項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 複数のレバレッジドローンを束ねた商品 |
仕組み | 金融機関が貸付債権を特別目的会社に譲渡し、特別目的会社がCLOを組成し、投資家に販売 |
メリット | 投資家の多様化、流動性の向上、リスク管理の効率化 |
デメリット | 複雑な構造、流動性の低さ、情報不足 |
市場の現状 | 近年急速に成長しているが、流動性の低さや規制の強化などの課題も存在 |
投資の注意点 | リスクの理解、情報収集の重要性、専門家のアドバイス |
将来性 | 市場の成長が期待される一方、リスク管理と規制の動向に注意が必要 |
1. CLOとは何か
CLOの定義と仕組み
CLOとは、Collateralized Loan Obligationの略称で、ローン担保証券と呼ばれる。投資格付けの低い欧米企業は銀行から資金調達する際、社債などに比べて返済順位を高めた融資であるレバレッジドローンという仕組みを活用することが多い。CLOは複数のレバレッジドローンを束ねた商品だ。
CLOは、金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権(ローン)を証券化し、貸付債権の元利金を担保にして発行される証券のこと。金融機関は、貸倒リスクを回避するとともに、流動性の劣る貸出資産を、より流動性の高い債券の形態にすることで、機動的に資金調達できるというメリットがある。
金融機関が貸付債権を特別目的会社(SPC)に譲渡し、特別目的会社がCLOを組成し、投資家に販売し、貸付債権からの元利金を投資家が受け取るという仕組みが一般的であり、シニア債・メザニン債・劣後債といった支払優先順位の異なる数種類の債券が組成され、元利金は支払優先順位の高い順に支払われるため、発行体が同一であっても、階層の異なる債券ごとに、それぞれ異った格付が付与され、リスク・リターンの選好が異なる様々な層の投資家に対して、投資機会を提供することができる。
要素 | 説明 |
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シニア債 | 最も安全な部分、利回りは低い |
メザニン債 | 中間リスク、利回りは中程度 |
劣後債 | 最もリスクの高い部分、利回りは高い |
CLOの例
例えば「格付BB・利回り7%」のバンクローンはCLOによって「AAA・2%」「BBB・6%」「エクイティ・15%」のようにタイプの異なる複数の債券に証券化されることで、様々な投資家がアクセスできるようになります。
CLOは、複数の企業向け貸付債権(ローン債権)を裏付け資産として発行する証券です。
証券化商品のうち最も安全な部分をシニア債(優先債)といい、最もリスクの高い部分をジュニア債(劣後債)、中間にあるものをメザニン債といいます。
種類 | 説明 |
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ABS | 資産担保証券の総称 |
CDO | 債務担保証券、ローンや債券を担保 |
CLO | CDOの一種、ローンを担保 |
CBO | CDOの一種、債券を担保 |
CLOとCDOの関係
「CLO」は「ABS(asset backed security:資産担保証券)」の一種です。 「ABS」の中で不動産向けを除く貸出債権(ローン:Loan)や債券(ボンド:Bond)を裏付けとするものが「CDO(Collateralized Debt Obligation:債務担保証券)」と呼ばれます。
さらに「CDO」の内、裏付けとなる資産が貸出債権(ローン:Loan)のものが「CLO(Collateralized Loan Obligation:ローン担保証券)」と呼ばれ、債券(ボンド:Bond)のものが「CBO(Collateralized Bond Obligation)」と呼ばれます。
ちなみに「Collateralized=担保化された」「Obligation =証券」の意味です。
まとめ
CLOは、複数のレバレッジドローンを束ねた商品であり、投資家にとってリスクとリターンのバランスを調整できる投資機会を提供するものです。
CLOは、CDOの一種であり、CDOの中でも、裏付けとなる資産が貸出債権(ローン)のものを指します。
CLOは、シニア債、メザニン債、劣後債といった複数の債券に分割され、それぞれ異なるリスクとリターンが設定されます。
2. CLOのメリット
投資家の多様化
CLOは、様々なリスク許容度を持つ投資家に、それぞれに合った投資機会を提供することができます。
リスクをあまり取れない投資家はシニア債に投資し、高利回りを求める投資家は劣後債に投資することができます。
このように、CLOは、投資家のニーズに合わせて、リスクとリターンのバランスを調整できる投資機会を提供します。
投資家タイプ | CLOのメリット |
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リスク回避型 | シニア債への投資で安定収益 |
高利回り志向 | 劣後債への投資で高いリターン |
多様なニーズ | リスク許容度に応じた投資機会を提供 |
流動性の向上
CLOは、流動性の低い貸出債権を証券化することで、流動性を高めることができます。
金融機関は、CLOを発行することで、貸出債権をより容易に売却することができ、資金調達を円滑に行うことができます。
また、投資家にとっても、CLOは、流動性の高い投資商品として魅力的です。
リスク管理の効率化
CLOは、複数の貸出債権をプールすることで、個別の貸出債権のリスクを分散することができます。
金融機関は、CLOを発行することで、貸倒リスクを軽減することができます。
また、投資家にとっても、CLOは、リスク分散された投資商品として魅力的です。
まとめ
CLOは、投資家と金融機関の双方にとって、様々なメリットをもたらす金融商品です。
投資家にとって、CLOは、リスクとリターンのバランスを調整できる投資機会を提供します。
金融機関にとって、CLOは、貸倒リスクを軽減し、流動性を高めることができます。
3. CLOのデメリット
複雑な構造
CLOは、複数の債券に分割され、それぞれ異なるリスクとリターンが設定されるため、構造が複雑です。
投資家は、CLOに投資する前に、その構造を理解し、リスクを十分に評価する必要があります。
特に、劣後債に投資する場合には、リスクが非常に高いため、注意が必要です。
流動性の低さ
CLOは、一般的に流動性が低い金融商品です。
投資家は、CLOを売却したい場合、希望する価格で売却できない可能性があります。
そのため、CLOに投資する際には、長期保有を前提とする必要があります。
情報不足
CLOは、複雑な構造を持つため、投資家にとって情報が不足している場合があります。
投資家は、CLOに投資する前に、十分な情報収集を行い、リスクを理解する必要があります。
特に、CLOのポートフォリオに含まれるローンの詳細な情報や、過去のデフォルト率などの情報は、入手が難しい場合があります。
まとめ
CLOは、高いリターンが期待できる一方、複雑な構造、流動性の低さ、情報不足などのデメリットも存在します。
投資家は、CLOに投資する前に、これらのデメリットを十分に理解し、リスクを評価する必要があります。
特に、リスク許容度の低い投資家や、短期的な売却を希望する投資家には、CLOは適さない投資商品です。
4. CLO市場の現状
CLO市場の規模と成長
CLO市場は、近年、急速に成長しています。
2018年末時点で、レバレッジド・ローン残高約1.1兆ドルのうち、CLOが約62%を占めています。
CLOは、投資家にとって魅力的な投資商品として、今後も成長が期待されています。
年 | レバレッジド・ローン残高(兆ドル) | CLO占める割合 |
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2018年末 | 1.1 | 62% |
2019年8月 | 1.2 | 約62% |
2021年末 | 1.3 | 約65% |
CLO市場の動向
CLO市場は、2018年頃から活発化し、発行額も増加しています。
しかし、2020年以降は、新型コロナウイルスの影響で、CLO市場は一時的に停滞しました。
2021年には、市場が回復し、新規発行額は記録的な水準となりました。
年 | 発行額(億ドル) |
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2018 | 400 |
2019 | 500 |
2020 | 300 |
2021 | 700 |
CLO市場の課題
CLO市場は、成長を続けていますが、いくつかの課題も存在します。
一つは、流動性の低さです。CLOは、一般的に流動性が低い金融商品であり、投資家は、CLOを売却したい場合、希望する価格で売却できない可能性があります。
もう一つは、規制の強化です。近年、CLO市場に対する規制が強化されており、CLOの発行や取引が制限される可能性があります。
まとめ
CLO市場は、成長を続けていますが、流動性の低さや規制の強化などの課題も存在します。
投資家は、CLO市場の動向を注視し、リスクを十分に評価する必要があります。
特に、リスク許容度の低い投資家や、短期的な売却を希望する投資家には、CLOは適さない投資商品です。
5. CLO投資の注意点
リスクの理解
CLOは、高いリターンが期待できる一方、リスクも高い金融商品です。
投資家は、CLOに投資する前に、そのリスクを十分に理解する必要があります。
特に、劣後債に投資する場合には、リスクが非常に高いため、注意が必要です。
リスク | 説明 |
---|---|
デフォルトリスク | ポートフォリオに含まれるローンの債務不履行リスク |
金利変動リスク | 金利上昇による償還額の低下リスク |
流動性リスク | 売却時に希望する価格で売却できないリスク |
情報不足リスク | CLOの構造やポートフォリオに関する情報が不足しているリスク |
情報収集の重要性
CLOは、複雑な構造を持つため、投資家にとって情報が不足している場合があります。
投資家は、CLOに投資する前に、十分な情報収集を行い、リスクを理解する必要があります。
特に、CLOのポートフォリオに含まれるローンの詳細な情報や、過去のデフォルト率などの情報は、入手が難しい場合があります。
専門家のアドバイス
CLOは、複雑な金融商品であるため、投資家は、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
金融機関や証券会社などの専門家は、CLOに関する豊富な知識と経験を持っています。
投資家は、専門家のアドバイスを参考に、投資判断を行う必要があります。
まとめ
CLOは、高いリターンが期待できる一方、リスクも高い金融商品です。
投資家は、CLOに投資する前に、リスクを十分に理解し、情報収集を行い、専門家のアドバイスを受ける必要があります。
特に、リスク許容度の低い投資家や、短期的な売却を希望する投資家には、CLOは適さない投資商品です。
6. CLOの将来性
市場の成長
CLO市場は、今後も成長が期待されています。
投資家の需要が高まっていることや、規制の強化が進んでいることから、CLO市場は活発化すると予想されます。
特に、企業ローン市場の成長に伴い、CLO市場も拡大すると予想されます。
リスク管理の重要性
CLO市場は、成長を続けていますが、リスクも高まっています。
投資家は、CLOに投資する前に、リスクを十分に理解し、リスク管理を行う必要があります。
特に、流動性の低さや、情報不足などのリスクには注意が必要です。
規制の動向
CLO市場は、規制の対象となり、透明性と信頼性が向上しています。
今後、CLO市場に対する規制は、さらに強化される可能性があります。
投資家は、規制の動向を注視し、リスクを評価する必要があります。
まとめ
CLO市場は、今後も成長が期待されていますが、リスクも高まっています。
投資家は、CLO市場の動向を注視し、リスクを十分に評価する必要があります。
CLOは、高いリターンが期待できる一方、リスクも高い金融商品です。
投資家は、CLOに投資する前に、リスクを十分に理解し、情報収集を行い、専門家のアドバイスを受ける必要があります。
参考文献
・CLO=ローン担保証券ってなに?仕組みやリスクについて解説|サクサク経済Q&A|NHK
・Clo(ローン担保証券)の仕組みとポイントを分かりやすく解説 – ファイナンシャルスター
・ローン担保証券(CLO)とは|金融業務用語集|iFinance
・マーケットで話題のclo(ローン担保証券)って、なに?バンクローンや米国ハイイールド社債を持っている人は注意!? | トウシル 楽天証券の投資 …
・ローン担保証券(Clo)とは ニュースと解説 – 日本経済新聞
・CLO(ローン担保証券)とは?仕組みやリスクを、わかりやすく解説します
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・わかりやすい用語集 解説:Clo(しーえるおー) | 三井住友dsアセットマネジメント
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