項目 | 内容 |
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定義 | 有価証券を買い戻し条件付きで行う取引。債券貸借取引とも呼ばれる。 |
目的 | 短期の資金調達や金融商品の売買 |
種類 | 現先取引、現担レポ取引 |
歴史 | 1917年に米国で誕生。金融危機の影響を受け、規制強化が進められている。 |
メリット | 短期の資金調達や運用が可能。流動性の高い有価証券を担保として利用できる。 |
デメリット | 市場金利や証券価格の変動による損失リスク。借り手の信用力に依存する信用リスク。 |
展望 | 金融テクノロジーの進化、ESGへの適合性、新たな商品・形式の登場など、変化に対応していくことが期待されている。 |
1. レポ取引とは
レポ取引の定義
レポ取引とは、有価証券を買い戻し条件付きで行う取引のことです。債券貸借取引とも呼ばれ、主に政府証券での短期借入の一形態を指します。ディーラーは基礎となる証券を投資家に貸出(販売)し、その後すぐに、通常は翌日、わずかな金利を払い、債券を取り戻す(わずかに高い価格で買い戻す)という取引です。
レポ市場は、従来の銀行部門に匹敵する規模に成長したノンバンクの大手金融機関にとって重要な資金源となっています。マネー・リザーブ・ファンド(米国ではマネー・マーケット・ファンド)などの大規模な機関投資家は、証券会社などの金融機関にその借り手金融機関が保有する国債や不動産担保証券などの担保と引き換えに(または担保で保証させて)資金を貸し出します。
日本のレポ市場の規模は、おおよそ年間で100兆円程度であり、米国のレポ市場では、1日に担保の時価で1兆ドルが取引されています。
レポ取引は、金融機関同士や金融機関と中央銀行の間で行われる取引で、短期間の資金調達や金融商品の売買を目的としています。売り手は一定期間後に同じ金融商品を買い戻すことを約束し、買い手はその金融商品を一定期間保有することで利益を得ます。
種類 | 説明 |
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現先取引 | 有価証券を売却し、将来買い戻す取引。経済的には担保付き借り入れと同じ。 |
現担レポ取引 | 現金担保付きの債券貸借取引。経済的には現先取引と同じだが、現金が担保であり、債券を貸借している。 |
レポ取引の仕組み
例えば、金融機関Aが金融商品を持っており、資金が必要な状況にあるとします。金融機関Aは金融商品を金融機関Bに売却し、同時に金融機関Bに売却した金融商品を後日一定金額で買い戻す契約を結びます。このように資金の調達と金融商品の売買が同時に行われるため、短期間での取引が可能となります。
レポ取引では、投資家/資金の貸し手は、借り手に債券等の担保を付けさせ、資金を貸し付けます。万一借り手が債務不履行に陥れば、投資家/貸し手は担保を押さえることができます。
投資家はマネーマーケットファンドなどの金融機関であるのが普通であり、借り手は証券会社、投資銀行やヘッジファンドなどの非預金取扱金融機関であることが多いです。
投資家/貸し手は、「レポ金利」と呼ばれる金利を付けてX円を貸し出し、金利分多い金額Y円の返済を受けます。さらに、投資家/貸し手は、貸し付けた金額よりも価値の高い担保を要求することもありますが、その差分を「ヘアカット」といいます。
役割 | 参加者 |
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資金の貸し手 | マネーマーケットファンド、金融機関 |
資金の借り手 | 証券会社、投資銀行、ヘッジファンド |
レポ取引の種類
レポ取引には、現先取引と現担レポ取引の2種類があります。
現先取引は、有価証券を売却し、将来買い戻す取引です。経済的には担保付き借り入れと同じと解釈できます。
現担レポ取引は、現金担保付きの債券貸借取引です。経済的には現先取引と同じですが、現金が担保であり、債券を貸借しているという点が異なります。
現担レポ取引では、債券の借り手は担保金を差し入れて貸借料を支払い、債券の貸し手は担保金に金利を支払う取引となります。
まとめ
レポ取引は、有価証券を買い戻し条件付きで行う取引であり、債券貸借取引とも呼ばれます。
レポ取引は、資金調達や金融商品の売買を目的として行われます。
レポ取引には、現先取引と現担レポ取引の2種類があり、経済的には同じですが、取引の形態が異なります。
レポ取引は、金融市場において重要な役割を果たしており、資金調達手段として広く利用されています。
2. レポ取引の歴史
レポ取引の起源
レポ取引は、1917年に米国で誕生しました。当時、戦時税により旧来の融資が難しくなったため、政府が提供する預金保険に類似した担保付き融資の手法を規模の大きい非預金取扱金融機関に提供するために進化したと考えられています。
当初は、連邦準備制度だけが他の銀行に貸し出すために使用していましたが、すぐに他の市場参加者に広まりました。
レポの利用は1920年代に拡大し、世界恐慌と第二次世界大戦を経て縮小しましたが、1950年代に再び拡大し、1970年代と1980年代にコンピューター技術の影響もあって急速な成長を遂げました。
レポ取引は、担保を投資家に対する保証として機能させるような、政府が提供する預金保険に類似した担保付き融資の手法を規模の大きい非預金取扱金融機関に提供するために進化したという説があります。
年 | 出来事 |
---|---|
1917年 | 米国で誕生 |
1920年代 | レポ取引の拡大 |
1950年代 | レポ取引の再拡大 |
1982年 | ドライスデール・ガバメント証券の破綻 |
1985年 | ESMガバメント証券の破綻 |
1986年 | 政府証券ディーラー等規制法制定 |
2007-2008年 | サブプライム住宅ローン危機 |
2011年 | 米国の債務上限危機 |
2019年 | 米国連邦準備制度によるレポ市場への介入 |
レポ取引の拡大と規制
1982年に、ドライスデール・ガバメント証券の破綻により、チェース・マンハッタン銀行には2億8
同年、ロンバード・ウォール証券の破綻により、レポに関する連邦破産法が変更されました。
1985年のESMガバメント証券の破綻が、オハイオ州のHome State Savings Bankの倒産に繋がり、民間保険のOhio Deposit Guarantee Fundが保険をかけていた他の銀行に取り付けが起こりました。
上記を代表とする企業の破綻をきっかけにして、1986年政府証券ディーラー等規制法が制定されました。
レポ取引と金融危機
2007年から2008年にかけ、投資銀行の資金調達が全くできないか、できても高い金利を支払わざるを得なかったレポ市場における取り付け騒ぎは、グレート・リセッションをもたらしたサブプライム住宅ローン危機の重要な一側面でした。
2011年7月、銀行や金融報道機関の間で、2011年の米国の債務上限危機がデフォルトを引き起こした場合、レポ市場で相当の混乱が生じるのではないかという懸念が生まれました。
2019年9月、米国連邦準備制度は、借りられる資金源がいくつかのテクニカルな要因により制限されてしまい、翌日物貸出金利が上昇した際に、レポ市場に資金を提供するという投資家の役割に介入を行いました。
ニューヨーク・タイムズは、2019年9月に、担保の時価で1日あたり推定1兆ドルが米国のレポ市場で取引されていると報じました。
まとめ
レポ取引は、米国で誕生し、世界的に普及しました。
レポ取引は、金融危機の影響を受けやすく、市場の安定性や透明性を高めるための議論が国際的に進められています。
金融危機の教訓を踏まえ、レポ取引の規制強化が進められています。
レポ取引は、金融市場において重要な役割を果たしており、今後もその重要性は増していくと考えられます。
3. レポ取引の仕組み
現先取引
現先取引は、有価証券を売却し、将来買い戻す取引です。
例えば、読者が国債を保有していて、現先で資金調達をしたいとしましょう。この場合、読者は国債を売却し、その時価を受け取ります。
将来、読者は、国債を当時の時価で買い戻すことで、取引が完了します。
現先取引は、経済的には担保付き借り入れと同じと解釈できます。
現担レポ取引
現担レポ取引は、現金担保付きの債券貸借取引です。
現担レポ取引では、債券の借り手は担保金を差し入れて貸借料を支払い、債券の貸し手は担保金に金利を支払う取引となります。
現担レポ取引は、経済的には現先取引と同じですが、現金が担保であり、債券を貸借しているという点が異なります。
現担レポ取引では、利息(付利)と賃貸料(品貸料)が発生します。
レポ取引の用語
レポ取引には、レポレート、ヘアカット、付利、品貸料などの用語があります。
レポレートは、レポ取引の資金調達コストを表す金利です。
ヘアカットは、担保の価値を減額する割合です。
付利は、担保金に対する金利です。品貸料は、債券の貸借に対する料金です。
用語 | 説明 |
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レポレート | レポ取引の資金調達コストを表す金利 |
ヘアカット | 担保の価値を減額する割合 |
付利 | 担保金に対する金利 |
品貸料 | 債券の貸借に対する料金 |
まとめ
レポ取引には、現先取引と現担レポ取引の2種類があります。
現先取引は、有価証券を売却し、将来買い戻す取引です。現担レポ取引は、現金担保付きの債券貸借取引です。
レポ取引には、レポレート、ヘアカット、付利、品貸料などの用語があります。
レポ取引は、資金調達や金融商品の売買を目的として行われます。
4. レポ取引のメリットとデメリット
レポ取引のメリット
レポ取引のメリットは、短期の資金調達や運用が可能な点です。
レポ取引は、流動性の高い有価証券を担保として利用するため、迅速な資金調達が可能です。
レポ取引は、担保付きの取引であるため、貸し手にとってリスクが低いというメリットがあります。
レポ取引は、市場金利や証券価格の変動に応じて、柔軟な取引を行うことができます。
メリット | 説明 |
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短期の資金調達・運用が可能 | 流動性の高い有価証券を担保として利用できるため、迅速な資金調達が可能。 |
担保付きの取引であるため、貸し手にとってリスクが低い | |
市場金利や証券価格の変動に応じて、柔軟な取引が可能 |
レポ取引のデメリット
レポ取引のデメリットは、市場金利や証券価格の変動によって、損失が発生する可能性がある点です。
レポ取引は、借り手の信用力に依存するため、信用リスクがあります。
レポ取引は、取引期間が短いため、頻繁な取引が必要となる場合があります。
レポ取引は、複雑な取引であるため、専門知識が必要となります。
デメリット | 説明 |
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市場金利や証券価格の変動による損失リスク | |
借り手の信用力に依存する信用リスク | |
取引期間が短いため、頻繁な取引が必要となる場合がある | |
複雑な取引であるため、専門知識が必要となる |
レポ取引のリスク管理
レポ取引のリスクを管理するためには、市場リスク、信用リスク、リブレーシングリスク、法律リスクなどを考慮する必要があります。
市場リスクは、市場金利や証券価格の変動によって発生するリスクです。信用リスクは、借り手が債務不履行に陥るリスクです。
リブレーシングリスクは、レポ取引の期間中に、金利水準や市場状況が変化することによって発生するリスクです。法律リスクは、取引に関する法律や規制が変更されることによって発生するリスクです。
レポ取引のリスクを管理するためには、取引相手の信用力を調査し、適切な担保を設定することが重要です。
リスク | 説明 |
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市場リスク | 市場金利や証券価格の変動によって発生するリスク |
信用リスク | 借り手が債務不履行に陥るリスク |
リブレーシングリスク | レポ取引の期間中に、金利水準や市場状況が変化することによって発生するリスク |
法律リスク | 取引に関する法律や規制が変更されることによって発生するリスク |
まとめ
レポ取引は、短期の資金調達や運用が可能な便利な取引ですが、市場リスク、信用リスクなど、様々なリスクが存在します。
レポ取引を行う際には、リスク管理をしっかりと行うことが重要です。
レポ取引は、金融市場において重要な役割を果たしており、今後もその重要性は増していくと考えられます。
レポ取引は、金融機関や投資家にとって、重要な資金調達手段や運用手段となっています。
5. レポ取引の実践例
レポ取引の実際の流れ
債権・金利分野でのレポ取引は、通常、金融機関同士や金融機関と投資家との間で行われます。
一般的な流れは、貸出しを希望する金融機関(通常は証券会社や銀行)が、担保として債券などの金融商品を差し入れ、資金を借りることで始まります。
そして、一定期間後に返済と利息を支払い、担保として差し入れた金融商品を取り戻すという流れとなります。
実際の取引では、金利や担保となる金融商品の選定、期間、金額などの条件が取引の成立に影響を与えます。
段階 | 内容 |
---|---|
資金調達 | 貸出しを希望する金融機関が、担保として債券などを差し入れ、資金を借りる |
返済 | 一定期間後に返済と利息を支払い、担保として差し入れた金融商品を取り戻す |
レポ取引の具体的な運用方法
実際の取引では、金利や担保となる金融商品の選定、期間、金額などの条件が取引の成立に影響を与えます。
また、取引参加者間での交渉や契約書の取り交わしも行われます。
さらに、取引の運用上の注意点として、市場の金利動向や金融商品の価格変動などにも影響を受けるため、慎重な立案と運用が求められます。
具体的な例としては、特定の証券会社が自己保有の債券を金融機関に預け、一定期間の資金調達を行うケースが挙げられます。
項目 | 内容 |
---|---|
金利 | 取引の成立に影響を与える |
担保 | 取引の成立に影響を与える |
期間 | 取引の成立に影響を与える |
金額 | 取引の成立に影響を与える |
交渉 | 取引参加者間で行われる |
契約書 | 取引参加者間で取り交わされる |
市場動向 | 慎重な立案と運用が求められる |
レポ取引のリスクと注意点
レポ取引は、市場金利や債券価格の変動によってリスクを抱えます。金利や価格の急激な変動が発生した場合、投資家は思わぬ損失を被る可能性があります。
レポ取引においては、貸借関係にある当事者の信用力が重要な要素となります。貸し手や借り手が信用されない場合、取引が成立しない、もしくは信用リスクによって損失を被る可能性があります。
レポ取引は一定期間後に返済することが前提となっていますが、その時点での金利水準や市場状況によっては、新たなレポ取引の条件が変動する可能性があります。
最後に、法律リスクも考慮すべき要素です。取引に関する契約や法律上の変更があった場合、取引条件に影響を及ぼす可能性があります。
リスク | 説明 |
---|---|
市場リスク | 市場金利や債券価格の変動によって発生するリスク |
信用リスク | 貸し手や借り手が信用されない場合、取引が成立しない、もしくは信用リスクによって損失を被る可能性がある |
リブレーシングリスク | 新たなレポ取引の条件が変動する可能性がある |
法律リスク | 取引に関する契約や法律上の変更があった場合、取引条件に影響を及ぼす可能性がある |
まとめ
レポ取引は、金融機関や投資家にとって、重要な資金調達手段や運用手段となっています。
レポ取引は、市場金利や債券価格の変動、信用リスク、リブレーシングリスク、法律リスクなど、様々なリスクが存在します。
レポ取引を行う際には、リスク管理をしっかりと行うことが重要です。
レポ取引は、金融市場において重要な役割を果たしており、今後もその重要性は増していくと考えられます。
6. レポ取引の今後の展望
テクノロジーの進化とレポ取引
金融テクノロジーの進化により、レポ取引の効率性が向上すると期待されています。
例えば、ブロックチェーン技術を活用した取引プラットフォームの導入により、取引の透明性や信頼性が高まり、市場全体の安定性を向上させることができるでしょう。
レポ取引は、金融テクノロジーの進化によって、より効率的かつ安全に行われるようになると期待されています。
ブロックチェーン技術などの活用により、取引の透明性や信頼性が向上し、市場全体の安定性が向上する可能性があります。
技術 | 影響 |
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ブロックチェーン技術 | 取引の透明性や信頼性向上、市場全体の安定性向上 |
ESGへの適合性
近年、ESG投資が注目を集めており、企業や投資家の間で持続可能な投資に対する関心が高まっています。
レポ取引もESGへの適合性を考慮した取引が増えつつあり、将来的にはESGに配慮した取引が一層拡大する可能性があります。
レポ取引は、ESGへの適合性を考慮した取引が増加し、持続可能な金融市場の構築に貢献する可能性があります。
ESG投資の拡大に伴い、レポ取引もESGへの適合性を重視した取引へと進化していくことが期待されます。
ESG | 影響 |
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ESG投資の拡大 | レポ取引もESGへの適合性を重視した取引へと進化 |
新たな商品・形式の登場
金融市場の変化に伴い、新たな商品や取引形式が登場することが予測されます。
例えば、より柔軟な取引条件やリスクヘッジを目的とした新しいレポ取引の形式が生まれるかもしれません。
レポ取引は、金融市場の変化に合わせて、新たな商品や取引形式が生まれていく可能性があります。
より柔軟な取引条件やリスクヘッジを目的とした、新しいレポ取引の形式が開発される可能性があります。
商品・形式 | 影響 |
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より柔軟な取引条件 | レポ取引の進化 |
リスクヘッジ | レポ取引の進化 |
まとめ
レポ取引は、金融テクノロジーの進化、ESGへの適合性、新たな商品・形式の登場など、様々な変化に対応していくことが期待されています。
レポ取引は、金融市場において重要な役割を果たしており、今後もその重要性は増していくと考えられます。
レポ取引は、金融機関や投資家にとって、重要な資金調達手段や運用手段となっています。
レポ取引は、金融市場の安定と効率性に貢献する重要な取引手法であり、今後も進化を続けると期待されます。
参考文献
・レポ取引とは?債権・金利分野での取引手法の基礎知識 | sasa …
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・レポ取引(れぽとりひき) | 証券用語集 | 東海東京証券株式会社
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