黄龍の景観と歴史地域とは?世界遺産についての解説

黄龍の景観と歴史地域
項目 内容
地形 カルスト地形、石灰華段丘、氷河浸食
景観 エメラルドグリーンの石灰華段、黄金色に輝く石灰華層
アクセス 徒歩、ロープウェイ
歴史 明代創建の黄龍寺、夏の時代からの歴史
文化 チベットの祭り、生物圏保護区
世界遺産 登録基準(vii), 自然美と文化的景観
生態系 ジャイアントパンダ、金絲猴などの絶滅危惧種
観光スポット 五彩池、映月彩池、争艶彩池、明鏡倒映池
アクティビティ 遊歩道散策、ロープウェイ乗車、黄龍寺訪問
ポイント 高山病対策、環境保護、ベストシーズンは6月下旬~10月

1. 黄龍の自然景観

要約

黄龍の地形

黄龍は、岷山山脈の一部である玉翠山の山頂(標高約5100m)から北に向かって伸びる全長7.5kmの峡谷(黄龍溝)であり、世界有数のカルスト地形です。新生代第四紀に隆起した石灰岩層が氷河に侵食されて巨大な峡谷となり、そこに石灰分の豊富な水が流れ続けた結果、石灰華の沈殿したエメラルドグリーンの美しい石灰華段(石灰華段丘とも)をはじめ、黄金色に輝く石灰華の層、そして石灰華の滝や谷が形成されました。

黄龍は、岷山山脈の南側に位置しており、四川省の省都成都から北に約230km離れています。水系としては長江水系の涪江の水源の1つであり、涪江、岷江と嘉陵江の分水嶺に位置しています。

黄色がかった乳白色の石灰華の連なりは、雪を頂いた山脈を昇ってゆく黄色い龍の姿にたとえられます。同風景区は中国唯一、非常に良い状態で残っている高原湿地帯であるとも言われています。

黄龍の地形
地形 特徴
カルスト地形 石灰岩が氷河によって浸食された地形
石灰華段丘 石灰分の豊富な水が沈殿してできた段丘
氷河浸食 長い年月をかけて氷河が石灰岩を削り、独特の地形を形成

黄龍の景観

黄龍の水の色は場所によって黄色、緑色、青色、茶色と様々に変化して見え、晴天時は日光と相まって金色に輝きます。中でも風景区最奥部にあり黄龍最大の石灰華段である「五彩池」、そして2番目の規模を持つ色彩鮮やかな「争艶池」は必見です。

また、「金沙舗地」(標高3281m)は1500mの長さを持つ世界最長の石灰華層として知られています。

黄龍の景観
景観 特徴
五彩池 黄龍最大の石灰華段、エメラルドグリーンの水
争艶池 2番目に大きな石灰華段、色彩豊か
金沙舗地 世界最長の石灰華層、黄金色に輝く

黄龍のアクセス

黄龍には車道は無く、木製の遊歩道を徒歩のみで移動します。遊歩道のうち麓に近い区間は上り用と下り用に分けられています。往復4時間(上り2.5時間、下り1.5時間)程度の距離ですが、標高が高いうえ高低差が大きいことから高山病に注意すべきです。

2006年8月にロープウェイが開通しました。景観を考慮してロープウェイの2駅はいずれも遊歩道のコースからかなり離れたところに設置されています。それでも、上りにロープウェイを使うことで一気に五彩池とほぼ同じ標高まで到達できるので、格段に便利になったといえます。

黄龍のアクセス
アクセス方法 特徴
徒歩 遊歩道を利用、標高が高いため体力が必要
ロープウェイ 五彩池まで一気にアクセス可能、景観を考慮した設置

まとめ

黄龍は、標高の高い山岳地帯に位置するカルスト地形であり、氷河の浸食によって形成された独特の景観が特徴です。エメラルドグリーンの石灰華段や黄金色に輝く石灰華層など、自然の造形美を堪能できます。

アクセスは徒歩またはロープウェイを利用することになります。標高が高いため、高山病対策は必須です。

2. 歴史地域の魅力

要約

黄龍寺

黄龍には、黄龍後寺(仏教)と黄龍中寺(道教)が現存しています。いずれも明代創建で、合わせて黄龍寺と呼ばれます。

黄龍寺は、黄龍の麓に位置し、石灰の泉から流れ落ちる水を心臓や万病に効くとされ、まるで神の息吹のように扱われています。

地元のチベットの人々からは、こうした神の恵みとともに豊穣を祝う祭りも行われています。

黄龍寺
寺院 特徴
黄龍後寺 仏教寺院、明代創建
黄龍中寺 道教寺院、明代創建
黄龍寺 黄龍後寺と黄龍中寺を合わせた名称

黄龍の歴史

黄龍の歴史は古く、伝説の王朝、夏の時代まで遡ります。夏王朝は、伝説の皇帝、兎が立てたとされています。王朝設立後、兎は黄龍を訪れて紙をたてまつる霊廟を立てました。それが現在の黄龍寺だとされています。

黄龍の歴史
時代 特徴
夏王朝 伝説の王朝、黄龍寺は霊廟として建てられたとされる
明代 黄龍後寺と黄龍中寺が創建された時代

黄龍の文化

黄龍は、自然環境だけでなく、そこに根付いて生態系を営んでいる動植物の価値も相当の物であると考えられています。

黄龍には、ジャイアントパンダや金絲猴などの稀少動物が生息しており、2000年にユネスコの「人間と生物圏計画」(MAB計画)の生物圏保護区に指定されました。

黄龍の文化
文化 特徴
チベットの祭り 神の恵みと豊穣を祝う祭り
生物圏保護区 ジャイアントパンダや金絲猴などの貴重な動物が生息

まとめ

黄龍は、自然景観だけでなく、歴史的な建造物や文化も魅力です。黄龍寺は、明代に創建された仏教寺院と道教寺院が合わさったもので、地元の人々にとって重要な信仰の場となっています。

また、黄龍はジャイアントパンダや金絲猴などの貴重な動物が生息する生物圏保護区としても知られており、自然と文化が調和した地域として、世界遺産に登録されています。

3. 世界遺産としての価値

要約

黄龍の世界遺産登録基準

黄龍は、1992年に「黄龍の景観と歴史地域」としてユネスコの世界遺産に登録されました。

登録基準は(vii)「顕著な自然美及び美的な重要性をもつ超自然的現象、または文化的景観を含む場所」です。

黄龍は、森林に囲まれたカルスト地形が多く見られ、石灰華の沈殿した段丘と湖は、アジアでも優れた景観であるということ。

黄龍の世界遺産登録基準
基準 内容
(vii) 顕著な自然美及び美的な重要性をもつ超自然的現象、または文化的景観を含む場所

黄龍の価値

黄龍は世界有数のカルスト地形で、石灰華が沈殿した石灰華段丘はエメラルドグリーンに輝き、アジアの中でも優れた景観を保つという点で評価されています。

また、絶滅危惧種であるジャイアントパンダや金絲猴などの貴重な動物が生息していることも、黄龍の価値を高めています。

黄龍の価値
価値 特徴
自然美 カルスト地形、石灰華段丘、エメラルドグリーンの水
文化的景観 黄龍寺、チベットの祭り、生物圏保護区
生態系 ジャイアントパンダ、金絲猴などの貴重な動物が生息

黄龍の保護

黄龍は、世界遺産に登録されたことで、その景観や生態系の保護が重要視されるようになりました。

観光客の増加による環境への影響を最小限に抑えるため、遊歩道やロープウェイなどのインフラ整備が進められています。

黄龍の保護
保護活動 内容
遊歩道整備 観光客の増加による環境への影響を最小限に抑える
ロープウェイ整備 アクセスを改善し、環境負荷を軽減
啓発活動 ゴミの分別、環境保護に関する啓発

まとめ

黄龍は、その美しい自然景観と貴重な生態系、そして歴史的な建造物や文化を併せ持つことから、世界遺産に登録されました。

黄龍は、自然と文化が調和した貴重な場所であり、今後もその価値を保ち、次世代に引き継いでいくことが重要です。

4. 黄龍の生態系

要約

黄龍の生物多様性

黄龍は、ジャイアントパンダや金絲猴などの絶滅危惧種を含む、多くの貴重な動物が生息しています。

また、黄龍には、高山植物など、多様な植物が生育しており、豊かな生態系を形成しています。

黄龍の生物多様性
生物 特徴
ジャイアントパンダ 絶滅危惧種、黄龍に生息
金絲猴 絶滅危惧種、黄龍に生息
高山植物 多様な植物が生育

黄龍の環境保護

黄龍は、ユネスコの生物圏保護区に指定されており、その生態系の保護が重要視されています。

観光客の増加による環境への影響を最小限に抑えるため、ゴミの分別や環境保護に関する啓発活動などが行われています。

黄龍の環境保護
保護活動 内容
生物圏保護区 ユネスコによる指定、生態系の保護が重要視される
ゴミ分別 観光客によるゴミの持ち帰り、分別を促す
啓発活動 環境保護に関する啓発活動

黄龍の生態系への影響

黄龍は、標高が高く、気候変動の影響を受けやすい場所です。

地球温暖化による気温上昇や降水量の変動は、黄龍の生態系に影響を与える可能性があります。

黄龍の生態系への影響
影響 内容
気温上昇 地球温暖化による影響、生態系への影響が懸念される
降水量変動 地球温暖化による影響、生態系への影響が懸念される

まとめ

黄龍は、多様な生物が生息する豊かな生態系を持つ一方で、気候変動などの影響を受けやすい場所でもあります。

黄龍の生態系を守るためには、観光客だけでなく、地域住民や政府による継続的な保護活動が不可欠です。

5. 観光スポットとアクティビティ

要約

黄龍の主要観光スポット

黄龍の最大の見どころは、標高約3600mの場所にある「五彩池」です。

五彩池は、693もの小さな池が集まりできた絶景の池で、小さな池が蓮の花のように並ぶことでさらなる美しさを見せてくれています。

池の中の水が5色に輝いていることからこの名がつけられました。石灰岩からなるこの池は歪な形をしており、この世のものとは思えない不思議な光景が広がります。

五彩池には、展望台デッキが設置されているので、上からの景色を楽しむこともできますよ。この世の仙境とも称される絶景をぜひ堪能してみてください。

黄龍の主要観光スポット
スポット 特徴
五彩池 693個の小さな池が集まった絶景、エメラルドグリーンの水
展望台デッキ 五彩池を上から見渡せる

黄龍のその他の観光スポット

五彩池以外にも、黄龍には多くの見どころがあります。

例えば、映月彩池は、池の水面に月が映り込み、それが美しかったことからその名がつけられました。

争艶彩池は、658の池が集まってできた美しいスポットです。658個それぞれの池は形や色味も異なり、それぞれがまるで競い合っているかのように輝く景観が広がっています。

明鏡倒映池は、穏やかさが特徴のひとつです。水面にはまるで鏡のように、周りの木や空、山々が映り込み、美しい風景を演出してくれます。

黄龍のその他の観光スポット
スポット 特徴
映月彩池 水面に月が映り込む美しい池
争艶彩池 658個の池が集まったスポット、色彩豊か
明鏡倒映池 水面に周りの景色が映り込む、穏やかな池

黄龍でのアクティビティ

黄龍では、遊歩道を散策したり、ロープウェイに乗ったりして、美しい景観を楽しむことができます。

また、黄龍寺を訪れて、歴史と文化に触れることもできます。

黄龍でのアクティビティ
アクティビティ 内容
遊歩道散策 黄龍の美しい景観を楽しみながら歩く
ロープウェイ乗車 五彩池まで一気にアクセス
黄龍寺訪問 歴史と文化に触れる

まとめ

黄龍は、五彩池をはじめ、多くの美しい景観スポットがあります。

遊歩道やロープウェイを利用して、黄龍の自然を満喫しましょう。

6. 黄龍を訪れる際のポイント

要約

黄龍へのアクセス

黄龍へのアクセスは、成都からバスまたはタクシーを利用するのが一般的です。

黄龍には車道がないため、麓から五彩池までは徒歩またはロープウェイを利用する必要があります。

黄龍へのアクセス
アクセス方法 特徴
バス 成都から黄龍まで運行、所要時間は約6時間
タクシー 成都から黄龍まで運行、所要時間は約6時間
ロープウェイ 麓から五彩池までアクセス可能

黄龍観光の注意点

黄龍は標高が高いため、高山病に注意が必要です。

事前に高山病対策をしっかりとして、体調管理を心がけましょう。

また、黄龍は自然保護区なので、ゴミを捨てたり、植物を傷つけたりしないように注意しましょう。

黄龍観光の注意点
注意点 内容
高山病 標高が高いため注意が必要、事前に対策を
環境保護 ゴミを捨てたり、植物を傷つけたりしないように

黄龍観光のベストシーズン

黄龍のベストシーズンは、水量が多く、景色が美しい6月下旬から10月です。

特に、紅葉が美しい9月下旬から10月下旬はおすすめです。

黄龍観光のベストシーズン
シーズン 特徴
6月下旬~10月 水量が多く、景色が美しい
9月下旬~10月下旬 紅葉が美しい

まとめ

黄龍を訪れる際は、アクセス方法や高山病対策、環境保護など、事前にしっかりと準備をしておきましょう。

黄龍の美しい景観を安全に、そして心ゆくまで楽しむために、これらのポイントを参考にしてください。

参考文献

黄龍風景区 – Wikipedia

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