イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群とは?世界遺産についての解説

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群の構成と特徴
公園名 位置 面積 標高 特徴
イスチグアラスト州立公園 サンフアン州北東部 603.7 km2 約1,300m 三畳紀後期の地層、世界最古の恐竜化石、月の谷
タランパジャ国立公園 ラ・リオハ州中西部 2,150 km2 約1,500m 赤い砂岩の断崖、ペトログリフ、固有植物
合計 2,753.7 km2

1. 自然保護地域の特徴とは

要約

1-1. イスチグアラスト州立公園

イスチグアラスト州立公園は、アルゼンチン北西部、チリ国境近くのサンフアン州の北東部に位置する。面積は約604平方キロメートル、標高は約1

イスチグアラスト州立公園内には、イスチグアラスト=ビジャ・ウニオン盆地と呼ばれる三畳紀後期の地層(カーニアン期:約2億3000万年前)が分布する。この地層はイスチグアラスト累層と呼ばれ、世界最古の恐竜や当時の陸上爬虫類の化石が産出することで知られている。イスキグアラスト累層は、三畳紀後期の層序を良好に保存しているため、当時の陸上の動物相を復元できる世界的に貴重な地層である。また、三畳紀に爬虫類が恐竜や哺乳類へと進化していった過程を研究する上で重要な研究対象となっている。

イスチグアラスト累層の周りに発達する乾燥した悪地は、乾燥地の低木とサボテンがまばらな荒涼とした風景のために「月の谷」と呼ばれている。カーニアン期には、この地域は雨季に強い雨が降る河川の氾濫原だった。Protojuniperoxylon ischigualastianusなどの高さ40メートルにも達する巨大な珪化木は、当時の豊かな植生を示している。他にもシダ類やトクサ類の化石も産出する。

この公園内では、リンコサウルス類やキノドン類が多産する。それに対し、恐竜は陸上脊椎動物化石のうち、6%を占めるに過ぎない。しかし、恐竜の2つの分類群―竜盤目と鳥盤目―がすでに分化している。恐竜の中では、肉食のヘルレラサウルスが最も多産する。他にも最も原始的な特徴を備えた恐竜の一つ、エオラプトルが産出した。

イスチグアラスト州立公園の特徴
項目 内容
位置 サンフアン州北東部
面積 603.7 km2
標高 約1,300m
気候 乾燥、気温差が大きい
植生 砂漠性の植生
地層 イスチグアラスト累層(三畳紀後期)
化石 世界最古の恐竜、陸上爬虫類
景観 月の谷
その他 珪化木、シダ類、トクサ類の化石

1-2. タランパジャ国立公園

タランパジャ国立公園は、アルゼンチン北西部、ラ・リオハ州の中西部に位置する国立公園である。公園の総面積は2

タランパジャ国立公園内では、古生物学的・考古学的に重要な発見が数多くされており、それら記念物の保護のために本公園が設定された。1975年に州立公園として設定され、1997年に国立公園に昇格した。優れた景観を有し、山岳地帯に典型的な植物相・動物相を有する。

タランパジャ国立公園内には、高さ200メートルにも達する赤い砂岩の断崖や奇岩などが有名である。イスチグアラスト州立公園と同じく、三畳紀の地層などが観察され、生物学的にも、考古学的にも重要な場所と評価されている。この地方だけに生息する固有の植物もある。

タランパジャ国立公園は、イスチグアラスト州立公園と併せて、2000年にユネスコの世界遺産に登録された。

タランパジャ国立公園の特徴
項目 内容
位置 ラ・リオハ州中西部
面積 2,150 km2
標高 約1,500m
気候 砂漠気候
植生 山岳地帯に典型的な植物相
景観 赤い砂岩の断崖、奇岩
その他 ペトログリフ、固有植物

1-3. 世界遺産登録基準

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された。

(viii) – 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、三畳紀のほぼ完璧な化石を含む堆積物の地層が見られ、後の「恐竜の時代」を迎える以前の生物の進化を示すもの。これらは魚類、爬虫類、両生類、原始的な恐竜・エオラプトルを含む化石だけでなく、100種の植物の化石まで見られ、三畳紀初期の哺乳類の祖先から恐竜の時代まで、生物の歴史が見られるという点で、世界遺産登録基準(viii)に該当するとされる。

イスチグアラスト州立公園とタランパジャ国立公園からは三畳紀のさまざまな生物の化石が発見され、これらは原始的な恐竜や哺乳類の進化を示し、後の恐竜が拡大する時代の原点であるという点で評価されている。

世界遺産登録基準
基準 内容
(viii) 地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本

1-4. まとめ

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、アルゼンチン北西部に位置する、イスチグアラスト州立公園とタランパジャ国立公園から構成される世界遺産である。

この地域は、三畳紀の陸上の堆積物が広く露出し、最初期の恐竜を含めた当時の爬虫類の化石が多産することで知られている。

イスチグアラスト州立公園は、乾燥した砂漠地帯に位置し、世界最古の恐竜や当時の陸上爬虫類の化石が産出するイスチグアラスト累層が分布する。

タランパジャ国立公園は、山脈に挟まれた盆地で、赤い砂岩の断崖や奇岩などが有名である。両公園とも、生物学的にも、考古学的にも重要な場所と評価されている。

2. 生物多様性とその価値

要約

2-1. イスチグアラスト州立公園の生物多様性

イスチグアラスト州立公園は、乾燥した砂漠地帯に位置しているため、植物相は限られている。しかし、この厳しい環境に適応した、乾燥地の低木やサボテンなどが生育している。

動物相は、砂漠環境に適応した種が中心となっている。グアナコ、ラマ、キツネ、ウサギなどの哺乳類や、コンドルなどの鳥類が生息している。

イスチグアラスト州立公園は、化石の宝庫として知られており、恐竜や哺乳類の祖先、魚類、両生類、植物などの化石が数多く発見されている。

これらの化石は、三畳紀の生物の進化を研究する上で非常に貴重な資料となっている。

イスチグアラスト州立公園の生物多様性
分類
哺乳類 グアナコ、ラマ、キツネ、ウサギ
鳥類 コンドル
化石 恐竜、哺乳類の祖先、魚類、両生類、植物

2-2. タランパジャ国立公園の生物多様性

タランパジャ国立公園は、山岳地帯に位置しているため、イスチグアラスト州立公園よりも植物相が豊富である。

乾燥地帯に適応した植物が生育しており、サボテン、低木、草などがみられる。

動物相は、イスチグアラスト州立公園と共通する種が多い。グアナコ、ラマ、キツネ、ウサギなどの哺乳類や、コンドルなどの鳥類が生息している。

タランパジャ国立公園は、イスチグアラスト州立公園と同様に、化石の宝庫として知られており、三畳紀の生物の進化を研究する上で重要な場所となっている。

タランパジャ国立公園の生物多様性
分類
植物 サボテン、低木、草
哺乳類 グアナコ、ラマ、キツネ、ウサギ
鳥類 コンドル
化石 三畳紀の生物

2-3. 生物多様性の価値

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群の生物多様性は、地球の歴史を理解する上で非常に重要な役割を果たしている。

この地域で見られる化石は、三畳紀の生物の進化を研究する上で貴重な資料となっている。

また、この地域に生息する固有種は、生物多様性の保全という観点からも重要な価値を持つ。

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、生物多様性の保全と研究の両面において、重要な役割を果たしている。

2-4. まとめ

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、乾燥した砂漠地帯に位置しているため、生物多様性は限られている。

しかし、この厳しい環境に適応した、乾燥地の低木やサボテンなどの植物や、グアナコ、ラマ、キツネ、ウサギなどの哺乳類、コンドルなどの鳥類が生息している。

この地域は、化石の宝庫として知られており、三畳紀の生物の進化を研究する上で非常に貴重な資料となっている。

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、生物多様性の保全と研究の両面において、重要な役割を果たしている。

3. 水資源の重要性と保全活動

要約

3-1. 水資源の重要性

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、乾燥した砂漠地帯に位置しているため、水資源は非常に貴重である。

この地域の水資源は、主に降雨に依存している。しかし、降雨量は少なく、しかも不規則であるため、水資源の確保は常に課題となっている。

水資源は、公園内の動植物の生存にとって不可欠である。また、観光客の利用にも必要不可欠である。

そのため、水資源の保全は、イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群の持続可能な利用にとって非常に重要である。

水資源の重要性
項目 内容
水資源の重要性 動植物の生存、観光客の利用
水資源の課題 降雨量の少なさ、不規則性

3-2. 水資源の保全活動

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群では、水資源の保全のために、さまざまな取り組みが行われている。

例えば、雨水を貯めるためのダムや貯水池が建設されている。また、水資源の効率的な利用を促進するための啓発活動も実施されている。

さらに、公園内の動植物の生息環境を守るために、水資源の利用制限なども行われている。

これらの取り組みによって、イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群の水資源は、将来にわたって保全されていくことが期待されている。

水資源の保全活動
活動 内容
ダム建設 雨水の貯留
貯水池建設 雨水の貯留
啓発活動 水資源の効率的な利用
利用制限 動植物の生息環境保護

3-3. 水資源の保全の課題

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群の水資源の保全には、いくつかの課題がある。

一つは、気候変動の影響である。地球温暖化によって、降雨量が減少したり、降雨のパターンが変化したりする可能性がある。

もう一つは、人口増加による水需要の増加である。観光客の増加や、周辺地域の人口増加によって、水資源の需要は増加傾向にある。

これらの課題に対処するためには、水資源の保全に関する国際的な協力や、地域住民の意識改革が不可欠である。

水資源の保全の課題
課題 内容
気候変動 降雨量の減少、降雨パターンの変化
人口増加 水需要の増加

3-4. まとめ

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、乾燥した砂漠地帯に位置しているため、水資源は非常に貴重である。

水資源は、公園内の動植物の生存にとって不可欠であり、観光客の利用にも必要不可欠である。

水資源の保全は、気候変動や人口増加などの課題があるものの、ダムや貯水池の建設、水資源の効率的な利用を促進するための啓発活動、水資源の利用制限などの取り組みによって、将来にわたって保全されていくことが期待されている。

水資源の保全は、イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群の持続可能な利用にとって非常に重要である。

4. 文化遺産と自然の共存

要約

4-1. タランパジャ国立公園の文化遺産

タランパジャ国立公園は、自然遺産だけでなく、文化遺産も豊富である。

公園内には、1500年前のペトログリフ(岩絵)が残されている。

これらのペトログリフは、古代の人々の生活や信仰を伝える貴重な資料となっている。

タランパジャ国立公園は、自然と文化が調和した貴重な場所である。

タランパジャ国立公園の文化遺産
項目 内容
ペトログリフ 1500年前の岩絵
価値 古代の人々の生活や信仰を伝える資料

4-2. 文化遺産の保全

タランパジャ国立公園では、文化遺産の保全のために、さまざまな取り組みが行われている。

例えば、ペトログリフの保護のための柵が設置されている。また、文化遺産に関する啓発活動も実施されている。

さらに、公園内の文化遺産を保護するために、立ち入り制限なども行われている。

これらの取り組みによって、タランパジャ国立公園の文化遺産は、将来にわたって保全されていくことが期待されている。

文化遺産の保全活動
活動 内容
柵の設置 ペトログリフの保護
啓発活動 文化遺産に関する啓発
立ち入り制限 文化遺産の保護

4-3. 文化遺産と自然遺産の共存

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、自然遺産と文化遺産が共存する貴重な場所である。

この地域は、三畳紀の化石やペトログリフなど、地球の歴史と人類の歴史を伝える貴重な資料を豊富に有している。

自然遺産と文化遺産の共存は、この地域のユニークな魅力であり、世界遺産としての価値を高めている。

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、自然と文化が調和した、貴重な場所である。

4-4. まとめ

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、自然遺産だけでなく、文化遺産も豊富である。

タランパジャ国立公園には、1500年前のペトログリフ(岩絵)が残されており、古代の人々の生活や信仰を伝える貴重な資料となっている。

自然遺産と文化遺産の共存は、この地域のユニークな魅力であり、世界遺産としての価値を高めている。

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、自然と文化が調和した、貴重な場所である。

5. 観光地としての魅力

要約

5-1. イスチグアラスト州立公園の魅力

イスチグアラスト州立公園は、その独特の景観で知られている。

特に「月の谷」と呼ばれるエリアは、奇岩や立ちはだかる大きな壁、見たこともない絶景はまるで違う惑星に来たかのよう。

ファンタジーを感じずにはいられない光景が広がり、多くの観光客を魅了している。

イスチグアラスト州立公園は、地球の歴史と自然の驚異を体感できる、貴重な観光地である。

イスチグアラスト州立公園の魅力
項目 内容
景観 月の谷、奇岩、大きな壁
その他 化石発掘地

5-2. タランパジャ国立公園の魅力

タランパジャ国立公園は、高さ200メートルにも達する赤い砂岩の崖や奇岩など、壮大な景観が広がる。

公園内には、専用のツアーに参加して、これらの景観を楽しむことができる。

タランパジャ国立公園は、自然の力強さを感じられる、迫力満点の観光地である。

イスチグアラスト州立公園とタランパジャ国立公園は、それぞれ異なる魅力を持つ観光地であり、合わせて訪れることで、より充実した旅になる。

タランパジャ国立公園の魅力
項目 内容
景観 赤い砂岩の断崖、奇岩
その他 ペトログリフ

5-3. 観光の注意点

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群へのアクセスは、ややハードルが高い。

ブエノスアイレスからは、陸路だと片道10時間以上かかる。

通常は空路で行く場所なので、首都から日帰りツアーができないため、ツアーがあまり出ていない。

そのため、サンファンやメンドーサなどの近隣の都市まで行き、そこからツアーに参加するのが一般的である。

観光の注意点
項目 内容
アクセス ブエノスアイレスから陸路で10時間以上
ツアー サンファンやメンドーサから参加
その他 外国人観光客は別途入場料がかかる

5-4. まとめ

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、地球の歴史と自然の驚異を体感できる、貴重な観光地である。

イスチグアラスト州立公園は、独特の景観で知られており、「月の谷」と呼ばれるエリアは、まるで違う惑星に来たような光景が広がる。

タランパジャ国立公園は、高さ200メートルにも達する赤い砂岩の崖や奇岩など、壮大な景観が広がる。

アクセスは、ややハードルが高いが、サンファンやメンドーサなどの近隣の都市からツアーに参加することで、これらの貴重な観光地を楽しむことができる。

6. 世界遺産登録の意義と影響

要約

6-1. 世界遺産登録の意義

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群が世界遺産に登録されたことは、この地域の価値を世界に広く知らしめることに貢献した。

世界遺産登録は、この地域の保全と持続可能な利用を促進するための重要な役割を果たしている。

また、世界遺産登録は、観光客の増加にもつながり、地域経済の活性化にも貢献している。

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、世界遺産登録によって、その価値がさらに高まったと言える。

世界遺産登録の意義
項目 内容
意義 価値の認知、保全促進、観光客増加
影響 地域経済活性化

6-2. 世界遺産登録の影響

世界遺産登録によって、イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、世界中から注目を集めるようになった。

観光客の増加は、地域経済の活性化に貢献している一方、環境への負荷も懸念されている。

そのため、世界遺産登録後も、環境保全と観光のバランスをどのように取るかが課題となっている。

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、世界遺産登録によって、新たな課題と可能性を同時に抱えている。

世界遺産登録の影響
項目 内容
影響 観光客増加、環境負荷
課題 環境保全と観光のバランス

6-3. 世界遺産登録の未来

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、世界遺産登録によって、その価値が世界に広く知られるようになった。

しかし、世界遺産登録は、保全と観光のバランスという新たな課題も同時に持ち込んでいる。

今後、この地域は、環境保全と観光のバランスをどのように取るのか、そして、世界遺産としての価値をどのように維持していくのか、という課題に直面していくことになるだろう。

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群の未来は、世界遺産登録によって、新たな章を迎えている。

6-4. まとめ

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、世界遺産登録によって、その価値が世界に広く知られるようになった。

世界遺産登録は、この地域の保全と持続可能な利用を促進するための重要な役割を果たしている。

しかし、世界遺産登録は、観光客の増加による環境への負荷など、新たな課題も同時に持ち込んでいる。

今後、イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群は、環境保全と観光のバランスをどのように取るのか、そして、世界遺産としての価値をどのように維持していくのか、という課題に直面していくことになるだろう。

参考文献

化石と岩が造る芸術美!世界遺産イスチグアラスト/タランパ …

イスキグアラスト/タランパヤ自然公園群 – Wikipedia

「イスチグアラスト&タランパジャ自然公園群」徹底ガイド …

アルゼンチンの世界遺産「イスキグアラスト/タランパヤ自然 …

特集『イスチグアラスト・タランパジャ自然公園群』|Tbs …

イスキグアラスト/タランパヤ自然公園群 – Wikiwand

イスチグアラスト/タランパジャ自然公園群 | トラベルタウンズ

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