自己資本とは?経済用語について説明

自己資本に関する用語の比較
用語	定義	説明
自己資本	企業が所有する資産のうち、外部からの借入れや負債ではなく、株主やオーナーから提供された資金や、企業が自ら生み出した利益を指します。	企業の財務健全性を示す重要な指標であり、企業がどれだけ自前の資金で運営されているかを示します。
純資産	企業や個人が持つ資産の価値から負債（借金など）を差し引いた金額のことです。	企業や個人の経済的な価値や財務の健全性を示す指標として用いられます。
株主資本	会社の財務諸表において、株主からの出資や過去の利益の蓄積など、株主に帰属する資本のことを指します。	会社が所有する資産から負債を差し引いた残りの部分であり、自己資本とも呼ばれます。
他人資本	企業が外部から調達した資金のことです。具体的には、銀行からの借入金や社債などが含まれます。	自己資本と異なり、返済義務を伴います。そのため、他人資本が多い企業は、返済の負担が大きくなり、経営が不安定になるリスクがあります。

1. 自己資本の概要

自己資本の定義

自己資本とは、企業が所有する資産のうち、外部からの借入れや負債ではなく、株主やオーナーから提供された資金や、企業が自ら生み出した利益を指します。具体的には、株主資本や留保利益が含まれます。自己資本は、企業の財務健全性を示す重要な指標であり、企業がどれだけ自前の資金で運営されているかを示します。

自己資本は、企業の財務状況を分析する上で重要な要素です。自己資本が大きいほど、企業は安定した経営基盤を持っていると判断されます。なぜなら、自己資本は返済義務がないため、企業は自由に資金を運用し、事業の成長や拡大に投資することができるからです。

一方で、自己資本が小さい企業は、借入れに頼らざるを得ない状況となり、返済の負担が大きくなる可能性があります。そのため、自己資本比率は、企業の安定性や成長性を評価する上で重要な指標となります。

自己資本は、企業の財務諸表の貸借対照表の右側に表示される純資産の部で確認することができます。純資産は、企業の資産から負債を差し引いた金額であり、自己資本とほぼ同義です。

自己資本の構成要素
項目	説明
資本金	株主からの出資によって形成されます。
資本剰余金	株式の発行価格と資本金の差額や、自社株式の売却益などで形成されます。
利益剰余金	企業が過去に得た利益を積み立てたもので、将来の事業展開や投資に活用されます。

自己資本の重要性

自己資本は、企業の安定性や成長性を評価する上で重要な指標となります。自己資本比率が高い企業は、借入れに依存せずに事業を展開できるため、経済的な安定性が高いとされています。

また、自己資本は、企業が将来の事業展開や投資を行うための資金源となります。自己資本が充実している企業は、新たな事業への投資や設備の購入など、積極的に事業を拡大することができます。

さらに、自己資本は、企業の信用力を高める役割も果たします。自己資本比率が高い企業は、金融機関からの融資を受けやすくなるだけでなく、取引先からの信頼も厚くなります。

自己資本は、企業の経営戦略において重要な役割を果たすため、経営者は自己資本を常に意識し、適切な水準を維持することが重要です。

自己資本の重要性
項目	説明
安定性	自己資本比率が高い企業は、借入れに依存せずに事業を展開できるため、経済的な安定性が高いとされています。
成長性	自己資本は、企業が将来の事業展開や投資を行うための資金源となります。
信用力	自己資本比率が高い企業は、金融機関からの融資を受けやすくなるだけでなく、取引先からの信頼も厚くなります。

自己資本と他人資本の違い

自己資本とは対照的に、企業が外部から調達した資金は他人資本と呼ばれます。他人資本には、銀行からの借入金や社債などが含まれます。

他人資本は、自己資本と異なり、返済義務を伴います。そのため、他人資本が多い企業は、返済の負担が大きくなり、経営が不安定になるリスクがあります。

自己資本と他人資本のバランスは、企業の財務戦略やリスク管理において重要な要素となります。

一般的には、自己資本比率が高い企業は、他人資本に頼らずに事業を運営できるため、安定した経営基盤を持っていると判断されます。

自己資本と他人資本の比較
項目	自己資本	他人資本
返済義務	なし	あり
利息	なし	あり（多くの場合）
リスク	低い	高い
資金調達	容易	困難
経営安定性	高い	低い

まとめ

自己資本は、企業が所有する資産のうち、外部からの借入れや負債ではなく、株主やオーナーから提供された資金や、企業が自ら生み出した利益を指します。

自己資本は、企業の財務健全性を示す重要な指標であり、企業がどれだけ自前の資金で運営されているかを示します。

自己資本は、企業の経営戦略において重要な役割を果たすため、経営者は自己資本を常に意識し、適切な水準を維持することが重要です。

2. 自己資本の種類

資本金

資本金とは、会社経営において株主や投資家から調達した資金であり、銀行から融資を受けたときのような返済義務はなく、自由に事業資金として使うことができます。

資本金は、会社の設立時や増資時に株主から出資された金額を指します。株主が会社に出資した額を元本として、企業の運営に使用されます。

資本金は株主による出資を表すため、企業の初期資金として重要な項目です。十分な資本金があれば、業務継続や予期せぬ出費にも対応しやすくなります。

株主や投資家に対しても企業の経営方針や成長戦略を具体的に示すことで、投資への信頼を高める助けとなります。

資本金の項目
項目	説明
資本金	株主から出資された金額を指します。
資本準備金	増資時に資本金に振り替えたり、赤字が出た際に繰越利益剰余金に振り替えたりすることが可能です。
その他資本剰余金	増資や減資、自社株式の取得・処分で生じた剰余金を指します。

資本剰余金

資本剰余金は、株主の出資額と実際の株式の発行価格との差額を表します。

資本剰余金は、資本金を超えて株主からの出資があった場合に生じる金額を指します。

資本剰余金は、資本金に計上しなかった分を計上する「資本準備金」と、自社株式を譲渡した際の損益などの「その他資本剰余金」に分けられます。

資本準備金は、増資時に資本金への振り替えができたり、赤字が出た際に繰越利益剰余金に振り替えたりすることが可能です。

利益剰余金の項目
項目	説明
利益準備金	会社法によって、株主に配当をする際に会社に積み立てることが義務付けられているお金です。
その他利益剰余金	利益準備金以外の利益剰余金です。

利益剰余金

利益剰余金は、過去の純利益から株主への支払いを除いた、未配当の利益を示します。企業が過去に稼いだ利益から株主への配当や資本剰余金への積み立てを差し引いた残りの利益です。

利益剰余金は、利益準備金とその他利益剰余金に分けられます。利益準備金は事業で得た利益を積み立てたお金のうち、会社法により、株主に配当をする際に一定の範囲で積み立てることが義務付けられているお金です。

積立が義務付けられていない分は、「その他利益剰余金」に入ります。その他利益剰余金は、「繰越利益剰余金」と「別途（任意）積立金」を含んでいます。

利益剰余金は企業の成長や再投資に役立つ資金として活用されます。

まとめ

自己資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金などの項目で構成されます。

資本金は、株主からの出資によって形成されます。

資本剰余金は、株式の発行価格と資本金の差額や、自社株式の売却益などで形成されます。

利益剰余金は、企業が過去に得た利益を積み立てたもので、将来の事業展開や投資に活用されます。

3. 自己資本の重要性

経営の安定性

自己資本比率が高い企業は、返済義務がない資金を多く保有しているため、不況時や業績悪化時にも安定した経営を維持することができます。

また、自己資本比率が高い企業は、金融機関からの融資を受けやすくなるだけでなく、取引先からの信頼も厚くなります。

自己資本比率は、企業の財務的な健全性を示す重要な指標であり、投資家や取引先にとって重要な判断材料となります。

自己資本比率と経営安定性
自己資本比率	経営安定性
50%以上	非常に安定した経営基盤を持つ企業
20%～49%	安定した経営基盤を持つ企業
10%～19%	経営は安定しているものの、注意が必要な企業
9%以下	経営が不安定な企業
マイナス	債務超過

事業の成長性

自己資本は、企業が将来の事業展開や投資を行うための資金源となります。自己資本が充実している企業は、新たな事業への投資や設備の購入など、積極的に事業を拡大することができます。

自己資本は、企業の成長を支える重要な要素であり、自己資本比率が高い企業は、より積極的に事業を拡大し、収益を拡大する可能性が高いといえます。

自己資本は、企業の成長戦略において重要な役割を果たすため、経営者は自己資本を常に意識し、適切な水準を維持することが重要です。

自己資本は、企業の成長を促進する原動力となります。

自己資本と事業成長
項目	説明
資金源	自己資本は、企業が将来の事業展開や投資を行うための資金源となります。
成長促進	自己資本が充実している企業は、新たな事業への投資や設備の購入など、積極的に事業を拡大することができます。
収益拡大	自己資本は、企業の成長を支える重要な要素であり、自己資本比率が高い企業は、より積極的に事業を拡大し、収益を拡大する可能性が高いといえます。

信用力

自己資本は、企業の信用力を高める役割も果たします。自己資本比率が高い企業は、金融機関からの融資を受けやすくなるだけでなく、取引先からの信頼も厚くなります。

自己資本比率が高い企業は、安定した経営基盤を持っていると判断されるため、金融機関は融資を積極的に行い、取引先も安心して取引を行うことができます。

自己資本は、企業の信用力を高める重要な要素であり、企業のビジネスチャンスを広げることに貢献します。

自己資本は、企業の信頼性を高める重要な要素です。

自己資本と信用力
項目	説明
融資	自己資本比率が高い企業は、金融機関からの融資を受けやすくなります。
取引	自己資本比率が高い企業は、取引先からの信頼も厚くなります。
ビジネスチャンス	自己資本は、企業の信用力を高める重要な要素であり、企業のビジネスチャンスを広げることに貢献します。

まとめ

自己資本は、企業の安定性、成長性、信用力を高める上で重要な役割を果たします。

自己資本比率が高い企業は、借入れに依存せずに事業を展開できるため、経済的な安定性が高く、金融機関からの融資を受けやすく、取引先からの信頼も厚くなります。

自己資本は、企業の成長を促進する原動力となり、企業のビジネスチャンスを広げることに貢献します。

経営者は、自己資本を常に意識し、適切な水準を維持することで、安定した経営を実現し、事業を成長させることができます。

4. 自己資本と他の資本の比較

純資産

純資産は、企業の全ての資産から負債を差し引いた金額です。つまり、企業が自己所有している正味の資産の総額を示す指標であり、自己資本とも呼ばれます。

純資産は、企業の経済的な安定度と財務的な健全性を測る上で重要な尺度となります。

純資産は、自己資本とほぼ同義ですが、自己資本は株主からの出資を示し、純資産は企業全体の資産に対する純利益を反映します。

純資産は、貸借対照表の右側に表示される項目であり、自己資本と同様に企業の財務状況を分析する上で重要な指標となります。

純資産と自己資本の比較
項目	純資産	自己資本
定義	企業の全ての資産から負債を差し引いた金額	企業が所有する資産のうち、外部からの借入れや負債ではなく、株主やオーナーから提供された資金や、企業が自ら生み出した利益を指します。
目的	企業の経済的な安定度と財務的な健全性を測る	企業の財務健全性を示す重要な指標であり、企業がどれだけ自前の資金で運営されているかを示します。
関係	自己資本とほぼ同義	純資産とほぼ同義

株主資本

株主資本は、会社の財務諸表において、株主からの出資や過去の利益の蓄積など、株主に帰属する資本のことを指します。

これは、会社が所有する資産から負債を差し引いた残りの部分であり、自己資本とも呼ばれます。

株主資本は、企業の所有者である株主の持ち分を示すものであり、企業の財務状況を分析する上で重要な指標となります。

株主資本は、自己資本とほぼ同義ですが、自己資本は株主からの出資を示し、株主資本は企業全体の資産に対する純利益を反映します。

株主資本と自己資本の比較
項目	株主資本	自己資本
定義	会社の財務諸表において、株主からの出資や過去の利益の蓄積など、株主に帰属する資本のことを指します。	企業が所有する資産のうち、外部からの借入れや負債ではなく、株主やオーナーから提供された資金や、企業が自ら生み出した利益を指します。
目的	会社が所有する資産から負債を差し引いた残りの部分	企業の財務健全性を示す重要な指標であり、企業がどれだけ自前の資金で運営されているかを示します。
関係	自己資本とほぼ同義	株主資本とほぼ同義

他人資本

他人資本とは、企業が外部から調達した資金のことです。具体的には、銀行からの借入金や社債などが含まれます。

他人資本は、企業の財務状況を分析する上で重要な要素であり、自己資本とのバランスが重要となります。

他人資本は、企業の成長を促進する資金源となる一方で、返済の負担が大きくなるリスクも伴います。

他人資本と自己資本の比較
項目	他人資本	自己資本
定義	企業が外部から調達した資金のことです。	企業が所有する資産のうち、外部からの借入れや負債ではなく、株主やオーナーから提供された資金や、企業が自ら生み出した利益を指します。
返済義務	あり	なし
リスク	高い	低い
資金調達	容易	困難
経営安定性	低い	高い

まとめ

自己資本、純資産、株主資本は、いずれも企業の正味の財産を表す言葉であり、ほぼ同義です。

自己資本は、株主からの出資や企業が自ら生み出した利益を指し、返済義務がありません。

純資産は、企業の全ての資産から負債を差し引いた金額であり、企業の経済的な安定度と財務的な健全性を測る上で重要な尺度となります。

株主資本は、株主からの出資や過去の利益の蓄積など、株主に帰属する資本のことを指し、企業の所有者である株主の持ち分を示すものです。

5. 自己資本の計算方法

自己資本比率の計算

自己資本比率とは、会社の総資本における自己資本の比率のことです。自己資本率を計算することで、会社の資本力や経営の安定性を図ることが可能になります。

自己資本比率の算出式は、自己資本比率＝〔自己資本（純資産）÷総資本（負債の部＋資本の部の合計）〕×100 となっています。

例えば、総資本が10億円で自己資本が1億円の場合、自己資本比率は「（1億円÷10億円）×100」＝10%となります。

自己資本比率は、企業の財務状況を分析する上で重要な指標であり、企業の安定性や成長性を評価する上で役立ちます。

自己資本比率の計算式
項目	計算式
自己資本比率	自己資本（純資産）÷総資本（負債の部＋資本の部の合計）×100

自己資本比率の目安

中小企業における自己資本比率の適正な水準は以下の通りとされています。

自己資本比率が50%以上：非常に安定した経営基盤を持つ企業と判断されます。

自己資本比率が20%～49%：安定した経営基盤を持つ企業と判断されます。

自己資本比率が10%～19%：経営は安定しているものの、注意が必要な企業と判断されます。

自己資本比率の目安
自己資本比率	経営安定性
50%以上	非常に安定した経営基盤を持つ企業
20%～49%	安定した経営基盤を持つ企業
10%～19%	経営は安定しているものの、注意が必要な企業
9%以下	経営が不安定な企業
マイナス	債務超過

自己資本比率が低い場合の対策

自己資本比率が低い場合は、企業の財務的な安定性が低いことを示しており、早急に改善策を検討する必要があります。

自己資本比率を向上させるための対策としては、利益を増加させて利益剰余金を積み立てる、増資を行う、借入金を減らす、節税対策を見直すなどがあります。

自己資本比率を向上させるためには、企業の経営状況や財務状況を分析し、適切な対策を講じることが重要です。

自己資本比率は、企業の財務状況を分析する上で重要な指標であり、経営者は自己資本比率を常に意識し、適切な水準を維持することが重要です。

自己資本比率が低い場合の対策
対策	説明
利益増加	利益を増加させて利益剰余金を積み立てる
増資	新たに株式を発行し、投資家に出資してもらう
借入金削減	銀行からの借入金を減らす
節税対策の見直し	節税対策を見直し、利益を圧縮しすぎないようにする

まとめ

自己資本比率は、企業の財務状況を分析する上で重要な指標であり、企業の安定性や成長性を評価する上で役立ちます。

自己資本比率は、自己資本（純資産）を総資本（負債の部＋資本の部の合計）で割って計算します。

自己資本比率は、一般的に30%以上が安定企業、50%以上が優良企業とされています。

自己資本比率が低い場合は、企業の財務的な安定性が低いことを示しており、早急に改善策を検討する必要があります。

6. 自己資本の事例

自己資本比率の高い企業

一般的には、自己資本比率の高い企業の特徴には、買掛金や借金などの他人資本が少ない、自己資本の代表である現預金と純資産が多い、現金化のスピードが速く、キャッシュフローを重視している、資本効率の高い経営が実践されている、利益水準が高い、在庫が少ない、設備の減価償却が速い、不良債権や不良資産が少ないなどが挙げられます。

自己資本比率の高い企業は、安定した経営基盤を持っているため、金融機関からの融資を受けやすく、取引先からの信頼も厚くなります。

自己資本比率の高い企業は、積極的に事業を拡大し、収益を拡大する可能性が高いといえます。

自己資本比率の高い企業は、安定した経営基盤と高い信用力を持ち、成長を続ける可能性が高いといえます。

自己資本比率の高い企業の特徴
項目	特徴
他人資本	少ない
自己資本	多い
現金化	スピードが速い
資本効率	高い
利益水準	高い
在庫	少ない
設備減価償却	速い
不良債権・不良資産	少ない

自己資本比率の低い企業

一方で、自己資本比率が低い企業は、買掛金や借金などの他人資本が多い、自己資本の代表である現預金と純資産が少ない、現金化のスピードが遅く、キャッシュフロー重視の経営が定着していない、資本効率の悪い経営になってしまっている可能性が高い、利益水準が低い、在庫が多い、設備の減価償却が遅い、不良債権や不良資産が多いといった特徴が考えられます。

自己資本比率が低い企業は、返済の負担が大きくなり、経営が不安定になるリスクがあります。

自己資本比率が低い企業は、金融機関からの融資を受けにくく、取引先からの信頼も低くなる可能性があります。

自己資本比率が低い企業は、経営の安定性や成長性に課題を抱えている可能性があります。

自己資本比率の低い企業の特徴
項目	特徴
他人資本	多い
自己資本	少ない
現金化	スピードが遅い
資本効率	低い
利益水準	低い
在庫	多い
設備減価償却	遅い
不良債権・不良資産	多い