IDAとは?経済用語について説明

IDAの概要
項目	内容
設立目的	世界で最も貧しい国々の経済成長と社会開発を促進する
設立年	1960年
本部	ワシントンD.C.
加盟国数	174カ国・地域（2021年11月現在）
主な活動分野	貧困削減、教育、保健、インフラ整備、農業開発など
融資条件	無利子または低金利、長期返済
財源	加盟国からの出資、世界銀行からの借入金、手数料収入など

1. IDA（国際開発協会）とは

IDAの概要

国際開発協会（IDA）は、1960年9月24日に設立された世界銀行グループを構成する機関の一つです。世界銀行グループは、世界で最も貧しい国々に対する開発援助を目的として設立された国際機関であり、IDAはその中でも特に貧困国に対する支援を専門とする機関です。IDAは、世界銀行グループの他の機関である国際復興開発銀行（IBRD）と本部、職員を共有しており、IBRDの姉妹機関として位置付けられています。

IDAは、世界で最も貧しい国々に対して、無利子または極めて低金利で資金援助を行っています。これは、IBRDが中所得国に対して行う融資とは異なり、貧困国が経済成長を促進するために必要な資金を、より容易に借り入れられるようにするためのものです。

IDAの融資は、加盟国から直接寄付された資金や、世界銀行からの借入金、手数料収入などを原資としています。IDAの融資は、貧困削減、教育、保健、インフラ整備、農業開発など、幅広い分野を対象としています。

IDAは、世界銀行グループの重要な一部であり、世界で最も貧しい国々の開発を支援する上で重要な役割を果たしています。

IDAの主な活動分野
分野	内容
教育	小学校教育の普及、質の高い教育の提供、教師の質向上など
保健	予防接種、母子保健、HIV/エイズ対策など
インフラ整備	道路、橋、港湾、空港、電力など
農業開発	農業生産の向上、農村地域のインフラ整備、農民の収入増加など

IDAの目的

IDAの目的は、世界で最も貧しい国々の経済成長と社会開発を促進することです。具体的には、以下の目標を掲げています。

極度の貧困の撲滅：1日1.90ドル未満で暮らす人々の割合を2030年までに3％以下に減らす。

繁栄の共有を促進：各国の所得の下位40％の人々の所得を引き上げる。

IDAは、これらの目標を達成するために、貧困国に対して資金援助、技術協力、政策助言などを提供しています。

IDAの目標
目標	内容
極度の貧困の撲滅	1日1.90ドル未満で暮らす人々の割合を2030年までに3％以下に減らす
繁栄の共有を促進	各国の所得の下位40％の人々の所得を引き上げる

IDAの活動

IDAは、世界で最も貧しい国々の開発を支援するために、様々な活動を行っています。主な活動分野は以下のとおりです。

教育：小学校教育の普及、質の高い教育の提供、教師の質向上など

保健：予防接種、母子保健、HIV/エイズ対策など

インフラ整備：道路、橋、港湾、空港、電力など

まとめ

IDAは、世界で最も貧しい国々の開発を支援する重要な国際機関です。IDAは、貧困削減、教育、保健、インフラ整備など、幅広い分野において、資金援助、技術協力、政策助言などを提供しています。

IDAの活動は、世界で最も貧しい人々の生活水準向上に大きく貢献しています。

IDAは、今後も世界で最も貧しい国々の開発を支援していくために、様々な取り組みを進めていくことが期待されています。

2. IDAの設立経緯

設立の背景

IDAが設立された背景には、第二次世界大戦後のヨーロッパ復興を支援するために設立された国際復興開発銀行（IBRD）の活動が大きく影響しています。IBRDは、当初はヨーロッパ諸国の復興を支援するために設立されましたが、その後、活動の焦点を途上国に移していきました。

しかし、IBRDの融資条件は、最も貧しい途上国にとっては厳しすぎることが明らかになりました。そこで、より緩やかな条件で融資を行う機関の必要性が認識され、IDAの設立へとつながりました。

1950年代初頭、国連と米国政府が作成した報告書は、多国間ドナーの支援の下で貧困国に有利な条件で融資を行うプログラムの設置を支持するものでした。様々な話し合いを経て、ユージン・ブラック総裁率いる世銀において、途上国に「緩やかな条件での融資」を行う「国際開発協会（IDA）」を設立するというアイデアが浮上しました。

設立への動き

IDAの設立は、世銀内部だけでなく、外部からも支持を得ていました。特に、マイク・モンロニー上院議員（オクラホマ州選出、民主党）は、世銀を援助の実施機関として、途上国に緩やかな条件で融資を行うことに関心を示し、上院国際金融小委員会の委員長に指名され、モンロニー決議と呼ばれることになる議案を提出しました。

この決議が上院を通過すると、ニューデリーで開かれた1958年の世銀・IMFの年次総会において米国財務長官が、米国は世銀の一機関としてIDAを設立するという提案を真剣に検討していると発表し、他の国々も同じようにすることを希望しました。

1958年に世銀加盟国政府の間で始まった協議の後、総務会は、1959年の年次総会において、IDA 協定の草稿を世銀理事会に求めるという米国の議案を承認しました。

IDAの設立

1960年1月末までに、世銀はIDA協定をすべての加盟国に回覧して批准を求め、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領率いる米国など加盟国の承認を得ました。

IDAは1960年9月24日に、オーストラリア、カナダ、中国、ドイツ、インド、イタリア、マレーシア、ノルウェー、パキスタン、スーダン、スウェーデン、タイ、英国、米国、ベトナムの15カ国によって活動を開始しました。

当初の資本金は9億1

最初のIDA融資は、ホンジュラスが高速道路保守のために受け取りました。ほかの3件は、チリ、スーダン、インドに対するものでした。

IDA設立時の加盟国
国名	設立時の加盟国
オーストラリア	○
カナダ	○
中国	○
ドイツ	○
インド	○
イタリア	○
マレーシア	○
ノルウェー	○
パキスタン	○
スーダン	○
スウェーデン	○
タイ	○
英国	○
米国	○
ベトナム	○

まとめ

IDAは、IBRDの融資条件が厳しすぎるという問題点を解決するために設立されました。

IDAの設立は、世銀内部だけでなく、外部からも支持を得ていました。

IDAは、1960年9月24日に15カ国によって設立され、その後、多くの国が加盟しました。

3. IDAの融資制度

融資条件

IDAの融資条件は、IBRDの融資条件と比べて非常に緩やかです。IDAの融資は、無利子（ただし貸付実行残高に対し年0.75％の手数料を徴収）、貸付期間20～40年、据置期間10年とソフトローンであることが特徴です。

これは、貧困国が経済成長を促進するために必要な資金を、より容易に借り入れられるようにするためのものです。

IDAの融資は、経済的に貧困状態にある国（2009年度は1人当り国民総所得1095ドル以下）で、商業ベースの借入が困難でかつ優先度の高いプロジェクトを対象として行われます。

IDAの融資条件
項目	内容
利子	無利子（ただし貸付実行残高に対し年0.75％の手数料を徴収）
貸付期間	20～40年
据置期間	10年

融資分野

IDAの融資は、農業・農村開発、運輸、ノン・プロジェクト援助、電力、教育など、幅広い分野を対象としています。

融資先分野では農業・農村開発、運輸、ノン・プロジェクト援助、電力、教育などが上位を占め、設立以来のIDAの融資と贈与は、2008年7月までで総額1930億ドルに達しています。

2008年の新規融資の地域別割合をみると、サブサハラ・アフリカ地域が50％、南アジアが25％を占めている。国別では、融資額の多い順に、ベトナム、インド、バングラデシュ、エチオピア、ナイジェリアとなっている。

融資の仕組み

IDAの融資は、加盟国からの出資が主な財源です。

そのほか、世界銀行からの借入金や手数料収入なども財源となっています。

IDAは、融資を行うだけでなく、借入国の経済状況や開発計画などを分析し、政策助言なども行っています。

まとめ

IDAの融資制度は、貧困国が経済成長を促進するために必要な資金を、より容易に借り入れられるようにするためのものです。

IDAの融資は、無利子または低金利で、長期にわたって返済することができます。

IDAは、融資を行うだけでなく、借入国の経済状況や開発計画などを分析し、政策助言なども行っています。

4. IDAの活動分野

農業・農村開発

IDAは、農業・農村開発分野において、多くの支援を行っています。

例えば、ルワンダでは、農民の市場アクセスを確保するために715の村で道路を整備したほか、土木工事を通じて若者と女性を中心に5万人分の雇用を創出し、同国の経済再建に貢献しました。

IDAは、農業生産の向上、農村地域のインフラ整備、農民の収入増加などを支援することで、貧困削減に貢献しています。

教育

IDAは、教育分野においても、多くの支援を行っています。

例えば、インドでは、6〜14歳の年齢層の子ども全員に小学校8年間の質の高い教育を提供するプログラムを支援しています。

このプログラムのおかげで学校に通う女子の割合が増え、小学校のドロップアウト率は15%から6.8%に低下しました。

保健

IDAは、保健分野においても、多くの支援を行っています。

例えば、ハイチでは、IDAの支援により64万人の子供が予防接種を受け、2万件の出産が専門家の立ち会いの下で行われました。

IDAは、予防接種、母子保健、HIV/エイズ対策など、様々な保健分野において、貧困国を支援しています。

まとめ

IDAは、農業・農村開発、教育、保健など、幅広い分野において、貧困国を支援しています。

IDAの支援は、貧困削減、経済成長、社会開発に大きく貢献しています。

IDAは、今後も様々な分野において、貧困国を支援していくことが期待されています。

5. IDAの役割と重要性

貧困削減への貢献

IDAは、世界で最も貧しい国々の開発を支援する上で重要な役割を果たしています。

IDAは、貧困国に対して資金援助、技術協力、政策助言などを提供することで、貧困削減、経済成長、社会開発に貢献しています。

IDAの支援は、貧困国の人々の生活水準向上に大きく貢献しています。

国際協力の促進

IDAは、国際協力の促進にも重要な役割を果たしています。

IDAは、世界銀行グループの他の機関や、他の国際機関、政府、民間企業、NGOなどとの連携を強化することで、国際協力の促進に貢献しています。

IDAは、国際協力の促進を通じて、世界で最も貧しい国々の開発を支援しています。

持続可能な開発目標（SDGs）への貢献

IDAは、持続可能な開発目標（SDGs）の達成にも貢献しています。

IDAは、SDGsの目標達成のために、貧困削減、教育、保健、インフラ整備、気候変動対策など、様々な分野において、支援を行っています。

IDAは、SDGsの達成を通じて、より良い世界の実現に貢献しています。

まとめ

IDAは、世界で最も貧しい国々の開発を支援する上で重要な役割を果たしています。

IDAは、貧困削減、経済成長、社会開発、国際協力の促進、SDGsの達成など、様々な分野において貢献しています。

IDAは、今後も世界で最も貧しい国々の開発を支援していくために、様々な取り組みを進めていくことが期待されています。

6. IDAと他の国際金融機関の違い

IBRDとの違い

IDAは、世界銀行グループの他の機関である国際復興開発銀行（IBRD）とよく比較されます。

IBRDは、中所得国および信用力のある低所得国の政府に貸出を行います。

一方、IDAは、最貧国の政府に無利子の融資（クレジット）や贈与を提供しています。

つまり、IBRDは、返済能力のある国に対して、市場に近い条件で融資を行う機関であり、IDAは、返済能力が低い国に対して、より緩やかな条件で融資を行う機関です。

IDAとIBRDの違い
項目	IDA	IBRD
融資対象	最貧国	中所得国および信用力のある低所得国
融資条件	無利子または低金利、長期返済	市場に近い条件
主な目的	貧困削減	経済成長促進

IMFとの違い

国際通貨基金（IMF）は、国際金融システムの安定を維持することを目的として設立された国際機関です。

IMFは、加盟国に対して、短期的な資金援助や政策助言を提供しています。

一方、IDAは、貧困国に対して、長期的な資金援助を提供しています。

つまり、IMFは、短期的な金融危機に対処するための機関であり、IDAは、長期的な開発を支援するための機関です。

IDAとIMFの違い
項目	IDA	IMF
融資対象	最貧国	加盟国
融資目的	長期的な開発支援	短期的な金融危機への対処
主な活動	資金援助、技術協力、政策助言	短期的な資金援助、政策助言