キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群とは？世界遺産についての解説

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡群の構成要素
島	遺跡	特徴
キルワ・キシワニ島	大モスク	12世紀に建設、ドーム屋根が特徴
キルワ・キシワニ島	フスニ・クブワ宮殿	14世紀に建設、大きなプールがあった
キルワ・キシワニ島	牢獄要塞	14世紀に建設、刑務所として使用されていた
ソンゴ・ムナラ島	アラビア人居留地	14〜15世紀に繁栄、記録が少ない
ソンゴ・ムナラ島	五大モスク	14〜15世紀に建設、マングローブの森の中に位置する
ソンゴ・ムナラ島	サンゴと木材で建造された邸宅	14〜15世紀に建設、記録が少ない

1. 遺跡群の概要と歴史

キルワ・キシワニ島の歴史

タンザニア南東部の海岸沿いに浮かぶキルワ島とソンゴ・ムナラ島には、イスラムの都市国家時代の遺跡が残っています。13〜16世紀にかけて、キルワ・キシワニは金、銀、真珠、陶器などの交易で大いに繁栄し、モロッコの旅行家イブン・バットゥータも記録するほどです。それぞれの島にはモスク、宮殿、要塞などの遺構が残り、これらはアラブや中国の建築様式も見られます。キルワ・キシワニ島は、9世紀から都市が発展し、13〜16世紀に大いに繁栄しました。ここでは金、銀、象牙などの取引がされていましたが、他にもペルシャの彩釉陶器や中国の陶磁器まで交換されるほどでした。14世紀にモロッコの旅行家イブン・バットゥータがこの地を訪れ、称賛しています。しかし、16世紀にポルトガル人が島を支配するようになると、その後支配者が何度か変わっていき、徐々に衰退しました。19世紀にはここは放棄されています。

キルワ・キシワニは島全体が遺跡で覆われていますが、まだ大部分は発掘されていません。建築物はサンゴ石やモルタル石灰などで建造されています。10世紀に設立されたとされる「大モスク」は13世紀の改修時に屋根はドームで覆われ、これは10世紀まで東アフリカでも最大のドーム建築でした。壁の一部は中国の陶磁器で装飾されているというのも特徴です。14世紀に建造された「フスニ・クブワ宮殿」は、大きなプールがあったことが分かっていて、他にも多数のモスクや刑務所、邸宅、広場、墓地などが点在しています。

キルワ・キシワニ島の歴史年表
年代	出来事
9世紀	キルワ王国建国
12〜16世紀	交易で繁栄
16世紀	ポルトガル支配
19世紀	オマーン勢力による支配、キルワ王国の消滅
1950〜60年代	イギリス発掘チームによる考古学的研究
1981年	世界文化遺産登録

ソンゴ・ムナラ島の歴史

ソンゴ・ムナラは5つのモスクと宮殿、サンゴと木材で建造された邸宅などが残っているものの、その歴史とキルワ・キシワニとの関係は分かっていません。ここは熱帯気候に位置するため、建造物の損傷が激しく、対策も不十分だったため、2004年に危機遺産に登録されました。しかし、2014年にはリストから外されています。

ソンゴ・ムナラ島の歴史年表
年代	出来事
14〜15世紀	繁栄
2004年	危機遺産リスト登録
2014年	危機遺産リストから除外

まとめ

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラは、10世紀から16世紀にかけてスワヒリ文明の重要な拠点として栄え、交易の中心地として知られています。キルワ・キシワニ島は、アラブ・ペルシャ地域との交易で繁栄し、多くの石造建築物がつくられました。一方、ソンゴ・ムナラ島は、キルワ・キシワニ島ほど記録が残っておらず、その歴史は謎に包まれています。

キルワ・キシワニ島は、19世紀にオマーン勢力によってキルワ王国が完全に消滅した後、多くの建築群は埋もれてしまっていました。しかし、1950年代から60年代にかけ、イギリス発掘チームの考古学的研究によりその普遍的価値が明らかにされ、1981年に「キルワ島及びソンゴ・ムナラ島の遺跡群」としてタンザニア初の世界文化遺産に登録されました。

2. 文化的重要性と世界遺産登録基準

文化的伝統を伝える顕著な例

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡は、「文化的伝統を伝える顕著な例」として評価されています。これらの都市は、スワヒリ文明の黄金期を象徴する遺跡であり、イスラム文化とアフリカの伝統が融合した独特の文化を示しています。

世界遺産登録基準
基準	内容
(iii)	文化的伝統を伝える顕著な例
(iv)	建築や技術の発展を示す顕著な例

建築や技術の発展を示す顕著な例

また、「建築や技術の発展を示す顕著な例」としても評価されています。遺跡には、珊瑚石を用いた建築物や精巧な彫刻が多く残されており、当時の建築技術と美的感覚を示しています。

まとめ

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡は、スワヒリ文明の黄金期を象徴する遺跡であり、イスラム文化とアフリカの伝統が融合した独特の文化を示しています。また、珊瑚石を用いた建築物や精巧な彫刻が多く残されており、当時の建築技術と美的感覚を示しています。

これらの遺跡は、スワヒリ文明の文化的伝統と建築技術の発展を伝える顕著な例として、世界遺産に登録されました。

3. キルワキシワニの特徴と意義

建築様式

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラの遺跡には、珊瑚石を用いた多くの建築物が残されており、その建築様式はイスラム文化とアフリカの伝統が融合しています。特に、モスクや宮殿、住宅などがその精巧な彫刻とともに保存されています。

キルワ・キシワニの建築様式
建築物	特徴
モスク	アラビア風
宮殿	アラビア風
住宅	サンゴ石を用いた建築

文化的影響

キルワ・キシワニとソンゴ・ムナラは、スワヒリ文明の中心地として多くの文化的影響を与えました。これにより、交易と文化交流の重要な拠点として、多くの歴史的建造物や文化的遺産が残されています。

まとめ

キルワ・キシワニは、珊瑚石を用いた建築様式と、イスラム文化とアフリカの伝統が融合した独特の文化を持つ遺跡です。

スワヒリ文明の中心地として、交易と文化交流の重要な拠点であったキルワ・キシワニは、多くの歴史的建造物や文化的遺産を残しています。

4. ソンゴムナラの遺跡とその魅力

ソンゴ・ムナラの遺跡

ソンゴ・ムナラ島にはアラビア人居留地や五大モスクの廃墟があります。ソンゴ・ムナラは、キルワ・キシワニ島ほど記録が残っておらず、その歴史は謎に包まれています。

ソンゴ・ムナラの遺跡
遺跡	特徴
アラビア人居留地	記録が少ない
五大モスク	マングローブの森の中に位置する
サンゴと木材で建造された邸宅	記録が少ない