事業債とは?経済用語について説明

事業債の全体像
項目 内容
定義 企業が資金調達のために発行する債券の一種
種類 普通社債、転換社債、劣後債など
メリット 資金調達の自由度が高い、リスクが低い
デメリット 信用リスク、価格変動リスク、流動性リスク
発行手順 発行準備、発行条件の決定、募集
株式との違い 発行体の扱い、返済義務、経営への参画
投資戦略 企業の財務状況や事業内容などを慎重に検討する、分散投資や長期投資などの方法が有効

1. 事業債とは

要約

事業債の概要

事業債とは、企業が資金調達のために発行する債券の一種です。企業は、事業の拡大や設備投資などの資金調達のために、投資家から資金を借り入れ、その代わりに利息を支払う約束をします。事業債は、企業が発行する債券の中でも、特に金融機関以外の民間企業が発行するものを指します。

事業債は、投資家にとって、銀行預金や国債などの公債よりも高い利回りを期待できる一方で、企業の経営状況が悪化した場合、元本が返済されないリスクも伴います。そのため、事業債への投資は、企業の財務状況や事業内容などを慎重に検討する必要があります。

事業債は、企業にとって、銀行からの融資に比べて、資金調達の自由度が高いというメリットがあります。銀行からの融資は、融資を受けるための審査が厳しく、資金の使い道が制限される場合がありますが、事業債は、企業が自由に資金を調達し、自由に使うことができます。

事業債は、投資家にとって、株式投資に比べて、リスクが低いというメリットがあります。株式投資は、企業の業績が悪化した場合、株価が下落し、損失が発生する可能性がありますが、事業債は、企業が倒産しない限り、元本が返済される可能性が高いです。

事業債の概要
項目 内容
定義 企業が資金調達のために発行する債券の一種
発行主体 金融機関以外の民間企業
利回り 銀行預金や国債よりも高い利回りを期待できる
リスク 企業の経営状況が悪化した場合、元本が返済されないリスク
メリット 資金調達の自由度が高い、リスクが低い
デメリット 信用リスク、価格変動リスク、流動性リスク

事業債の呼び方

事業債は、一般的に「社債」とも呼ばれます。また、転換社債やワラント債に対して、「普通社債」と呼ばれることもあります。

事業債は、発行主体によって呼び方が異なります。国が発行する債券は「国債」、地方公共団体が発行する債券は「地方債」、外国の企業が発行する債券は「外債」と呼ばれます。

事業債の中でも、以前国営企業だった会社が発行主体となっている「電力債」「NTT債」「JT債」「JR債」などと、その他一般事業会社が発行する「一般事業債」に分類できます。

一般事業債は、通常担保が付かない「無担保債」がほとんどです。一方で、電力会社が発行する電力債は、「一般担保付社債」であり、他の債権者に優先して弁済を受けられる権利がついています。

事業債の呼び方
呼び方 説明
社債 事業債の一般的な呼び方
普通社債 転換社債やワラント債に対して使われる呼び方
国債 国が発行する債券
地方債 地方公共団体が発行する債券
外債 外国の企業が発行する債券
電力債 電力会社が発行する債券
NTT債 NTTが発行する債券
JT債 JTが発行する債券
JR債 JRが発行する債券
一般事業債 その他一般事業会社が発行する債券

事業債のリスク

事業債には、投資家にとって、以下の3つのリスクがあります。

信用リスク:発行体の財務状況の悪化により利払いや元本が返済されないリスクです。企業の経営が悪化したり、倒産したりした場合、投資家は元本を回収できない可能性があります。

価格変動リスク:金利変動や需給、発行体の状況により債券価格が変動するリスクです。金利が上昇すると、債券価格は下落する傾向があります。また、発行体の経営状況が悪化すると、債券価格は下落する可能性があります。

流動性リスク:途中売却時にはすぐに現金化ができない可能性があるリスクです。事業債は、株式に比べて、流動性が低い場合があり、売却したいときにすぐに買い手が見つからない可能性があります。

事業債のリスク
リスク 説明
信用リスク 発行体の財務状況の悪化により利払いや元本が返済されないリスク
価格変動リスク 金利変動や需給、発行体の状況により債券価格が変動するリスク
流動性リスク 途中売却時にはすぐに現金化ができない可能性があるリスク

まとめ

事業債は、企業が資金調達のために発行する債券の一種で、投資家にとって高い利回りを期待できる一方で、信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクなどのリスクも伴います。

事業債は、銀行からの融資に比べて、資金調達の自由度が高いというメリットがありますが、株式投資に比べて、リスクが低いというメリットもあります。

事業債は、発行主体や担保の有無などによって、さまざまな種類に分類されます。

事業債への投資は、企業の財務状況や事業内容などを慎重に検討する必要があります。

2. 事業債の種類

要約

普通社債

普通社債は、企業が設備投資や事業の運転資金を調達するために発行する一般的な社債です。事業債とも呼ばれることがあります。

普通社債は、満期が設定されていて、満期までの間、社債保有者に利子が支払われます。満期になって償還する事で、額面の全額と利子が得られるので、安全性の高い投資商品に分類されます。

普通社債は、銀行や保険会社のような機関投資家向けに発行されることが多いですが、中には個人向けに口数を少なくした社債もあります。

ただし、個人向けは引き受けた社債を分割する形で販売しているため、希望する銘柄を購入できないこともあります。一般的に「社債」は、普通社債を指します。

普通社債
項目 内容
定義 企業が設備投資や事業の運転資金を調達するために発行する一般的な社債
特徴 満期が設定されていて、満期までの間、社債保有者に利子が支払われる
利回り 転換社債や劣後債に比べて低い
リスク 信用リスク、価格変動リスク、流動性リスク
発行主体 銀行や保険会社のような機関投資家向けに発行されることが多い
個人向け 口数を少なくした社債も発行されている

転換社債

転換社債は、普通社債の効果を持ちながら、一定の条件を満たすと発行体企業の株式に変換できる権利をもった社債です。

株式に変換するための権利が付属しているため、普通社債に比べて金利は低くなります。しかし株式に変換できる転換価格より、実際の株価が高くなれば、売却して利益を得る事もできます。

利益の選択肢が多いのが、転換社債の特徴ですね。

また、転換社債、新株予約権付社債、転換社債型新株予権付社債は名前が違うが、同意義として扱われることが多いです。

転換社債
項目 内容
定義 一定の条件を満たすと発行体企業の株式に変換できる権利をもった社債
特徴 株式に変換できる転換価格より、実際の株価が高くなれば、売却して利益を得る事もできる
利回り 普通社債に比べて低い
リスク 信用リスク、価格変動リスク、流動性リスク
メリット 株式への転換によって、株主としての権利を得られる
デメリット 株式への転換によって、株価が下落した場合、損失が発生する可能性がある

劣後債

劣後債は、発行体の破綻や解散などが行われた際に、債務の支払い順位が普通社債に比べて、低い債券の事を示します。

普通社債と株式の、中間のような性質を持っていて、本来負債として扱われる社債を、自己資本として算入できる場合がある、というのポイントになります。

これらの理由から、普通社債などに比べて金利が高く、ハイブリッド社債と呼ばれる事もあります。

劣後債は、企業が資金調達を行う際に、より高い金利を支払うことで、投資家から資金を調達できるというメリットがあります。

劣後債
項目 内容
定義 発行体の破綻や解散などが行われた際に、債務の支払い順位が普通社債に比べて、低い債券
特徴 普通社債と株式の中間のような性質を持つ
利回り 普通社債に比べて高い
リスク 信用リスク、価格変動リスク、流動性リスク
メリット 企業が資金調達を行う際に、より高い金利を支払うことで、投資家から資金を調達できる
デメリット 債務不履行が発生した場合、元本が返済されない可能性が高い

まとめ

事業債は、普通社債、転換社債、劣後債など、さまざまな種類があります。

それぞれの事業債は、特徴やリスクが異なります。

投資家は、自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、適切な事業債を選ぶ必要があります。

事業債は、企業にとって、資金調達の選択肢を広げる上で重要な役割を果たしています。

3. 事業債のメリットとデメリット

要約

事業債のメリット

事業債は、企業にとって、銀行からの融資に比べて、資金調達の自由度が高いというメリットがあります。

銀行からの融資は、融資を受けるための審査が厳しく、資金の使い道が制限される場合がありますが、事業債は、企業が自由に資金を調達し、自由に使うことができます。

事業債は、投資家にとって、株式投資に比べて、リスクが低いというメリットがあります。

株式投資は、企業の業績が悪化した場合、株価が下落し、損失が発生する可能性がありますが、事業債は、企業が倒産しない限り、元本が返済される可能性が高いです。

事業債のメリット
項目 内容
資金調達の自由度 銀行からの融資に比べて、資金調達の自由度が高い
リスク 株式投資に比べて、リスクが低い

事業債のデメリット

事業債は、投資家にとって、高い利回りを期待できる一方で、信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクなどのリスクも伴います。

信用リスクは、企業の経営が悪化したり、倒産したりした場合、投資家は元本を回収できない可能性があるリスクです。

価格変動リスクは、金利変動や需給、発行体の状況により債券価格が変動するリスクです。

流動性リスクは、途中売却時にはすぐに現金化ができない可能性があるリスクです。事業債は、株式に比べて、流動性が低い場合があり、売却したいときにすぐに買い手が見つからない可能性があります。

事業債のデメリット
リスク 説明
信用リスク 企業の経営が悪化したり、倒産したりした場合、投資家は元本を回収できない可能性がある
価格変動リスク 金利変動や需給、発行体の状況により債券価格が変動するリスク
流動性リスク 途中売却時にはすぐに現金化ができない可能性があるリスク

事業債の発行におけるメリットとデメリット

事業債は、企業にとって、資金調達の選択肢を広げる上で重要な役割を果たしています。

事業債は、銀行からの融資に比べて、資金調達の自由度が高いというメリットがあります。

しかし、事業債は、株式投資に比べて、リスクが高いというデメリットもあります。

企業は、事業債を発行する際には、これらのメリットとデメリットを慎重に検討する必要があります。

まとめ

事業債は、企業にとって、資金調達の選択肢の一つですが、投資家にとって、高い利回りを期待できる一方で、リスクも伴います。

事業債への投資は、企業の財務状況や事業内容などを慎重に検討する必要があります。

事業債は、投資家にとって、株式投資に比べて、リスクが低いというメリットがありますが、流動性リスクなどのデメリットもあります。

事業債は、企業にとって、資金調達の選択肢を広げる上で重要な役割を果たしていますが、発行する際には、これらのメリットとデメリットを慎重に検討する必要があります。

4. 事業債の発行手順

要約

事業債の発行準備

事業債を発行するには、まず、発行の準備が必要です。

発行の準備には、以下の項目が含まれます。

* 資金調達の目的を明確にする

* 必要な資金調達額を決定する

事業債の発行準備
項目 内容
資金調達の目的 事業の拡大、設備投資など
必要な資金調達額 事業計画に基づいて決定する

事業債の発行条件の決定

事業債の発行条件には、以下の項目が含まれます。

* 利率

* 償還期限

* 償還方法

事業債の発行条件の決定
項目 内容
利率 市場金利や企業の信用力などを考慮して決定する
償還期限 資金の返済時期を決定する
償還方法 一括償還、分割償還など

事業債の募集

事業債の発行条件が決まったら、投資家から資金を募集します。

事業債の募集は、証券会社を通じて行われることが多いです。

証券会社は、事業債の発行を希望する企業から、事業債の発行条件や企業の財務状況などの情報を収集し、投資家に販売します。

投資家は、事業債の発行条件や企業の財務状況などを検討し、投資するかどうかを判断します。

事業債の募集
項目 内容
募集方法 証券会社を通じて行われることが多い
募集対象 機関投資家、個人投資家など
募集期間 事業債の発行条件や企業の財務状況などを検討し、投資するかどうかを判断する

まとめ

事業債の発行は、企業にとって、資金調達のための重要な手段の一つです。

事業債を発行する際には、資金調達の目的を明確にし、必要な資金調達額を決定する必要があります。

また、事業債の発行条件を決定し、投資家から資金を募集する必要があります。

事業債の発行は、複雑な手続きを伴うため、専門家のサポートが必要となる場合があります。

5. 事業債と株式の違い

要約

発行体の視点からの違い

事業会社にとって、事業債は借入金であり、株式は出資金です。

事業債は借入金ですから、会社には返済義務があります。事業債の所有者は、会社から元本の返済を受ける権利と、設定された利息を受け取る権利があります。

一方、会社は出資金である株式については返済の義務がありません。出資金は、会社の成長や配当金、経営参加権(議決権の行使など)を見返りに、会社が出資を募るものだからです。

株式を取得した株主は、配当金を受け取る権利に加え、会社が成長したときなどに株価を譲渡(売却)することによって得られる利益を狙います。

発行体の視点からの違い
項目 事業債 株式
発行体の扱い 負債 出資金
返済義務 あり なし
経営への参画 なし 株主総会での議決権行使

投資家の視点からの違い

社債も市場で売買されますが、価格変動が大きいのは株式です。

投資家にとっては、安定を狙うなら社債、譲渡益を狙うなら株式のほうがメリットがあります。

社債と株式は、会社倒産時の元本の扱いも異なります。

社債の保有者は債権者ですが、株式の保有者は出資者であるため、倒産時の弁済は債権者である社債の保有者のほうが株式の保有者よりも優先されます。倒産時の状況によりますが、全額または一部を弁済してもらえる可能性が高いのです。

投資家の視点からの違い
項目 事業債 株式
保有による定期的な収益 利子 配当
値動きの大きさ 小さい 大きい
企業が倒産した場合の出資金 一定割合は戻ってくる可能性がある 戻ってこない

事業債と株式の比較表

|項目|事業債|株式|

|:–:|:–:|:–:|

|発行体の扱い|負債|出資金|

|返済義務|あり|なし|

事業債と株式の比較表
項目 事業債 株式
発行体の扱い 負債 出資金
返済義務 あり なし
経営への参画 なし 株主総会での議決権行使

まとめ

事業債と株式は、資金調達の方法としては似ていますが、発行体と投資家の立場から見ると、それぞれ異なる特徴があります。

事業債は、企業にとって、資金調達の選択肢の一つですが、投資家にとって、高い利回りを期待できる一方で、リスクも伴います。

株式は、企業にとって、資金調達の選択肢の一つですが、投資家にとって、高いリターンを期待できる一方で、リスクも伴います。

事業債と株式は、それぞれメリットとデメリットがあります。投資家は、自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、適切な投資を選択する必要があります。

6. 事業債の投資戦略

要約

事業債投資のポイント

事業債への投資は、企業の財務状況や事業内容などを慎重に検討する必要があります。

企業の財務状況は、財務諸表などを参考に、過去の業績や今後の見通しなどを分析する必要があります。

事業内容は、企業の事業内容が投資家の投資目的と合致しているかどうかを検討する必要があります。

また、事業債の発行条件も重要な要素です。利率、償還期限、償還方法などを検討し、投資家にとって有利な条件かどうかを判断する必要があります。

事業債投資のポイント
項目 内容
企業分析 財務諸表などを参考に、過去の業績や今後の見通しなどを分析する
事業内容 企業の事業内容が投資家の投資目的と合致しているかどうかを検討する
発行条件 利率、償還期限、償還方法などを検討し、投資家にとって有利な条件かどうかを判断する

事業債投資のリスク管理

事業債への投資は、信用リスク、価格変動リスク、流動性リスクなどのリスクを伴います。

これらのリスクを管理するためには、分散投資や長期投資などの方法が有効です。

分散投資は、複数の事業債に投資することで、リスクを分散させる方法です。

長期投資は、短期的な値動きに左右されずに、長期的に保有することで、リスクを軽減する方法です。

事業債投資のリスク管理
リスク 対策
信用リスク 分散投資
価格変動リスク 長期投資
流動性リスク 売却可能な時期に余裕を持つ

事業債投資の注意点

事業債への投資は、必ずしも儲かるわけではありません。

投資する前に、十分な情報収集を行い、リスクを理解した上で投資を行う必要があります。

また、事業債は、株式に比べて、流動性が低い場合があるため、売却したいときにすぐに買い手が見つからない可能性があります。

事業債への投資は、投資家の判断で行う必要があります。

事業債投資の注意点
項目 内容
投資判断 十分な情報収集を行い、リスクを理解した上で投資を行う
流動性 売却したいときにすぐに買い手が見つからない可能性がある
投資家の判断 事業債への投資は、投資家の判断で行う必要があります

まとめ

事業債への投資は、高い利回りを期待できる一方で、リスクも伴います。

投資する前に、十分な情報収集を行い、リスクを理解した上で投資を行う必要があります。

事業債は、投資家の判断で行う必要があります。

事業債は、企業にとって、資金調達の選択肢の一つですが、投資家にとっても、投資戦略の一つとして検討することができます。

参考文献

事業債(ジギョウサイ)とは? 意味や使い方 – コトバンク

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