基準の種類 | 内容 |
---|---|
株式の円滑な流通と公正な株価形成を確保するための基準 | 株主数、流通株式数、上場時価総額、売買高等が一定の基準を下回った場合や、株主の権利内容及び行使が不当に制限された場合等 |
企業の継続性、財政状態、収益力等の面からの上場適格性を保持するための基準 | 債務超過や銀行取引の停止、破産・再生手続・更生手続または整理、事業活動の停止等の場合や、完全子会社化等 |
適正な企業内容の開示を確保するための基準 | 連結財務諸表等の虚偽記載または不適正意見、有価証券報告書または四半期報告書の提出の遅延等 |
株式の流通に係る事故防止、円滑な流通を形式面から担保するための基準 | 上場契約違反や株式の譲渡制限、指定振替機関における取扱いに係る同意の撤回等 |
1. 上場廃止基準とは
上場廃止とは何か
上場廃止とは、証券取引所に上場されている株式について、市場における取引を全面的に取りやめることを意味します。株式が上場廃止となるケースは、大まかに以下の3パターンに分類されます。\n① 経営不振等により、投資不適格となった場合\n② 法令違反・上場契約違反を犯した場合\n③ MBO・M&Aを通じて非公開化する場合
上場廃止となった株式は、証券取引所の株式市場において取引ができなくなります。そのため、既存株主が保有株式を売却したい場合は、市場を通さず、自分で売却先を見つけなければなりません。\n上場廃止が決まった銘柄は「整理銘柄」へと移行し、一定期間(1か月程度)の取引が行われた後に上場廃止となり、株式市場での売買が不可能となります。なお、上場廃止し株式市場で取引が行われなくなったとしても、株主は決議権や利益分配を受ける権利などの権利を持ち続けることに注意が必要です。
上場廃止は、企業が経営不振に陥ったり、法令違反や上場契約違反を犯したりした場合に、証券取引所が上場を廃止するケースと、企業が自主的に上場廃止を申請するケースがあります。
上場廃止の基準
上場廃止の基準は、証券取引所によって決められています。日本国内には、札幌・東京・名古屋・福岡の4箇所に証券取引所があります。それぞれの取引所において、上場廃止の基準が設定されています。この記事では、金額と取引量ともに多い東京証券取引所について紹介していきます。
上場廃止基準として、証券取引所は上場廃止基準を定めています。東京証券取引所の場合、以下6つの基準が設けられています。\n・上場維持基準への不適合\n・有価証券報告書等の提出遅延\n・虚偽記載又は不適正意見等\n・特設注意市場銘柄等\n・上場契約違反等\n・その他
証券取引所では株主数や時価総額、流通株式数などの上場維持基準が定められています。 東京証券取引所にはプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つの市場があり、各市場ごとに上場維持基準が異なります。各市場の基準に関しては以下の表をご覧ください。
基準 | 内容 |
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上場維持基準への不適合 | 株主数、時価総額、流通株式数などの基準を満たさない場合 |
有価証券報告書等の提出遅延 | 事業年度終了後3ヶ月以内に提出が義務付けられている有価証券報告書を、期限から1ヶ月経過しても提出できない場合 |
虚偽記載又は不適正意見等 | 有価証券報告書等に虚偽記載があったり、監査法人による意見が表明されなかったりした場合 |
特設注意市場銘柄等 | 内部管理体制に問題があり、改善の必要性が高いと判断された場合 |
上場契約違反等 | 上場する際に会社と取引所がやりとりした契約や宣誓などに違反した場合 |
その他 | 銀行取引の停止、破産手続・再生手続・更生手続、事業活動の停止、不適当な合弁等、株式の譲渡制限、完全子会社化、株主の権利の不当な制限、株式等売渡請求による取得、株式併合、反社会的勢力の関与など |
上場廃止の手続き
上場廃止手続きは、基本的には、証券取引所の所定の手続きによって進められていきます。具体的には、以下のような流れになります。\n① 臨時株主総会の開催\n② 証券取引所により監理銘柄に指定\n③ 証券取引所により整理銘柄に指定\n④ 上場廃止
企業が自主的に上場廃止申請をする場合以外のケースでは、当該企業が上場廃止基準に抵触するおそれが生じた時点で、証券取引所により「監理銘柄」に指定されます。\nこれは上場廃止基準に抵触するおそれがあるということを一般の投資家に対して周知するために行われる措置です。
企業が自主的に上場廃止申請をした場合または監理銘柄に指定された後、一定の審査期間を経て、上場廃止基準に該当すると認められた場合には、証券取引所により「整理銘柄」に指定されます。
まとめ
上場廃止とは、証券取引所において自社株の売買取引ができなくなることをいいます。証券取引所の定める上場廃止基準への該当や上場会社による自主的な上場廃止申請によって上場廃止は行われます。
上場廃止が決定し、該当企業の株式が整理銘柄に指定された後、一定期間(原則1ヶ月)取引が行われ上場廃止となります。
上場廃止の基準は、証券取引所によって決められています。日本国内には、札幌・東京・名古屋・福岡の4箇所に証券取引所があります。それぞれの取引所において、上場廃止の基準が設定されています。この記事では、金額と取引量ともに多い東京証券取引所について紹介していきます。
2. 上場廃止基準の意味と背景
上場廃止のメリット
上場廃止には、メリット・デメリットの両面が存在します。\n会社の状況によっては、MBOやM&Aを通じて株式を非公開化し、自ら上場廃止を選択する場合もあるでしょう。\n上場廃止の主なメリット・デメリットは、以下のようなものが挙げられます。
① 自由度の高い経営ができる\n② 上場を維持するためのコストを削減できる
株式を非公開化することで、不特定多数の株主が存在する状況を解消し、特定少数の株主に株式を集約できます。\nその結果、不特定多数の株主の意見や利益に配慮する必要がなくなり、会社として大胆な経営改革や、自由なチャレンジができるようになります。
上場を維持するためには、証券取引所に数十万円から数百万円の年間上場料を支払わなければなりません。\nまた、金融商品取引法や、上場規則で義務付けられる開示書類の作成に当たっては、外部業者への委託も発生するため、年間数百万円から数千万円の費用が必要です。\n株式の上場を廃止すれば、これらの上場維持にかかるコストを削減できます。
メリット | 内容 |
---|---|
自由度の高い経営ができる | 不特定多数の株主の意見や利益に配慮する必要がなくなり、大胆な経営改革や自由なチャレンジが可能になる |
上場を維持するためのコストを削減できる | 上場維持費や開示書類作成費用などのコストを削減できる |
上場廃止のデメリット
① 大規模な資金調達が難しくなる\n② 会社の信用低下につながる
上場会社であれば、市場を通じて株式の取得を募集すれば(PO=Public Offering)、大規模な資金調達を行うことができます。\nこれに対して、上場廃止になると市場を通じた募集ができなくなるため、大規模な資金調達は難しくなります。
証券取引所に株式を上場していることは、一定水準以上の財務基盤と内部管理体制を有する証拠であるため、会社としての信用アップにつながります。\n反対に、上場廃止になってしまうと、有名企業の傘下に入る場合などを除けば、取引先や顧客・利用者などの信用が低下してしまうかもしれません。
デメリット | 内容 |
---|---|
大規模な資金調達が難しくなる | 市場を通じて株式の取得を募集することができなくなるため、大規模な資金調達が困難になる |
会社の信用低下につながる | 取引先や顧客・利用者などの信用が低下する可能性がある |
上場廃止の背景
上場廃止のほとんどの事例は、このケースに該当する場合となっています。2022年の現時点で上場廃止が決定している企業は67社ありますが、先ほど紹介したグレイステクノロジー以外の66社はこの要件に該当するとして上場廃止になっています。
該当ケースの内訳は以下の通りです。
ここで、会社法第179条によると、株式売渡請求とは、会社の議決権の90%以上を保有する株主(特定支配株主)が、少数株主の保有する株式を全て強制的に取得する手続きのことをいいます。株式売渡請求が行われると特定支配株主にすべての株式が取得されることになります。そのため上場基準に定められる株主数や流通株式の確保が困難となります。
株式売渡請求や株式併合、完全子会社化はM&Aの一種であり、経営権の集中等を目的として行われます。経営悪化により債務超過した結果として上場廃止に至ったケースは2022年も現時点で1社のみになります。このことから、上場廃止はその言葉からイメージされるような経営悪化などの理由で行われる場合は少ないということには注意が必要になります。
まとめ
上場廃止には、メリット・デメリットの両面が存在します。\n会社の状況によっては、MBOやM&Aを通じて株式を非公開化し、自ら上場廃止を選択する場合もあるでしょう。
上場廃止の主なメリット・デメリットは、以下のようなものが挙げられます。\n① 自由度の高い経営ができる\n② 上場を維持するためのコストを削減できる\n① 大規模な資金調達が難しくなる\n② 会社の信用低下につながる
上場廃止は、企業が経営不振に陥ったり、法令違反や上場契約違反を犯したりした場合に、証券取引所が上場を廃止するケースと、企業が自主的に上場廃止を申請するケースがあります。
3. 上場廃止基準の種類と要件
上場廃止基準の種類
上場廃止基準は、その性質ごとに以下の4つに分類することができる。\n① 株式の円滑な流通と公正な株価形成を確保するための基準\n② 企業の継続性、財政状態、収益力等の面からの上場適格性を保持するための基準\n③ 適正な企業内容の開示を確保するための基準\n④ 株式の流通に係る事故防止、円滑な流通を形式面から担保するための基準
基準の種類 | 内容 |
---|---|
株式の円滑な流通と公正な株価形成を確保するための基準 | 株主数、流通株式数、上場時価総額、売買高等が一定の基準を下回った場合や、株主の権利内容及び行使が不当に制限された場合等 |
企業の継続性、財政状態、収益力等の面からの上場適格性を保持するための基準 | 債務超過や銀行取引の停止、破産・再生手続・更生手続または整理、事業活動の停止等の場合や、完全子会社化等 |
適正な企業内容の開示を確保するための基準 | 連結財務諸表等の虚偽記載または不適正意見、有価証券報告書または四半期報告書の提出の遅延等 |
株式の流通に係る事故防止、円滑な流通を形式面から担保するための基準 | 上場契約違反や株式の譲渡制限、指定振替機関における取扱いに係る同意の撤回等 |
上場廃止基準の要件
日本における代表的な取引所である東京証券取引所(以下「東証」)が定める上場廃止基準の概要は添付の表のとおりである。
東証(市場第一部及び第二部)では、①株式の円滑な流通と公正な株価形成を確保するための基準として、株主数や時価総額、流通株式数、流通株式比率、売買高等を採用している。このように上場廃止基準の中には形式的な基準も存在しており、これらの規模が比較的小さい企業においては、これらの基準に抵触しないように十分に留意しておく必要がある。
2002年以降の東証における上場廃止社数を添付の図に示している。ITバブル崩壊後の2002年以降減少していたが、2007年以降に再び増加傾向となっており、景気後退の影響が読み取れる。また、近年は親会社と連結子会社がともに上場する「親子上場」を解消する動きも広がっており、東証では2009年の上場廃止78銘柄のうち約4割が、2010年の上場廃止68銘柄のうち約5割が、完全子会社化によるものだった。さらに2011年に入ってからも傾向に変化はなく、2010年1~ 5月までに上場廃止した20社のうち11社が完全子会社化を理由として上場廃止している。その他、株式の全部取得まで含めると、企業の資本政策や再編に関わる自主的な上場廃止が約8割に及んでいることとなる。長期化する不景気の影響を受けて、意思決定や経営管理の改善・効率化を図って企業グループの再編を進めていることが一因と思われる。
基準 | 内容 |
---|---|
上場維持基準への不適合 | 株主数、時価総額、流通株式数などの基準を満たさない場合 |
有価証券報告書等の提出遅延 | 事業年度終了後3ヶ月以内に提出が義務付けられている有価証券報告書を、期限から1ヶ月経過しても提出できない場合 |
虚偽記載又は不適正意見等 | 有価証券報告書等に虚偽記載があったり、監査法人による意見が表明されなかったりした場合 |
特設注意市場銘柄等 | 内部管理体制に問題があり、改善の必要性が高いと判断された場合 |
上場契約違反等 | 上場する際に会社と取引所がやりとりした契約や宣誓などに違反した場合 |
その他 | 銀行取引の停止、破産手続・再生手続・更生手続、事業活動の停止、不適当な合弁等、株式の譲渡制限、完全子会社化、株主の権利の不当な制限、株式等売渡請求による取得、株式併合、反社会的勢力の関与など |
上場廃止基準の動向
上場当時のビジネスモデルが崩れた会社に市場からの退出を迫る趣旨で、以下のような新興市場における上場制度・規則の改廃が行われている。
•東京証券取引所:2009年11月2日に上場規則規程改正の一環として、マザーズの上場会社の株価が、上場後3年を経過するまでの間に新規上場の際の公募の価格の1割未満となった場合において、9か月(事業改善計画等の提出がない場合は、3か月)以内に、当該価格の1割以上に回復しないときは、その上場を廃止することとした(有価証券上場規程第603条第1項第5号の2等)。
•大阪証券取引所:2010年2月に新JASDAQ設立に際しての諸制度の整備の一環として、一定期間(5年間)営業利益が赤字であり、営業キャッシュフローもマイナスである場合等には上場廃止とする基準を設定した。
まとめ
上場廃止基準は、その性質ごとに以下の4つに分類することができる。\n① 株式の円滑な流通と公正な株価形成を確保するための基準\n② 企業の継続性、財政状態、収益力等の面からの上場適格性を保持するための基準\n③ 適正な企業内容の開示を確保するための基準\n④ 株式の流通に係る事故防止、円滑な流通を形式面から担保するための基準
日本における代表的な取引所である東京証券取引所(以下「東証」)が定める上場廃止基準の概要は添付の表のとおりである。
東証(市場第一部及び第二部)では、①株式の円滑な流通と公正な株価形成を確保するための基準として、株主数や時価総額、流通株式数、流通株式比率、売買高等を採用している。このように上場廃止基準の中には形式的な基準も存在しており、これらの規模が比較的小さい企業においては、これらの基準に抵触しないように十分に留意しておく必要がある。
4. 上場廃止基準を満たさないリスク
上場廃止基準を満たさないリスク
上場廃止基準を満たさないリスクは、企業にとって非常に大きな問題です。上場廃止基準を満たせないと、上場廃止となり、資金調達や取引先との関係、企業の信用力などに悪影響を及ぼす可能性があります。
上場廃止基準を満たさないリスクを回避するためには、企業は常に最新の基準を把握し、それに対応する必要があります。また、内部管理体制を強化し、法令遵守を徹底することも重要です。
上場廃止基準を満たさないリスクは、企業の経営戦略にも影響を与えます。上場廃止のリスクを考慮して、経営戦略を策定する必要があるでしょう。
上場廃止基準を満たさないリスクの具体例
上場廃止基準を満たさないリスクの具体例としては、以下のものが挙げられます。\n・債務超過\n・破産、再生、更生手続きの開始\n・事業活動の停止\n・銀行取引の停止\n・株主数、株式時価総額、売上高などの基準を満たさない
これらの基準を満たさない場合、企業は上場廃止となる可能性があります。
リスク | 内容 |
---|---|
債務超過 | 1年以上債務超過が継続した場合 |
破産、再生、更生手続きの開始 | 破産、再生、更生手続きが開始された場合 |
事業活動の停止 | 事業活動が停止した場合 |
銀行取引の停止 | 銀行取引が停止された場合 |
株主数、株式時価総額、売上高などの基準を満たさない | 株主数、株式時価総額、売上高などの基準を満たさない場合 |
上場廃止基準を満たさないリスクへの対応
上場廃止基準を満たさないリスクへの対応としては、以下のものが挙げられます。\n・内部管理体制の強化\n・法令遵守の徹底\n・経営戦略の策定\n・最新の基準の把握
企業は、これらの対応策を講じることで、上場廃止のリスクを回避することができます。
まとめ
上場廃止基準を満たさないリスクは、企業にとって非常に大きな問題です。上場廃止基準を満たせないと、上場廃止となり、資金調達や取引先との関係、企業の信用力などに悪影響を及ぼす可能性があります。
上場廃止基準を満たさないリスクを回避するためには、企業は常に最新の基準を把握し、それに対応する必要があります。また、内部管理体制を強化し、法令遵守を徹底することも重要です。
上場廃止基準を満たさないリスクは、企業の経営戦略にも影響を与えます。上場廃止のリスクを考慮して、経営戦略を策定する必要があるでしょう。
5. 上場廃止基準と株価への影響
上場廃止基準と株価への影響
上場廃止基準と株価への影響は、密接に関連しています。上場廃止基準に抵触する可能性があると判断された場合、株価は下落する傾向があります。これは、投資家が上場廃止のリスクを懸念し、株式を売却するためです。
上場廃止基準に抵触する可能性が高いと判断された場合、株価は大きく下落する可能性があります。これは、投資家が上場廃止のリスクを懸念し、株式を売却するためです。
上場廃止基準に抵触する可能性が低いと判断された場合、株価は安定する傾向があります。これは、投資家が上場廃止のリスクを懸念していないためです。
上場廃止基準と株価への影響の具体例
上場廃止基準と株価への影響の具体例としては、以下のものが挙げられます。\n・債務超過:債務超過に陥った企業は、上場廃止基準に抵触する可能性が高いため、株価は下落する傾向があります。\n・破産、再生、更生手続きの開始:破産、再生、更生手続きの開始が決定された企業は、上場廃止基準に抵触するため、株価は大きく下落する傾向があります。\n・事業活動の停止:事業活動の停止が決定された企業は、上場廃止基準に抵触するため、株価は大きく下落する傾向があります。\n・銀行取引の停止:銀行取引の停止が決定された企業は、上場廃止基準に抵触する可能性が高いため、株価は下落する傾向があります。
これらの例のように、上場廃止基準に抵触する可能性が高いと判断された場合、株価は下落する傾向があります。
基準 | 影響 |
---|---|
債務超過 | 株価下落 |
破産、再生、更生手続きの開始 | 株価大幅下落 |
事業活動の停止 | 株価大幅下落 |
銀行取引の停止 | 株価下落 |
上場廃止基準と株価への影響の対策
上場廃止基準と株価への影響の対策としては、以下のものが挙げられます。\n・上場廃止基準を満たすように努力する\n・投資家に上場廃止のリスクを説明する\n・株価の下落を防ぐための対策を講じる
企業は、これらの対策を講じることで、上場廃止基準に抵触するリスクを回避し、株価の下落を防ぐことができます。
まとめ
上場廃止基準と株価への影響は、密接に関連しています。上場廃止基準に抵触する可能性があると判断された場合、株価は下落する傾向があります。これは、投資家が上場廃止のリスクを懸念し、株式を売却するためです。
上場廃止基準に抵触する可能性が高いと判断された場合、株価は大きく下落する可能性があります。これは、投資家が上場廃止のリスクを懸念し、株式を売却するためです。
上場廃止基準に抵触する可能性が低いと判断された場合、株価は安定する傾向があります。これは、投資家が上場廃止のリスクを懸念していないためです。
6. 上場廃止基準の適用企業の事例
上場廃止の事例
上場廃止の理由で最も多いのが、「完全子会社化」である。その次に多いのが「株式の併合」で、これは同一企業の複数の株式を1株に統合することである。株価が変更されるため、株式の資産価値は変わらない。株式併合の目的はいくつか考えられるが、主に1株の価値を高める場合に行われる。
これらの理由での上場廃止は、企業の経営戦略の一つかもしれない。その一方で「債務超過」のように、明らかな経営悪化による上場廃止は、86の銘柄の内でわずかに二つだけである。上場廃止=経営悪化という一般のイメージは、現実とはかなりのズレがあるようだ。
上場廃止の事例:アデランス
ウィッグの製造販売をはじめ、「総合毛髪業」として高い知名度を誇るアデランス。東京証券取引所市場第1部、1997年より大阪証券取引所(当時)市場第1部にそれぞれ上場していたが、2016年に上場廃止を目指すことを明らかにした。理由はTOB(株式公開買い付け)による完全子会社化だ。
アデランスを子会社化するのは、投資会社インテグラル傘下のアドヒアレンス。TOBが成立したのち、アデランス社長の根本信男氏と副社長の津村氏がMBO(経営陣が参加する買収)によって株式の50.1%を買収し、自社の経営権を確保する。
アデランスがTOBとMBOによって上場廃止の道を選んだのには訳がある。一つは海外のM&A(合併・買収)や為替差損によって営業利益や経常利益が落ち込み、株価が低迷していたこと。もう一つは、株主による多数派工作によって米スティール・パートナーズの経営関与を許してしまい、経営が混乱した苦い過去があったためだ。
上場廃止の事例:東芝
日本を代表する大企業、東芝が上場廃止の危機に直面している(2017年2月当時)。きっかけとなったのは、原子力事業の「のれん」減損額が7125億円に達すると公表されたこと。「内部統制の不備を示唆する内部通報」を理由に、当日になって決算発表を延期した東芝。詳細な内容については明らかにしていないものの、2015年9月から東証の「特設注意市場銘柄(特注銘柄)」に指定されていることもあり、今後の上場廃止が現実味を帯びている。
とはいえ東芝ほどの規模を誇る企業が上場廃止されると、株主にとっても再建を目指す東芝にとっても大ダメージとなる。東証は「有価証券報告書等に虚偽記載を行った場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき」に上場廃止するとしているが、このルールが東芝に適用されるかどうかに注目が集まっている。
2017年3月14日、東芝が決済開示の再延長を発表した。実はこの日が開示の期限だったこともあり、東証の関係者は「論評に値しない」と手厳しい。
まとめ
上場廃止の理由はさまざまだ。例えば「倒産」によって会社が消滅した場合、「完全子会社化」によって株式売買の必要がなくなった場合、さらに証券取引所が設定する「上場廃止基準」に該当することで、「上場契約違反」として強制的に上場廃止される場合もある。
上場廃止になると、市場での株式売買が行えなくなる。つまり企業にとっては資金調達が困難になり、既存の株主にとっては株式の売買が困難になり、一般投資家にとっては投資対象が減ってしまうのがデメリットだ。それに加え、上場廃止が企業の信用・ブランドに傷をつけてしまう場合もある。この結果、取引相手との交渉や金融機関での資金調達や、商品・サービスそのものの売り上げに影響が出ることも少なくない。
もちろん完全子会社化の場合など、上場廃止によって企業経営が安定化するケースもある。しかし上場廃止が及ぼすさまざまな影響を考えると、上場廃止は企業経営にとって重大な局面の一つになるといえるだろう。
参考文献
・6つの上場廃止基準をわかりやすく解説|適確性に欠けた場合の …
・上場廃止とは? 基準・メリット・事例を解説 | Frontier Eyes Online …
・上場廃止とは?基準やメリット・デメリットについて解説 – freee
・【経営者・Cfo向け】上場廃止の基準とは?廃止のメリット …
・上場廃止とは|メリットや廃止手続き時の注意点について解説 …
・上場廃止基準の概要と動向|サービス:リスクマネジメント …
・上場廃止基準 (じょうじょうはいしきじゅん)とは? 意味や使い …
・上場廃止基準とは?株式用語解説 – お客様サポート – Dmm 株
・一つの時代の終焉…「上場廃止」とは?廃止となる基準とその …
・上場廃止とは? 企業・株式・株主はどうなる? | the Owner