予想配当利回りとは?経済用語について説明

予想配当利回りに関する項目
項目 説明
予想配当利回り 企業が株主に支払う配当の金額が、株価に対してどれだけの割合であるかを示す指標
実績配当利回り 企業が過去に支払った実績配当金に基づいて算出される配当利回り
予想配当利回りの計算式 1株あたりの予想配当金(年間) ÷ 株価 × 100(%)
配当利回りの平均 日本経済新聞社のデータによれば、東証プライム全銘柄(加重)の前期基準平均配当利回りは約2.30%
配当利回りの目安 一般的に、配当利回りの目安は4%以上
配当性向 企業が得た利益のうち、どれだけ配当金に回されているかを示した指標
配当性向の計算式 一株あたりの年間配当金 ÷ 一株当たりの純利益 × 100
インカムゲイン 金融商品を保有することによって継続的に得られる利益
キャピタルゲイン 金融商品の売買取引によって得られる利益
複利効果 運用で得た利益を再投資することにより利益が雪だるま式に膨らんでいくこと
配当利回りのリスク 配当金の減額や無配当、株価の下落、配当政策の変更

1. 予想配当利回りとは

要約

予想配当利回りの定義

予想配当利回りとは、株式投資において、企業が株主に支払う配当の金額が、その株式の株価に対してどれだけの割合であるかを示す指標です。具体的には、1株あたりの年間配当金額をその株の現在の市場価格で割ることによって計算されます。この利回りはパーセンテージで表され、投資家が株式を購入した際に、配当によってどの程度の収益を得られるかの目安となります。たとえば、1株あたりの配当が2ドルで、その株の株価が40ドルの場合、配当利回りは2ドル ÷ 40ドル = 0.05、つまり5%となります。投資家はこの利回りを他の投資先と比較することで、どの株式が配当収入の面で魅力的かを判断する一つの基準とします。

配当利回りは、企業が支払った実績配当金をもとに算出する「実績配当利回り」と企業が発表している今期の予想配当金に基づいて算出する「予想配当利回り」があります。株式投資を行う上では未来の情報が重視されるため、よく活用されるのは「予想配当利回り」です。

予想配当利回りの計算式は「1株あたりの予想配当金(年間) ÷ 株価 × 100(%)」です。

例として「花王(4452)」のデータで「予想配当利回り」を計算してみましょう。\n▼ 花王(4452)のデータ ※2023年7月12日現在\n▼ 計算式\n●\t1株あたり配当 150円 ÷ 株価5

配当利回りの種類
種類 説明
実績配当利回り 企業が過去に支払った実績配当金に基づいて算出される配当利回り
予想配当利回り 企業が発表している今期の予想配当金に基づいて算出される配当利回り

配当利回りの意味

配当利回りからわかるのは、配当金による採算性です。

仮に上記の株式を200株(=1

1年間で約2.79%の配当利回りを得られる予想で、30

このように、「投資金額に対して、配当金で1年間にどのくらいの収益が得られるか」の指標が配当利回りなのです。

配当利回りの計算例
項目 数値
1株あたり配当 150円
株価 5,377円
配当利回り 約2.79%

配当利回りの平均

次に、よく質問に出る「配当利回りの平均、相場」について触れておきます。

日本経済新聞社のデータによれば、各株価指数・市場ごとの平均配当利回りは以下のとおりです。\n出所:QUICKデータを元にマネックス証券作成(2023年7月11日現在)

配当はすべての企業が出しているわけではありません。

業績不振で利益が出ずに配当金が出せないケースもあれば、経営方針として利益を配当金ではなく事業投資に回すケースもあります。無配(配当なし)の場合は、配当利回りは0%となります。近年では、新型コロナウイルスの影響を受けたANAホールディングス(9202)が、2020年3月期に10年ぶりの無配となり、それ以降2023年3月期まで無配が続いています。\n▼ ANAホールディングス(9202)の年間配当履歴 ※(出所)マネックス銘柄スカウター 2023年7月12日現在

市場ごとの平均配当利回り
市場 平均配当利回り
東証プライム 約2.30%
東証グロース 約1.00%
マザーズ 約0.50%

まとめ

予想配当利回りとは、株価に対して年間の1株あたりの配当金の割合を示す指標です。

配当利回りは、企業が支払った実績配当金をもとに算出する「実績配当利回り」と企業が発表している今期の予想配当金に基づいて算出する「予想配当利回り」があります。

予想配当利回りは、1株あたりの予想配当金(年間) ÷ 株価 × 100(%)で計算されます。

配当利回りは、投資金額に対して、配当金で1年間にどのくらいの収益が得られるかを示す指標です。

2. 予想配当利回りの重要性

要約

超低金利時代における投資の魅力

1つめのメリットは「超低金利が当たり前の日本において一定の投資魅力がある」ことです。

現代の日本は「超低金利時代」で、銀行などにお金を預けても、少額の利息しか得られません。

例えば、日本最大の銀行である三菱UFJ銀行の金利は以下のとおりです。\n出所:円預金金利 | 三菱UFJ銀行よりマネックス証券作成 ※2023年7月11日時点 ※上記利率は税引前の表示です(税引後の利率は、分離課税の場合、上記利率に0.8を乗じた利率が目安になります。

前述の表に記載されている東証プライム全銘柄(加重)の前期基準平均配当利回り(2023年7月11日時点)が約2.30%であることを考えると、もちろん銀行預金の金利と株式投資の配当利回りのリスクは大きく異なるため単純に比較することはできませんが、投資妙味を感じる方もいるかもしれません。仮に「100万円」のお金を持っていたとしましょう。銀行に定期預金(金利0.002%)で1年間預けておくと、得られる利息はわずか【20円】(税引前)です。一方、同じ100万円のお金で配当利回り2%の株式を購入すると、1年間で得られる配当金は【20

銀行預金と株式投資の比較
項目 銀行預金 株式投資
金利 0.002% 約2.30%
利回り 20円 20,000円
リスク 元本保証 元本保証なし
投資妙味 低い 高い

初心者や時間がない人にも取り組みやすい

2つめのメリットは「初心者や時間がない人にも取り組みやすい」ことです。これは、売買差益を狙う投資と比較したときの利点です。

株式投資で利益を得る方法は、「配当金(インカムゲイン)」以外に株式の「売買差益(キャピタルゲイン)」を狙う方法があります。

株式の「売買差益」とは、株価が安いときに購入し、株価が高くなったときに売却することで、購入時と売却時の価格の差額で利益を得る方法です。

売買差益を目的とした投資は大きな利益を得る可能性があるのですが、初心者や時間がない人にとっては、難易度が高くなります。理由は「売買タイミングの見極め」や「投資対象銘柄の選定」が投資成果を大きく左右しやすいためです。小まめに株価変動をチェックする時間が必要ですし、正しくタイミングを見極めることや企業の業績などを分析するスキルも必要となります。もちろん配当利回りに着目した投資でもそういった面が全く無いわけではありませんが、キャピタルゲイン目当ての投資に比べるとだいぶハードルは下がると言えそうです。頻繁に売買を繰り返す必要はなく、良い銘柄さえ購入できれば、10年・20年とそのまま保有し続けても良いのです。

毎月継続的に配当金を得ることも可能

3つめのメリットは「銘柄の組み合わせ次第で毎月継続的に配当金を得ることも可能」なことです。

「配当金生活」という言葉がありますが、日々の生活資金を配当金で賄うことを意識して生活する投資家もいるようです。

日本株の配当の支払いは年1~2回の企業が多いですが、米国株は年4回支払う企業が多く、銘柄の組み合わせ方次第では毎月安定した収入を得ることも可能です。

※米国株の場合、配当金は米ドルで受け取りますので、円ベースで考えると投資金額や配当金に為替変動リスクがあります。配当金は「株式を持っているだけ」で入ってくるお金ですから、「不労所得を作りたい」という方にも適した方法と言えそうです。

まとめ

予想配当利回りは、超低金利時代において、銀行預金よりも高い利回りが見込めるため、投資の魅力の一つです。

また、初心者や時間がない人でも、売買タイミングを見極める必要がなく、比較的取り組みやすい投資方法と言えます。

さらに、銘柄の組み合わせ次第では、毎月安定した収入を得ることも可能です。

このように、予想配当利回りは、投資戦略において重要な役割を果たす指標と言えます。

3. 予想配当利回りの計算方法

要約

計算式

配当利回りは、以下の計算式で算出します。

1株あたり配当額と株価を比較することで、投資額を何年で回収できるかを見ています。

たとえば、1株あたり配当額が50円で株価が1

50円÷1

配当利回りの計算式
計算式 説明
配当利回り (%) = (1株あたりの年間配当金 ÷ 現在の株価) × 100 配当利回りを計算する式

配当利回りの考え方

配当利回りの考え方はシンプルで、配当利回りの数値が高ければ高いほど、株価が割安であると判断できます。

下図の場合、配当利回りの高い企業Bの方が割安であると判断できます。

配当利回りを見る際のポイントは主に3つあります。

順を追って解説します。

配当利回りの考え方
配当利回り 株価との関係
高い 株価が割安
低い 株価が高い

配当利回りの目安

一般的に、配当利回りの目安は4%以上が好ましいと言われています。

もちろん企業の業績等で配当金が減額されるリスクもあるため、参考の1つとして4%という数値を覚えておくぐらいが望ましいでしょう。

配当利回りは、1株あたり配当額が増加し、株価が下落すると上がります。

逆に1株あたり配当額が減少し、株価が上昇すると配当利回りは下がります。配当利回りは常に変動するため、投資判断をする際は下図の関係性を押さえておきましょう。

配当利回りの目安
目安 説明
4%以上 一般的に好ましいとされている配当利回り

まとめ

配当利回りは、1株あたりの予想配当金(年間) ÷ 株価 × 100(%)で計算されます。

配当利回りは、配当金による採算性を示す指標であり、数値が高いほど株価が割安であると判断できます。

配当利回りの目安は4%以上ですが、企業の業績や株価の変動によって常に変化するため、注意が必要です。

配当利回りは、配当性向という指標と合わせて使うと、より深い分析を行うことができます。

4. 予想配当利回りを利用した投資戦略

要約

配当利回りを意識した投資戦略

配当利回りは、インカムゲインを重視する投資戦略において重要な指標です。

インカムゲインとは、金融商品を保有することによって継続的に得られる利益のことで、簡単に言うと、購入した後は自動的に利益が入ってくるもののことをいいます。

インカムゲインの例としては、株式の配当金、債券の利息、不動産投資信託(REIT)の分配金などがあります。

対して、金融商品の売買取引によって得られる利益をキャピタルゲインといいます。インカムゲインはキャピタルゲインよりも価格変動の影響が少ない傾向にあり、インカムゲインを狙う投資戦略は、投資から定期的な収入を得ることが期待できます。

インカムゲインとキャピタルゲイン
種類 説明
インカムゲイン 金融商品を保有することによって継続的に得られる利益
キャピタルゲイン 金融商品の売買取引によって得られる利益

複利効果

複利効果とは、運用で得た利益を再投資することにより利益が雪だるま式に膨らんでいくことです。

配当利回りの高い銘柄を選べば、低い銘柄よりも購入金額に対して多くの配当金を受け取ることができます。

受け取った配当金を再投資すれば、複利効果でどんどん利益が増えていくことが期待でき、長期的な資産形成につながるでしょう。

投資をする上での配当利回りの重要性をお分かりいただけたでしょうか。

配当利回りだけを追求する投資戦略の注意点

しかし、配当利回りだけを追求する投資戦略には注意が必要です。例えば、配当利回りが高すぎる銘柄に「お得だ!」と飛びつくのは危険です。

なぜなら、配当利回りが同業他社や業界平均と比べ異常に高い株式は、株価が低迷している可能性があるからです。

配当利回りは、現在の株価に対する配当金の割合で決まります。そのため、配当金が同じでも株価が安い銘柄ほど、配当利回りは高くなります。

配当利回りが高く、今後も高い成長性を期待できるような企業であれば、将来的な配当金の増額も見込まれ株価は上がるはずですよね。しかし、業績悪化を見越した投資家による見切り売りで、株価が下がって配当利回りが高く算出されている銘柄もあります。このような銘柄はさらに株価が下落してしまい、トータルの損失額は大きくなってしまうでしょう。また、現在は配当利回りの高い企業でも、売上減少など業績悪化に伴い配当金の減額や無配当となる場合もあります。投資判断を行う際には、配当利回りだけでなく、業績が悪化していないか、株価が下落していないかなどを総合的に考慮することが重要です。

まとめ

予想配当利回りは、インカムゲインを重視する投資戦略において重要な指標です。

配当利回りの高い銘柄は、定期的な収入をもたらすため、投資で安定した収入源を求める人にとって魅力的な金融商品となりえます。

また、複利効果で資産を効率的に増やすことも期待できます。

ただし、配当利回りだけを追求する投資戦略には注意が必要です。業績悪化や株価下落のリスクを考慮し、総合的に判断することが重要です。

5. 予想配当利回りと実際の受取配当金の関係

要約

予想配当利回り

予想配当利回りは、将来的にどの程度の収益が見込めるかを評価するための一つの指標として使用されます。

予想配当利回りは、予想される配当を基に計算されます。

予想配当金は、企業の業績予測、経済環境、業界の動向などに基づいて決定されますが、あくまで予想です。

変動する可能性があり、期待できる配当が得られない場合もあるため注意しましょう。

実際の配当利回り

実際の配当利回りは、企業が過去にどの程度の配当を支払ったかを反映しており、その企業の配当支払いの安定性や持続可能性を評価する際に参考にされます。

実際の配当利回りは、実際に支払われた配当を基に計算され、投資家が受け取った実際のリターンを示します。

予想配当利回りと実際の配当利回りは、必ずしも一致するとは限りません。

企業の業績や経営状況の変化によって、予想と実際の配当額が異なる場合があります。

予想配当利回りから実際の配当利回りへの乖離

予想配当利回りと実際の配当利回りの乖離は、企業の業績や経営状況の変化によって発生します。

例えば、企業が予想よりも業績が悪化した場合、配当金の減額や無配当となる可能性があります。

また、株価が予想よりも大きく変動した場合も、実際の配当利回りは予想と異なる結果になる可能性があります。

そのため、予想配当利回りはあくまでも目安として捉え、実際の配当利回りは企業の業績や経営状況を注視しながら確認することが重要です。

まとめ

予想配当利回りは、将来の配当収入を予測するための指標ですが、あくまでも予想であり、実際の配当額とは異なる可能性があります。

実際の配当利回りは、過去の配当実績に基づいて計算され、投資家が実際に受け取ったリターンを示します。

予想配当利回りと実際の配当利回りの乖離は、企業の業績や経営状況の変化によって発生する可能性があります。

投資判断を行う際には、予想配当利回りと実際の配当利回りの両方を参考に、企業の業績や経営状況を総合的に判断することが重要です。

6. 予想配当利回りのエクスペクテーションとリスク

要約

配当利回りのエクスペクテーション

配当利回りは、投資家にとって魅力的な指標ですが、高すぎる配当利回りは、必ずしも良い投資対象とは限りません。

高すぎる配当利回りは、企業の業績悪化や株価下落のリスクを示唆している可能性があります。

投資家は、配当利回りの高さとともに、企業の財務状況、成長性、経営戦略などを総合的に評価する必要があります。

また、配当利回りは、市場の動向や経済状況の影響を受けるため、常に変化する可能性があります。

配当利回りのリスク

配当利回りのリスクとしては、以下の点が挙げられます。

・配当金の減額や無配当:企業の業績悪化や経営戦略の変化によって、配当金が減額または無配当となる可能性があります。

・株価の下落:企業の業績悪化や市場の動向によって、株価が下落する可能性があります。株価が下落すると、配当利回りは上昇しますが、投資家は元本損失を被る可能性があります。

・配当政策の変更:企業は、配当政策を変更する可能性があります。配当政策の変更によって、配当利回りが大きく変動する可能性があります。

配当利回りのリスク
リスク 説明
配当金の減額や無配当 企業の業績悪化や経営戦略の変化によって、配当金が減額または無配当となる可能性があります。
株価の下落 企業の業績悪化や市場の動向によって、株価が下落する可能性があります。株価が下落すると、配当利回りは上昇しますが、投資家は元本損失を被る可能性があります。
配当政策の変更 企業は、配当政策を変更する可能性があります。配当政策の変更によって、配当利回りが大きく変動する可能性があります。

配当利回りを考慮した投資判断

配当利回りは、投資判断を行う上で重要な指標の一つですが、唯一の判断材料ではありません。

投資家は、配当利回りの他に、企業の財務状況、成長性、経営戦略、市場の動向などを総合的に評価する必要があります。

また、投資家のリスク許容度や投資期間なども考慮して、適切な投資判断を行うことが重要です。

特に、高配当利回りの銘柄に投資する場合には、配当金の減額や無配当のリスク、株価の下落リスクなどを十分に理解した上で投資を行う必要があります。

まとめ

予想配当利回りは、投資判断を行う上で重要な指標の一つですが、高すぎる配当利回りは、必ずしも良い投資対象とは限りません。

投資家は、配当利回りの他に、企業の財務状況、成長性、経営戦略、市場の動向などを総合的に評価する必要があります。

また、投資家のリスク許容度や投資期間なども考慮して、適切な投資判断を行うことが重要です。

特に、高配当利回りの銘柄に投資する場合には、配当金の減額や無配当のリスク、株価の下落リスクなどを十分に理解した上で投資を行う必要があります。

参考文献

配当利回り・配当性向とは?見方やポイントを解説 | みずほ証券

配当金とは?配当利回りとその計算方法|IG証券

配当利回りとは?計算式や目安についてわかりやすく解説 – Funda

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