エレファンタ石窟群とは?世界遺産についての解説

エレファンタ石窟群の概要
項目 内容
場所 インド・ムンバイ近郊のエレファンタ島
宗教 ヒンドゥー教
主な神 シヴァ神
建設時期 グプタ朝時代(5世紀~8世紀)
面積 約5,600平方メートル
登録年 1987年
登録基準 (i) 人類の創造的才能を表現する傑作
(iii) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠
アクセス ムンバイのインド門からボートで約1時間

1. エレファンタ石窟群の概要

要約

エレファンタ石窟群とは?

エレファンタ石窟群は、インドのムンバイ近海のアラビア海に浮かぶエレファンタ島にある石窟寺院のことである。シヴァ信仰の中心地であり、グプタ朝時代に建設が始まったとされる。1987年にUNESCOの世界遺産に登録された(ID244)。チャラプリ石窟とも呼ばれる。

現在のカルナータカ州を治めたラーシュトラクータ朝(753年-982年)時代から残る彫刻がある。列柱ホールの最深部の壁面に残る3面のシヴァ神は、高さ5.7メートルある。

石窟寺院は、面積は約5

現在では、国内外を問わず多くの観光客を集めている。

エレファンタ石窟群の構成
構成要素 説明
東西の祠堂 シヴァ神を祀るための部屋
メインの列柱ホール 大きな空間で、彫刻などが飾られている
彫刻 シヴァ神や他のヒンドゥー教の神々、神話などを表現している

世界遺産登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

(i) 人類の創造的才能を表現する傑作。

(iii) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。

世界遺産登録基準
基準 説明
(i) 人類の創造的才能を表現する傑作
(iii) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠

アクセス

エレファンタ島へは、ムンバイのインド門の裏側(海側)からボートに乗っていきます。チケットはその場にいる売り子さんから購入。建物やブースがあるわけではなく、売り子さんが「エレファンタ!エレファンタ!エレファンタ!」と叫んでいるだけですから、ちょっと不安になるかも。往復で200ルピーでした。乗り場もそこにあります。乗り場といっても脇にボートがつくだけです。

ボートは2階建てで、2階デッキは10ルピーほど追加料金を支払います。乗船時間は1時間程度。かなりのんびりとした速度です。

島につくと、かなり長い桟橋。ミニSLに乗って移動もできます。待っているのも面倒だったので歩きました。夏はかなりしんどいかもしれません。

桟橋のあとは入島税5ルピーを支払い、両側に店が並ぶ参道を進みます。石窟は岩山の上部にありますので階段を上ります。

アクセス方法
交通手段 説明
ボート ムンバイのインド門からエレファンタ島まで運行
所要時間 約1時間
料金 往復で約200ルピー

まとめ

エレファンタ石窟群は、インドのムンバイ近郊にある世界遺産に登録された石窟寺院です。シヴァ神を祀る寺院として有名で、グプタ朝時代に建設が始まったとされています。

石窟群は、東西の祠堂とメインの列柱ホールから構成され、面積は約5

エレファンタ島は、インド門からボートで約1時間で行ける距離にあります。

現在では、国内外から多くの観光客が訪れる人気の観光スポットとなっています。

2. 歴史的背景と文化的意義

要約

エレファンタ島の歴史

エレファンタ島では2世紀頃には定住がはじまっていたようです。石窟群が建設された時期は正確なことがわかっておらず、5世紀半ばから6世紀頃とか6~8世紀とかに建設されたといわれています。

エレファンタ島には高さ200m程度の2つの岩山があり、東側の岩山には2か所、西側には5か所、合計7か所の石窟があります。観光では西側を見るのが一般的だと思います。

1534年にムンバイがポルトガル統治下になり、この頃、ポルトガル人が島を訪れ石窟群を見つけました。もともとはガーラープリ(Gharapuri)と呼ばれていた島ですが、ポルトガル人が象の石像を発見し、ポルトガル語の「象」を意味するエレファンタ島と名付けました。彼らは石像を銃撃の練習台とし多くを破壊してしまったそうです。建設時期が確定できないのもこの影響かもしれません。

エレファンタ島の歴史
時代 出来事
2世紀頃 定住が始まる
5世紀半ば~6世紀頃 石窟群の建設開始(推定)
1534年 ムンバイがポルトガル統治下になる
16世紀 ポルトガル人がエレファンタ島を発見、石窟群を破壊

シヴァ神信仰の中心地

エレファンタ石窟群は、ヒンドゥー教の最高神の一人であるシヴァ神を祀る寺院として、古くから信仰を集めてきました。

特に、第1窟にある高さ5.7メートルの巨大なシヴァ神の三面半身像は、ヒンドゥー教美術の傑作として知られています。

この像は、シヴァ神の創造者、守護者、破壊者の3つの側面を表しており、シヴァ神の力強さと神秘性を表現しています。

シヴァ神信仰
内容 説明
シヴァ神 ヒンドゥー教の最高神の一人
信仰 古くから人々に崇拝されてきた
重要性 エレファンタ石窟群はシヴァ神信仰の中心地として重要な役割を果たしてきた

ポルトガル人による破壊

16世紀にポルトガル人がムンバイを占領した際、エレファンタ島もポルトガル領となりました。

ポルトガル人は、石窟群にある彫刻を銃撃の練習台として使用したり、破壊したりしました。

そのため、石窟群は多くの損傷を受けており、現在では第1窟のみが比較的良好な状態で見ることができます。

ポルトガル人による破壊
行為 結果
銃撃の練習台 彫刻の損傷
破壊 多くの石窟や彫刻が失われた
影響 石窟群の保存状態が悪化した

まとめ

エレファンタ石窟群は、シヴァ神信仰の中心地として、古くから人々に崇拝されてきました。

しかし、ポルトガル人による破壊によって、多くの石窟や彫刻が失われてしまいました。

現在では、残された石窟群を保護し、後世に伝えることが重要な課題となっています。

3. 石窟内部の壁画と仏教彫刻

要約

第1窟

保存状態が良い第1窟が見どころです。入場料を支払い最初に見るのが西側の岩山にある第1窟です。ここが一番大きく、破壊も免れ良い状態で見ることができる石窟です。

奥行きは39mもあり、20~30本ある列柱に支えられた空間でシヴァやヒンドゥーの神話のレリーフを見ることができます。この石窟は、有名なエローラの第29窟(ドゥマール・レナ窟)ととても良く似ているそうです。

第1窟のもっとも奥まったところにあるのは、高さ5.7m(7mとも)の巨大なシヴァの三面半身象。見どころです。この3つの姿は、シヴァの創造者、守護者、破壊者の3つの側面を表現しています。

第1窟の見どころ
内容 説明
列柱 20~30本あり、空間を支えている
レリーフ シヴァ神やヒンドゥー教の神話などが描かれている
シヴァ神の三面半身像 高さ5.7メートルあり、見どころの一つ

第2~5窟

第1窟を出て、さらに奥へ進むと第2~第5窟を見ることができます。中には建設途中で放棄されたのか破壊されたのかはわかりませんが、原形をとどめていないようなところもあります。

だいたいどの石窟にもリンガがあり、このことからもシヴァ神信仰の石窟寺院群だったことがわかります。

第2~5窟
内容 説明
保存状態 破壊されている
特徴 リンガが残っている
意味 シヴァ神信仰の石窟寺院群であったことを示している

仏教彫刻

第7窟をさらに進んでいくとストゥーパ(卒塔婆)があることから、エレファンタ島の最初の住人は仏教徒であったことがわかります。

第7窟
内容 説明
ストゥーパ 仏教の塔
意味 エレファンタ島に仏教徒が住んでいたことを示している

まとめ

エレファンタ石窟群は、シヴァ神を祀る石窟寺院群ですが、第7窟にはストゥーパが残っていることから、かつては仏教徒も住んでいたことがわかります。

第1窟は、保存状態が良く、シヴァ神の彫刻などを見ることができます。

第2~5窟は、破壊されてしまっているため、第1窟ほど見ごたえはありません。

4. 象形文とその意味

要約

象形文

エレファンタ石窟群には、様々な象形文が刻まれています。

これらの象形文は、シヴァ神や他のヒンドゥー教の神々、神話、儀式などを表現しています。

象形文の内容
内容 説明
シヴァ神 シヴァ神の像やシンボル
他のヒンドゥー教の神々 ヴィシュヌ神、ブラフマー神など
神話 ヒンドゥー教の神話や伝説
儀式 宗教的な儀式や祭祀

意味

象形文の意味は、現代では完全に解明されていません。

しかし、研究者たちは、象形文を解読することで、古代インドの人々の信仰や文化について理解を深めようとしています。

象形文の意味
内容 説明
解明 完全には解明されていない
研究 研究者たちは象形文の解読を進めている
目的 古代インドの人々の信仰や文化を理解するため

研究

近年では、コンピュータ技術を用いた研究が進められており、象形文の解読に新たな進展が見られています。

研究方法
方法 説明
コンピュータ技術 象形文の解読に役立つ
進展 近年では、コンピュータ技術を用いた研究が進められている

まとめ

エレファンタ石窟群の象形文は、古代インドの人々の信仰や文化を理解するための貴重な資料です。

研究者たちは、象形文の解読を通して、古代インドの歴史や文化を解き明かそうとしています。

5. 気候や環境との関係

要約

気候

エレファンタ島は、インドの熱帯モンスーン気候に属しており、高温多湿な気候です。

特に、雨季(7月~9月)は、降水量が多く、湿度も高いため、石窟群の保存に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、乾季(10月~6月)は、気温が高く、日差しが強いので、石窟群の劣化を促進する可能性があります。

気候の影響
気候 影響
雨季 降水量が多く、湿度も高いため、石窟群の劣化を促進する可能性がある
乾季 気温が高く、日差しが強いので、石窟群の劣化を促進する可能性がある

環境

エレファンタ島は、海に囲まれた島であるため、海水の影響を受けやすい環境にあります。

海水による浸食や塩害は、石窟群の劣化を促進する要因となります。

また、島には多くの野生動物が生息しており、石窟群の保存に影響を与える可能性があります。

環境の影響
環境 影響
海水 浸食や塩害によって、石窟群の劣化を促進する
野生動物 石窟群の保存に影響を与える可能性がある

対策

石窟群の保存のためには、気候や環境の影響を最小限に抑える対策が必要です。

例えば、雨季には、石窟群へのアクセスを制限したり、石窟群を覆うための防水シートを設置したりするなどの対策が考えられます。

また、乾季には、石窟群の温度上昇を抑えるための対策が必要となります。

対策
対策 説明
雨季 アクセス制限、防水シートの設置など
乾季 温度上昇を抑えるための対策

まとめ

エレファンタ石窟群は、高温多湿な気候と海に囲まれた環境の影響を受けやすい場所にあります。

石窟群の保存のためには、気候や環境の影響を最小限に抑える対策が不可欠です。

6. 保存状況と今後の課題

要約

保存状況

エレファンタ石窟群は、1987年にUNESCOの世界遺産に登録され、保存活動が進められています。

しかし、ポルトガル人による破壊や、気候・環境の影響によって、石窟群は依然として劣化が進んでいます。

特に、彫刻の損傷や、石材の風化が深刻な問題となっています。

保存状況
内容 説明
劣化 彫刻の損傷や石材の風化が進んでいる
原因 ポルトガル人による破壊、気候・環境の影響
現状 石窟群の保存状態は依然として厳しい

今後の課題

エレファンタ石窟群の保存には、以下の課題があります。

・劣化の進行を抑制するための対策

・観光客による影響の抑制

・研究と教育活動の推進

今後の課題
課題 説明
劣化の抑制 石窟群の劣化を食い止めるための対策が必要
観光客の影響抑制 観光客による石窟群への影響を最小限に抑える必要がある
研究と教育活動の推進 石窟群の価値を広く知らしめるための研究と教育活動が必要

対策

これらの課題に対処するためには、国際的な協力と、地元住民の意識改革が不可欠です。

また、石窟群の保存に関する研究や教育活動を進めることで、将来世代に受け継いでいく必要があります。

対策
対策 説明
国際協力 世界各国の協力が必要
意識改革 地元住民の意識改革が必要
研究と教育活動 石窟群の保存に関する研究と教育活動を進める必要がある

まとめ

エレファンタ石窟群は、貴重な文化遺産であり、その保存は重要な課題です。

劣化の進行を抑制し、観光客による影響を最小限に抑えるための対策を講じることが重要です。

また、研究と教育活動を通して、石窟群の価値を広く知らしめることが必要です。

参考文献

エレファンタ石窟群 – Wikipedia

エレファンタ石窟群 | インド | 世界遺産オンラインガイド

【エレファンタ石窟群とは?】世界遺産登録理由を含めて …

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