西オーストラリアのシャーク湾とは？世界遺産についての解説

シャーク湾の概要
項目	内容
位置	オーストラリア西オーストラリア州の西海岸中央部
面積	約2万平方キロメートル
水深	約2メートル
特徴	浅い、穏やかな湾、貝殻でできた浜
登録基準	(vii)(viii)(ix)(x)
登録年	1991年

1. シャーク湾の地理

シャーク湾の位置

シャーク湾は、オーストラリア西オーストラリア州の西海岸中央部ガスコイン地域に存在する湾です。東京都と千葉県を合わせたぐらいの広さで、水深2mと浅く、穏やかな湾です。湾の浜は、全て5mの厚さの貝殻で埋め尽くされています。

湾周囲の陸地には荒涼とした乾いた風景が広がり、植生はアカシアが優占種の乾燥エレマ地域とユーカリが優占種のオーストラリア南西部（英語版）の2つのエコリージョンからなる[1]。

ここで暮らせるのはシロオビネズミカンガルー、コシアカウサギワラビー、シマウサギワラビー、グールドニセマウス、ニシシマバンディクートやトカゲなど乾燥に適応した動物ばかりです[1]。人間が住みつけなかったことで、自然の豊かさを維持できていると言えるでしょう。

シャーク湾の地理的特徴
項目	内容
位置	オーストラリア西オーストラリア州の西海岸中央部
面積	東京都と千葉県を合わせたぐらい
水深	約2メートル
浜	貝殻で埋め尽くされている
植生	アカシア、ユーカリ
動物	シロオビネズミカンガルー、コシアカウサギワラビーなど

シャーク湾の地形

シャーク湾は、エクスマウス半島とデナム半島に挟まれた大規模な海洋地域であり、珊瑚礁、砂州、海草藻場、ストロマトライトなど多様な海洋生態系が広がっています。

この地域は、約2万平方キロメートルにわたる広大な面積を誇り、多くの希少な動植物が生息しています。

シャーク湾の気候

シャーク湾は、西オーストラリア州の西端に位置し、年間を通じて温暖な気候に属します。

この気候条件が、多様な海洋生態系の発達を支えています。

まとめ

シャーク湾は、オーストラリア西オーストラリア州の西海岸中央部に位置する、広大で穏やかな湾です。

水深が浅く、貝殻でできた浜を持つなど、独特の地形と気候を持つことから、多様な生態系が育まれています。

また、人間が住みつけなかったことで、自然の豊かさを維持できていることも特徴です。

2. シャーク湾の生態系

海草藻場

シャーク湾は、世界最大の海藻藻場（約4800平方km）を有しており、多くの海洋生物の生息地となっています。

この海草藻場は、ジュゴンなどの大型海洋生物にとって重要な餌場であり、生態系を支える重要な役割を担っています。

シャーク湾の海草藻場
項目	内容
面積	約4800平方キロメートル
役割	ジュゴンなどの餌場、生態系維持
特徴	世界最大規模

ストロマトライト

シャーク湾には、地球上で最も古い生命体の一つであるストロマトライトが群生しています。

ストロマトライトは、藻類が積み重なってできた岩石で、35億年前から存在すると考えられています。

シャーク湾のハメリン・プールと呼ばれるエリアには、現在も成長を続けているストロマトライトが見られます。

シャーク湾のストロマトライト
項目	内容
種類	藻類が積み重なってできた岩石
年代	35億年前から存在
特徴	地球最古の生命体の一つ
生息地	ハメリン・プール

ジュゴン

シャーク湾は、世界最大のジュゴンの生息地としても知られています。

ジュゴンは、海草を主食とする大型の海洋哺乳類で、絶滅危惧種に指定されています。

シャーク湾の豊かな海草藻場は、ジュゴンにとって最適な生息環境を提供しています。

シャーク湾のジュゴン
項目	内容
種類	海草を主食とする大型の海洋哺乳類
生息数	世界最大規模
特徴	絶滅危惧種
生息地	シャーク湾の海草藻場

まとめ

シャーク湾は、世界最大規模の海草藻場、地球最古の生命体であるストロマトライト、そして世界最大のジュゴンの生息地など、多様な生態系を持つことで知られています。

これらの生態系は、互いに密接に関係し合い、シャーク湾の豊かな生物多様性を支えています。

特に、海草藻場は、ジュゴンなどの大型海洋生物にとって重要な餌場であり、ストロマトライトは地球の初期の生命進化を理解する上で重要な役割を担っています。

3. シャーク湾の世界遺産登録経緯

登録基準

シャーク湾は、1991年にユネスコの世界遺産（自然遺産）に登録されました。

登録基準は、以下の4つです。

(vii) 自然の美しさや美的な重要性を持つ顕著な自然現象、地形的特徴、または美的価値を持つ地域

(viii) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な例、または生命の進化、または地形的または地質学的プロセスにおける重要な地形的特徴を示す顕著な例

シャーク湾の世界遺産登録基準
基準	内容
(vii)	自然の美しさや美的な重要性を持つ顕著な自然現象、地形的特徴、または美的価値を持つ地域
(viii)	地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な例、または生命の進化、または地形的または地質学的プロセスにおける重要な地形的特徴を示す顕著な例
(ix)	生態系の進化と発展を示す顕著な例
(x)	生物多様性の保護において顕著な普遍的価値を持つ生物学的および生態学的プロセス、または生物学的および生態学的群集の顕著な例

評価ポイント

シャーク湾は、地球上で最も古い生命体で、生きている化石ともいえるストロマトライトが群生する上に、世界最大の海藻藻場もあり、多数の海洋生物が見られる湾であるという点で評価されました。

また、シャーク湾には高塩分のハメリン・プールがあり、ストロマトライトが生息しています。これらは30億年以上に渡って地球上の海洋の生態系を支配してきたという点も評価されました。

世界最大の海藻藻場があることで、海洋水域の牧草地として多様な生態系を生み出していることも評価されました。

さらに、シャーク湾は、世界最大のジュゴンの生息地であり、アオウミガメやアカウミガメなど、絶滅の危機に瀕している多くの動植物が生息しているという点も評価されました。

登録の意義

シャーク湾の世界遺産登録は、この地域の自然環境の重要性を世界に広く知らしめることに貢献しました。

また、登録によって、シャーク湾の保護と保全に対する意識が高まり、持続可能な観光の推進にもつながりました。

まとめ

シャーク湾は、その自然の美しさ、地球の歴史的価値、生態系の多様性、そして生物多様性の保護という4つの重要な要素が評価され、世界遺産に登録されました。

この登録は、シャーク湾の自然環境の重要性を世界に広く知らしめ、保護と保全に対する意識を高めることに貢献しました。

また、持続可能な観光の推進にもつながり、シャーク湾の未来を守るための重要な一歩となりました。

4. シャーク湾の観光スポット

シェルビーチ

シャーク湾の代表的な観光スポットの一つに、シェルビーチがあります。

シェルビーチは、その名の通り、貝殻でできたビーチです。

全長約110kmにも及ぶこのビーチは、世界でも類を見ない光景です。

貝殻が堆積した理由は、湾内の海水の水温と塩分濃度が高く、貝の外敵となる生物の生息を妨げているためです。

シェルビーチの特徴
項目	内容
種類	貝殻でできたビーチ
全長	約110km
特徴	世界でも珍しい
理由	湾内の海水の水温と塩分濃度が高く、貝の外敵となる生物の生息を妨げているため

ハメリン・プール

ハメリン・プールは、シャーク湾にあるストロマトライトの群生地です。

このエリアは、通常の海の約2倍もの塩分濃度を持ち、ストロマトライトをエサとしたい他の生物は生息できません。

そのため、ストロマトライトは、他の場所では見られないほど、豊富に生息しています。

ハメリン・プールの特徴
項目	内容
種類	ストロマトライトの群生地
塩分濃度	通常の海の約2倍
特徴	ストロマトライトが豊富に生息
理由	他の生物が生息しにくい環境のため

モンキー・マイア

モンキー・マイアは、シャーク湾にある野生のイルカと触れ合えるスポットです。

毎日、野生のイルカが海岸沿いにやってきて、餌付けが行われています。

イルカと触れ合える貴重な体験は、シャーク湾を訪れた人にとって忘れられない思い出となるでしょう。

モンキー・マイアの特色
項目	内容
特徴	野生のイルカと触れ合えるスポット
活動	餌付け
時間	毎日
体験	貴重な思い出となる

まとめ

シャーク湾には、シェルビーチ、ハメリン・プール、モンキー・マイアなど、魅力的な観光スポットが数多く存在します。

シェルビーチは、世界でも珍しい貝殻でできたビーチで、その壮大なスケールは圧巻です。

ハメリン・プールでは、地球最古の生命体であるストロマトライトを観察することができます。

モンキー・マイアでは、野生のイルカと触れ合い、貴重な体験をすることができます。

5. シャーク湾の歴史

先住民族の時代

シャーク湾は、約3万年前から先住民族が住んでいたと考えられています。

先住民族は、シャーク湾の豊かな自然環境を生活の糧としてきました。

彼らは、海草や魚介類を採取し、ストロマトライトを道具として利用していました。

シャーク湾の歴史
時代	内容
約3万年前	先住民族が住んでいた
17世紀	オランダの商人やフランスの探検家などが訪れた
1991年	ユネスコの世界自然遺産に登録された

ヨーロッパ人との出会い

17世紀には、オランダの商人やフランスの探検家などがシャーク湾を訪れました。

その後、英国の起業家やアジア太平洋地域の労働者などがこの地域に移住し、シャーク湾は発展していきました。

世界遺産登録

シャーク湾は、1991年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。

この登録は、シャーク湾の自然環境の重要性を世界に広く知らしめ、保護と保全に対する意識を高めることに貢献しました。

まとめ

シャーク湾は、長い歴史の中で、先住民族、ヨーロッパ人、そして世界中の人々によって形作られてきました。

先住民族は、シャーク湾の自然環境と共存し、豊かな文化を築き上げてきました。

ヨーロッパ人との出会いは、シャーク湾の発展に大きく貢献しました。

そして、世界遺産登録は、シャーク湾の自然環境の保護と保全を促進する重要な役割を果たしています。

6. シャーク湾の未来

持続可能な観光

シャーク湾は、その美しい自然景観と豊かな生態系から、多くの観光客を引き付けています。

しかし、観光が環境に与える影響を最小限に抑えるため、持続可能な観光と保全活動が推進されています。

特に、訪問者には自然環境の保護を促す教育プログラムが提供されており、エコツーリズムが盛んです。

シャーク湾の持続可能な観光
項目	内容
目的	環境への影響を最小限に抑える
取り組み	環境保護教育、エコツーリズムの推進
効果	自然環境の保護、観光客の意識向上