テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランドとは?世界遺産についての解説

テ・ワヒポウナムの概要
項目 内容
登録年 1990年
登録基準 自然遺産(ⅶ)(ⅷ)(ⅸ)(ⅹ)
面積 26,000㎢
構成 フィヨルドランド国立公園、アオラキ/マウントクック国立公園、ウェストランド国立公園、マウント・アスパイアリング国立公園
主な特徴 氷河作用と地殻変動による壮大な自然景観、固有種の生息、マオリ族の文化との深い結びつき

1. テワヒポウナムの歴史と起源

要約

テ・ワヒポウナムの名前の由来

テ・ワヒポウナムは、マオリ語で「グリーンストーン(翡翠)の産地」を意味します。この地域は、先住民マオリ族にとって、翡翠という貴重な資源の産地として、古くから重要な場所でした。マオリ族は、翡翠を道具や装飾品を作るために使用し、また、翡翠は彼らの文化や精神的な世界においても重要な役割を果たしていました。

テ・ワヒポウナムは、ニュージーランド南島の南西部に位置し、フィヨルドランド国立公園、アオラキ/マウント・クック国立公園、マウント・アスパイアリング国立公園、ウェストランド国立公園の4つの国立公園で構成されています。これらの国立公園は、1950年代から1960年代にかけて、それぞれ個別に設立されました。

テ・ワヒポウナムは、1990年にユネスコの世界遺産に登録されました。世界遺産登録の際には、この地域の自然の美しさ、地質学的および生態学的価値、そしてマオリ族の文化との深い結びつきが評価されました。

テ・ワヒポウナムの名称と登録
項目 内容
名称 テ・ワヒポウナム
意味 グリーンストーン(翡翠)の産地
登録年 1990年

テ・ワヒポウナムの形成

テ・ワヒポウナムは、インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートの衝突によって形成されたサザン・アルプス山脈に位置しています。この地域は、地殻変動と氷河作用によって、独特の地形が形成されました。

サザン・アルプス山脈は、標高の高い山々が連なり、マウント・クック(3

テ・ワヒポウナムの海岸線には、ミルフォード・サウンドなどのフィヨルドが数多く存在します。フィヨルドは、氷河によって削り取られた谷に海水が入り込んだものです。ミルフォード・サウンドは、その壮大な景観で知られており、世界遺産の代表的な観光スポットとなっています。

テ・ワヒポウナムの構成
国立公園 設立年
フィヨルドランド国立公園 1952年
アオラキ/マウント・クック国立公園 1953年
ウェストランド国立公園 1960年
マウント・アスパイアリング国立公園 1964年

テ・ワヒポウナムの調査

テ・ワヒポウナムの自然は非常に厳しく、調査は1960年代にようやく本格的に始まりました。それ以前は、マオリ族の伝統的な知識や経験に基づいて、この地域が理解されていました。

1960年代以降、科学者や探検家たちは、テ・ワヒポウナムの自然を調査し、その地質学的、生態学的、文化的な価値を明らかにしました。これらの調査によって、テ・ワヒポウナムが世界遺産に登録されるに至りました。

テ・ワヒポウナムの調査は、現在も継続されています。最新の調査技術を用いることで、この地域の自然について、より深い理解が得られています。

まとめ

テ・ワヒポウナムは、マオリ族の言葉で「グリーンストーン(翡翠)の産地」を意味する、ニュージーランド南島の南西部に位置する世界遺産です。

この地域は、インド・オーストラリアプレートと太平洋プレートの衝突によって形成されたサザン・アルプス山脈に位置し、地殻変動と氷河作用によって独特の地形が形成されました。

テ・ワヒポウナムは、1950年代から1960年代にかけて、4つの国立公園として保護され、1990年に世界遺産に登録されました。

テ・ワヒポウナムは、自然の美しさ、地質学的および生態学的価値、そしてマオリ族の文化との深い結びつきが評価され、世界遺産に登録されました。

2. テワヒポウナムの自然環境と動植物

要約

地形と地質

テ・ワヒポウナムは、険しい山々、広大なフィヨルド、氷河、湖、森林が織りなす壮大な自然景観で知られています。

この地域は、氷河期に氷河が削り取った地形が特徴です。フィヨルドランド国立公園には、1万4千年前の氷河期に形成されたミルフォード・サウンドなどのフィヨルドがあります。

フィヨルドは、氷河によって削り取られた谷に海水が入り込んだものです。ミルフォード・サウンドは、その壮大な景観で知られており、世界遺産の代表的な観光スポットとなっています。

テ・ワヒポウナムには、海成段丘、U字谷、モレーン、懸谷、カールなどの氷河地形も発達しています。これらの地形は、氷河の活動によって形成されたものであり、地球の地質学的進化の過程を示す重要な証拠となっています。

テ・ワヒポウナムの地形
地形 特徴
フィヨルド 氷河によって削られた谷に海水が入り込んだもの
海成段丘 海水面の上昇と下降によって形成された段丘
U字谷 氷河によって削り取られた谷
モレーン 氷河によって運ばれた岩石が堆積したもの
懸谷 氷河によって削り取られた谷が、他の谷よりも高い位置にあるもの
カール 氷河によって削り取られた、すり鉢状の窪地

植生

テ・ワヒポウナムの約2/3の面積は、ナンキョクブナ属とマキ科の針葉樹の温帯雨林に覆われています。

この地域には、樹齢が800年を超える木や、世界最小の針葉樹であるLepidothamnus laxifoliusなど、貴重な植物が生息しています。

テ・ワヒポウナムは、ニュージーランドの他の地域とは異なる、独自の植生を持っています。これは、この地域が長い間、外敵から隔離されてきたためです。

テ・ワヒポウナムの植生
植物 特徴
ナンキョクブナ属 温帯雨林を形成する主要な樹木
マキ科の針葉樹 温帯雨林を形成する樹木
Lepidothamnus laxifolius 世界最小の針葉樹

動物相

テ・ワヒポウナムには、世界で唯一の高山性オウムであるミヤマオウム、飛べない鳥のタカヘ、キーウィ、オカリトキーウィ、そしてキイロモフアムシクイ、カカ、キガシラアオハシインコ、チャイロコガモなど、多くの固有種が生息しています。

これらの動物たちは、長い時間をかけて進化してきた結果、独自の生態系を形成しています。テ・ワヒポウナムは、生態系の進化の過程を示す顕著な例として評価されています。

テ・ワヒポウナムには、かつて世界で最も重いオウムであるフクロウオウムが生息していましたが、現在は南島本土から絶滅し、沖合の離島にしか生息していません。

外来種の侵入は、テ・ワヒポウナムの生態系に悪影響を及ぼしています。アカシカ、ワピチ、ダマジカ、ヤギ、シャモア、タール、フクロギツネ、ウサギ、イタチ科、齧歯類などの外来種は、植生や鳥類の生息に悪影響を与えています。

テ・ワヒポウナムの固有種
動物 特徴
ミヤマオウム 世界で唯一の高山性オウム
タカヘ 飛べない鳥
キーウィ 飛べない鳥
オカリトキーウィ 飛べない鳥
キイロモフアムシクイ 固有種の鳥
カカ 固有種の鳥
キガシラアオハシインコ 固有種の鳥
チャイロコガモ 固有種の鳥

まとめ

テ・ワヒポウナムは、氷河作用と地殻変動によって形成された、険しい山々、広大なフィヨルド、氷河、湖、森林が織りなす壮大な自然景観で知られています。

この地域は、ナンキョクブナ属とマキ科の針葉樹の温帯雨林に覆われ、樹齢が800年を超える木や、世界最小の針葉樹であるLepidothamnus laxifoliusなど、貴重な植物が生息しています。

テ・ワヒポウナムには、世界で唯一の高山性オウムであるミヤマオウム、飛べない鳥のタカヘ、キーウィ、オカリトキーウィ、そしてキイロモフアムシクイ、カカ、キガシラアオハシインコ、チャイロコガモなど、多くの固有種が生息しています。

外来種の侵入は、テ・ワヒポウナムの生態系に悪影響を及ぼしており、管理側は商業狩猟や除去プログラムを実施しています。

3. テワヒポウナムの文化的重要性と意義

要約

マオリ族との関係

テ・ワヒポウナムは、先住民マオリ族にとって、重要な文化的および精神的な場所です。マオリ族は、この地域を「ヒスイの産地」として、古くから翡翠を採掘し、道具や装飾品を作ってきました。

翡翠は、マオリ族の文化において、重要な役割を果たしてきました。翡翠は、彼らの信仰や儀式、芸術、そして日常生活に深く結びついています。

テ・ワヒポウナムは、マオリ族の伝統的な知識や文化を伝える重要な場所です。マオリ族は、この地域を保護し、その文化を次世代に継承していくことを重要視しています。

世界遺産としての価値

テ・ワヒポウナムは、その壮大な自然景観、地質学的および生態学的価値、そしてマオリ族の文化との深い結びつきが評価され、1990年に世界遺産に登録されました。

テ・ワヒポウナムは、世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たしています。

(vii) 顕著な自然美及び美的な重要性を持つ超自然的現象、地形的特徴、または文化的特徴を有する地域。

(viii) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な例、または、生命の進化の過程、または、地形的、地質学的、または地理的特徴を示す顕著な例。

世界遺産登録基準
基準 内容
(vii) 顕著な自然美及び美的な重要性を持つ超自然的現象、地形的特徴、または文化的特徴を有する地域
(viii) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な例、または、生命の進化の過程、または、地形的、地質学的、または地理的特徴を示す顕著な例
(ⅸ) 陸域、淡水域、沿岸域および海洋生態系における、生物多様性の保全にとって最も重要な、かつ、科学的または保全上の観点から顕著な普遍的価値を持つ生態学的、生物学的、または生物地球化学的過程を示す顕著な例
(ⅹ) 生物多様性における、顕著な普遍的価値を持つ、絶滅の危機に瀕している種の生息地、または、生物多様性の保全にとって最も重要な、かつ、科学的または保全上の観点から顕著な普遍的価値を持つ生態学的、生物学的、または生物地球化学的過程を示す顕著な例

観光と保護

テ・ワヒポウナムは、世界遺産として、多くの観光客を引き付けています。観光客は、この地域の壮大な自然景観を楽しみ、マオリ族の文化に触れることができます。

テ・ワヒポウナムの保護活動は、観光客の増加に伴い、ますます重要になっています。観光客の増加は、環境への負荷を高める可能性があります。

テ・ワヒポウナムの保護活動は、政府、地元住民、観光事業者など、様々な主体によって行われています。

テ・ワヒポウナムの保護活動は、この地域の自然と文化を次世代に継承していくために不可欠です。

まとめ

テ・ワヒポウナムは、先住民マオリ族にとって、重要な文化的および精神的な場所であり、翡翠という貴重な資源の産地として、古くから重要な場所でした。

テ・ワヒポウナムは、その壮大な自然景観、地質学的および生態学的価値、そしてマオリ族の文化との深い結びつきが評価され、1990年に世界遺産に登録されました。

テ・ワヒポウナムは、世界遺産として、多くの観光客を引き付けており、観光客の増加に伴い、環境への負荷を高める可能性があります。

テ・ワヒポウナムの保護活動は、政府、地元住民、観光事業者など、様々な主体によって行われており、この地域の自然と文化を次世代に継承していくために不可欠です。

4. テワヒポウナムの伝統的な生活様式と習慣

要約

マオリ族の伝統的な生活

マオリ族は、テ・ワヒポウナムで、長い間、伝統的な生活を送ってきました。彼らは、自然と調和して生活し、自然から食料や資源を得ていました。

マオリ族は、狩猟、漁撈、農業を行い、自然の恵みを生かして生活していました。彼らは、自然を敬い、自然と共存することを大切にしていました。

マオリ族は、翡翠を道具や装飾品を作るために使用し、また、翡翠は彼らの信仰や儀式、芸術、そして日常生活に深く結びついていました。

マオリ族の文化

マオリ族の文化は、テ・ワヒポウナムの自然環境によって形作られました。彼らの神話や伝説には、自然の力や精神が反映されています。

マオリ族は、歌、踊り、彫刻、織物など、様々な芸術を育んできました。これらの芸術は、彼らの文化や精神性を表現しています。

マオリ族は、伝統的な知識や文化を次世代に継承することを重要視しています。彼らは、伝統的な言語、歌、踊り、儀式などを守り、伝えています。

現代のマオリ族

現代のマオリ族は、伝統的な文化を維持しながら、現代社会にも適応しています。彼らは、教育、ビジネス、政治など、様々な分野で活躍しています。

マオリ族は、彼らの文化を保護し、次世代に継承していくために、様々な活動を行っています。彼らは、伝統的な言語や文化を学ぶ機会を提供し、伝統的な芸術を復興しています。

マオリ族は、テ・ワヒポウナムの自然環境を保護し、その文化を次世代に継承していくために、重要な役割を果たしています。

まとめ

テ・ワヒポウナムは、先住民マオリ族にとって、重要な文化的および精神的な場所であり、彼らの伝統的な生活様式と習慣が育まれてきました。

マオリ族は、自然と調和して生活し、自然から食料や資源を得てきました。彼らは、自然を敬い、自然と共存することを大切にしてきました。

マオリ族は、歌、踊り、彫刻、織物など、様々な芸術を育んできました。これらの芸術は、彼らの文化や精神性を表現しています。

現代のマオリ族は、伝統的な文化を維持しながら、現代社会にも適応しており、彼らの文化を保護し、次世代に継承していくために、様々な活動を行っています。

5. テワヒポウナムの保護活動と今後の展望

要約

保護活動

テ・ワヒポウナムは、世界遺産として、その自然と文化を保護することが重要です。

テ・ワヒポウナムの保護活動は、政府、地元住民、観光事業者など、様々な主体によって行われています。

政府は、国立公園の管理や、外来種の侵入を防ぐための対策を行っています。地元住民は、伝統的な知識や文化を保護し、次世代に継承していくための活動を行っています。

観光事業者は、環境に配慮した観光を推進し、観光客に自然と文化を尊重することの重要性を啓発しています。

今後の展望

テ・ワヒポウナムは、今後も、その自然と文化を保護していく必要があります。

気候変動や外来種の侵入など、テ・ワヒポウナムの自然環境に影響を与える様々な課題があります。

これらの課題に対処するためには、政府、地元住民、観光事業者など、様々な主体の連携が不可欠です。

テ・ワヒポウナムは、世界遺産として、その自然と文化を保護し、次世代に継承していくための重要な役割を果たしています。

持続可能な観光

テ・ワヒポウナムの観光は、持続可能な観光を目指しています。

持続可能な観光とは、環境への負荷を最小限に抑え、地域社会に貢献し、観光客に満足感を与える観光のことです。

テ・ワヒポウナムでは、環境に配慮したツアーや宿泊施設を提供し、観光客に自然と文化を尊重することの重要性を啓発しています。

持続可能な観光は、テ・ワヒポウナムの自然と文化を保護し、次世代に継承していくために不可欠です。

まとめ

テ・ワヒポウナムは、世界遺産として、その自然と文化を保護することが重要です。

政府、地元住民、観光事業者など、様々な主体が連携して、保護活動を行っています。

テ・ワヒポウナムは、気候変動や外来種の侵入など、様々な課題に直面していますが、持続可能な観光を推進することで、自然と文化を保護し、次世代に継承していくことができます。

6. テワヒポウナムを訪れる際のおすすめ観光スポット

要約

フィヨルドランド国立公園

フィヨルドランド国立公園は、テ・ワヒポウナムの南端に位置し、ニュージーランド最大の国立公園です。

この公園は、壮大なフィヨルド、険しい山々、原生林、湖沼群など、手つかずの大自然が広がっています。

フィヨルドランド国立公園のハイライトは、ミルフォード・サウンドです。ミルフォード・サウンドは、氷河によって削り取られた谷に海水が入り込んだもので、その壮大な景観で知られています。

ミルフォード・サウンドでは、クルーズやトレッキングを楽しむことができます。クルーズでは、海からそそり立つ山々や、無数の滝を眺めることができます。トレッキングでは、原生林の中を歩き、自然を満喫することができます。

アオラキ/マウント・クック国立公園

アオラキ/マウント・クック国立公園は、ニュージーランド最高峰のマウント・クック(3

この公園は、マウント・クックの壮大な景観、氷河、湖沼群、高山植物など、様々な自然の魅力があります。

アオラキ/マウント・クック国立公園では、トレッキング、登山、スキー、カヌーなど、様々なアウトドアアクティビティを楽しむことができます。

マウント・クックの麓には、ホテルやレストランがあり、観光客に快適な滞在を提供しています。

ウェストランド国立公園

ウェストランド国立公園は、フランツ・ジョセフ氷河とフォックス氷河という2つの氷河が有名な国立公園です。

この公園は、氷河、原生林、湖沼群など、変化に富んだ自然景観があります。

ウェストランド国立公園では、氷河トレッキング、ヘリコプター遊覧、カヌーなど、様々なアウトドアアクティビティを楽しむことができます。

フランツ・ジョセフ氷河とフォックス氷河は、比較的アクセスしやすい場所にあるため、多くの観光客が訪れます。

まとめ

テ・ワヒポウナムは、フィヨルドランド国立公園、アオラキ/マウント・クック国立公園、ウェストランド国立公園、マウント・アスパイアリング国立公園の4つの国立公園で構成されています。

これらの国立公園は、それぞれ、壮大な自然景観、貴重な生態系、そしてマオリ族の文化との深い結びつきを持っています。

テ・ワヒポウナムを訪れる際には、これらの国立公園を巡り、ニュージーランドの自然と文化を満喫しましょう。

参考文献

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