます。もちろん、正確さやスピードは大切なのですが、単純作業のIT化・自動化が進む中では重視されなくなりつつあります。今後、経理職として長く働き続けることを望むなら、「強みは正確さとスピード」という状態から脱却を図りましょう。
現在、入力・起票などの「作業」を中心に担当している方は、少しでも早い段階で「判断」や「分析」業務へ軸足を移していくことをお勧めします。数字が意味するものを自分なりに考え、上司やリーダーに向けてアウトプットしてみてください。それを積み重ねれば、判断を任される機会が増え、いずれはチームリーダーなどに抜擢されるチャンスが巡ってくるかもしれません。
また、日々の業務の中で課題を発見し、改善策を提案するのも有効です。効率化を図るための工夫を心がけていれば、システム導入プロジェクトの担当者として指名され、新たな経験が積める可能性があります。このほか、経理の視点から、経営に対する提言も積極的に行っていくことで、キャリアを発展させることができるでしょう。
変化 | 影響 |
---|---|
AI・RPAの導入 | 単純作業の自動化が進み、人材の需要は変化する |
データ分析の重要性 | データ分析スキルを持つ人材が求められる |
経営への貢献 | 経営戦略への貢献が求められる |
グローバル化 | 国際会計基準の知識や英語力を持つ人材が求められる |
まとめ
経理のキャリアパスは、経理スペシャリストとして専門性を深める道と、管理部門業務全般や経営に携わる道があります。
経理職のキャリアアップには、実務経験が重視されます。日商簿記2級資格を取得すれば、アシスタントのポジションで採用されるチャンスがあります。また、「英語力」を身に付ければ、求人の選択肢が広がります。
経理の仕事は、単純作業のIT化・自動化が進んでいます。今後、経理職として長く働き続けることを望むなら、「判断」や「分析」業務へ軸足を移していくことをお勧めします。
経理の将来性は、AIやRPAの導入によって変化していくでしょう。しかし、データ分析や業務設計など、専門的なスキルは今後も必要とされます。
4. 経理業務での注意点
内部統制
経営者が健全かつ効率的に会社を運営するための仕組みが内部統制です。取締役(取締役会)・監査役(監査役会)・内部監査・社内組織や社内規定・ITシステム・経営計画(組織運用・精度運用)といった体制が機能することにより、社内での指揮・監督機能が発揮される仕組みのことを指します。
内部統制とは会社を健全に運営するための仕組みのことです。導入された経緯として、会計不正や情報漏えいなど内部統制の不備による問題が、これまでに相次いで発覚したことが挙げられます。
2006年6月には金融商品取引法(金商法)が制定され、そのなかで上場企業とその子会社、関連会社を対象とした内部統制のルールとして「J-SOX(日本版SOX法)」が規定されました。2008年4月1日から現在まで運用されています。
内部監査とは、内部統制が機能しているかを確認・評価をすることです。組織内部の人間による業務上の不正の防止や、業務の効率化を目的に実施されます。2006年の会社法改正によって内部統制の整備が義務化されましたが、なかでも大企業では内部監査の設置が必須となりました。
目的 | 説明 |
---|---|
財務報告の信頼性 | 企業の財務情報を正確に開示し、信頼性を確保する |
業務の有効性および効率性 | 業務を効率的に行い、経営目標を達成する |
事業活動に関わる法令等の遵守 | 法令を遵守し、企業の社会的信用を維持する |
資産の保全 | 企業の資産を適切に管理し、不正利用を防ぐ |
内部統制の目的
金融庁の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」では、内部統制の目的として、下記4つの項目があります。
* 財務報告の信頼性\n* 業務の有効性および効率性\n* 事業活動に関わる法令等の順守\n* 資産の保全
内部統制は4つの目的すべてを実現することによって成立します。それぞれについて詳しくみていきましょう。
財務情報は、その企業の取引先の与信や投資家の判断に大きく影響を与えます。企業としての信用を失わないために、クリアな財務情報を公表することを目指しましょう。
要素 | 説明 |
---|---|
統制環境 | 内部統制の目的を達成するための社内環境を整備する |
リスクの評価と対応 | 経営目標を阻害する可能性のあるリスクを洗い出し、対策を立てる |
統制活動 | 業務を適切に遂行するための仕組みを構築する |
情報と伝達 | 必要な人に必要な情報を適切に共有する |
モニタリング | 内部統制が適切に運用されているかを監視する |
ITへの対応 | ITを効果的に活用し、内部統制を強化する |
内部統制の要素
内部統制の6つの基本的要素は、先述した4つの目的と同じく、金融庁の「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」で定められています。これら6つの要素は、4つの目的に付随した要素とされています。
* 統制環境\n* 情報と伝達\n* リスクの評価と対応\n* モニタリング\n* 統制活動\n* ITへの対応
統制環境は6つの基本的要素のなかで最も重要といっても過言ではありません。統制環境が不十分であれば、社内ルールやシステムは活かされないままです。統制環境は組織に所属する人員の倫理観や、組織の経営方針・戦略などによって構成されており、従業員全員が社内ルールを守る必要があります。
内部統制を機能させるために、組織内の人間が内部統制の重要性を認識し、適切に社内ルールを運用するための環境整備が必要です。
ポイント | 説明 |
---|---|
現金管理 | 現金の着服や盗難を防ぐため、厳格な管理体制を構築する |
経費精算のシステム化 | 経費精算のミスを減らし、業務効率化を図る |
ITシステムの導入 | 会計ソフトや経費精算システムなどを導入し、業務を効率化する |
内部統制委員会 | 内部統制の運用状況を定期的にチェックする |
まとめ
内部統制とは、企業が定める経営目標を達成させるために欠かせないルールを策定・整備し、適切な運用を行うこと、もしくはそのための合理的なプロセスをいいます。
内部統制の目的は、「業務の有効性および効率性」「財務報告の信頼性」「事業活動に関わる法令等の遵守」「資産の保全」の四つです。
内部統制において四つの目的を達成させるうえで、次の六つの要素をそろえなくてはなりません。\n\n* 統制環境\n* リスクの評価と対応\n* 統制活動\n* 情報と伝達\n* モニタリング\n* ITへの対応
内部統制は、経営目標を達成させるためのルールを策定し、適切な運用を行っていくものです。先頭に立って進めていくのは経営者ですが、実際に現場で重要な役割を果たすのは、経理部門の担当者になるでしょう。
5. 経理における業務効率化の方法
経理業務の効率化のメリット
経理業務を効率化するためには「効率化のネックになっている部分」や「実際はどれぐらい時間がかかっているのか」などの課題を洗い出すために業務を可視化することが大事です。
また、専門性が高く属人化しやすい業務が多い傾向にあるため、フローを可視化することでボトルネックとなっている工程を見つけやすくなります。既存のマニュアルや手順書とも照らし合わせながら、問題点を見つけ改善していきましょう。
経理業務の効率化が進むと、コスト削減にもつながります。なぜなら、効率化するためにはデジタル化がほぼ必須ですが、Web上ですべて完結するようになると用紙や印刷コストが不要になるからです。
また、業務時間が短縮されると、残業代や休日出勤の賃金を従業員に支払わなくて済みます。このように、経理業務の効率化は人件費や紙にかかる印刷代・管理費用などを削減できる施策です。
メリット | 説明 |
---|---|
従業員の負担軽減 | 残業や休日出勤を減らし、従業員のワークライフバランスを向上させる |
ヒューマンエラーの低減 | 業務の自動化によってミスを減らし、業務の精度を高める |
コア業務への集中 | 効率化によって生まれた時間で、より重要な業務に集中できる |
コスト削減 | 人件費や印刷コストなどを削減できる |
経理業務を効率化する6つの方法
経理業務の効率化を進めるには、自社の課題を明確化して負担に感じている部分から着手すること
経理業務の効率化には、ペーパーレス化・キャッシュス化などDX化が有効
効率化したい経理業務に応じた最適なサービスの導入も検討するのがおすすめ
経理業務は基本的に毎日発生する作業です。ゆえに一度効率化してしまえば、その後も継続して恩恵を得られます。
方法 | 説明 |
---|---|
業務の可視化 | 業務フローを可視化し、無駄な作業を洗い出す |
ペーパーレス化 | 会計ソフトや請求書発行システムなどを導入し、紙の書類を削減する |
業務の自動化 | RPAツールなどを導入し、定型的な作業を自動化する |
ECRSの活用 | 業務を効率化するフレームワークを活用する |
経理業務効率化コンサルティング | 専門家によるコンサルティングで、効率化の課題解決を図る |
経理代行サービス | 経理業務の一部を外部に委託する |
経理業務効率化コンサルティング
「ツール・サービスの導入前に知っておくべきポイント」をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
ツールを用いて経理業務を自動化する場合、下記4つの注意点を押さえておきましょう。
* 自社で利用しているシステムとの連携\n* 導入コスト\n* セキュリティ対策\n* 導入後のサポート体制
経理代行サービスを利用(アウトソーシング)する際の注意点は、主に下記の3つです。
注意点 | 説明 |
---|---|
機能の確認 | 自社に必要な機能が備わっているかを確認する |
導入コスト | 導入費用とランニングコストを比較検討する |
セキュリティ対策 | データの安全性を確保するための対策を検討する |
導入後のサポート体制 | 導入後のサポート体制が充実しているかを確認する |
まとめ
経理業務を効率化するためには、自社の課題を明確化して負担に感じている部分から着手することが重要です。
経理業務の効率化には、ペーパーレス化・キャッシュレス化などDX化が有効です。
効率化したい経理業務に応じた最適なサービスの導入も検討するのがおすすめです。
経理業務は基本的に毎日発生する作業です。ゆえに一度効率化してしまえば、その後も継続して恩恵を得られます。
6. 経理職と他職種との連携
経理と営業
経理は、営業部門と密接な関係があります。営業部門は売上を上げるために顧客との交渉や契約を行います。経理部門は、営業部門が獲得した売上を正確に記録し、管理する役割を担います。
そのため、経理部門は営業部門から売上に関する情報を収集し、適切な処理を行う必要があります。また、営業部門が顧客との契約を締結する際に、経理部門は契約内容を確認し、必要に応じてアドバイスを行います。
経理部門は、営業部門が売上目標を達成するために必要な情報を提供する役割も担います。例えば、顧客の支払状況や過去の売上実績などを分析し、営業部門に情報を提供することで、営業戦略の策定を支援します。
経理部門は、営業部門と連携することで、会社の収益向上に貢献することができます。
連携内容 | 説明 |
---|---|
売上情報の共有 | 営業部門から売上に関する情報を収集する |
契約内容の確認 | 営業部門が顧客との契約を締結する際に、契約内容を確認する |
売上目標達成の支援 | 顧客の支払状況や過去の売上実績などを分析し、営業部門に情報を提供する |
収益向上 | 営業部門と連携することで、会社の収益向上に貢献する |
経理と人事
経理は、人事部門とも密接な関係があります。人事部門は、従業員の採用、教育、評価、給与計算などを行います。経理部門は、人事部門が実施する給与計算をサポートする役割を担います。
経理部門は、人事部門から従業員の給与に関する情報を収集し、適切な処理を行います。また、人事部門が従業員の福利厚生制度を導入する際に、経理部門は制度の費用面を検討し、アドバイスを行います。
経理部門は、人事部門が従業員のモチベーションを維持するために必要な情報を提供する役割も担います。例えば、従業員の給与や賞与の支給状況などを分析し、人事部門に情報を提供することで、人事戦略の策定を支援します。
経理部門は、人事部門と連携することで、会社の従業員満足度向上に貢献することができます。
連携内容 | 説明 |
---|---|
給与計算のサポート | 人事部門が実施する給与計算をサポートする |
福利厚生制度の費用面検討 | 人事部門が従業員の福利厚生制度を導入する際に、制度の費用面を検討する |
従業員満足度向上 | 人事部門と連携することで、会社の従業員満足度向上に貢献する |
経理と開発
経理は、開発部門とも連携する機会があります。開発部門は、新しい製品やサービスを開発します。経理部門は、開発部門が開発する製品やサービスの費用を管理する役割を担います。
経理部門は、開発部門から開発費用に関する情報を収集し、適切な処理を行います。また、開発部門が新しい製品やサービスを開発する際に、経理部門は開発費用の予算を策定し、アドバイスを行います。
経理部門は、開発部門が開発した製品やサービスの収益性を分析し、開発部門に情報を提供することで、開発戦略の策定を支援します。
経理部門は、開発部門と連携することで、会社の競争力強化に貢献することができます。
連携内容 | 説明 |
---|---|
開発費用の管理 | 開発部門が開発する製品やサービスの費用を管理する |
開発費用の予算策定 | 開発部門が新しい製品やサービスを開発する際に、開発費用の予算を策定する |
収益性分析 | 開発部門が開発した製品やサービスの収益性を分析する |
競争力強化 | 開発部門と連携することで、会社の競争力強化に貢献する |
まとめ
経理は、営業、人事、開発など、様々な部署と連携する機会があります。
経理は、各部署から情報を収集し、適切な処理を行うことで、会社の経営を支える重要な役割を担っています。
経理は、各部署と連携することで、会社の収益向上、従業員満足度向上、競争力強化に貢献することができます。
経理は、会社全体を俯瞰し、様々な部署と連携することで、より効果的に業務を進めることができます。
参考文献
・経理とは?仕事内容と基礎知識~はじめてでもわかる! 経理の …
・経理の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介 | 経理の仕事 …
・経理とは?仕事内容や向いている人の特徴などについてわかり …
・経理の仕事内容とは?会計との違い、平均年収、あると便利な資格を解説 | クラウド会計ソフト マネーフォワード
・経理がスキルアップのために必要な能力やスキルとは?必要なスキル一覧表も掲載 | シンカキャリア
・経理の仕事内容は?実際のスケジュール例からやりがいまで徹底解説|総合人材会社の【マンパワーグループ】
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