項目 | 内容 |
---|---|
設立目的 | 経済の発展や生活の安定、創業者の増加、倒産の減少など |
役割 | セーフティネット機能の発揮、日本経済成長・発展への貢献、地域活性化への貢献 |
事業内容 | 国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業 |
特徴 | 国が100%出資、民間の金融機関を補完する役割、融資条件が比較的有利 |
1. 日本政策金融公庫の概要
日本政策金融公庫とは?
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関であり、財務省所管の特殊会社です。中小企業や小規模事業者、農林漁業者、新規事業者など、多様な事業者を対象に、融資や保証、経営支援などを行っています。日本政策金融公庫は、民間金融機関の取り組みを補完し、日本の中小企業・小規模事業者や農林漁業者など、事業に取り組む方々を支援する政策金融機関です。日本政策金融公庫は日本公庫(読み方:にっぽんこうこ)とも呼ばれ、国民生活の向上に寄与することを目的としています。
日本政策金融公庫は、国が株式の100%を常時保有する旨が法律により定められているため、民間の金融機関とは異なります。日本政策金融公庫は「株式会社日本政策金融公庫法」という法律に基づき設立された、財務省所管の特殊会社です。そして、日本政策金融公庫は日本に5つある政策金融機関(政府系金融機関)のひとつに含まれます。
わかりやすく言えば、日本政策金融公庫は政府公認の金融機関です。民間の金融機関の支援が届かない部分を補っている機関が日本政策金融公庫となるため、銀行や信用金庫との違いは立ち位置や役割と言えるでしょう。
日本政策金融公庫は、国民生活に深くかかわる国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行の国際金融等業務の合わせて4つの政策金融機関が統合されて発足しました。
事業内容 | 概要 |
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国民生活事業 | 小規模事業者や創業企業向けの融資 |
農林水産事業 | 農林漁業や食品産業向けの融資 |
中小企業事業 | 中堅・大企業向けの長期事業資金の融資 |
日本政策金融公庫の役割
日本政策金融公庫には、政策金融機関としての3つの役割があります。公式サイトにある「日本公庫をはじめてご利用の方へ」には、日本政策金融公庫の役割とその概要が記載されています。
・セーフティネット機能の発揮:民間金融機関では融資が難しい事業者に対しても融資を行い、事業の安定化を図ります。
・日本経済成長・発展への貢献:中小企業や小規模事業者の資金調達を支援することで、雇用創出や経済活性化に貢献します。
・地域活性化への貢献:地域経済の活性化を図るため、地域の中小企業や小規模事業者への融資や支援を行っています。
役割 | 概要 |
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セーフティネット機能の発揮 | 民間金融機関では融資が難しい事業者に対しても融資を行い、事業の安定化を図ります。 |
日本経済成長・発展への貢献 | 中小企業や小規模事業者の資金調達を支援することで、雇用創出や経済活性化に貢献します。 |
地域活性化への貢献 | 地域経済の活性化を図るため、地域の中小企業や小規模事業者への融資や支援を行っています。 |
日本政策金融公庫の事業内容
日本政策金融公庫では、これらの役割を念頭に業務を行っています。具体的には、「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」という3つの事業を設け、事業ごとに「融資」「支援」「情報提供」といった業務を行っています。
国民生活事業は、主にスタートアップや個人事業主(フリーランス含む)、中小零細企業向けの融資を担当しています。そのため小口が多く、融資残高の平均は1件あたり約600万円です。
中小企業事業は、主に年商10億円を超える中堅・大企業向けの長期事業資金を融資しています。融資残高の平均は2022年末時点で1.3億円程度で、1億円を超えるくらいの融資規模から利用されるイメージです。
農林水産事業は、その名のとおり農業・水産業に対する事業です。例えば、農林漁業者への融資業務や経営改善の支援、食品産業の振興などを通じて、日本の「食」の発展を総合的に支援しています。
まとめ
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関であり、中小企業や小規模事業者、農林漁業者、新規事業者など、多様な事業者を対象に、融資や保証、経営支援などを行っています。
日本政策金融公庫は、民間の金融機関の支援が届かない部分を補完する役割を担っており、銀行や信用金庫などから融資が受けにくい方々に寄り添いサポートする制度も準備されています。
日本政策金融公庫は、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3つの事業を展開しており、それぞれの事業で融資制度や支援制度が異なります。
日本政策金融公庫は、経済の活性化や雇用の維持などの社会的意義があるため、政策的な目的で融資を受けにくい事業者にも支援してくれる可能性があります。
2. 日本政策金融公庫の歴史
日本政策金融公庫の設立背景
日本政策金融公庫は、2008年10月1日に「国民生活金融公庫」「農林漁業金融公庫」「中小企業金融公庫」の3つの政府系金融機関が1つに合併し、発足しました。
これは、2001年に発足した小泉純一郎内閣によって実施された“聖域なき構造改革”の一環として、「官から民へ」を改革の柱として政策金融改革が着手された結果です。
日本政策金融公庫は形式上、「株式会社」となっていますが、国が株式の100%を常時保有することが法律で定められている特別な株式会社であり、一般の民間会社や民営化を前提とした特殊会社ではありません。
なお、日本政策金融公庫が株式会社の形態をとっているのは、株式会社のガバナンスの仕組みを活用して、透明性の高い効率的な事業運営を行うためであるといわれています。
特殊法人 | 概要 |
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国民生活金融公庫 | 個人事業主や小規模事業者向けの融資 |
農林漁業金融公庫 | 農林漁業者向けの融資 |
中小企業金融公庫 | 中小企業向けの融資 |
日本政策金融公庫の前身
日本政策金融公庫の前身は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫という3つの特殊法人です。発足年月日となる平成20年10月1日以降は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が担っていた業務を引き継いでいます。
国民生活金融公庫は国金(こっきん)とも呼ばれ、その名残から日本政策金融公庫のことを国金と呼ぶ人もいます。
2008年10月1日以前までは、「国民生活金融公庫」「中小企業金融公庫」「農林漁業金融公庫」の3つ政府系金融機関があり、創業者や小規模事業者は、「国民生活金融公庫」(こくきん)に融資の申請をしていました。
現在の「日本政策金融公庫」は、この3つの金融機関が統合された組織ですので、「窓口」については、その名残を継承して「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3つに分かれています。
日本政策金融公庫の設立目的
日本政策金融公庫は、国益のために設立された政府系金融機関のため、事業目的は経済の発展や生活の安定、創業者の増加、倒産の減少などとなります。
日本政策金融公庫自体の利益よりも国民の経済的な課題の解決が優先されます。
一方、民間の金融機関の場合は、自社の利益を上げることが最優先となります。
民間の金融機関は預金業務・為替業務・貸出業務の3つが大きな業務内容となりますが、日本政策金融公庫では、預金の受付や為替業務は行っていません。
まとめ
日本政策金融公庫は、2008年10月1日に「国民生活金融公庫」「農林漁業金融公庫」「中小企業金融公庫」の3つの政府系金融機関が統合され、発足しました。
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関であり、中小企業や小規模事業者、農林漁業者、新規事業者など、多様な事業者を対象に、融資や保証、経営支援などを行っています。
日本政策金融公庫は、民間の金融機関の支援が届かない部分を補完する役割を担っており、銀行や信用金庫などから融資が受けにくい方々に寄り添いサポートする制度も準備されています。
日本政策金融公庫は、経済の活性化や雇用の維持などの社会的意義があるため、政策的な目的で融資を受けにくい事業者にも支援してくれる可能性があります。
3. 日本政策金融公庫の融資制度
日本政策金融公庫の融資制度の種類
日本政策金融公庫では、事業ごとに融資制度が異なります。いろいろ種類があるため、融資制度の種類が気になる人は、以下の一例を参考にしてみてください。
・新創業融資制度:新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした無担保無保証の融資制度です。
・マル経融資:商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる融資です。
・海外展開・事業再編資金:海外展開を計画する企業に対し、「海外展開・事業再編資金」を提供しています。
融資制度 | 概要 |
---|---|
新創業融資制度 | 新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象とした無担保無保証の融資制度です。 |
マル経融資 | 商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる融資です。 |
海外展開・事業再編資金 | 海外展開を計画する企業に対し、「海外展開・事業再編資金」を提供しています。 |
日本政策金融公庫の融資制度の利用条件
上限金額や適用金利、融資期間といった利用条件は、融資制度によって異なります。
借りたい金額が借りられるか、返済期間に余裕があるか等を知りたい人は、それぞれの融資制度で利用条件を確認しましょう。
融資条件は自己資金や経験、他社借入などから審査を経て決まるため、申込者によって借り入れできる金額や適応金利には違いが生じます。
そのため、借入希望額が上限額の範囲内であったとしても、全額借りられるとは限りません。
項目 | 内容 |
---|---|
上限金額 | 融資制度によって異なります。 |
適用金利 | 融資制度によって異なります。 |
融資期間 | 融資制度によって異なります。 |
日本政策金融公庫の融資制度のメリット
日本政策金融公庫の融資制度や支援制度は、銀行や信用金庫などの民間の金融機関から融資が受けにくい方々をサポートする仕組みとなっています。
・低金利:一般的に、民間金融機関よりも金利が低く設定されています。
・無担保・無保証人:担保や保証人が不要な融資制度もあります。
・長期返済:返済期間が長く設定されているため、月々の返済負担を軽減できます。
まとめ
日本政策金融公庫は、事業ごとに融資制度が異なります。
融資制度には、新創業融資制度、マル経融資、海外展開・事業再編資金などがあります。
融資制度の利用条件は、上限金額、適用金利、融資期間など、制度によって異なります。
日本政策金融公庫の融資制度は、銀行や信用金庫などの民間の金融機関から融資が受けにくい方々をサポートする仕組みとなっています。
4. 日本政策金融公庫の運営管理
日本政策金融公庫の組織体制
日本政策金融公庫は、全国に152の支店を展開しており、各支店には、融資担当者や経営支援担当者など、専門性の高いスタッフが配置されています。
また、日本政策金融公庫には、経営支援部、融資部、企画部など、様々な部署があり、それぞれが専門的な業務を行っています。
日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関であり、その運営は、財務省の監督のもと行われています。
日本政策金融公庫は、透明性と効率性を高めるため、ガバナンス体制を強化しています。
日本政策金融公庫の審査基準
日本政策金融公庫の審査基準は、事業計画の内容、経営者の能力、財務状況、返済能力など、多岐にわたります。
特に、事業計画の内容は、具体的な数値目標や達成計画が示されているか、実現可能性が高いのかなどが評価されます。
経営者の能力は、事業に対する熱意、経験、知識などが評価されます。
財務状況は、自己資金の額、借入金の状況、収益性などが評価されます。
項目 | 内容 |
---|---|
事業計画の内容 | 具体的な数値目標や達成計画が示されているか、実現可能性が高いのかなどが評価されます。 |
経営者の能力 | 事業に対する熱意、経験、知識などが評価されます。 |
財務状況 | 自己資金の額、借入金の状況、収益性などが評価されます。 |
日本政策金融公庫の融資実行までの流れ
日本政策金融公庫から融資を受けるには、まず最寄りの日本政策金融公庫支店に連絡して相談の予約をとります。
その後支店窓口を訪問して融資の相談をし、申請に必要な「借入申込書」や「創業計画書」などを受け取ります。
必要書類を提出してから約1週間後に、日本政策金融公庫の担当者と面談を行います。
提出書類と面談の内容を総合的に判断して、審査がおこなわれます。審査期間期間は2~4週間ほどです。
まとめ
日本政策金融公庫は、全国に152の支店を展開しており、各支店には、融資担当者や経営支援担当者など、専門性の高いスタッフが配置されています。
日本政策金融公庫の審査基準は、事業計画の内容、経営者の能力、財務状況、返済能力など、多岐にわたります。
日本政策金融公庫から融資を受けるには、まず最寄りの日本政策金融公庫支店に連絡して相談の予約をとります。
その後支店窓口を訪問して融資の相談をし、申請に必要な「借入申込書」や「創業計画書」などを受け取ります。
5. 日本政策金融公庫の支援事業
創業支援
日本政策金融公庫は、創業を支援する様々な取り組みを行っています。
・創業融資:創業資金の融資を提供しています。
・創業相談:創業に関する相談を受け付けています。
・創業セミナー:創業に関するセミナーを開催しています。
支援内容 | 概要 |
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創業融資 | 創業資金の融資を提供しています。 |
創業相談 | 創業に関する相談を受け付けています。 |
創業セミナー | 創業に関するセミナーを開催しています。 |
経営支援
日本政策金融公庫は、経営の安定化や成長を支援する様々な取り組みを行っています。
・経営改善融資:経営改善に必要な資金を融資しています。
・経営指導:経営に関する指導を行っています。
・経営相談:経営に関する相談を受け付けています。
支援内容 | 概要 |
---|---|
経営改善融資 | 経営改善に必要な資金を融資しています。 |
経営指導 | 経営に関する指導を行っています。 |
経営相談 | 経営に関する相談を受け付けています。 |
地域活性化支援
日本政策金融公庫は、地域経済の活性化を支援する様々な取り組みを行っています。
・地域活性化融資:地域経済の活性化に貢献する事業に対して融資を行っています。
・地域連携:地域の関係機関と連携して、地域経済の活性化に取り組んでいます。
・地域貢献:地域貢献活動を行っています。
支援内容 | 概要 |
---|---|
地域活性化融資 | 地域経済の活性化に貢献する事業に対して融資を行っています。 |
地域連携 | 地域の関係機関と連携して、地域経済の活性化に取り組んでいます。 |
地域貢献 | 地域貢献活動を行っています。 |
まとめ
日本政策金融公庫は、創業支援、経営支援、地域活性化支援など、様々な支援事業を行っています。
創業支援では、創業融資、創業相談、創業セミナーなどを行っています。
経営支援では、経営改善融資、経営指導、経営相談などを行っています。
地域活性化支援では、地域活性化融資、地域連携、地域貢献などを行っています。
6. 日本政策金融公庫の今後の展望
デジタル化への対応
日本政策金融公庫は、近年、デジタル化への対応を進めています。
オンラインでの融資申込や、オンラインでの相談受付など、顧客の利便性を向上させる取り組みを行っています。
また、データ分析などを活用することで、融資審査の効率化や、より的確な経営支援を目指しています。
日本政策金融公庫は、今後もデジタル化を積極的に推進していくことで、顧客サービスの向上と業務効率化を図っていくことが予想されます。
ESGへの取り組み
日本政策金融公庫は、ESGへの取り組みを強化しています。
環境問題、社会問題、企業統治の改善に貢献する事業に対して、積極的に融資を行っています。
また、ESGに関する情報開示を強化することで、透明性と信頼性を高めています。
日本政策金融公庫は、今後もESGへの取り組みを強化することで、持続可能な社会の実現に貢献していくことが予想されます。
国際的な連携強化
日本政策金融公庫は、国際的な連携を強化しています。
海外の金融機関との連携を強化することで、日本企業の海外進出を支援しています。
また、国際的な課題解決に貢献するため、国際機関との連携も強化しています。
日本政策金融公庫は、今後も国際的な連携を強化することで、グローバルな事業展開を支援していくことが予想されます。
まとめ
日本政策金融公庫は、デジタル化、ESGへの取り組み、国際的な連携強化など、様々な分野で積極的に取り組んでいます。
これらの取り組みを通じて、日本政策金融公庫は、今後も中小企業や小規模事業者の成長を支援し、日本経済の発展に貢献していくことが期待されます。
日本政策金融公庫は、今後も時代の変化に対応し、新たなニーズに対応していくことが重要です。
特に、デジタル化やESGへの取り組みは、今後ますます重要になっていくと考えられます。
参考文献
・日本政策金融公庫とは?役割や銀行との違いをわかりやすく解説
・日本政策金融公庫とは?徹底的にわかりやすく解説|強み・業務 …
・日本政策金融公庫とは?主な融資制度と利用メリットをわかり …
・日本政策金融公庫とは?特徴や銀行との違いをわかりやすく …
・日本政策金融公庫とは:融資を受ける際のメリット・デメリットも
・日本政策金融公庫とは?特徴や役割、メリットについて解説 …
・日本政策金融公庫について知る 日本政策金融公庫とは ~3つの …
・日本政策金融公庫とは?銀行とは何が違う?取引きの始め方 …
・日本政策金融公庫とは?メリット・デメリットや融資の流れ等 …
・日本政策金融公庫とは?役割や融資の種類をわかりやすく解説 …
・政策金融公庫とは? 役割、種類、創業融資制度、融資の流れ …
・日本政策金融公庫とは?役割と機能について解説 – 行政書士 …