海外ETFとは?経済用語について説明

1. 海外ETFとは

海外ETFとは、海外の証券取引所に上場している投資信託のことです。投資信託とは、投資家から集めたお金を1つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などで運用する金融商品です。その運用成果は、投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになっています。

海外ETFは、多くの場合、特定の指数や価格指標などに連動するように設計されています。例えば、NYダウやS&P500に連動するETFなら、1つのETFで米国市場に上場する複数の銘柄に投資できます。そのため、個別に投資銘柄を選ぶのが難しい場合でも、少額からさまざまな銘柄に分散投資が可能です。

1-1. 海外ETFの仕組み

海外ETFは、投資信託の一種でありながら、株式のように証券取引所で売買できるという特徴があります。そのため、市場が開いている取引時間中であれば、リアルタイムで値動きを確認しながら価格を指定して注文を出すことができます。

一方、一般的な投資信託は上場していません。基準価額は、投資信託が組み入れている株式や債券などの時価評価をもとに、1日に1つの価額として公表されます。投資家は、当日の基準価額がわからない状況で投資信託の購入・換金の申し込みを行います。

1-2. 海外ETFのメリット

海外ETFは、投資信託のメリットに加え、以下のようなメリットがあります。

少額から分散投資が可能: 海外ETFは、1株単位で売買できるため、比較的少額から投資を始められます。

低い信託報酬: 海外ETFは、販売会社を介さないため、一般的な投資信託と比較して信託報酬が低い傾向にあります。

リアルタイム取引: 海外ETFは上場しているため、市場が開いている取引時間中であればリアルタイムで売買できます。

1-3. 海外ETFのデメリット

海外ETFは、以下のようなデメリットもあります。

積立投資に対応していない場合が多い: 海外ETFは、積立投資に対応していない証券会社が多く、自分で取引タイミングを決め、売買のたびに注文を出す必要があります。

購入時の手数料が高い: 海外ETFは、購入時に現地委託手数料と国内取次手数料がかかります。そのため、購入時の手数料が、一般的な投資信託より高くなる場合があります。

課税面での不利: 海外ETFは、国内ファンドから直接投資している投資信託と比較して、課税面で不利になる可能性があります。

1-4. まとめ

海外ETFは、海外の株式市場に投資したい個人投資家にとって、魅力的な選択肢の一つです。少額から分散投資ができ、信託報酬も低いため、長期投資に適しています。しかし、積立投資に対応していない証券会社が多い、購入時の手数料が高いなど、デメリットも存在します。

海外ETFと一般的な投資信託は、それぞれメリットとデメリットがあります。投資家は、自分の運用方針や好みに合わせて、自分に合った商品を選ぶことが大切です。海外ETFは、自分のタイミングや裁量で取引したい人に向いています。また、海外ETFの中には一般的な投資信託では取り扱いのない商品性のものもあり、資産運用に特徴あるエッセンスを取り込みたいといったニーズにも合致します。一方、一般的な投資信託は、積立投資はじめ様々な投資手法が実践可能で、設定すれば自動的に再投資も行ってくれます。そのため、毎月の収入から少しずつ投資に回したい人、なるべく手間をかけずに運用したい人は一般的な投資信託が向いています。

海外ETFは、海外の株式市場に投資する新しい方法です。その仕組みやメリット、デメリットを理解した上で、ご自身の投資戦略に合った投資方法を選択することが重要です。

参考文献

海外etfとは? | はじめての海外etf | 外国株式・海外etf取引入門 | 外国株式特集 | 外国株式・海外etf | 楽天証券

海外ETFとは?特徴やメリット・デメリットを解説します

海外ETFと投資信託はどっちがいい?仕組みやメリット、向いている人の特徴を比較 | mattoco Life

2. 海外ETFのメリット

2-1. 銘柄数の豊富さによる多様な投資機会

海外ETFは、国内ETFと比較して圧倒的に銘柄数が多く、投資家にとって多様な投資機会を提供しています。国内ETFの銘柄数は200前後ですが、海外ETFは10倍近い銘柄数があります。これは、海外の証券市場が日本よりもはるかに規模が大きく、多様な投資対象が存在するためです。

例えば、米国ETFには、S&P500、ナスダック100、ダウ平均株価など、主要な株価指数に連動するETFはもちろんのこと、特定のセクター(エネルギー、金融、ITなど)に特化したETF、新興国株式や債券に投資するETF、金や原油などの商品に連動するETFなど、さまざまな種類のETFがあります。投資家は、自分の投資戦略やリスク許容度に合わせて、最適なETFを選ぶことができます。

また、海外ETFは、日本国内ではあまり取り扱いのない、中国やインドなどの新興国株式に投資するETFも多数存在します。新興国市場は成長性が高い一方、リスクも高いとされていますが、長期的な投資視点を持つ投資家にとって魅力的な投資対象となります。

2-2. 分散投資によるリスク軽減効果

海外ETFは、多くの銘柄を組み合わせて構成されているため、一口購入するだけで複数の銘柄・資産に分散投資をしているのと同じ効果を得ることができます。例えば、S&P500をベンチマークにしたETFを購入した場合、疑似的にS&P500全体の銘柄に少額投資を行っていることになるのです。分散投資は、投資リスクを軽減する効果があるため、海外ETFの購入は個別資産に投資するよりも比較的低リスクな投資手法といえます。

特に、世界経済の成長に大きく影響される米国株式市場に投資する場合、分散投資は非常に重要です。個別株に投資する場合、その企業の業績悪化や経営リスクによって大きな損失を被る可能性があります。しかし、S&P500などの幅広い銘柄で構成された海外ETFに投資することで、特定の企業の業績悪化による影響を最小限に抑えることができます。

また、海外ETFは、外貨建てであることもリスク分散に役立ちます。円安が進んだ場合、日本円建ての資産は価値が下落しますが、外貨建て資産は価値が上昇する可能性があります。海外ETFに投資することで、為替変動リスクをヘッジする効果も期待できます。

2-3. 低コストでの運用

海外ETFは、国内外の投資信託と比較して信託報酬が安く、購入時・売却時にかかる手数料も安いケースが多いため、コストを抑えられるというメリットがあります。投資信託を購入する場合は、ファンドマネージャーが銘柄選定を行い、運用も代行してくれるため、投資家はその働きに対して信託報酬を支払う必要があります。

しかし一般的な投資信託(アクティブファンド)と比べて、株価などの指数に連動するように投資を行うETFでは銘柄選定を行う手間などが少ないぶん、ファンドマネージャーにかかる人件費が安くなり、信託報酬も安く済むケースが多いというわけです。

またETFの売買は証券取引所を通じて行われるため、株式の売買と同様の手数料体系となります。通常の投資信託であれば、購入する金融機関によっては購入時・売却時に購入額の数%の手数料が発生することもありますが、ネット証券で海外ETFの売買を行えば、それより安価に済むケースも多くあります。

2-4. まとめ

海外ETFは、投資家にとって多くのメリットを持つ投資商品です。銘柄数の豊富さから多様な投資機会があり、分散投資によるリスク軽減効果も期待できます。さらに、信託報酬や手数料が安いことから、コストを抑えながら運用することができます。

ただし、海外ETFには、売買手数料が高く、為替リスクがあるなど、デメリットも存在します。投資を行う際には、これらのデメリットも理解した上で、自分の投資戦略やリスク許容度に合わせて、適切な銘柄を選択することが重要です。

参考文献

「海外etf」とは?メリット・デメリットを解説 | ライフハッカー・ジャパン

海外etfのメリット・デメリットは?商品の仕組みや購入方法も | 株式投資コラム | 未来がもっと楽しみになる金融・投資メディア「Hedge …

海外ETF一覧と銘柄の選び方|外国株式|三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

3. 海外ETFのデメリット

3-1. 為替変動リスク

海外ETFは、外国の通貨建てで運用されているため、為替変動の影響を受けやすいというデメリットがあります。円高になった場合、運用成績が良くても円換算すると損失が生じてしまう可能性があります。逆に円安になった場合は、運用成績が良くなくても円換算すると利益が大きくなる可能性があります。

例えば、アメリカの株式市場に投資する海外ETFを100万円で購入し、1年間で10%の運用益を得たとします。しかし、その間に円が1ドルに対して10円から11円に円高になったとすると、円換算では10%の運用益ではなく、1%の運用益しか得られません。逆に円が1ドルに対して10円から9円に円安になった場合は、円換算では10%の運用益に加え、為替差益も発生し、19%の運用益を得る事になります。

為替変動は予測が難しく、投資家の意図しない損失を生む可能性があるため、海外ETFに投資する際には、為替変動リスクを十分に理解しておく必要があります。為替変動リスクを抑えるには、為替ヘッジを行う方法があります。為替ヘッジとは、将来の円高を予測して、円高になった場合の損失を回避するための対策です。為替ヘッジを行うには、為替予約や通貨オプションなどの方法があります。

為替ヘッジを行うと、為替変動リスクを回避できますが、ヘッジコストが発生します。そのため、為替ヘッジを行うかどうかは、投資家のリスク許容度や投資期間などを考慮して判断する必要があります。

3-2. 情報収集の難しさ

海外ETFは、日本国内のETFと比べて情報収集が難しいというデメリットがあります。海外ETFの運用状況やパフォーマンスなどは、英語で書かれた資料やウェブサイトで確認する必要があり、日本語の情報は限られています。

また、海外ETFは、日本国内のETFと比べて、規制が緩い場合もあります。そのため、情報開示が不十分であったり、不正が行われている可能性もあるため、投資する前に十分な調査を行う必要があります。

海外ETFに投資する際には、信頼できる情報源から情報を収集し、リスクを理解した上で投資を行うことが大切です。

3-3. 税金対策の複雑さ

海外ETFの投資収益には、外国税と日本の税金が課せられます。外国税は、投資先の国によって税率が異なります。例えば、アメリカの株式市場に投資する海外ETFの場合、アメリカの配当金には10%の源泉徴収税が課せられます。

日本の税金は、外国税額控除を利用することで軽減することができます。外国税額控除とは、外国で支払った税金を日本の税金から控除する制度です。しかし、外国税額控除の申請は、自分で行う必要があります。

海外ETFの税金対策は複雑で、投資家にとって負担が大きくなる可能性があります。海外ETFに投資する際には、税金対策についても十分に理解しておく必要があります。

3-4. まとめ

海外ETFは、世界経済の成長に投資できる魅力的な商品ですが、為替変動リスク、情報収集の難しさ、税金対策の複雑さなど、特有のリスクも存在します。海外ETFに投資する際は、これらのリスクを十分に理解した上で、投資判断を行うことが大切です。

特に初心者の方は、投資経験を積んだ上で、海外ETFに挑戦することをおすすめします。また、投資する際には、信頼できる金融機関や専門家のアドバイスを受けることも有効です。

海外ETFは、リスクとリターンが大きい投資商品です。投資する前に、十分な情報収集を行い、自分の投資スタイルやリスク許容度に合わせて、慎重に判断する必要があります。

参考文献

外国ETF(海外ETF)|外国株式|商品・サービス|野村證券

海外etf | 外国株式 | 大和証券

外国株式とは?海外ETF、買い方、リスク、手数料などまとめました!

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